Disruption This Week—–3/9/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年8月30日から2021年9月3日まで。

The Next Creator Economy Unicorns
【有料購読者向け記事】:
米The Information、「クリエイターエコノミー」関連スタートアップで、ユニコーン(時価総額10億ドル以上)企業を7つをリストアップ。それに続き、ユニコーンを目指す存在として、Substack、WhatnotそしてSpliceをあげる。
How to make money on Substack: Newsletter platforms charted
ニューズレター(メルマガ)配信サービスSubstackと、クリエイターへの定期支払やチップなどが可能なPatreonを、ジャーナリストがどう活用できるか? 詳細な比較と活用事例を紹介する重要な記事。
アップル「公取委の調査が終結」発表の真意…どのAppビジネスへ影響があるのか
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「今回の発表に伴う変更点は『アプリ内に、外部決済サイトへつながるリンクを1つ配置できる』という点に集約できる。
これはアプリ内に、自社の決済サイトへ誘導する『決済はこちら』のようなリンクボタンを置けるようになる、ということだ」。

——App Store以外での決済手法をアプリ内に掲示できる。ただし、ゲームなどはその範囲に含まれていない。それでも、ユーザに別途、決済方法を(メールなどで)告知できる…。まあ、本当のユーザにとっては、支払い体験はシンプルであれば良いのだが。さすがに30%の“課税”では、ビジネスモデルが成立しない分野が多かったので、朗報。

Tech companies will try to push private browsing into the mainstream
Appleが今月にも、ユーザ情報をWebサイト等から遮断するセキュリティ機能「Apple Private Relay」を(iCloud+として)リリースする。Firefoxなどでも同様に、ユーザのブラウジング情報を遮断する動きが本格化。ますますターゲティングが困難な時代へ。
Biggest US newspapers by circulation revealed – 20% fall after Covid-19
ABC公査に相当するAAMが公開したデータによると、米国の大手新聞上位25紙は新型コロナ禍の1年間で、平日の印刷部数を20%も失ったという。なかでも際立った下落を示したのがUSA Today。やはり1年で60%以上の下落だ。(同紙はホテル配布が多い)
Scoop: Amazon quietly building live audio business
Amazon、ClubhouseやTwitterのSpacesに対抗する新たなライブオーディオ事業を多額の投資で準備中? 米Axiosが「スクープ」。AudibleからポッドキャストへとAmazonはオーディオ事業を拡張してきた。これをAmazon Musicやスマートスピーカー事業へとつなげる構想と記事は述べる。
“More than 60% of those readers that leave your site will not return”: How publishers can overcome churn to build engagement and loyalty | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
今日もChartbeatが公開したリポート「Navigating the New Reader Journey」からの紹介。サイト来訪者から読者へとエンゲージメントを高めるためのアプローチを6ステップで紹介する。
最初の「流入(コンテンツの発見)経路ごとにアプローチをカスタマイズする」は重要だ。
“The evidence is clear”: Headline testing continues to drive higher engagement for publishers | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
分析サービスのChartbeatによる調査と分析によると、メディア各社にとって、相当数の候補を使って効果的な記事見出しを見いだすテストへの取組みで、エンゲージメントが5倍といった有意な結果が得られるという。また、その取組みは継続によっても効果は逓減しないとする。
若者たちに不人気な「スポーツ観戦」…東京五輪で若年層の視聴率は伸びた? プロ野球中継のメイン視聴者は“75歳以上”説も…(沼澤典史)
「15分もテレビを見ない若者が、わざわざ1時間以上のスポーツ中継を見るわけがない」。

——「若者研究の第一人者で、マーケティングアナリストの原田曜平氏」のコメントだという。然り。75歳以上かぁ。

「数字やシェア数の競い合いは、僕の感覚からすると地方支局で繰り広げられる特ダネ競争ととてもよく似ています。県警ネタを一刻も早く出そうと競い合う。ゲーム的な競争の先にいるのは読者ではなく、『良い結果を残した自分(もしくはメディア)』を認めてほしいという承認欲求になっているところが特に似ています」。

——『ニュースの未来』を上梓した石戸諭氏の、ネットニュースのタイトルをめぐる論点。石戸氏はネットニュースのタイトルが皆似てきているとし、そのパターンを解説する。悩ましいのは、いまや新聞社など伝統メディアが、その技法を学び始めており、それによる手応えをつかみ始めているということではないのか。「良いニュース」の文化を創ることの難しさを感じもする。

