Disruption This Week—–18/9/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年9月15日から2020年9月18日まで。

 

 

「拍手(と賞賛)の終わり」。Jeff Jarvis氏のエッセイが興味深い。オンラインミーティング、オンライン会議では、拍手などの意思や感情表明の仕方が奪われてしまった。だが、このリアクションにこそ新たな人々のためのメディア誕生の可能性がある…。
米Business Insiderのバーチャルイベント事業が躍進中とする記事。収益は、2020年には前年比8倍に達する。理由の一つは、実施数の大幅な増加だ。この時期にすでに15回(前年は3回)に達した。スポンサード型では、リアルイベントよりも低額だが、実施数が収益を押し上げる。

 

 

Facebookの“Project Aria”については先ほど紹介したが、同社は米New York Timesとも提携して、ARを用いたストーリーテリング技術にも着手している。すでにInstagramのNYTimesアカウントでその成果を見ることができるようだ。Facebookは技術供与はするが、記事に関与しないと関係者はコメント。

 

 

Bloomberg Media、2017年スタートのTwitter向けニュースストリーミング(スタート時は「TicToc」という名称だった)番組「QuickTake」を、11月に、24時間365日稼働の独立サービスへと拡張する。同社CEOは質の高いニュース情報源への需要はオンラインへとシフト中だと述べる。

 

 

つい先日、CNET MediaグループをViacomCBSから買収したRed Venturesの事業をリポートする記事。同社は2020年創業で、傘下に100以上のメディア、3億人以上の読者リーチを有する。それらポートフォリオから総合的な購買ファネルを形成しているのだとする。

 

 

「GPT-3が特に注目されているのは、文章だけでなくUIデザインのHTMLやプログラムのソースコードにも応用できる点だ。専門知識は必要なく、自然な会話形式でUIデザインやアプリケーションが作れてしまう」。

——「デザイン」という用語を、UXにまで敷衍すると、AIが関与する意義が見えてくる。自分は、この分野の可能性が大きく進化の余地として残されていると考えている。

 

 

米Wall Street Journal、「ストーリーテリング・チーム」を組成。読者開発・読者体験担当責任者らが、スタッフ宛てにメールで表明。ビジュアル面やその他テクノロジーを駆使したアプローチで、特に新規の読者(購読者)の開拓を目指す。

 

 

Reuters Institute所長Rasmus Nielsen氏が語る「ニュースメディアにとってのポスト・パンデミック」モデルとは。「Netflixのようなものへの支払いとニュースへの支払いには正の相関関係があることがわかった。ゼロサムやクラウドアウトではなく、正の関係だ」。

 

 

ヒューマン・ライツ・ウォッチなどの人権団体、ソーシャルメディアがシステム的に進める違法投稿の削除が、重要な犯罪の証拠の抹消につながる恐れがあると指摘。自動削除は、「誰も知らないうちに重大犯罪の潜在的な証拠がどれだけ消えているのかを知る方法がなくなる」とする。

 

 

Reuters Instituteらの調査で、Instagramが若者らにとってのニュース情報源となっている点については、既に紹介した。記事では、英EconomistやGuardianの事例を用いて、若者ニュース読者との関係を築き、購読者の開発面でも寄与していると説明する。

 

 

【ご紹介】:
月いち連載記事が日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ アップル、課金・広告で波紋 影響、株式市場通じ世界へ?

 

 

【ご紹介】:
私が編集に携わっている「Media×Tech」に新着記事。甲斐祐樹さんにお願いして、増え続ける新たなコミュニケーションサービスの動向を探り、連載していきます。新しいコミュニティメディアの姿が見えてくるのでは?

 

 

【ご紹介】:
米TechCrunchに、SmartNews US版が新型コロナウイルス、大統領選挙2020などの情報提供機能をアップデートしたことが紹介されました。日本版をお使いの方は「設定」の変更で、US版を体験できます。

 

 

【ご紹介】:
ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)が最近リリースした、最新のファクトチェック情報を届けるニュースアプリ「ファクトチェックナビ」がMedia Innovationで紹介されました。

Disruption This Week—–17/7/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年7月14日から2020年7月17日まで。

 

 

