Disruption This Week—–7/2/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年2月3日から2020年2月7日まで。

 

 

「人々はGoogleを使用しており、検索の手段として最も好んでいるのだ。しかし、Googleを使う方法は変化している。
かつて、Instagramは発見のための、Googleは商用(購入)のためのプラットフォームであった。
ここ数年で、そのトレンドは変化している。Instagramは商用に多く使用されており、Googleは発見の手段として主に使用されている」。——これは大変に面白い論。テクニカルなSEOの議論を超えて読んでも良いのではないか。デジタル時代の消費態様の変遷が見えてくる。

 

 

米ラジオ広告機構(Radio Advertising Bureau)から衝撃的な調査結果。沈む一方の文化かと思えば、米国ローカルラジオ放送局のデジタル広告収入は劇的に成長中だという。2019年には25%成長を果たし、選挙の年の20年には29%成長を見込む。平均的な放送局は昨年約30万ドル稼いだ。

 

 

「米アップルのニュースアプリ事業責任者リズ・シメル氏が注目のサブスクリプション(定額制)サービス開始から1年足らずで辞任した。同サービスは有料顧客の獲得に苦しんでいるもようだ」。

——大慌てでマガジンスタンドサービスを買収してサービスインにこぎ着けた「News+」。羊頭狗肉の感も強く、ユーザー体験は最悪とするレビューを紹介したことがあるが、結果もやはりというところか。

 

 

米「Politico」がホスティングする、新しいテック系メディア「Protocol」が、錚々たるスタッフを揃えていよいよローンチ。テックとそのビジネスを深く探るスタンス。「Recode」立ち上げ期のようなわくわく感がある。
「Source Code」「Braintrust」など次々テーマ性のあるニューズレター(ポッドキャストやSlackメディア)も立ち上げるという。これは目が離せない。

 

 

「ニュース配信・PV事業の当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比で28.6%増加しました。AI支援ツールを活用して、記事コンテンツ・フォトギャラリー・動画コンテンツ等で最適なWEBサイト作りを進めた結果、基盤となるページビューは10月12月の実績で前年同期と比べ約5割増となり、自社メディアの広告収入が伸長しました」。

——PVが前年同期比50%というのはすごい(芸能関連は、話題の多寡によるのだが)。どういう仕組みを用いているのか知りたいところ。(と、この記事自体もAI利用というところが妙)

 

 

米最大手日刊紙「USA Today」、2018年以降、AR(拡張現実)コンテンツの発信に注力中。宇宙船Apollo11号から女史World Cupまで、いずれのコンテンツも通常コンテンツに比し数倍の滞在時間や視聴数を稼ぐ。同社の最新テクノロジー担当幹部は、“読者はテクノロジーの周辺に生まれる。モバイルを通じてニュースに触れる”と語り、モバイル+ARのアプローチを正解だとする。

 

 

米BuzzFeed、16〜19歳の3人のクリエーターを「ティーン・アンバサダー」として採用する。大統領選報道の一環で、TikTok・Instagramコンテンツ制作が狙い。3人は大統領選報道チームとともに活動する。同社ニュース部門幹部は、「彼らにマイクを渡すことが大事」と述べる。

 

 

昨年紹介した、ニューズレター事業の米「Morning Brew」が急成長。1年で収入は4倍近くに。昨年3月に100万購読者を擁していたが、この春にはには200万に到達する見込みという。

 

 

「そうした(=レコメンデーション)アルゴリズムは、ユーザーをつなぎとめるため、より強い感情を刺激するようなコンテンツを推奨する――結果的に、ユーザーが最初に接触したのが軽いコンテンツだったとしても、どんどんと延長線上にある過激な思想へと導いてしまうというわけです」。

――定量的な調査が、事態を裏付けなければならないが、“同種コンテンツからより強力な度合い”のコンテンツを推奨するメカニズムがあるとすれば、理解はできる。もちろん、アルゴリズム一般と結びつけられるものではないが。

 

 

