Disruption This Week—–16/12/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年12月12日から2022年12月16日まで。

An Alternate Reality: How Russia’s State TV Spins the Ukraine War
【有料購読者向け記事】:
米New York Times、ロシア最大の国営メディア企業「全ロシア国立テレビ・ラジオ会社(通称VGTRK)」から流出した膨大なデータからメール通信部分を分析。ウクライナ侵攻開始後のやり取りから、数々の情報工作(キャンペーン)の実態を明らかにした。
ユーチューバー、映像権売却で大金獲得
【有料購読者向け記事】:
「同氏(=ジャスティン・ワトキンス氏)はあるスタートアップ企業からの売り込みに驚いた。それは、同氏が制作した何千もの古い動画から得られる広告収入と引き換えに200万ドル(2億7000万円)以上を受け取らないかというものだった」。

——過去の投稿記事をめぐる権利を売却するような取引がYouTuberにも生じている。もちろん、このトレンドは音楽業界で起きており、ビッグネームが次々と過去の楽曲をめぐる権利を手放している。個人的にはこのスキームをより小型にして汎用化できないものかと考える。もちろん、それもまた今起きているトレンドだ。

Synthetic media forces us to understand how media gets made
「実在の人物がしてもいないことをしているリアルなシーンや、性的な女性の画像、あるいは戦争犯罪の偽画像の氾濫を簡単に偽造できるようにすることは、決して笑えない事態だ」。
“ジェネレーティブAI”が生み出す人工合成メディアの時代に備え、取り組む動きを紹介・論説する記事。
Twitterの「シャドウバン」の実態を暴露するイーロン・マスクお墨付き社内文書「Twitterファイル」第2弾が公開される
「Twitter Japanの公式アカウントが2020年に『Twitterがシャドウバンを行っていると指摘されますが、現在も過去にも行ったこともありません』と述べるなど、Twitterはシャドウバンの実施を否定しています。
そんなシャドウバンの実態を明かす『Twitterファイル』第2弾が、2022年12月9日に公開されました」。

——昨日から紹介しているTwitter社内で行われてきた恣意的な投稿検閲(党派的な偏りから投稿を排除するなどの行為)、“シャドーバン”について、第2弾の報道が米国で行われている。記事はそれを紹介したもの。興味深い事例が含まれている。

Will your paywall kill your website traffic (and ad revenue)? | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
従量型ペイウォール(たとえば、月々一定数の記事は無料とし、それ以上を有料とするような運用)を推進する筆者が、設計によってペイウォール化しても読者流入、広告収入などを激減させることはなく、むしろ向上させるケースがあるのだと論説する記事。
Bari Weiss reveals business plan for buzzy new media startup
Elon Musk氏がSubstack買収に関心を持つようになった背景? New York Timesコラムニストを辞め、Substackニューズレターで独立メディアを立ち上げたBari Weiss氏の話題。Musk氏提供の資料でTwitter内部における“影の検閲”体制を暴いたことから知名度急上昇だ。
Who will win digital advertising’s ‘Game of Thrones’?
米Insider Intelligenceアナリストらによる、2023年のデジタル広告市場予測。15年にはGoogleとMetaで8割近くを占めるという複占状況が相当程度崩れる。市場伸長のわずか15.8%を両社が占めるのみに。では成長株は…? チャートを見れば一目瞭然だ。
The traditional story structure gets deconstructed
「ニュースのテクノロジーは大きく変化しているが、今日の記事の基本構成は、例えば1932年のものと大きくは変わっていない」と指摘し、新興メディアのAxiosやSemaforなどについて触れ、今後のChatGPTなどとのインタラクションに可能性を見る論説。短いが刺激的だ。
How ChatGPT could disrupt the business of search
米Axiosが「ChatGPTがどう検索ビジネスをディスラプトするか」との論説。簡単な質問を文書で入力すると、ひとつのまとまった文章で回答を返してくれるChatGPT。あふれかえる候補群とリンクの束がかえってくるのとどちらが消費者にとって魅力的に見えるか? 答えは見えている。
BBC preparing to go online-only over next decade, says director general
英BBC会長Tim Davie氏、今後の10年間で放送を終了し、BBCがオンライン専業となるビジョンを呈示。
「やがて、リニア放送は減少し、よりカスタマイズされたオンラインサービスが提供されることになるだろう」「BBCを1つの提供物(アプリ)にまとめる」とも述べた。
実践ノウハウ公開!ニュースレターとポッドキャストで「個人メディア」 - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着です。個人メディアの運営にまつわるノウハウ、実践記をお届けします。ぜひご参考に。

