Disruption This Week—–24/5/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年5月20日から2019年5月24日まで。


 

「2016年から聴取している生活者のメディア意識・行動を2016年と2019年の増減に注目したところ、トップ10に変化が見られました。なかでも『情報やコンテンツは無料で手に入れられるものだけで十分だ』(17.3ポイント減)、『SNSは自分の暮らしに必要だ』(11.7ポイント増)」。

——毎年注目している「メディア定点調査2019」。引用箇所に続いて、記事では注意を払っていないようだが、「世の中の情報量は多すぎる」の9.4ポイント増が、自分には重要に見える。次の項目「インターネットの情報は、うのみにできない」も同様。

Axios/Harrisの最新調査(まだ公開されていないようだ)では、「ゲーム・オブ・スローンズ」が最終回を迎え、ストリーミングサービス契約者が解約を検討中であることが明らかに。広義にはサブスクリプションの脆弱性問題とも言える。とりわけ青年層が課題。

 

【有料会員向け記事】:
「ブレイブによると、グーグルのアドエクスチェンジはネットユーザーがサイトを訪れるたびに広告主候補『数十から数百社』に対し、利用方法を制限することなくユーザーの個人情報を拡散しており、『史上最大の個人情報漏洩』の状態にあるという」。——日経の「有料会員向け記事」。FT発の記事なので、まあそうなのだろうが。Brave Software社は挑発的な試みを行うWebブラウザ開発企業だ。


 

「中国では音声に限らないのですが、『ナレッジシェア』(知識の共有)という文脈で、きちんとした文章、映像、音声に対してはお金を払うという文化が浸透しています。ですので、Himalayaの中でも、番組視聴に対する課金はもちろんのこと、ユーザーからの投げ銭、ネットワーク広告のシェアというように複数の収益化手段が実現しています」。

——引用箇所は、なるほどと思わせるところ。確かに、他のサービスでも収益源は多様化されている印象がある。学べるポイントが多い。


 

【有料購読者向け記事】:
「調査会社ニールセンデジタルの高木史朗氏は『限られた時間をコンテンツ同士で奪い合っている』と分析する。日本を対象にした同社の調査では、1日にスマホを利用する時間は18年12月時点で3時間5分と、17年7月から1分しか増えていない」。——音楽、動画など、一時は衰退産業の烙印を押された分野が、ストリーミング(デジタル)で復活を遂げる一方、デジタル書籍などが低迷。スマホの可処分時間というパイがゼロサム化しているという指摘だ。


 

「まだ実験段階ですが、社内で運用されているCMSでは、このAPIを利用してボタン1つで見出し生成ができるようになっており、編集の効率化につながるか検討されています。
今後は、記事の自動校正についても取り組みたいと考えています」。——記事見出しの自動生成、という観点では、見出し候補の生成であり、執筆者や編制担当への支援機能のようだ。将来は、ユーザーターゲットによる自動最適化などへ突き進むのか、関心をもって見守る。


 

2017年から18年の1年で、購読視聴者を1400万から2800万人へと倍増させた、米Hulu。同社は既にCMありで月額6ドルに替えて、12ドルでCM非表示オプションがありながら、それをマス訴求して来なかった。いま、プロモーションを始めた理由を、CEOのRandy Freer氏が説明する。

 

「独立系メディアサイト『プロパブリカ』に掲載されたアングウィンの調査報道記事によると、保険会社は規制があるにもかかわらず、いまだに非白人地域の居住者に白人地域に比べて高いプレミアムを課している。リスクが同じ場合でもそうだという」。

——心して読むべき論。テクノロジーと倫理が空中ですれ違う分野が、広がろうとしている。


 

過去15年以上Googleに勤務、Google Newsなどを手掛けた同社distinguished research scientistのKrishna Bharat氏が語る、AIがジャーナリズム、編集部に向けて果たす役割。同氏は、ジャーナリストはスケーラブルでデータ分析的な力をローコストで手に入れることができると、当然ながらAIの肯定面を強調する。

 

「世論という『市場』の変化の風向きを読みながら、1990年代以降、ラジオや、CATVや衛星の24時間ニュースチャンネル(ケーブルニュース)がとくに『メディアの分極化』が目立っていき、現在に至る。
この『メディアの分極化』で、支配階級がメディアの内容をコントロールする状況と同じように、アメリカでもメディアが『ゆがんだ鏡』となりつつある」。——話題になっている『現代アメリカ政治とメディア』の著者が語る、かの国のメディア。この国で起きている問題ではないと言いうるのか。