「ついに「文春砲」の『週刊文春』ですらも19年上半期には30万部を割ってしまい、『週刊新潮』も20万部を下回ってしまった。
一般週刊誌は『週刊朝日』など新聞系も含めて12誌だが、実売で10万部を超えているのは、『週刊文春』『週刊新潮』『週刊現代』『週刊ポスト』の出版社系4誌のみになってしまったのである」。——週刊誌も“恐慌状態”。濃淡はあるが、いずれもWebを介して広告+課金モデルへのトライをしていくことになるはずだが、それで代替されることも難しく、組織論や経営論に向き合うことになると思う。

新型コロナウイルス特設サイト

FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ

 

 

【ご紹介】:
ファクトチェック団体や個人をネットワークするNPO法人ファクトチェック・イニシアティブが、「新型コロナウイルス特設サイト」を開設しました。世界的なファクトチェック団体IFCNとの協調で、国内外の新型肺炎をめぐる偽情報や疑義ある情報を集約するものです。

 

 

【ご紹介】:
スマートニュースメディア研究所発の試み「SmartNews Fellowship Program」の参加者が決まりました。メディア研究所が、費用負担や取材サポートを行い、日本国内の地方紙・地方局に在籍する若手記者がアメリカでの取材・情報発信を行います。

Disruption This Week—–31/1/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年1月24日から2020年1月31日まで。

 

 

偽情報、虚偽ニュースに抗していくには、ジャーナリストや少数のファクトチェッカーにのみ頼るのではなく、「メディアリテラシー」の啓蒙をテコに、その“外部”の人々、特に影響圏の大きいインフルエンサーらに働きかけるべきと提唱する、ブラジルのプロジェクトの話題。

 

 

【有料購読者向け記事】:
“メディア王”Rupert Murdoch氏率いるNews Corp、新たなニュースアグリゲーションサービス「Knewz(ニューズ)」サイトをオープン。アプリも提供する。サービスは400タイトルを網羅し、NYT、WaPoなどビッグネームも参加。Googleらプラットフォーマに圧力をかけることが意図されていると、記事は述べる。

 

 

「Cookieレスな未来に向けて Googleは、プライバシーサンドボックスが設定する基準にもとづく、広告ターゲティングや測定、詐欺防止の実現を目指しています。プライバシーサンドボックスでは、5つのAPIがCookieの代わりとなります。広告主は各APIを使って、コンバージョン(自社広告のパフォーマンス)やアトリビューション(購入に貢献したエンティティ)などのポイントに関する集計データを受け取ることになります」。

――Googleが提唱する、Cookieに代わるターゲティング広告の仕組みである「プライバシーサンドボックス」の機構について詳しく解説する論。留意したいのは、実装までに2年を想定するベータ版であること。さらに、Appleは、プライバシーサンドボックスを“標準”と見なさないだろうということだ。

 

 

英BBC、News部門から450名の人員削減を行うことを発表。2022年までに8,000万ポンドの支出減を進める。幹部はデジタル分野へのシフトという観点を強調する。公共放送といえども容赦なしということか。

 

 

投資会社Berkshire Hathawayを率いる著名投資家Warren Buffett氏、長年傘下に置いてきた米国内の新聞社30社あまり(を保有する持ち株会社)を売却。同氏は長年新聞事業に愛着を示し投資を続けてきたが、近年、その見直しを臭わす発言もしてきたところだ。

 

 

Webサイト分析サービスAlexaが、45万のサイトを20のカテゴリに整理、その上位勢が、「検索」「ダイレクト」「紹介(リファラ)」「ソーシャル」のトラフィックにどの程度依存しているか大がかりな調査を実施。検索が強いのは自明としても、「ダイレクト」が大きいのは発見だ。

 

 

昨日、紹介した購読型ニュースアプリの「Scroll」。自分もユーザ登録してみた。実はコンテンツ自体を各メディアから集めたりはせず、各メディアに対しある種の「広告ブロック」として機能することがわかった。iPhoneではSafari の広告ブロック機能を利用するという仕組み。Scrollアプリは、Scrollと協業するメディアへの“入り口”を提供する。いわばメディア公認広告ブロッカーで、連携するメディアのリストをユーザーに提供し、一括して購読料金を徴収する仕組み。Scrollが集めた購読料金は、各メディアごとの滞在時間を案分して支払われる。「The Verge」この記事は、支払額はまだ「少ない」としている。

