Disruption This Week—–17/6/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年6月12日から2022年6月17日まで。

Facebook looks ready to divorce the news industry, and I doubt couples counseling will help
「Facebookはニュース業界との離婚の準備ができている」。
同社が業界に大金を払い続け大手メディアとの関係を保つ意思はないだろうとするオピニオン。2022年第1四半期、閲覧された投稿コンテンツでニュースへリンクを持つは0.4%に過ぎないという。愛情が冷めるのは明瞭だ。
「大変です」食べログ点数、突然の急落 評価の秘密に自力で迫った:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「実際に点数を算出しているのは、独自の『アルゴリズム』だ。
大量のデータを処理するのに使う計算手順のことで、検索サイトや買い物サイトなどはアルゴリズムを使って表示順位を決めたり、点数をつけたりする。
例えば検索サイトはこれを使い、膨大なウェブページの中から、利用者に関連が高いと思われる結果を表示している。
任さんは、ネットに残る記録をもとに点数の変化を独自に調べた。
すると、食べログ内で『チェーン店』とカテゴリー分けされている店ばかり、点数が下がっていた。
『チェーン店の点数を一律に下げるアルゴリズム変更があった』との仮説が立った」。

——アルゴリズムとその影響をめぐって明瞭な判例が出たのは珍しいのではないか。それだけプラットフォーム的パワーを持つサービスに対する世の中の視線が厳しくなっている。この判決では、訴訟の提起者が自らの労力でアルゴリズムのロジックを解析した。今後、そのような提起者側の能力が努力が求められるのか否かも重要なポイントだろう。

How Facebook plans to become more like TikTok
米メディアThe Verge、Meta社幹部の社員宛てメールを公開。それによれば、TikTokの優勢に抗して同社はFacebookのフィードアルゴリズムを改修する。TikTokがソーシャルグラフに依らない投稿の推奨を行っていることに倣う仕組みを採用。また、メッセージング機能も改変する。
Spotify、コンテンツ管理に関する安全諮問委員会を設立--偽情報対策の一環で
「Spotifyは米国時間6月13日、オンラインの安全性に注力する専門家と組織からなる安全諮問委員会を新設したと発表した。この委員会のミッションは、クリエイターの表現を尊重しつつ、『Spotifyが安全な方法で自社のポリシーと製品を進化させるのを支援すること』だ」。

——Facebookでも社外の有識者らを招いた最高レベルのボードによるコンテンツモデレーションに臨んだ経緯があるが、社内からの声も関与するなど、機能不全が指摘されている。Spotifyではどうか。このような対応が動き出したことを率直に評価し、注意を払っていく。

Overview and key findings of the 2022 Digital News Report

Reuters Institute for the Study of Journalism

Overview and key findings of the 2022 Digital News Report
例年行われる注目のオンラインメディアとジャーナリズムをめぐる調査「Digital News Report」2022年版が公開。各国において、ニュース接触における主たる経路にスマートフォンが位置し、TikTokやInstagramなどのビジュアルフォーマットのニュースへの利用が進む。同時に、ポスト・コロナで退潮するニュース需要と、ウクライナ侵攻という大事件がありながらも、各国で「ニュースの選択的忌避」現象が生じていることを特筆する。
Spotify is acquiring AI voice platform Sonantic – TechCrunch
つい先日、音楽、ポッドキャストに続き、オーディオブック市場への挑戦を宣明したばかりのSpotify、映画「トップガンマーヴェリック」ヴァル・キルマー氏の合成音声にも使われているAI合成技術を有する英Sonantic社を買収。いかにものタイミングだ。
A Chart of People on the Move at Creator Startups
【有料購読者向け記事】:
“クリエイターエコノミー”分野におけるスタートアップ企業各社間でのシニア人材の移動。Twitter、Meta、Cameo、Clubhouseなど有名どころからの流出が目立ち、TikTokはじめ新興系への流入が増。今年1月以降の動きをThe Informationが整理した。
偽情報の拡散はIT企業の責任--研究機関の専門家らが指摘
「アスペン研究所で情報の無秩序に関する委員会の共同議長を務める3人の専門家は、ニュースを得るためにソーシャルメディアに目を向ける人が増えていると述べた。TwitterやFacebookなどのプラットフォームは正当なニュースソースを提供しているが、その一方で嘘や陰謀論が確認されないまま拡散し、多くは無意識のうちにそうした情報に触れる人々の意見を形成する事態を許してしまっている」。