Disruption This Week—–2/12/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年11月28日から2022年12月2日まで。

Andreessen Horowitz's buzzy tech publication Future is shutting down
【有料購読者向け記事】:
最大手の投資会社米Andreessen Horowitzが2021年6月に開設したテクノロジー特化の専門メディア「Future.com」が閉鎖に。プラットフォームやテック系企業に徐々に批判的な立場へと傾く商業ジャーナリズムに業を煮やしたオウンドメディア企画で、開設当時のインパクトは良くも悪くも大きかったが、あっけなく終えんへ。この数か月、記事の更新が途絶えていたという。
https://www.businessinsider.com/a16z-future-closes-staff-exit-2022-11
アマゾン、「Echo Show」でオリジナルのお話絵本が作れる新機能「Create with Alexa」
「『アレクサ、お話を作って』と話しかけ、指示に従い『宇宙探検』『海中』『魔法の森』などの舞台、登場キャラクターの名前、『ばかばかしい』『幸せ』『神秘的』などの雰囲気を指定する。すると、5行から10行の文章と、5枚の絵で構成された物語が作られる。同じ設定で制作しても、異なる物語になるという」。

——文字どおりの“子どもだまし”と見るか、子どもにプログラミングを教えるのと同じぐらいのインパクトがあると見るか。自分は、ここに、“ジェネレーティブAI”のパワーを注ぎ込めば、すごい幼児巨匠が生まれるような気がしている。

MAU月間6,000万のメディアパワーを有するLGBTQ+向けメディア英「PinkNews」。LGBTQ+読者に向けられ続けたヘイトに対抗し、“気分の上がる”ニュースだけを表示するパーソナライズ(フィルタ)機能を提供開始。ニュース忌避現象への解ともなるか?
Washington Post launches “Newsprint”: Personalized interactive feature revealing content subscribers enjoyed most | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
「この機能は、購読者の過去のニュースに対する興味や、購読者の読書習慣が他の人と比べてどうであるかなど、パーソナライズされた様々な洞察を表示します。まず始めに、一部の購読者は、自分専用の『ニュースプリント』にリンクしたメールを受け取り、自分の『1年間のニュース』の概要を確認することができます」。

——米Washington Postが読者のパーソナリゼーション・サービスにトライ。明示的に読者がオプトインをして、自身の閲読傾向を統計化したり、他の閲覧者との比較で“気づき”を提供するという。WaPoが求めるのは、これらによって、閲覧時間を増やしていく方向だろう。

Your Key Questions Answered: Media Moments 2022 - Interhacktives
Media Voicesが例年行うメディア関連トレンドを語る「Media Moments」2022年版が公開。トレンドの一つとしてニューズレターをあげる。SubstackやAxiosがこれで米ローカルニュースに希望をもたらしたと。
また、オンライン出版協会では会員の平均購読料収入が15%増となったとする。これは、サードパーティCookieの終焉から読者エンゲージメント重視への転換でもたらされたという文脈で説明している。
https://www.interhacktives.com/2022/11/30/media-moments-2022-key-questions-answered/?
出版状況クロニクル175(2022年11月1日~11月30日) - 出版・読書メモランダム
「2021年の『携帯電話通信料』と『インターネット接続料』はそれぞれ10,424円、2730円で、合わせて13,154円である。『書籍』『雑誌』の963円に対して、13倍の支出となり、出版物が占めていた社会的役割が失墜してしまった現実をあからさまに照らし出している」。

——今月の「出版状況クロニクル」は読みどころが多い。国文社の廃業は、個人的な想いがいろいろとある。それはともかく、引用箇所は、わが国生活者の「有料ベースの」情報消費の仕方の変遷として、興味深いものがある。実はこの背景にテレビの時間消費が無量であるために隠されているし、オンラインコンテンツも同様と考えるからだ。情報消費における支出は「時間ベース」の視点を交えないと実態は見えづらい。