 

 

急速に広がる新型コロナウィルスにまつわる偽情報。世界的なファクトチェック団体IFCN(International Fact-Checking Network)が、30か国48のファクトチェック団体に対策を呼びかけた。FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)も、求めに応じて活動を開始する。
偽情報のタイプは大きく3つ。強力な特効薬(ワクチン)があるというもの、大量の偽データ、そしてこのウィルスは誰か(もしくは某国)の陰謀だというものだ。

 

 

Voxをフラグシップに、New York Magazine、Record、Cut、Vergeなど数々の個性豊かなメディアを傘下に擁する米Vox Media。これらメディアブランドから生まれた200ものPodcast番組は、昨年1,000万ドルを売り上げた。2020年は倍増、2,000万ドルの収入を目指すとの大号令だ。

 

 

NetflixのCEO、2019年第4四半期業績開示の際に、改めて広告ビジネス(広告モデルバージョン)への参入可能性を否定。Google、Facebook、そしてAmazonらの蓄積に対抗するには力不足と。また、同社は、パーソナライズを積極的に活用しているが、それは地理情報やユーザー満足を高めるために活用しているとし、ユーザーデータの不当な利用の否定を明言した。

 

 

【ご紹介】:
藤村の月一連載コラムが、日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ データでオーダーメード消費 車も歯ブラシもつながる

 

 

【ご紹介】:
私も編集に携わる「Media×Tech」に新着記事です。
米Washington PostとそのCMS「arc publishing」をめぐる話題を、arcの日本国内ビジネスに携わるDACの砂田和宏さんに寄稿いただきました。モダンなメディア運営が浮かび上がります。

Disruption This Week—–24/1/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年1月21日から2020年1月24日まで。

 

 

他社のトピックスを読みやすく、刺激的に仕立て直すことで広告アクセスを巨大化してきた米Business Insider。だが2015年、独Axel Springerによる買収後、購読課金に踏み出す。一般的なメーター制を否定、コンテンツの特性により、無料と有料に分類する効果的アプローチについて解説した記事。

モバイル市場は2020年に1,000億ドル規模へ【App Annieレポート詳細】

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

 

 

「サブスクリプション支出は95%を占めた。非ゲームアプリ部門の上位4つのうち、3つはサブスクリプションで収益化し、Tinder、Tencent Video、iQIYI、およびYouTubeの利用増加に伴い、アプリストアの支出を促進するビデオおよびデートカテゴリーに人気が集まっている」。

——デートに動画、これが非ゲーム分野でのモバイルアプリへの支出トレンド。

 

 

ニューズレター(メルマガ)発行CMSサービスの米Substack、複数編集者(=発行人)による共同編集や同時アクセス可能な管理ツール、そしてマネタイズ機能などを新たに実装したことを発表。メルマガを軸にしたWebサイト運営がサブスクに直結すると、この種のツールがブームだ。

 

 

英国内の法律家向け専門の週刊フリーペーパー(広告収入モデル)の「The Lawyer」、数年前からプレミアムサブスクリプションモデルを追加したところ、有料購読者が急増。そのキモは、英国内のすべての係争事案を追跡できるサービス。元々そのベースとなるデータはパブリックドメインで、だれでも利用できるものだったのだが。
現在、4割の収入はプレミアムサブスクからになってきたとい。いろいろ学びのある記事だ。

 

 

米New York Times R&D部門がIBMと組み、“フェイク”画像拡散に対抗するための研究を、ブロックチェーン技術の活用に向けた実装実験とともに実施。調査は、SNS上で現れた画像に対し、消費者が真偽を判断する際に依拠する情報などについて、興味深いファクトを顕在化した。写真に添えられたキャプション情報の重要性、「出典」として添えられた情報の重要性などが、確認されたという。
このリポートの良いところは、「ブロックチェーン利用ありき」からスタートしていないところだろう。

 

 

米雑誌大手のHearst、自動車関連雑誌のために始めたイベントビジネスを、「体験(型)ビジネス」として、今年は、5媒体に横展開する計画。あえて“体験ビジネス”と呼ぶのは、最近のトレンドだが、ラリーの開催や運転シミュレーション大会など、地域性やライブ性などで特色を出す。