——「Commission on Information Disorder Final Report」で公表された勧告に基づくスピーチ。大手企業の責任と地域のメディアへの支援という2つの義務を明瞭に表現したもの。

5 tech giants own over half the global ad market
世界的な広告代理店GroupM、恒例の広告市場予測を発表。それによると、世界の広告市場はトップ5社により市場の半分(53%)が占められ、かつ、昨年比でその度合いを高める。広告主のほうはトップ25社が7割強を占める。2022年の広告市場全体の成長はやや弱まるとも予測。
米Wall Street Journalが、今日(13日)にも製品レビューサイト「Buy Side」を開設とAxiosがスクープ。New York Times運営「Wirecutter」に対抗する試み。WSJサイト内に設けられるが、閲覧無料とビジネスモデルが異なる模様。編集チームは、WSJ本体と完全に分離するという。開設時には250製品、50本の記事を扱うと、詳しい報道。公式リークのようだ。
【ご紹介】:
Media×Techからちょっとした変化球的新着記事です。「出版業界ニュースまとめ」を平日、週末関係なく配信する 古幡 瑞穂 さんと、光栄にも「対談」をさせてもらいました(編集部スタッフの企画です!)。どうぞご一読下さい。
有料動画配信の成長に黄信号、Netflix会員数20万人純減(写真=ロイター)
【ご紹介】:
日経MJ紙での連載記事が日経電子版に転載されました。よろしければどうぞ。➡ 有料動画配信の成長に黄信号、Netflix会員数20万人純減

Disruption This Week—–10/6/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年6月7日から2022年6月10日まで。

過去2年間のWeb・アプリ利用状況発表 新型コロナの影響でサイト利用増加【Amplitude調査】
「2020年1月から2021年12月の約2年間で、全世界のアプリのMAUは36ポイント、WebサイトのMAUは57ポイント上昇していた。2021年12月時点の全サービスにおけるアプリとWebサイトのMAUの内訳として、54%がアプリ、46%がWebサイトという割合となっており、事業者はWebサイトとアプリのどちらかではなく双方への投資が必要なことがわかる」。

——自分の関心からは重要な情報がいくつも。ネット利用が2020年1月以降、おしなべて各国で伸びたことは理解できる。が、業種別や一部国別で、Webかアプリかという違いがある。消費者の利用は、大きく“Webからアプリへ”という遷移を示していると思っていたが、実はそうでもない。金融分野でWebがアプリに拮抗しているのには、びっくり。

Open source intelligence key to fighting Russian disinformation during Ukraine war
英国における中心的なAI研究機関であるAlan Turing研究所が設置した「Center for Emerging Technology and Security」がロシアによるウクライナ侵攻をめぐって交わされている情報戦において、ロシアの欺瞞工作の解明にOSINTが重要な役割を果たしているとする調査報告「The Information Battlefield: Disinformation, declassification and deepfakes」を公開。原文はダウンロードできる。
動画視聴とニュース…子供達はインターネット接続テレビで何をしているのだろうか(最新) : ガベージニュース
「インターネット接続ができるテレビで、子供達は具体的にどのようなことをしているのだろうか。内閣府が2022年3月31日付で報告書を発表した、【令和3年度青少年のインターネット利用環境実態調査結果】の内容から、小中高校生における実情を確認する」。

——「動画視聴以外にもニュースが21.4%と2割超え、音楽視聴は11.3%と1割超え。テレビによるインターネットは、大体この3項目の用途に利用されていると見ればよいだろう」というのが概観。興味深いのは、高学年になるほど(たとえば高校生に限ると)、「テレビ(ネット接続)」への指向性が低くなる。記事では自分のスマホに向かう比率が高いと想定していること。スマホの利用度がメディア視聴を規定しているとも考えられる。