新型コロナウイルスのその後にどう備えるか? 英Telegraphは、“コロナショック”時に新規購読者が例月の400%に急増。だが、その後は半分に急減。そのため、この時期の新規加入者に対し、どうやってコロナ報道以外のサービス価値を知ってもらうかに取り組んでいるとの記事。単一機能(この場合は、新型コロナウイルス報道)を目当てに購読開始した人々へのリテンション施策だ。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「これまで日経電子版では、独自指標『F√V(Frequency:訪問頻度 √ Volume:閲覧コンテンツ本数)』を用いて、有料購読者のエンゲージメントを可視化。その向上に努めてきた。そして直近では、顧客のエンゲージメントだけでなく、多様な数値を掛け合わせた独自指標を開発し、質の高いコンテンツ作りも追求しているという」。——新型コロナウイルス禍の下で、有料購読者が急増する一方、緊急事態宣言以後も、解約数の増は見られない、という。さすがの論点。

 

 

Substack、Revue、そしてTinyletterなど、米国ではニューズレター(メルマガ)配信基盤が人気。記事は、本職の記者やビジネスマンが、本業の傍らで自身のメルマガを運営するのが静かなブームと紹介する。自身の価値を訴求するある種のスタイルにもなってきているのか? 日本ではnoteの広がり方もそのような印象がある。

 

 

“反ユダヤ的、パレスチナのテロリストシンパ”と、人権活動家夫婦を攻撃するフリージャーナリスト「Oliver Taylor」。Reutersが、当人に接触を試み調べていくと、その人物は、経歴や画像などが偽造され、精巧に作られた人工ジャーナリストらしいことが見えてきたという。衝撃のリポート。

 

 

豪News Corpは、新型コロナウイルス禍の影響を受け、50もの印刷版新聞事業を休刊したが、ようやく“デジタル再建”計画が見えてきた。米ABCによると、まず9月に15タイトルをオンライン新創刊。その後順次拡大するというもの。小さな編集部を想定し、最小単位は記者1人もあるという。

 

 

米Appleは、音声ニュースコンテンツ配信・ローカルニュースのキュレーションなど、コンテンツの拡張に乗り出した。特に音声では、Appleが選択した記事20本/週を、プロのナレータで音声化。また、「News Today」もAppleが選択したトピックをまとめ、音声化する。

 

 

【有料購読者向け記事】:
米スポーツ放送チャンネルのFox Sports、Google Cloudと組み、機械学習技術などを活用、過去の放送シーンから魅力的なクリッピング制作を行えるよう取り組みを開始。米スポーツシーンは実況機会が激減。膨大な過去映像の再利用に活路を見いだしているというわけだ。

 

 

昨日紹介したTNI(Trusted News Initiative)関連の続報。老舗メディアらは、米大統領選をめぐって彼ら老舗のブランドを騙る誤情報・偽情報の流布。そこでTNIは、「プロジェクト・オリジン」と呼ぶ“デジタル透かし”技術の運用を計画。まだスペック面での議論中というのだが、間に合うのか。もう一つ、記事が指摘するのは、その運用は選挙期間の1か月限定だということだ。

 

 

「平たく言うと、ページ上でなぜユーザーが無意識にスクロールしないのか、あるいは、すべてのリンクをクリックしたりしないのかは、情報採餌によって説明がつく。ユーザーは利益率を最大にしようとして、できるだけ短時間で多くの関連情報を取得しようとするからだ」。

——“情報採餌”理論の概説。引用箇所だけ読むと、ユーザは合理的に行動するという、ありえない論に聞こえるかもしれないが、そうではない。その点も含めてとても興味深く読んだ論。

 

 

「新型コロナウイルスに関連した問題に限らず、ミスインフォメーションの内容は多岐にわたり、また大部分がソーシャルメディアを介し、時に急速に拡散するようになりました。クローズドのグループ内など『内輪』でシェアされているうちに早期発見して見守り…」。

——Global Fact7をめぐって、ファクトチェック・イニシアティブの奥村信行理事が、網羅的なリポートを連載中。自分が感じているのは、この論にあるように国際的な協調行動の重要性。新型コロナウイルス問題は、やすやすと国境を越えて情報が往来する。対抗する動きも国際協調が必須だ。

Disruption This Week—–3/7/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年6月29日から2020年7月3日まで。

 

 

「Appleが2020年のWWDCで発表したユーザープライバシーに関する変更は、多くの業界関係者を驚かせるものでした。そして、これらの変更点が我々が知るモバイル業界に終わりをもたらしたという声が多数挙がっています」。

——モバイルアプリにおける各種計測や分析技術を提供するAdjustによるiOS14でのユーザセキュリティ機能についての見解。専門外の人々にとっては分かりづらいと思うが、要は、ユーザにきちんと(メリットなどを)説明・透明化した上で、計測を行っていく道は残されているという論旨。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「プラットフォームとして利用できるサービスの情報を集めたところ、通常講演とトレーニング講座の両方をカバーできるものが見当たらなかった。そこで通常講演の配信プラットフォームとして大手である米ON24(オン24)、トレーニング講座は米ニューロウのサービスを選択した」。——NVIDIA社のGPU関連の大規模イベント「GTC」のオンライン化に関して。ON24は日本ではアイティメディアが提携している。