Disruption This Week—–13/8/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年8月10日から2021年8月13日まで。

18~19世紀の新聞データ100万ページを英国企業が無償公開 商用利用は条件付きで可
「大英博物館と協力して古い新聞をデータ化し、サブスクリプション形式で提供している英Findmypast Newspaper Archiveは8月9日(現地時間)、18~19世紀に刊行された新聞約100万ページのデータを無償公開した。同社が許可すれば商用利用も可能という」。

——個人的に密かに、新聞ビジネスのピボットは、方向性としてこの種のデータベース事業が良いのではないかと思っていたところ。ぜひ日本でも成立させたい。

ビジネスパーソンを熱狂させる、国内1位“歴史ポッドキャスト“運営の正体──メルカリ共同創業者らも出資 | DIAMOND SIGNAL
「そこで広報活動の一環として始めたのが『コテンラジオ』だった。じわじわと人気を集め、今や人気Podcastランキングでは必ず上位にランクイン。支持する約14.2万人のユニークリスナーは、深井氏によれば『おもにビジネスパーソンや経営者など知的好奇心が高いリスナー』だという」。

——とっても面白い企業が、面白いポッドキャストの試み。可能性を感じさせるな。

The micropayments mirage
「マイクロペイメント(小額課金)の蜃気楼」。長い間、小額課金は購読制(サブスク)とは異なり、ビジネス上成立しないものと退けられてきた。記事は、小額課金の課題は、純粋に技術的なものであるとし(手数料の過大さなど)、改めてその可能性について言及する。
「TikTok売れ」で30年前の実験的SF小説が3万5000部の緊急重版……メガヒットに出版社も熱視線
「きっかけは、1人のTikTokユーザーによる動画投稿だ。
TikTokで小説を紹介する動画を投稿している『けんご(@けんご 小説紹介)』さんは2020年から動画投稿を行っており、若い世代に人気のTikTokクリエイターだ」。

——“TikTok売れ”。覚えておこう。もちろん、国内外でTikTok推しのヒット曲があることは認識していたが、このケースのようにTikTokerが直接本の推奨をするというのは、興味深い。

The age of the à la carte internet
米Axiosのメディアチームが、最近の(特に2020年からの)購読制の動きを概観。Magid社「Video Entertainment Study」によれば、ストリーミングへの支払う意思のある消費者が、この1年間で9%から16%に増大していると紹介する。一方、有料によるサイロ化が分断にも関連と述べる。
Salesforce enters the streaming wars with new video service for professionals
クラウド型エンタープライズベンダーのSalesforce、ストリーミングメディア「Salesforce+」開設準備中。9月開催の同社「Dreamforce」で発表を計画。ユーザや開発者を対象とするストリーミングによるオウンドメディア。制作スタジオや50名の編集スタッフも用意し、拡充する。
How many readers actually scroll once they load an article? | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
Webメディアの多くの45%の読者は、15秒以内に離脱。そして、その6割は戻らない。また、表示した記事をスクロールするのは7割〜8割(地域差)。最もよく見られるのはページの切れ目。つまり読者は読み進めるべき記事なのかを早く見極めたがっている。デスクトップ(PC)とモバイルでは、後者のスクロール深度が浅くなる。
Comic Book Writers and Artists Follow Other Creators to Substack
ニューズレター(メルマガ)配信サービスの米Substack、コミック分野で作家らとの連携を強化中。Marvelで実績を誇る作家がハブとなって、多くのコミック作家が各自のメルマガ配信に取り組む。作家は著作権を維持したまま、購読料を得られるという。
Facebook、同社の広告ターゲティングの透明性を調査していた研究者のアカウントを停止
「Ad Observatory Projectは、Facebook上の政治広告に関する透明性を高める目的で、ニューヨーク大学の研究者、ローラ・エデルソン氏などが立ち上げたプロジェクト。Facebook上の政治広告関連データを匿名で提供できる専用拡張機能『Ad Observer』のWebブラウザへのインストールを、ボランティアに呼び掛けてきた」。

——Facebookにおける政治(的)広告の透明化を研究者ら第三者が推進する動きに、Facebookが待った。もちろん、Facebookの主張は利用規約の逸脱ということだろうが。