Spotify CEO teases major push into audiobooks
米Axios、SpotifyのCEO、Daniel Ek氏にインタビュー。同氏は、同社の長期戦略としてオーディオ分野への投資継続を強調。Appleのポッドキャストを追い抜いたのに続き、Amazonが独占するオーディオブック市場に挑戦することを明言。
NFTはなぜ誤解され続けるのか?:所有をめぐる真実からミントの収支まで
「同じトークンはこの世にふたつと存在せず、それがあなたのクリプトウォレットの中に入っているとしたら、そのトークンの意味するものは当然あなたのものということになる、というわけだ。この考え方はいくつかの理由で間違っている」。

——正直な話、自分も理解できていなかった点がいくつも指摘されている記事。NFTをめぐっては基礎的な理解がさらに必要なようだ。

偽動画、東京大学は検出精度9割 米メタも封じ込め急ぐ
【有料購読者向け記事】:
「東大の山崎俊彦准教授らは米テック企業をしのぐ世界最高水準の性能を誇るディープフェイクの検出手法を開発した。代表的な5つの評価指標を用いて検証したところ、4つの指標で既存の検出技術を上回った。ほとんどで9割前後の精度を示し、最も判別が難しい指標でも7割以上を見分けた」。

——紹介された東大・山崎氏らの研究成果はソースも公開されるとのこと。喜ばしいが、“ディープフェイク”を研究開発する陣営にとっても材料になることだろう。長く続くテクノロジー開発のレースになりそうだ。

GQ jumps on Discord to reach Web3 early adopters and crypto-curious
雑誌大手Condé Nast傘下の高級男性誌「GQ」がWeb3に熱心に取り組む。「GQ3」名のサーバをDiscordに開設。「私たちが考えは、GQがホストで、Discordが会場で、みんなを招待してパーティーを開くということだ」と同誌の読者開発担当者は述べる。
顔認証普及の裏で進むディープフェイク対策 AI、多要素認証……
「ディープフェイク技術とその検知に詳しい国立情報学研究所の越前功教授(情報セキュリティ)も『ソフトの進歩で1枚の写真から比較的簡単に偽動画が作れるようになっていて、認証が突破される危険性はある』と指摘する」。

——本人が語ったり、行動したりと見まごうような“ディープフェイク”の広がりが懸念されているが、それが顔認証さえも容易に突破されてしまう可能性が問題になっている。実は顔認証、意外に突破されやすい仕組みとは最近よく語られているところ。

New IAS Report Uncovers How Misleading Content Impacts Digital Advertising
アドベリフィケーション企業のIAS(Integral Ad Science)、誤報(虚報)と広告との関連性について、新リポート「誤報とメディア品質」を公開。広告およびメディア関係者は「誤報の忌避」の7割以上が表明する一方、どのように排除するか定めるガイドラインの運用は半数以下と指摘する。まだ、誤報・虚報コンテンツに広告費が膨大(年間2億3500万ドル)に流入しているとも推測。
【ライブレポート】ABBA、想像を遥かに超えた驚異のアバター・パフォーマンス | BARKS
「ステージ上には、向かって左サイドに10人からなる生バンド。そしてアバターのメンバー4人もステージ上に現れる。照明と映像による演出効果とはまた別であり、スクリーンもメンバーを覆うような前方カーテン状のものもあり。どのような仕組みなのか、投影されているものなのか、これは目の錯覚なのか、とにかくアバターの4人はステージに居るのだ」。

——実際にライブ会場を訪問した記者のリポート。完成度が非常に高かったようだ。興味深い。

Disruption This Week—–3/6/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年5月30日から2022年6月2日まで。

ジャーナリズムの価値観は2割の支持層にしか受け止められていない、その信頼を広げる方法とは~平和博 - スマートニュース メディア研究所 SmartNews Media Research Institute
「ニュースソース(情報源)への信頼度を尋ねる質問で、トラディショナル(既存)メディアについての日本の回答は39%。各国比較で見ると、最低のロシア(35%)に次ぐ低さだった」。

——スマートニュースメディア研究所に寄せられた平 和博・桜美林大教授の論考。ジャーナリズムへの評価をめぐる各種研究、調査をめぐり、ジャーナリズムへの信頼感の喪失、低迷を分析している。
私自身は、ニュース(ジャーナリズム)への信頼感を支えるのは、「ファクト(事実)」と「ビュー(見識)」であり、この2点の混同を解くところから始めたいと思っている。