 

 

「Patreonは、2006年から13年にかけてミュージシャンとしてYouTubeでキャリアを築こうとした、コンテ自身の経験から生まれた。この期間、ポンプラムースはしばらくの間経済的に成功したが、その後、収益の急速な減少や、広告収入の分配の少なさに苦しんだ。だが、収入が減っていくのを見たコンテは、インターネットの世界のクリエイターたちと熱心なファンたちとの間にある、一見親密な奇妙な関係に、高い利益が得られそうな市場を見出した」。

——まだ序論の段階だが、楽しみな連載が始まった。

 

 

パンデミック下、一部のメディアがメルマガの強化で増収を実現との話題。マーケティングソリューションのLiveIntentが公表したデータでは、「ショッピング、ホーム&ガーデン、スタイル、ファッション、ビジネスのカテゴリ内の出版社のメルマガが、開封数で最も増加。最初の3つのカテゴリーで20%以上の開封率が増加、収入で15%以上の増加」とする。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「アトランティック・メディア(Atlantic Media)が米国でほとんど知られていない日本企業にQuartzを売却したと知り、従業員は動揺していた。同時に、従業員は疑問に思っていた。梅田氏はQuartzの買収によって何を成し遂げたいのだろうと」。——先日紹介した記事の和訳が掲載された。

 

 

米Wall Street Journalが立て続けにデジタル改革(組織再編)を打ち出している。先日は「Audience Touchpoints(読者との接点)」担当チームを紹介したが、今度は「Content Experiences(コンテンツ体験)」チームの拡充だ。いずれもテクノロジー面のヒトと仕組みの強化をめざす。

 

 

トーハンの決算:「営業利益は19億7600万円、同53.8%減、経常損失は4億7200万円、当期純損失は55億9200万円。
経常損失の概況は『取次事業』が19億7200万円の損失、『不動産事業』が13億5200万円の利益、フィットネス事業などの『新規事業』が1億2000万円の損失」。——日販の決算は(パンデミックの影響で)延期だそうだ。それにしても土地だけが希望の星というのは……。しかも、ポスト・パンデミックであおりを受けるのは、出版流通だけではなく、不動産もだろう。

 

 

総収入の半分をライブイベントに頼ってきたテック系メディアの米VentureBeat。中でも、120名のスピーカーが80のセッションに登壇する、4月開催の同社最大のイベントGameBeatが急遽全面オンラインに。だが、総収入は例年を上回ったという。責任者へインタビューした記事。
そもそも、このイベントのビジネスモデルは、スポンサード。いろいろヒントがありそう。

 

 

米New York Times、Apple Newsから撤退。2015年のサービス開始依頼、NYTはApple Newsのパートナーとしてコンテンツを提供。記事下部のリンクから購読者候補をドメインに誘導する手法を採ってきた。News+が購読モデルを採ったことで、両者は微妙な競合関係に入っていた。(しかし、自社のビジネス動向について、よくもこれほど長々と報道できるものだなあ)

 

 

iOSのAPIに起因、クリップボードに取得された文字列を、同じiPhone上のアプリに止まらず、MacやiPadなどからも読み取れる脆弱性がある。これを利用してユーザの活動をスパイし続けているアプリの代表格がTikTokだ。同社は3月にこれを指摘され、その停止を表明したが、依然この行為を止めていない。

Disruption This Week—–26/6/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年6月22日から2020年6月26日まで。

 

 

米University of North Carolinaジャーナリズムスクールなどの調査「ニュース砂漠とゴースト新聞:地方ニュースは生き残れるか?」を公開。15年の間に米地方新聞の25%が消滅。取り扱うのは新聞だけでなく、公共放送、コミュニティメディアなど広範囲にわたる。

 

 

Google、「News」担当幹部が公式ブログで新たなパートナープログラムとプロダクトのローンチを予告。提携は、まずドイツ、オーストラリア、そしてブラジルのメディアと交わされた。「今年後半」に新たなニュース記事アクセスのサービスを提供するとしている。中途半端な発表だが、たぶん発表を急いだが、肝心要の最大手との調整がすんでいないのだろう。
ブログでは「Googleは、利用可能な場合には、ユーザーが出版社のサイトで有料の記事を読むための無料アクセスを有料で提供する」と複雑な表現。要するにGoogleが、有償コンテンツへのアクセス料金を買い取り、読者は無料でこのプレミアムコンテンツへアクセスできる仕組みを提供するということだろう。