Why Shutterstock is betting on generative AI for the future of stock images
レンタルフォトのシャッターストックは、テキストベースの「プロンプト」を入力することで、コンピュータが作ったユニークなデジタル画像を生成できる新たなイノベーション「ジェネレーティブAI」の活用実験を開始した。遂に機械生成まで作品の品ぞろえを強化したことに。
「創造するAI」が進化 テキストからついに動画を生成
【有料購読者向け記事】:
「グーグルは説明会で、PhenakiとImagen Videoを組み合わせ、長文のストーリーから動画を出力させた例を見せた。その他にも多数の『創造するAI』を紹介した。キーワードを入れると、小説のような文章の一節を出力してくれる」。

——数行程度の簡単なテキストでヒントを入力すれば、驚くような静止画像が出力される、ということで世を驚かせた「創造するAI」(ジェネレーティブAI)技術。それもつかの間、今度は動画も生成してくれるという。ワクワクさせられるが、「ディープフェイク」の“超進化版”が続々誕生すると思えば、恐怖のシナリオでもある。

Post News, a Twitter alternative, gets funding from a16z
著名な投資ファンドAndreessen Horowitzの出資を得、著名な学者Scott Galloway氏やジャーナリストKara Swisher氏らを顧問に据え、Twitterオルタナティブ「Post News」がスタート。商業コンテンツを記事単位の小額課金の手法で提供するというアプローチを採る。
【マンガ業界Newsまとめ】ウェブトゥーン各社、映像化、業務提携、収益還元、受託専業など展開加速中 等|11/27-079|菊池健|note
「出版社としては、日本で一番デジタルコミックを販売しているであろう集英社がそのデータをしっかりみていこうとしている取組と言うことで、マイクロソフト社のサイトに事例紹介されていました。
Azureとは、サーバー利用を中心とした様々なツールを活用できるマイクロソフトのクラウドサービスです。この分野ではamazonのAWSが圧倒的にシェアを持っています」。

——いつも勉強になる菊池健氏の業界ウォッチ。感じることは、マンガ(コミック)業界でDXが進んでいること。Webtoonが起爆剤となって、世界的な需給インバランスが生じており、その解消のためにも、制作インフラや業界再編が生じていると理解できる。

「メディアイノベーターズ 未来を拓くための記録」Kindle版を発刊しました - #JCEJ 活動日記
【ご紹介】:
「2021年の5月から1ヶ月間にわたり開催したリレートークイベント『ジャーナリスト図鑑をつくろう!』を再編集し、メディア激動の10年を実践者として切り拓いてきた25人による『時代の証言』を記録しました」。

——Kindle版で入手できるようになりました。私も「時代の証言」というものに参加しています。よろしければご一読を。

データアナリストが見たONA〜世界の編集者はどれくらいGoogle Analyticsを使っているのか? - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techからの新着記事です。SmartNewsのデータアナリスト有野寛一が見た世界最大級のメディア関係者向けイベント「ONA22」リポートです。ぜひご一読を。
JIMA : Internet Media Awards 2023ーあなたの心と社会を動かした、信頼のおけるコンテンツを教えてください。Internet Media Awards 2023 開催!12月1日(木)より応募受付開始
【ご紹介】:
2023年もやります。JIMA主催「Internet Media Awards」。2022年中(2022年1月1日〜12月31日)に公開されたコンテンツ作品または活動/信頼性のある情報をわかりやすく正しく世の中に伝え、社会をよりよい方向に導いている作品または活動を世に伝えていきます。

Disruption This Week—–18/11/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年11月14日から2022年11月18日まで。

Focus on value instead of reach: Ideas for metrics to use in your newsroom | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
広告収入中心時代では、UUやPVが重視され、その結果として老舗メディアもSEO対策に走ったが、購読や会員制中心では、「購読者1人当たり売上」から「購読者生涯ボリューム」指標へと向かうべきと説き、経年的な寄与度変化を見る手法をチャートで解説した論考。実務家の参考になりそうだ。
ニュース配信事業者の利用料支払い、公取委が調査開始…報道機関300社にアンケート
【有料購読者向け記事】:
「公正取引委員会は16日、米グーグルやヤフーなどのニュース配信事業者の取引実態を調査すると発表した。新聞やテレビなどの報道機関に支払っている利用料が不当に低い水準になっていないかといった点を調べる。報告書をまとめ、問題を解決する提言も行う方針だ」。