Economist podcasts reach 3m people a month - a paywall could come next
ABC公査で100万部の購読者を有し、厳格なペイウォールを運用する「The Economist」。一方で同メディアは同時に無料の人気ポッドキャストを運用する。有料誌の3倍のリーチにまで成長した無料ポッドキャストを抱える同社の戦略と理由を、オーディオ部門の責任者に取材した記事。
Content of the future: the demand for faster, more succinct and digestible storytelling | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
「実際、メディア消費動向に関する当社(=Tickaroo)の消費者調査では、英国人の27%が1日に何度もニュースの実況をチェックし、20%が1日に少なくとも1度はチェックしていると回答している。また、40%の回答者が中程度の長さの記事に興味を示しており、ニュース記事を読むのに最適な時間は2~6分であることがわかった」。

——ライブブログ基盤を提供するTickaroo社による調査とオピニオン。その分は差し引いて読むべきだが、「今日の人々は、簡単にアクセスでき、消化しやすく、簡潔なコンテンツを消費することを望んでいる。つまり、クリエイターは、コンテンツをどのように『パッケージ化』し、『配信』するかにもっと注意を払う必要がある」という主張には、示唆されるものがある。

出版状況クロニクル169(2022年5月1日~5月31日) - 出版・読書メモランダム
「22年1月から4月にかけての販売金額累計は7.2%減、書籍は3.5%減だが、雑誌のほうは12.6%の大幅なマイナスとなっている。
雑誌の時代の凋落はとどめるすべもなく、コミック頼みで、このまま進行すれば、22年後半は何が起きてもおかしくない出版状況に追いやられると考えるしかない」。

——「雑誌」分野の前年比減のトレンドが変わらない。さらに言えば、その返品率も業界挙げての努力にもかかわらず、40%台半ばと下げ止まり。特に週刊誌はマイナス面での象徴的存在ということになる。この先について、関係者はだれもが自覚していることだろう。

若年層「テレビよりスマホ」鮮明、10代は75% NTTドコモの研究所が調査
「休日も平日と同様、若年層ほどテレビよりもスマホを長く利用する人の割合が高く、30代では約4割。10代では約7割に達した」。

——余暇に可処分時間を多く使える休日でも、TVではなくスマホ。若年層に定着した“マイ・メディア”習慣。加えて、60〜70代に顕著なTVへの固着ぶり。断絶はメディア消費の仕方に表れている。

Jonas Brothers Launch Smartphone-Only Video Subscription Service on Scriber
米ロックバンドのThe Jonas Brothers、新興企業が開発するSMSベースの有料購読サービス「Scriber」と提携。バンドの大ファンは月額購読費を払いSMS経由でスペシャルコンテンツやプレミアムサービスを得られる。ブロックチェーン技術を使い収益を分配(実際は慈善寄付に使われる)。超大手プラットフォームを迂回するアプローチとしても注目。
On Discord, Music Fans Become Artists’ Besties, Collaborators, and Even Unpaid Interns
ゲーマーのためのチャットツールに始まり、いまではアーティスト全般が依拠するコミュニティに欠かせないコミュニケーションプラットフォームとなった「Discord」。「8人のドストエフスキー読書会から78万人以上のRobloxプレイヤーが集う場」の生態系をていねいに語る記事。音楽メディア「Pictchfork」掲載。いまではConde Nast傘下入りしたが、本当に良いメディアだ。
キーワードから約6秒で文章生成する執筆AI、“求人原稿の自動作成”へ開発元がマイナビと実証実験 | DIAMOND SIGNAL
「両社(=ELYZAとマイナビ)ではELYZAが保有する大規模言語AIを用いて、求人原稿のドラフトなどを自動生成する仕組みの共同開発に取り組む。まずは2022年度中に求人原稿に特化した生成型執筆モデルの開発を進め、実証実験を経て現場への実装を目指す計画」。