 

 

「ベライゾンが所有するメディア『テッククランチ(TechCrunch)』は、この4月に、有料会員限定の投資家向け質疑応答イベント『エキストラクランチライブ(Extra Crunch Live)』をスタートさせ、同社のサブスクリプションサービスである『エキストラクランチ(Extra Crunch)』を通じて、すでに10回のウェビナーを開催してきた」。

——先の投稿でも述べたように、オンラインイベント(や派生のオンラインコミュニティ)は、これからのメディアの重要なビジネス基軸になっていくと思う。集合形式(まさにイベント)もあれば、仮想的には読者一人ひとり向けのコミュニケーションまで、幅広く捉えて構想するべき時機だと思う。

 

 

Bloomberg MediaのCEOへのインタビューと、同社のメディアビジネスを概観する記事。ペイウォール(購読制)ビジネスについても、高い価格設定と無料表示記事数(購読制であっても広告も表示している)の調整など、なかなか興味深い話題が並ぶ。

 

 

「Safariの新しいトラッキング防止機能はブラウザ上部のアドレスバーの隣に表示され、ウェブを閲覧する際に侵略してくるトラッカーをブロックする。ユーザーはトラッキング防止機能を開いて、プライバシーレポートからページ上のすべてのトラッカーの詳細を閲覧できる」。

——今年秋にリリースされる次のSafariでは、IPA(Intelligent Tracking Prevention)機能をより強化する。ユーザに詳細を見せる仕組みを提供するのだという。
ページに、むやみにビーコンを貼り付けてきたメディアは、なんとなくページ表示が遅い…といった不満が、より可視化された不満へと転化するリスクを意識すべき。

 

 

【全文閲読には要購読】:
「(怪しい情報を見かけた際に)『真偽を調べない方が多かった』と回答した割合はほぼ半数の49.1%。『真偽を調べることが多かった』は30.5%だった。若年層ほどデマヤフェイクニュースを信じる傾向にあったが、真偽を調べる割合は年代が若いほど高い傾向が見られた」。——重要な傾向が見て取れる。情報をさまざまなタイプの“検索”行為から調べていく習慣が身についていると理解すべきなのかもしれない。

 

 

「彼の投稿の中で、熱く語っていたことは、優秀なジャーナリストがたくさんいるにもかかわらず、壊滅的なビジネスモデルにより大量解雇など大きな損失を生んでいると。また、米国での大手新聞メディアの倒産や合併によりローカルメディアの衰退は明らかです。メディア業界の大量解雇の一番の要因のひとつは多くのメディアのマネタイズが広告モデルであること」。

——「個人をエンパワーメントするプロダクト」とある。また、「読者との強いつながりとプロダクト」とも。最近のnoteの快進撃などともつながっている動きに見える。

 

 

【有料購読者向け記事】:
米BuzzFeed Newsや同地方紙のThe Arizona Republicなどがテキストメッセージ(SMS)でニュースを読者に送信する“サービスジャーナリズム”事例を報じた記事。双方向性に大きな特徴を持つ一方で、New York TimesのようにSMSを試行し、その後、その役割をアプリへと移行し、SMSは終了した事例などもあるとする。

 

 

米Bloomberg News、テクノロジーとツールの統合チームのトップおよびプロダクトマネージャにMonique White氏が就任したことを発表。同氏が機械学習を活用し、ニュースを伝える取り組みを推進し同社の報道をより速く、よりスマートにするプロジェクトに取り組んできたとする。編集主幹がニュースをコントロールするのは当然だが、ニュース全体を技術の側から進化させるために、「プロダクト責任者」が必要になっている象徴的な事例。

 

 

TikTok、様々な要素の“透明化”を進めている。今度は、「おすすめ」フィードに表示されるコンテンツをめぐるアルゴリズムについて、自ら解説。「ユーザとのインタラクション」「動画についての情報」「デバイスとアカウント設定」が、主要なポイントだとする。

 

 

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月一の連載コラムが日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ 躍進「ディズニー+」日本での死角 得意の組み合わせ販売できず

 

 

【ご紹介】:
世界のファクトチェッカーが集まる年次会議のGlobal Fact」。今年はオンラインイベントで開催。3日めには、アジア・中東のファクトチェック団体のリーダーがディスカッション。日本からはFIJの立岩氏が登壇、発言をした。

 

 

【ご紹介】:
私も編集に携わる「Media×Tech」から新たな投稿。ユニークなメディアビジネスの奮闘を紹介しています。