TikTok becomes the Olympics' breakout media platform
TOKYO2020の覇者はTikTok。世界の若いアスリートが多用することで、TOKYO2020を代表するメディアプラットフォームとなった。「ベッドルーム、シャワー、トレーニングジム、カフェテリアなど、テレビカメラが入れないような場所に視聴者を連れて行くものがあった」とする記事。
サブスクメディアのKPI設計とは?——「職人芸」から「予測」へ - Media × Tech
【ご紹介】:
私が編集に携わるメディア「Media×Tech」に新着記事です。購読型メディアでは、PV追求メディアとどう計数管理すべきなのか。着眼点を解説します。

Disruption This Week—–6/8/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年8月2日から2021年8月6日まで。

Special Report: Advertising on Misinformation - NewsGuard
Webメディア掲載コンテンツの信頼度をスコアする米NewsGuardとWebサイトのトラフィックと広告費情報を収集するcomScoreが共同調査。数千の誤報・偽情報サイトに1.7%のトラフィック、そして26億ドルの広告費(プログラマティック広告)が年間で流れ込んでいると推定する。
One Surprising Source of Influencers’ Monthly Income
【有料購読者向け記事】:
米NeoReach社が、10万人以上のフォロワーをもつクリエイター約1,000名を調査。彼らがどのプラットフォームを経由して収入を得ているかがわかる。それによれば、TikTokはまだ十分に成熟しておらず、個人ブログがそれを上回って稼いでいることだ。
圧倒的成長を遂げる「電子書籍」市場…しかし、今に至る道のりは平たんではなかった(飯田 一史) @gendai_biz
「出版専門メディア以外ではコンテンツの話ばかりがフォーカスされて、書誌データや検索、取次機能が重要だということはなかなか語られませんが、読者や書き手、出版社の利便性を考える上では決定的に重要なポイントです」。

——電子書籍をめぐる総合的なてい談。「コンテンツ・ハード・フォーマット・デリバリー」というテーマで改めて“歴史”を振り返っている。特に「デリバリー」については、引用箇所のように、広義のメタ情報(ディスカバリ)の議論に光を当てていて、納得感がある。

Personalized newsletters: a proposal
「もし、さまざまなニューズレター(メルマガ)を受け取る頻度をコントロールできれば、と考えた。そして、定期的に配信されるニューズレターの頻度や時間をカスタマイズできるようにすれば、受信箱を自分でコントロールできるカレンダーのようにすることができるはずだ」。

——増え続けるニューズレター。趣味のレターは週2回程度に、そして社会の動きに気をつけていたいニュースについては、毎朝になど、コンテンツディスカバリーとしての機能をコントロールする仕組みが必要になってきているとの論説。

Q&A :「 メタバース 」とは何か?:現代のインターネットの「後継版」 | DIGIDAY[日本版]
「メタバースは、現代のインターネットの「後継版」であり、コンテンツの内容は同じですが、そのコンテンツにアクセスできる場所や方法の制限はより少なくなります。現在のオンラインプラットフォームでは、ユーザーは特定のサービスの範囲内である程度自由に移動することができますが、プラットフォーム間の相互運用性は制限されています」。

——Facebook CEOの改めての「メタバース」市場へのコミットメントでハイライトを浴びる領域。ここでも重要なのは、閉鎖性ではなく透明性の高い相互運用性(真のプラットフォーム)ということだが、さてそれが実現していくか。

Disinformation for hire: PR firms are the new battleground for Facebook | ZDNet
Facebookのセキュリティポリシー責任者、オーストラリア議会にて証言。Facebookを舞台とする偽情報キャンペーンを行うに当たり、当事者自身は手を下さず、マーケティング会社やPR会社を用いて行うケースが目につくという。偽情報工作が産業化している顕著なケースだ。
五輪サーフィン、AIの波に乗る
【有料購読者向け記事】:
「サーフィンに必要な波を勢いづける風のように、目には見えないが強力なソフトウエアが関係している。研究者やコーチによると、機械学習アルゴリズムは波の予測を改善し、トレーニングやけがの予防、トップアスリートの勧誘にも貢献し、この先サーフィンをさらに進化させる可能性がある」。

——「今や10億ドル規模の産業のベースになっている」。研究者の発言が引用されているが、サーフィンは、まったくローテクでチャレンジする競技者がいる一方、金メダルを獲得したUSチームのように、各種データ分析を駆使するアプローチもある。相も変わらず“夢と感動”だけのストーリーだけで報道していて大丈夫?