 

 

「GoogleのPageRankは、Webページ間のリンクを検証することでスパムを解決しました。我々のFakeRankは、事実の裏付けとなる証拠で構成されているネットワークにより、フェイクニュースを検出しています」。

——NLPを用いるとのことなので、日本語での精度を知りたいところ。いずれにせよ、決定打が期待できない分、さまざまなプレイヤーの参入に期待。

 

 

この数年、広告依存のメディア経営が壁に突き当たり苦しんできた米国内の新興メディア勢。Business Insider、Vox Media、The Information、Axios、そしてPoliticoらが2019年に黒字化を実現。続いて、The Athletic、BuzzFeedそしてViceらが今年黒字化を目指すとの話題。

 

 

【購読者向け記事】:
「音声は独特でいくつかの特別な魅力を持っているのです。
私は、あらゆる形態のメディアが、それぞれのスーパーパワー、つまりそのメディア形態でしかできない何かを持っていると思っています。
音声には、2つのスーパーパワーがあります」。——最近、Spotifyに買収された、ヒット作連発の“Podcast放送局”Gimlet創業者Alex Blumberg氏へのインタビュー。痛快、かつ、本質を突く論で一気に読めた。

 

 

「ロイター研は今回、ジャーナリズムへのAIの適用についても調査。回答者が、最も重要な用途としたのは①レコメンディング(53%)②潜在的なサブスクライバーを特定してペイウォールを最適化する技術(同47%)次いで③ニュースルームの作業効率向上(39%)となりました」。

——先日紹介したReuters Instituteらの年次報告からのポイント整理。2013年当時を思い返すと、状況はずい分と変わったものだ。

 

 

【ご紹介】:
スマートニュースがジャーナリズムを支援するプログラムの一つ「SlowNews」から、また新たな作品が誕生。執筆は“あの”横田増生氏です。

Disruption This Week—–17/1/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年1月14日から2020年1月17日まで。

 

 

「トレンドとしてはサブスクリプションの普及が注目された。ゲーム以外のアプリでの昨年のサブスクリプションは支出総額の28%を占めたが、これは2016年の18%と比較して大きなアップだった。
実際、サブスクリプションは多数の非ゲームアプリの主要な収入源となっている」。——App Annieが2019年をまとめた調査結果をリポート。成長と停滞など、興味深いトレンドが見えてきたが、なかでも興味深いのは、非ゲーム分野での課金の伸び。とりわけサブスクリプションモデルについてだ。

 

 

同じくTwitterの話題だが、深刻なテーマ。英BBCが、Twitterを用いて「性同一性障害」「白人優越主義」「反ゲイ」などのキーワードで広告ターゲティングができるとする調査報道を公表。利用可能キーワードからの排除を怠ったと、Twitterは謝罪。

 

 

英BBCトップのTony Hall卿、職員向けへの年頭所感を公表。今後数年間かけ、同社の2/3をLondonからSalfordへ移し、R&Dを強化する。最大の眼目のひとつにBBC Newsアプリを完璧な刷新を挙げ、動画像の強化や操作体験の強化を図る。また、報道の仕方から対象まで見直すと意欲的。

 

 

米業界団体のThe Digital Entertainment Group(DEG)、2019年の米国「ホームエンターテインメント」市場が前年比8.4%増の252億ドルとなったと発表。原動力は、デジタル動画(ストリーミング、レンタル、購買)。なかでもストリミーングは市場全体の63%に膨れあがった。

 

 

米New York Timesが、2019年の同社デジタル事業が記録破りとなったことを公表。それによれば、デジタル関連収入が8億ドルに到達。それは、公表されてきた計画を1年前倒しにするものとなった。また、19年の購読者獲得が100万突破も記録。いまや、総デジタル購読者は500万人に。

 

 

Webブラウザー市場の6割以上を握るGoogle Chrome。その公式ブログが、年内にCookieトラッキングを改めた新システムの製品化すると公表。昨年夏に発表した「プライバシーサンドボックス」の製品版での実装だ。ターゲティング広告に依存してきたビジネスがいよいよ苦境に。