——注目の動き。「提言」を待つ。

Tortoise's Ceri Thomas on the future of podcasting: 'It is the bedrock of everything we do' - Press Gazette
「Tortoiseでわかったのは、スマホで2、3千字を読むように求めたのだが、それはまったく機能していなかったということ。2、3段落の文章は読んでもらえたが、だんだん読めなくなってきたんだ」。

——スローニュースを提唱するTortoiseが音声分野にピボットした経緯を伝える記事。Tortoise Studiosの編集長であるCeri Thomas氏への取材記事。同氏は放送局から移籍して、最初はテキストメディアに取り組んだが、その後、音声分野に転換し、鉱脈をつかんだ。

中国テック事情:ロシアを劣化コピーする中国のネット工作
「中国に拠点を置く3つのアカウント・ネットワークのうちの1つは、わずか300件あまりのツイートしか含まれていないが、フロリダ州の民主党候補を支持し、銃規制や中絶の権利について肯定的なツイートをしている。また別のネットワークでは、2020年の大統領選挙に不正行為があったという誤った見解など、右派の主張を広めており、ローレン・ボーバート下院議員のような共和党の扇動者たちを頻繁にリツイートしていた」。

——今回の中間選挙などを標的にした中国のデジタル選挙介入(おもにTwitterのボットネットワークを活用)について、米スタンフォード大の研究者らの分析を紹介する記事。中間総括としては、中国はロシアをお手本にして、この分野の技術を急速に習得しているが、まだお粗末(露骨な誘導表現など)な面もあるのだという。このような他国の選挙介入が常識になっている状況が怖い。

Scoop: CVC, Group Black partner on bid for Vox Media
フラグシップのVoxをはじめとして、Eater、SB Nation、Thrillistその他、高品質で尖ったメディアを傘下に治めてきたVox Mediaに対し、半ば公開的に買収提案がCVCを筆頭として行われている。不況風が吹くと、まず広告系メディアの再編というパターンだ。
ロシアはあとどれだけ戦えるのか? ロシア軍東部軍管区における予備保管装備の衛星画像分析|ユーリィ・イズムィコ|note
「では、ロシアの予備兵器はこれまでにどの程度が現役復帰しているのだろうか。また、今後も膨大な損害に耐えて戦争を継続する能力はどの程度残されているのだろうか。これらの問いに定量的かつ包括的な答えを提示することはもちろん難しい。しかし、ロシア軍の装備保管基地(BKhRVT)の位置を特定し、衛星画像で観察すれば、全体的なトレンドを掴むことは可能であろう」。

——小泉悠氏が始めているOSINT公開サイトでの新論考。ロシア軍は侵攻以降、戦車などを中心に重火器の損耗が激しく、お蔵入りしていた旧世代兵器の再利用を進めている。その状況を衛星画像などで分析したものだ。

Nearly a third of subscribers expect to cancel subscriptions this year
米Toolkitらの調査では、米国の消費者2,509人を対象とした調査で、少なくとも1つのデジタル出版物を購読している人の27%が、年内に購読数を増やす予定と答え、同比率の29%が同じ期間に購読数を減らす予定としている。残り44%は現状の購読数を維持するという。これがサブスクメディアにとって朗報か否かは、継続的に見なければならないが、重大な事件でも起きない限り、不況の兆しが購読数の重しとなっていくことだろう。
Protocol, the tech-news focused website, will shutter and lay off its entire staff | CNN Business
元Politicoの創業者Robert Allbritton氏が2020年に立ち上げたテクノロジー系メディアProtocolが今週末に閉鎖され、数十人のスタッフが解雇されるとCNNが伝えた。Protocolは新興政治メディアPoliticoの成功をテクノロジー系ジャーナリズムに移転しようとする試みだったが、適わなかった。PoliticoもProtocolも、現在は独Axel Springer傘下にある。
TikTokインフルエンサー、裏でスコア評価され企業に提供されていた?
「まさかこんな裏スコアがあったとは。MarketWatchが入手した、企業やブランドと共有されていたというドキュメントは『極秘資料』のラベルつきで、インフルエンサーの評価スコアが記されています」。