——何度か紹介してきた自然に近い日本語文の生成をELYZAの試み。求人票のような定型文に応用する商業ベースに近い試行が始まるという。

60代と70代のSNS利用、前年から大幅増…外出自粛で子や孫との連絡手段に
「SNSを使う人の割合は、60歳代が71.7%で前年の60.6%から11.1ポイント、70歳代が60.7%と前年の47.5%から13.2ポイント、それぞれ上昇。他の年齢層に比べて60、70歳代の伸びが目立った。
SNSを利用していると回答した人に目的を複数回答で聞いたところ、『知人とのコミュニケーション』が88.6%で最も多く、次いで『知りたい情報を探すため』が63.7%だった」。

——私のような人間が増えているのか(苦笑)。要するにようやくスマートフォンの使いこなしが高齢者に及んできたということだろう。次にテレビからストリーミングへのシフトが起きるか? YouTubeは高齢者にだいぶ浸透しているはずだ。

“スローニュース”を謳う英Tortoise、有償コンテンツ強化策の一環として、デイリー、ウィークリーのPodcast作品のラインナップを推進。CMOは「我々が発見したのは、スローな物語主導のストーリーには、小さなスクリーンで読むよりも、オーディオの方がよく生きること」とする。
脱 Excel ! Jupyter で始めるデータ分析 - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着記事です。スマートニュースの有野が実務家向けに解説するデータ分析ツールの使いこなしです。

Disruption This Week—–20/5/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年5月16日から2022年5月20日まで。

アップル、VR/ARヘッドセットを取締役会で披露-関係者
「アップルは今年末、もしくは来年早々にもヘッドセットを発表し、来年中の一般リリースを目指している。今年6月の世界開発者会議(WDC)での披露を目標にしていたが、コンテンツと過熱に関連した問題で遅れが生じている可能性があると、ブルームバーグが1月に報じていた」。

——AppleはVRとARを組み合わせた“ミックスド・リアリティ”をめざすという話題が業界では騒がれている。また、Metaとの呉越同舟を避けるという考えも強く、Apple内での取り組みは曲折もあったという。完成度の高いエディションを披露するのが伝統なので、お披露目はまだ先だと思うが。

Ad Tiers Are Crucial for Streamers in Their Domestic Battle for Viewers
米調査&コンサルティング会社Morning Consult、米成人のすべての年齢下位層において、有料購読より低価格もしくは無料で購読できる動画配信(ストリーミング)を好むとする調査結果を公表。特に今後の市場で重要なZ世代(1980年から95年に生まれた世代)の成人は59%が広告表示付きの(低価格もしくは無料)サービスを好む。記事中にチャートあり。
Appleの「ATT」は本当にユーザーのプライバシーを守れているのか? 英オックスフォード大が指摘
「Alibabaの子会社である『Umeng』は、AppleのATTを回避するために、サーバ側のコードを使用してユーザーのプライバシーに敵対するフィンガープリントを作成していた。フィンガープリントの使用はAppleのポリシーに違反している」。

——Appleがユーザ追跡の抑止機能として実装しているATTなどのその効果について、研究者ら第三者による実証研究論文が公表されている。そこで浮上したのが、「フィンガープリンティング」などと総称される不純な動機にもとづく対抗策。イタチごっこの感はあるが、Appleには徹底を望むしかない。

Netflix Cancellations Rise Among Long-Standing Subscribers
【有料購読者向け記事】:
Netflixは長期間にわたる購読者を徐々に失いつつある。調査会社Antennaので判明。この第1四半期での解約者(約20万人)のうち、3年以上の購読者の比率が高まっていた。第2四半期は200万人が退会する可能性をNetflixは示唆している。もちろん、その一部は、パスワードの不正な共有などをしているユーザへの措置によるものだが。
NFT の不確実性は高まるも、タイムは1000万ドル以上の利益をあげる:「クリプトネイティブなコミュニティに価値がある」 | DIGIDAY[日本版]
「タイムのNFTの売り上げの60%はセカンダリーマーケットで発生し、その総額は5000万ドル(約62億5000万円)にのぼるが、同社のビジネスに組み込まれたロイヤルティ構造のおかげで、自社のエコシステム外で発生した売り上げからその一部を得ているのである」。

——“自社のエコシステム外で発生した売り上げから…”は興味深い。NFTを生成して売り出す初動の売上に引き続く収入を織り込めるのであれば、コンテンツクリエイターにとって重要な道になる。