 

 

昨年11月のサービス開始から破竹の進撃を見せる「Disney+」。Sensor Tower調べで昨第4四半期のアプリダウンロード数(App StoreおよびGoogle Playの総計)で、2位「TikTok」に倍以上の差をつけて1位の3,000万強。サブスクリプション売上でも、サービス開始1か月で、5,000万ドルを突破した模様だ。

 

 

「『べリングキャット』で情報解明の中心になったのは、東欧・ユーラシア担当のアリック・トーラー氏。
事故発生から2時間後、トーラー氏が『フライトレーター24』の航路画像と現場の様子を撮影したとおぼしき画像とともに、墜落現場の位置情報の提供を呼びかける…」。——興味深い記事。役割を果たしているのは、テクノロジーと公開情報、そして、ソーシャルとの積極的な関わりだ。これらは、いずれも伝統的なジャーナリズムになかった文法、作法だ。

 

 

「2010年はCD販売とデジタルダウンロードが、少しずつ肩を並べようとしていた、そんな時代の変わり目となっていました。ところが2019年になると、どちらの販売方法も、もはや米国内で1割にも満たないシェアとなり、代わりに大多数のユーザーが、ストリーミングで音楽を聴く時代へと…」。

——楽曲提供者側の利害意識と消費者のそれとが両方とも十分に満たされるようになったかというと、まだまだのようではあるが。それにしても、楽曲ビジネスの再興をストリーミングが駆動しているのは間違いない。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「CA(=ケンブリッジ・アナリティカ社)はかつて各国の選挙戦支援の多くで成功を収め、それに魅入られた業界関係者は多い。世界に拡散するミニCAは数百社に及び、影響力を増している。実際、英オックスフォード大の調査では、19年には世界70カ国でネット世論操作の形跡がみられ、前年の1.5倍に増えた」。——過去CAのビジネスに携わり、同社を告発した人物が鳴らす警鐘。テクノロジーをめぐってる無責任とモラルハザードが組み合わさった現代的な病。

 

 

【ご紹介】:
私が編集に携わる「Media×Tech」、新たなコンテンツは、NewsPicksで要職に携わる佐々木紀彦氏。旧著『5年後、メディアは稼げるか』からのアップデートをお願いしました。

Disruption This Week—–20/12/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年12月16日から2019年12月20日まで。

 

 

2020年、報道をめぐるコラボレーションが現実的なテーマに。「パラダイス文書」に始まり、「中国の新疆ウイグル自治区における強制収容所」報道、そして、気候変動をめぐる報道の取り組みも、世界のジャーナリストを協調行動に向かわせようとしている。

 

 

「有名なデータセット『ImageNet』の45%以上は、世界人口のわずか4%である米国のものであることが指摘されている。このデータセットで学習した場合、例えば結婚式の花嫁衣装は米国と北インドでは大きく異なるために、米国の花嫁の写真は『花嫁』と正常に分類するが、北インドの花嫁は『コスチューム』と誤分類してしまうことが報告されている。これは文化差別/地域差別において公平性が保たれていない事例といえる」。

——よく語られる“AI(機械学習)のバイアス”問題の具体的な例が分かりやすくあげられている。

 

 

メディアの計測サービスのChartbeatが発表した「2019年、最もエンゲージされたコンテンツ(記事)100選」。記事上でのアクティブな滞在時間を軸に算出。第1位は、The Atlanticによる調査報道記事「消えたマレーシア航空機に何が起きたのか」。8位には、Yahoo JAPAN記事も!