——アルゴリズムに秀でた企業として有名なTikTok。案外、“顧客サービス”はベタにやっているようだ。「どのインフルエンサーがその商品に向いているのか、商品カテゴリ別に分類して表示するシステムもあるのだとか」という。

OSINT(オシント)、戦争犯罪の証拠集めに活用 「偽物」扱いされないための工夫とは:朝日新聞GLOBE+
「例えば、オンライン調査では、情報を集める調査員などにバイアスがある可能性を認識し、必要に応じて専門家に相談すること、データを収集する際は、そのデータの安全性を事前に調べ、ページのURLやソースコード、画像などを投稿した人物や、付いたコメント、収集した機器のIPアドレスなどを記録する、といった点だ」。

——OSINT(オープンソースによる調査報道手法)の広がりが、いま起きている戦争犯罪などで確たる証拠を示す有力な動きになっているが、デジタルデータの取り扱いなどをめぐる混乱も生じている。記事は、これら取り扱いに関する包括的なガイドライン「バークリー・プロトコル(指針)」などをめぐって関係当事者らに取材している。

Disruption This Week—–11/11/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年11月7日から2022年11月11日まで。

GPT-3活用で10日で開発 アイデアとスピード勝負の有料AIライティングサービスはどうやって生まれたのか?
「10回の文章生成ができる無償プランのほか、月間100回利用できる3000円のプラン、使い放題の9800円のプランなども用意している。すでに数百アカウントが有料プランに移行した。サービスの中では、大量に文章を考えなくてはならない運用広告向けのツールが継続的に利用されている」。

——そのクオリティは記事の中の実例である程度見て取れる。未来はこうなっていくのかという感想を持つ。AIによる創作機能ではもっと壮大なアイデアも出てくるだろう。興味深い。

電子漫画サービス「ピッコマ」営業利益が過去最大 日本アプリ市場で売上1位
「・日本国内のアプリ全体(ゲームカテゴリ含む)の売上第1位
・グローバルマンガアプリの売上第1位
・グローバルアプリ全体(非ゲームカテゴリ)の売上第7位
・グローバルアプリ全体(ゲームカテゴリ含む)の売上第20位」

——「ピッコマ」の累計ダウンロード数は、2016年4月のサービスインから3,600万に“過ぎない”が、売上をともなう有料課金アプリとしては、多大な影響力をアプリ界にもたらしているといえる。そのエコシステムの広げ方に興味をもつ。

Meta、社員1万1000人解雇を正式発表 CEO「世界のオンライン移行、期待通りにならず」
「Metaが10月に発表した第3四半期(7~9月)の決算では、売上高は前年同期比4%減の277億1400万ドル、純利益は52%減の43億9500万ドル(1株当たり1ドル64セント)に。前四半期に続く減益となり、さらにその幅を広げていた」。

——問題はその要因なのだが、記事では「主力の広告事業が減速した他、Questシリーズのヘッドセットやメタバースを担う『Reality Labs』の売上高がほぼ半減していた」としている。同社が未来に期待を賭けるVR関連が伸び悩んで(?)いることは数字以上のインパクトのはずだ。

ロシア軍に監禁されたウクライナの子どもたちが書いた「落書き」の意味 | 東洋経済education×ICT
「フォトグラメトリ」という手法を用いて戦争のデジタルアーカイブに取り組む東京大学大学院 情報学環 教授の渡邉英徳教授。動画を観て、自分は、戦争報道に止まらないジャーナリズムへの広がりと深まりという可能性を受け止めた。
ロシア大統領に近い実業家プリゴジン氏、米選挙への介入認める
「プリゴジン氏の事務所によると、ロシアが米中間選挙に介入しているとするブルームバーグ(Bloomberg)の報道についてコメントを求められた同氏は『われわれは介入したし、介入しているし、今後も介入するだろう』と発言した」。