WSJ News Exclusive | Disney Vows to Show Very Few Commercials on Ad-Supported Disney+
【有料購読者向け記事】:
広告付き映像ストリーミングのトレンドが台頭。Disney+は、今年後半に予定する広告付きバージョンで、CMの露出を1時間当たり4分以内に抑えると言明。また、未就学児童の視聴に際しては非表示とするという。ライバルらに対してその健全性をアピールする。
As Google offers more personalized advertising, Apple suggests that in some cases, personalization doesn’t matter
AppleとGoogle、パーソナライズされた広告をめぐり対照的なアプローチ。Googleは先日のGoogle I/Oで、よりパーソナライズされた広告体験を提供するためのMy Ad Centerを発表。Appleは“追跡されない”広告に消費者がより好感度を持ち、かつ好結果を得られたとするデータを公表したとする記事。ただし、Appleのケースはいくつかの条件下でそうだということ。“ポスト・クッキー時代”の広告をめぐる戦略を考えさせられるものだ。
19.42% of active Twitter accounts are fake or spam: Analysis | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
お騒がせ者のElon Musk氏がまた騒動。買収しかかったTwitterのボットアカウントの多さで、買収に“一時”ストップ。実際はどうか? SparkToroとFollowerwonk両社が、実証的にフェイクアカウント(ボット)の数を調査測定した。その結果は、なんと2割がボットと判定されるということに。この調査を詳細に伝える記事。
‘The opportunity has never been bigger’: How the creator economy has opened options for creators to profit from their intellectual property
「タレントマネジメント会社Matter Media Groupの創設者兼CEOであるEvegail Andal氏は、『多くの中堅クリエイターが、自身のブランドやお気に入りのブランドとのコラボレーションに積極的に参加し始めている』と述べている」。

——クリエイターエコノミーの現状を概観する記事。フォロワー数が数千万人に達するようなトップ層のクリエイターから、中堅層にまで広がりを見せているという。

メタ、「GPT-3並み」の大規模言語モデルを研究者向けに無償提供
「今回のメタの動きは、完全に訓練された大規模言語モデルが、研究を望む研究者なら誰でも利用できるようになる初の試みだ。このニュースは、強力なテクノロジーが密室の小さなチームによって作られていることを懸念する多くの人々から歓迎されている」。

——GPT-3については、私の注目を何度か説明してきている。大規模データから生成された言語モデルで、その応用用途は巨大だ。問題はその基礎的データ収集や分析、インフラ整備など、ともかくお金がかかることだ。MicrosoftがGPT-3に資金提供を始めているが、今回MetaがGPT-3と同程度の取り組みを支援することになった。

Disruption This Week—–29/4/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年4月25日から2022年4月28日まで。

Microsoft says Russia has conducted hundreds of cyberattacks against Ukraine
米Microsoftのデジタルセキュリティチーム、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐる20ページにおよぶ特別リポートを公開。ロシアによる実際の軍事侵攻と同期した数々のサイバー攻撃が実施されたことを説明。また、破壊攻撃や世論分断などその目的や意図などを解説する。
Alphabet決算は増収減益、クラウドは好調もYouTube広告が鈍化
「クラウド事業は好調だったが、YouTubeの広告収入が振るわなかった。また、経費が大幅に増加した」。

——予告したとおり、米プラットフォーマ各社の業績が次々と発表されている。引用は、Alphabet(Google)の現況を端的に伝える。クラウド(GCP)の増収のために経費が増えていること、また、根幹の広告は、さすがにAppleのATTの影響が出てきているし、さらにYouTube事業がTikTokに劣後している状況が明らかになろうとしていると理解。

50 ways to make media pay: Other established and emerging ideas | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
メディアおよびジャーナリズム研究のDamian Radcliffe教授が展開している「メディアを有料化する50の手法(アイデア)」シリーズを補足する追加の11アイテム。話題のNFTや慈善基金、読者紹介制、読者のリードジェンなど、新旧アイデアがあげられている。
巨大ITのスマホOS寡占に事前規制 政府が導入検討
【有料購読者向け記事】:
「政府のデジタル市場競争会議(議長・松野博一官房長官)は26日、スマートフォンに搭載する基本ソフト(OS)市場についての中間報告をまとめた。競争を制限しかねない行為をあらかじめ禁止する事前規制を導入する考えを盛り込んだ。事後的に対処する現行の競争政策の枠組みでは、変化の速いデジタル分野に対応しきれない」。