 

 

「今年、相当な数の契約者をサンプル調査した感触では、我々がどのようなことを何を目的にしているか説明すれば、より高い料金を払ってもよいと考える人は実際かなりいる」。

——New York Timesが電子版購読者を伸ばし続けているという話題の背景に、電子版購読料金が、日経や朝日などに比べて格段に安いという事実がある。堅調な購読者の伸びを力に、同紙は、来年には購読料金の値上げに踏み切るとCEOが認めた。

 

 

先に紹介した米Nieman Labの特設サイトから。“Cookieなき時代”、メディア運営者が有するファーストパーティ・データは比類のないマネタイズの資産となるとメディア運営者有利な時代を預言するBloomberg Mediaの幹部。データの利用は、読者への透明性と対話性を高めるべきと提言する。

 

 

「AIナウの報告書は、規制当局者が介入して感情認識技術の使用を厳しく制限すべきであり、それまではAI関連会社は同技術の採用を中止するべきだと記している。特に、顔の表情だけを利用して人がどう感じているかを正確に知るのは非常に難しいと結論付けた科学的心理学会の最近の研究を引用した」。

——この記事では感情認識技術の精度自体にも疑義を呈しているが、その問題よりも感情認識ターゲティングが生み出す危険性の問題が大きいと、私は考えている。追い込まれた感情を持つ人間につけ込むターゲティングビジネスは、極めて危険だ。感情認識技術を喧伝する大手プラットフォーマらの現下の広告商材訴求には、警鐘を鳴らしたい。

 

 

「私の個人サイトは今までロード時間は4.2秒、パフォーマンスのスコアは43でした。このスコアを改善するため、私はサイトを再設計することにしました。
まずは、その結果から報告します。
ロード時間は1.6秒に短縮され、Lighthouse(Chromeの機能拡張)のスコアは100を獲得しました」。——ある外国のブログサイトのパフォーマンス改善の実務的なステップを紹介した記事。メディア運営に携わる人々は、PWAのような“抜本的な”手法があることは念頭に置きながら、このようなステップがあることを認識されるべき。加えて、このような高速化がもたらす、諸々の効果についても知られるべき。

 

 

「この定義(=「良いニュース」)は4つのパーツで構成されている。
①事実に基づき②社会的なイシュー(論点、争点)について③読んだ人に新しい気づきを与え④かつ読まれるもの」。――石戸諭氏が論じる“ニュースの価値”。同じ問題を考える上で、とても大きな手がかりになる。
自分は、ニュースを効用という視点から評価しようとすると、たちまち隘路に陥ると考えている。
何かの“役に立つ”との側面に視線を注げば、数量的な比較の中にニュースを置くことになるだろう。
多くの人々の役に立つことを計量することになるからだ。
けれど、私にしか“役立たない”、言い換えれば、私には確かな意義(価値)を発するようなニュースもまた想像することができる。そのような“価値論”は可能だろうか?

 

 

「視聴者がビンジウォッチを始めるタイミングを機械学習技術で予測し、イッキ見が行われていることを認識して関連広告を流す。これは、視聴者が3つ目のエピソードを観ようとする盛り上がっているタイミングで行われ、次のエピソードが広告なしで視聴できること、もしくはブランドパートナーから視聴者個人に提供されたものだと表示される」。

——記事で詳しく述べているように、ビンジウォッチは、マニアウォッチャーの証だ。そのような視聴者をていねい、かつ効果的に広告視聴者としての扱おうとするもの。UXを高める広告の工夫として理解すべき。

 

 

「トランプ大統領が人種差別的な発言を行う。
ニュースにすれば、その発言に注目が集まる。ニュースにしなくても、さらに発言は繰り返され事態は悪化する。
対処法の一つが、カリフォルニア大学バークレー校教授で認知言語学者のジョージ・レイコフ氏が提唱する『真実のサンドイッチ』だ」。——偽情報を広く叩けば叩くほど、その偽情報が広がり定着してしまうという背理。そこで事実と事実の間にサンドイッチするように紹介することで、偽情報がまん延してしまう悪循環を阻止するという提案。その他、興味深い動きが紹介された論。

 

 

【ご紹介】:
私が編集を担当している「Media×Technology」で、2019年のSmartNews Awards「グランプリ」を受賞した「文春オンライン」編集長竹田直弘さんをはじめとするスタッフの方々へのインタビューをまとめました。フランクに“進化の歴史”を詳細を語っていただきました。

SmartNews Awards 2019

SmartNews Awards 2019

 

 

【ご紹介】:
SmartNews Awards 2019が発表されました。「グランプリ」は、まさに旬の“あのメディア”です! 編集長インタビューもありますので、ぜひお読み下さい。