——“大統領の料理人”と呼ばれて有名なプリゴジン氏。同氏はレストラン運営や給食事業などでプーチン大統領に近い関係を築いてきた。同時に、現下のウクライナで戦闘行為を続ける民間軍事会社ワグネルを設立運営するなど十分にグレーな事業に携わるが、2016年大統領選などでも顕在化したロシアのトロール工場(偽情報製造組織)を運営してきた疑いも指摘されていた。
今回の発言で、そのトロール工場の運営や、他国への介入の疑いも確定したことになる。

Recession fears shake newspaper industry
「不況は、ローカルニュース(紙)にとり、ほとんど“パーフェクト・ストーム”だ」と、米Northwestern大のTim Franklin教授は述べる。不況は人件費と用紙の流通の高騰をもたらすとする記事。劇減する広告収入に対し、購読料収入は逓増に止まる。ここにコスト増が加わるというわけだ。
Bloomberg EIC to staff: Be careful using Twitter as a source - Talking Biz News
米Bloomberg News編集長、編集スタッフに向け、「最近のTwitter社の変化によって、ニュースソースとしてTwitterを利用する際のリスクが高まっている。誤報やデマを見極めるための警戒を怠らないようにしなければならない」と社内メールで注意喚起。
メタとGoogleの決算から垣間見える、 プラットフォーム 時代の終焉 | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「JPモルガン(J.P. Morgan)によると、前回の金融危機時にデジタルメディアが広告費全体に占める割合は12%だった。2021年の割合は67%だ。広告予算が大きくなればなるほど、その金額と、ひいてはそれを資金源とするメディアオーナーたちも、マクロなトレンドの影響を受けやすくなる」。

——種々の視点から、プラットフォーム+広告+(背後のデータ寡占化)による進撃の低迷を指摘する記事。社会的な視点からの抑制も利いてきているとするが、最も説得的な箇所が引用部分。

Silicon Valley's pivot to paid
米シリコンバレー(テック企業群)が、広告離れを模索し始めた。もちろん、景気後退局面に差し掛かっているという側面もあるが、文化として広告主による支配を嫌うという点もあると指摘する論。Elon Musk氏がTwitter収益源をめぐり転換をめざすこともその文脈から理解できそうだ。
[更新]Netflixの「広告つき」新料金、一部のNHK作品等が広告なしの理由…月額790円、国内でも開始
「広告の頻度としてはテレビCMとほぼ同じはずだが、作品を視聴している最中にブツ切りで広告が割り込んでくるため、体験としてはあまり良くない。YouTubeと同じだと言えばその通りだが、体験の悪化が200円の差額に見合うかは、議論がありそうだ」。

——日本でも始まった「広告表示付き廉価版」のNetflix。従来990円だった「ベーシック」プランがベースに、ダウンロード不可などの制約と広告が表示。体験したBusiness Insider Japan編集長の伊藤氏がリポート。

Disruption This Week—–4/11/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年10月31日から2022年11月4日まで。