How Product is Leading Media's New Growth Path: A look at the latest INMA Report - Twipe
プロダクトチームは、コンテンツやテクノロジーと密接に連携させる横断的機能だ。メディア運営企業内で「プロダクト」チームを組成するケースが増えている。INMA(国際ニュースメディア協会)会員社でも、4割弱が過去4年に、そして2割強が過去1年以内に部門を設けている。
NTT、遠隔地で行われているバドミントン競技を、ホログラムを用いてリアルタイム中継をデモ。TOKYO2020関連。同社が発表した5Gを駆使する「KIRARI」を用いた。予想外だった無観客での応援体験を支援する技術として効果を発揮した格好に。
出版状況クロニクル159(2021年7月1日~7月31日) - 出版・読書メモランダム
「21年6月の書籍雑誌推定販売金額は996億円で、前年比0.4%減。
書籍は490億円で、同0.2%増。
雑誌は475億円で、同0.9%減。
雑誌の内訳は月刊誌が407億円で、同3.1%増、週刊誌は67億円で、同20.0%減。
返品率は書籍が39.0%、雑誌は41.2%で、月刊誌は40.2%、週刊誌は46.8%」。

——週刊誌の惨状が続いている。

スローニュース、ジャーナリスト向けの「調査報道スキル講座」を開始・・・第1弾は「オープンデータ活用の取材術」 | Media Innovation
【ご紹介】:
「講師は、スローニュースのシニアコンテンツプロデューサーであり、NHKで長年、調査報道などの講師を務め、『NHK取材ノート』『政治マガジン』などを運営してきた熊田安伸氏が担当します」。

——元NHK熊田安伸氏が移籍間もないスローニュース株式会社でさっそく稼働。

入社3ヵ月で書いた辞表を撤回した私が、今度こそ「NHK」に辞表を出したわけ(熊田 安伸) @gendai_biz
【ご紹介】:
NHKのネットワーク報道部で活躍されてきた熊田安伸さんがSlowNewsのシニアコンテンツプロデューサーに着任。NHK「政治マガジン」などに注目してきた自分としては心強い!

Disruption This Week—–16/7/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年7月12日から2021年7月16日まで。

New Anthony Bourdain documentary deepfakes his voice
論争を呼ぶ新作ドキュメンタリーの誕生。3年前になくなったシェフ兼司会者として有名だったAnthony Bourdain氏を追った作品だが、作品中同氏が語った台詞は、ディープフェイク技術を用いて合成されたものだった。制作責任者自らが明かし、「倫理委員会」で議論しようと述べる。
The New York Times hires Jason Sobel as chief technology officer
米New York Times、新たなCTOにAirbnbやFacebookで幹部として活躍してきたJason Sobel氏を採用。CEOのMeredith Levien氏は、「テクノロジーは、当社のジャーナリズムとビジネスの野望の中心であり、購読者数増加の最も重要な要因のひとつだ」と述べると同時に、同氏を「理想的なリーダーであり、経営者としてのパートナー」とする。同社は650人(!)以上の技術職が存在すると記事は解説する。

Instagram’s Evolution

Stratechery by Ben Thompson

Instagram’s Evolution
TikTokに押され続けるInstagram。従来の“写真共有アプリ”路線を捨て動画投稿サービスへと舵を切ると最高責任者Adam Mosseri氏が表明。ブログ「Stratechery」のBen Thompson氏は、Instagramの本質は、元々写真共有にではなく、“エンターテインメント”であり、それを基に進化し続けることだったと分析する。
U.S. newsroom employment has fallen 26% since 2008
米報道機関の編集、記者らの雇用が、この12年間(2008ー20)で26%減少。新聞社で大量に解雇、ネットメディアで大量採用の結果だという。実際、新聞社での雇用が08年では62%だったのものが、20年には36%にまで低下した。Pew Researchによるリポートから。
Amazon launches its mobile-first Kindle Vella serialized story platform – TechCrunch
Amazon、iOS版Kindleアプリに“クリエーター・エコノミー”的アプリ内購入機能を追加した「Kindle Vella」の提供を開始(日本版はまだ公開されていないようだ)。連載小説の一部をKindleで無償公開し、続きは課金という仕組みでKDP(Kindle自費出版)と連携する仕組みのようだ。
1坪あれば10万冊の書店のオーナーに? “VR書店”の開業を支援するベンチャー
「消費者はその場でVRヘッドセットを装着・操作することで、バーチャル書店に並ぶ10万冊の本から好きな本を購入できる。決済もバーチャル空間上ででき、本は後日郵送で手元に届くという。一度に視界に表示される本の冊数は1000冊まで」。