——Apple、Googleらプラットフォームの側も、市場形成や健全な競争関係のアピールに懸命(別途、私が執筆した記事が日経電子版で公開されるはず)だが、これらに対する厳しい見方が、この記事のように規制当局からサードパーティ開発者、そして消費者へと徐々に浸透しつつある。

東大、“世界最高性能”のディープフェイク検出AIを開発 フェイクニュースやポルノなどの悪用根絶に期待
「そこで研究チームは、検出が難しい疑似フェイク画像を生成する『Self-Blended Images』(SBIs)という方法を提案。SBIsで生成した画像を検出AIにフェイク画像として学習させることで、フェイク画像にわずかな不整合があるだけで真贋を判定することを可能にした」。

——もう少し詳しく解説してくれる情報が出るのを待ちたい。ともかく、ニュースとして重要。ロシアによるウクライナ侵攻をめぐっては、“ディープフェイク”的なものより“チープフェイク”的なもののほうが多く出現している印象だが、いずれ見破りにくいものが増えてくるはずだ。機械的な検出力によるスピードアップに期待する。

日本企業は「製作委員会」から脱却すべき ディズニーの戦略をみずほ銀行が分析
「レポートは各論と総論の2部構成。第1部の各論では、出版、映画、アニメ、音楽、ゲームの5つのカテゴリにおいて、“競争環境”と“戦略方向性”について考察。
第2部の総論ではそれを踏まえ、日本のコンテンツ産業が“世界で存在感を発揮し続けるため”の提言が盛り込まれている」。

——当該みずほ産業調査のページがPDFでOGPもないため、KAI-YOUの記事をクッションとさせてもらった。みずほのリポート、150ページ近くと大変充実しており資料性が高い。が、その資料のなかに、「Web3」への言及が一度もないというのが少々の驚き。

Elon Musk to Acquire Twitter
Elon Musk氏は、Twitterを人類の未来に不可欠なことがらを議論する言論の場だとし、「新機能による製品の強化、アルゴリズムのオープンソース化による信頼性の向上、スパムボットの撃退、すべての(ボットでなく)人間の認証により、Twitterをこれまで以上に良いものにしたいと考えている」との声明を公表した。“アルゴリズムのオープンソース化”はインパクトのある主張だ。
EU、「デジタルサービス法」で合意--違法コンテンツなど、大手IT企業への規制強化
「『デジタルサービス法』(Digital Services Act:DSA)には、Facebook、Google、Twitterなどの大手サービスがそれぞれのプラットフォームで偽情報の拡散を取り締まることや、アルゴリズムがユーザーにどのようにコンテンツを推奨するかを明らかにすることなどが盛り込まれている。また、子ども向けや、ユーザーの民族性や性的指向に合わせて作成されたターゲティング広告など、プラットフォームで特定の種類の広告を禁止する」。

——短信などで紹介済みのトピックスだが、整理された記事で改めて。

Media Briefing: A Q&A with The Atlantic's Nicholas Thompson
【有料購読者向け記事】:
最近、新CEOを迎え電子版購読路線に邁進する米老舗メディア「The Atlantic」。CEOのNicholas Thompson氏がDigidayのインタビューに答えて購読に関する数々の挑戦、知見を明らかに。最大テーマは、平均25%の退会率を引き下げる取り組みだ。
【解説】ネトフリ急落が暗示する「ストリーミングの未来」
【有料購読者向け記事】:
「もうひとつの懸念材料は、解約率だ。
コンサルティング会社デロイトのケヴィン・ウェストコット副会長によると、視聴者はストリーミングサービスの値上げに警戒心を強めており、お気に入りの番組が終了するとサービスを解約する傾向が強くなっているという」。

——最大の懸念は、良質なコンテンツを取り揃えるためのコストの肥大化、そして解約率の高まりとする記事。
「Netflix」「ストリーミング」の新たな未来を論じているようで、実のところ商売における変わらぬ課題が改めて確認されたのだと聞こえる。