Crime group hijacks hundreds of US news websites to push malware
サイバーセキュリティ企業Proofpointによると、サイバー犯罪者グループがあるコンテンツプロバイダに浸透、米国内数百の報道機関のウェブサイトにコンテンツを配信しマルウェアを拡散しているという。コンテンツプロバイダの名前は公表されていないが、対策中だという。
What types of local news stories should be automated? The Toronto Star is figuring it out
AIが自動生成した記事(報道)をジャーナリズムはどう評価すべきか。カナダThe Toronto Starの実践で、ローカルニュースメディアと記事自動生成がフィットする分野の数々が明らかに。さらに自動化を推進することで戦略的な分野に人手を割くことができるともする内部の声。
Insider overhauls subscription strategy in face of recession fears
他のメディア同様、広告収入の減退に見舞われている米Insider。力を注いできたペイウォールシフトを見直し、Insiderで定評のあるビジネストレンド解説記事を“壁”の外に多く配置するという戦略変更に取り組む。グローバル編集長が取材に応えた記事。要は無料記事と有料記事の配分を見直すということ。
TikTok tells European users its staff in China get access to their data
TikToko、欧州におけるセキュリティポリシー責任者が、プライバシーポリシーの変更と明示によって、中国拠点など国外のスタッフが欧州をはじめとして、米、ブラジルその他の国々のユーザデータに触れることが可能と言明。厳格な手続きと認証を経た上でとしている。
Disney Tries Mixing Streaming With Shopping
【有料購読者向け記事】:
来週火曜日まで、Disney+の加入者は、「スター・ウォーズ」、「アナと雪の女王」などに関連する新商品を独占的に購入できる(以後は、一般販売)。商品には、ライトセーバーのコレクターアイテム(250〜400ドル)やテーマに沿った衣服(27〜ら100ドル)などがある。Disneyがストリーミングの世界の上で、リアルビジネスで築いてきた商売を投入する。事の成否はこれから試されるが、同社がDisney+でやりたかったことが現実になってくる。
Why Semafor's CRO Rachel Oppenheim is putting clients first while building an entirely ad-based revenue model
新たに立ち上がったばかりの注目メディア「Semafor」。同社の収益責任者(CRO)に聞くビジネス戦略。購読を基盤とすることでレピュテーション向上を求める大手広告主にアピールする。そのためにも、運用型でなく手売り広告ビジネスに注力しているなどをアピールする。
2万件超すフェイク記事・サイトの6割で、Google広告が収益を支える 初の大規模国際調査
「『プロパブリカ』が調査対象としたフェイク記事は1万2,000件超、フェイクサイトは約8,000件。このうち、6割近くがグーグルからの広告配信を受け、収益を上げていた。
中でもトルコやバルカン半島、ブラジル、アフリカなどの非英語圏で、フェイク記事・サイトにグーグルが広告配信をしている割合が高く、6割超から9割に上っていた」。

——先日紹介した米ProPublicaによる調査報道記事を、平和博氏が詳しく解説している。そもそも2016年の米大統領選で浮上した、“金稼ぎ”目的の偽ニュース生成トレンドの猛威は、この運用型広告をページに貼り付けておけば、フェイクな記事でひと儲けできるという発見から生じていた。その段階から改善、クリーンアップが進んでいないという事態が指摘されたわけだ。

出版状況クロニクル174(2022年10月1日~10月31日) - 出版・読書メモランダム
出版科学研究所による22年1月から9月までの出版物推定販売金額:
「前年の9月までは9179億円、前年比0.5%増で、最終的に1兆2079億円、同1.3%減であった。だが22年は8559億円、同6.8%減という事実からすれば、1兆2000億円を大幅に割りこみ、1兆1000億円前半の数字に近づいていくことが確実だ。
ピーク時の1996年は2兆6564億円であり、定価値上げなどを考えると、3分の1近くの販売金額となってしまう」。

——引用箇所どおり、22年の出版物の推定販売金額は、1兆円に限りなく近づく見込みとなってきたようだ。96年からの下落ぶりはすさまじい。

U.S. adults under 30 now trust information from social media almost as much as from national news outlets
「30歳未満の米国成人は、SNSからの情報を、国内報道機関からの情報とほぼ同程度に信頼している」。米Pew Research Center調べ。年齢層別に対比して見られる。当該年齢層ではローカルニュースが62%、全国ニュースが56%、そしてSNSが50%と肉薄。時系列推移も興味をひく。
友人に賛辞を送るSNSアプリ「Gas」…アメリカのApp Storeで1位に
「位置情報と連絡先情報をアプリに同期させると、1時間ごとに更新されるさまざまな『友人に関する投票』に匿名で投票できるようになる。その内容は友好的な褒め言葉から、軽い愛の告白まで、いろいろな種類があり、投票してもらえると受信トレイに『炎』が送られる」。

——SNSに新たな“カウンター”の動きが生じている。すでに話題になっている「BeReal」がその筆頭だが、この「Gas」もそうだ。ある種のコンテストへの参加を求めるものだが、それは友人に対する褒め言葉などに投票をするといったポジティブなもの。米国内でも一部地域での人気急騰だが、全国化する動きに。

NBC News, Washington Post, SmartNews apps retool content packaging ahead of midterms
【ご紹介】:
11月8日の投開票を前に、米のニュースメディア、アグリゲータらが中間選挙に向けた特別報道態勢を準備している。記事はSmartNews USの取り組みも詳しく紹介しています。