——本気でビジネス化しようとしているようで、非常に感心。自分は、壮大な本の陳列にまみれながら、選書したいと思ったことはない。が、“棚”や“台”で見かけた本をただ目的もなく、見てまわって、気に入ったものを購入するという書店体験は、捨てがたいとは思う。

“The strongest rise in over a decade”: Global ad spend to reach $665 bn this year | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
マーケティング調査企業WARCが、世界の広告支出をめぐる総合調査年鑑「Ad Investment 2021/22 – The Rate of Recovery」を公表。世界の広告100市場を分析。2021年は前年比12.6%増と力強く復活と見込む。22年も8.2%増と予測。
沸騰クリエーターエコノミー 稼ぎ方デジタルで多彩に
【有料購読者向け記事】:
「私たちがやりたいのは音声で一変するモデルをつくることだけではない。プラットフォームや技術者ではなく、アーティストやクリエーター、有能な人材がつくるクリエーター主導の文化を推進したい」。

——CB Insightsによるリポート。購読者専用記事なので強くお勧めしにくいが、“クリエイターエコノミー”に関連する記事では、もっとも整理と網羅化が効いた良い論と思う。

Katherine Bell wants to build a better kind of business journalism
「私たちは絶対に反資本主義ではありませんが、私たちにとっては、資本主義を含めてすべてが疑問の対象です」。
MBO後、新たにQuartzに参画した編集長Katherine Bell氏が、新たな「ビジネスメディア」のあり方を語る。
「私たちは、企業が新たな問題を作り出すのではなく、問題を解決するのを支援するというミッションを明文化しています。また、不平等、包括性、持続可能性などについても言及しています」。
Email newsletters: Establish direct relationships, build habit and loyalty | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
「多くのメディアは、ニューズレター(メルマガ)をブランド構築のためのと考える。読者との定期的なコミュニケーションにより習慣と忠誠心を育成できるからだ。だが、ニューズレターは、広告や購読でそれ自体が有料の商品として、実際の収益を生むこともできる」。

——ニューズレターをメディアとして活用していくにあたってのポイントや課題、そして利用できるプラットフォームなどを整理した記事。

脱ターゲティング後の広告の未来 メディアと「ヒト」へ回帰するか
【ご紹介】:
月1連載のコラムが日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ 脱ターゲティング後の広告の未来 メディアと「ヒト」へ回帰するか

Disruption This Week—–2/7/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年6月28日から2021年7月2日まで。

クッキーに別れを告げるとき、メディアがすべきこと[インタビュー] | Exchangewire Japan
「佐藤氏:本来メディアの役割とは、社会に対してコンテキストを提供するということです。ただしこの10年ほど、プラットフォーマーの出現によりその役割自体がクローズアップされることがなかったと思うのです。今後はメディアというものがコンテキストを提供することについて、より力を試されるようになります」。

——「社会に対してコンテキストを提供する」といい、「“枠から人”ではなく、“人から枠”へと回帰」といい、いま、メディアと広告をめぐって、大きな転換点に立っていることは間違いない。単に「回帰」だけではなく、何が社会に求められているのかから問い返す機会なんだろう。

Cameo Targets $200 Million-Plus in Video Sales This Year
【有料購読者向け記事】:
芸能、アスリートなどのセレブから自分宛てビデオメッセージを購入できるサービスの米「Cameo」。昨年1億ドルの年商が、今年はその2〜3倍に達する見込みとCEOが取材に応えて述べる。新型コロナウイルス禍が落ち着いても、業績は伸ばせるとする。

Trends and Facts on Newspapers | State of the News Media

Pew Research Center’s Journalism Project

Trends and Facts on Newspapers | State of the News Media
Pew Research調査による米新聞業界最新ファクトシート。AAM(公査指標)とNYT、WSJの自社発表を組み合わせると、読者数はかろうじてフラットともいえるが、後段に掲出する広告収入は、2000年代初頭から恐ろしいほどの下落ぶりを示している。
Is Facebook Buying Off The New York Times?
「Facebook Newsが提供するのは、Facebookが選んだ一握りの有名な報道機関だけであり、巨額の現金である。これらの契約の正確な条件は秘密のままだが、これはFacebookが守秘義務を主張し、報道機関もそれに同意したためである」。

——先日も、別の記事で米メディアTop.25の主たる所有者を調査したリポートに触れたが、この記事でも。Google、Facebookはメディアへの迂回的な資金拠出を強めている。もちろん、贖罪的と理解もできるが、記事では、政界へのロビーイングと並列するメディアへの工作と論じている。

出版状況クロニクル158(2021年6月1日~6月30日) - 出版・読書メモランダム
「2年ぶりに目にするのだが、2020年の公共図書館数は10館増え、3316館で、これも何と日書連加盟書店数の2887店を上回ってしまった。…1986年の日書連加盟店は1万2935店、それに対して90年の図書館は1928館だったわけだから、現在から考えれば、そうした比率が書店と図書館のメルクマールだったように思えてくる」。

——今回、目についた情報。書店数の減少トレンドに対する図書館数増大というコントラスト。記事で触れられているが、一方で、図書館員数においては漸減のトレンドだという。

Inside The Information's paywall strategy
「私たちが学んだサブスクリプションファネル経済学の素晴らしい教訓の一つは、電子メールによる直接的な関係を構築し、その関係を長期にわたって継続することの価値だと思います」。The Informationの創業CEO、Jessica Lessin氏が、同社の購読戦略を語るインタビュー記事。
「あの人に偽情報を見せたい」がSNSの“レコメンドAI”悪用で実現する可能性 F-Secureが検証
「例えば2019年12月の英国総選挙に関するツイートを使った実験では、偽情報が含まれる投稿を何アカウントがどれだけ拡散すれば、ターゲットとなるユーザーに“おすすめツイート”として見せられるか検証」。

——最近のTwitterはアルゴリズムを使い、ユーザが気にするテーマに沿って関連しそうなツィートを表示させる。従来のように、多くをフォローしていなくても、この仕組みで興味を惹くツィートと出会えるわけだが、この仕組みを悪用すれば、的確に特定人物を対象とした“情報操作”が行える。SNSを利用したプロファイリングの威力を見せつける研究。

新聞を購読する日が来るとは。|ヤマダタイキ|note
「奈良新聞 もはや大々的なメディアの実験場と化し、個人が1万円から新聞広告を出せる新サービス『AD LETTER(アドレター)』や、毎月出されたお題に対して、購読者がデザインを提案する広告コンペ『クリエイティブ・アド』など、新しいことにチャレンジしている。しかも後者は15段、無料で掲載できるとあって、実績が欲しい広告クリエイターとしては最高の場!」。

——いろいろとためになる情報が盛られている。参考になった。

BuzzFeed's plan to go public is all about scale
買収などで傘下メディアを増やし規模化をめざす米BuzzFeed。すでにTasty、HuffPostを擁し、近くComplex Networksを統合する計画。SPAC手法でIPOし、Facebookなどの大手プラットフォームの(アルゴリズム)影響圏を離脱する。他社でも同様の動きが見られるとする記事。
「ニュースへの無関心」世界で強まるわけとは?
「低下の要因としてニューマン氏が指摘するのは、35歳未満の若者層と低学歴層の関心の低さ(それぞれ52%と51%)だ。
さらに、英国、米国などでのフォーカスグループへの調査で、特に新型コロナ報道をめぐって『かなり気が滅入るようになった』『コロナ、コロナ、コロナの繰り返し』などの反応があることを紹介している」。

——個人的な理解では、2020年のパンデミックがまさにニュースへの需要を一挙に押し上げた。しかし、中期的にはニュースへの関心減退が継続している。中心的な主題が失われたとして、どのように分散する主題や手法を取り上げていくのか。ニュースをめぐる問いかけが改めて重要になっている。

今から学ぶ「Googleが推進するFLoC」とは何か - Media × Tech
【ご紹介】:
“ポスト・クッキー”時代、目玉として登場した「FLoC」。Googleが推進する新たなユーザ嗜好の同定技術について、西田宗千佳氏に寄稿してもらいました。