Disruption This Week—–10/5/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年5月7日から2019年5月10日まで。

【ご紹介】:
私自身が深く関与している団体「JIMA(インターネットメディア協会)」サイトから、連載企画第2弾です。ご一読を。➡ 情報の受け手が進化すればメディアの質も上がっていく——NewsPicks金泉俊輔さん
「NSAI(=国際ナッシュビル作詞作曲家協会)のバート・ハービソンはこう付け加える。『ストリーミングで100万回再生されても数百ドルしか懐に入らないなら、家族を養うことなんてできません』」。

——いろいろと考えさせられる、興味深い論。ストリーミングサービスの出現によって、少なくとも米音楽業界は再興を果たしているはずなのだが、アーティストらはそう感じていない。また、中間の事業者(レーベルや出版社、そして各種団体)の役割も問われることになる。

米New York Times、19年1Q業績を開示。デジタル購読者だけで現在350万人(印刷との計450万人)と、2025年までに1000万購読者獲得に向けたペースを上回る好調ぶりと、自ら解説。特筆すべきは、デジタル広告収入の好調さで、要因としてポッドキャスト「The Daily」の名を挙げる。
何度か紹介しているが、米国メディア界での注目トレンドは、「サブスクリプション」、「ポッドキャスト」、そして「ニューズレター(メルマガ)」だ。この記事が扱う「Inside.com」は、都市ごと、ジャンルごとのテーマを扱うメルマガを50超取り揃えた、注目の新興メディアだ。
大物投資家らが資金面でバックアップ。メルマガという“旧くて新しい”メディアの再興が進む。
ある投資家兼メディアコンサルタントの論。
「“未来のジャーナリズム(メディア)”は小さくあれ」。Instagramで出くわすような、オンラインを根城にする無数の極小ブランドやドロップシッパーのように。ニッチ性とターゲティングを高め、マーケティングすべしとのオピニオン。
New York Timesと並び、テクノロジーの取り入れに熱心な米Washington Post。そのCIOおよびCPO(Chief Product Officer)職を担う技術畑のベテラン、Shailesh Prakash氏への興味深いインタビュー記事。同社内製CMSを年商1億ドルビジネスへと成長させようとする原動力だ。
再認識させられたのは、同氏はJeff Bezos氏が同社を買収する2年前にはWaPoに着任していたということだ。
「右肩上がりで頼みの綱となるインターネット広告も、その50〜70%が海外に流れているという実態は衝撃的だ」。

ーー記事でも触れられてはいるが、国外プレーヤーへの法的な域外適用などに関心を向けるべきだろう。ネットがよい意味でも悪い意味でも越境的な特性があることを前提に、“排外”感情に訴えるアプローチにならないようにしたい。

長年経営に苦しんできた英the Guardianを擁するGuardian News and Mediaが、19年3月期でEBITDAベースの黒字化を実現。寄付や課金メンバー制のプロモーションで、65万人の月額課金ユーザーの獲得に成功。一方で、この3年間に450名の従業員削減を代償としたことも示す記事。
「2006年から現在のスタイルになっているポッドキャストは2018年に最も成長した。3月時点で、米国の消費者の半分以上がポッドキャストを聴いている。ポッドキャスト視聴者が50%を上回ったのはこれが初めてだ。
この数字からすると『The Daily』はまだ成長する余地を残しているようだ」。

ーーポッドキャストとスマートスピーカーとの関連性は、魅力的なテーマだが、米国ではラジオ視聴者規模がスマートスピーカーのそれに対し数倍大きいので、なんとも言えない。やはり(場所や時間帯など)オンデマンド性と、プロバイダの多様性が魅力なのだろう。

「これは『デジタル・ストーリーテリング(Digital Storytelling)』と呼ばれ、新たなニュースの方法論となりつつある。縦型映像も、デジタル・ストーリーテリングをスマホで展開する上で効果があるとして、BBCやアメリカのメディアなどが活発に仕掛けを始めた分野だ」。

——奥村伸幸氏が、さまざまなニュース表現手法を「デジタルストーリーテリング」として、総合的に解説。必読の記事。

Disruption This Week—–22/3/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年3月18日から2019年3月22日まで。

仏大統領選をめぐって誕生したファクトチェックメディア「CheckNews」、昨年、Pierre Omidyar氏率いるファンドから5万ドルの拠出を得て、また、“黄色いベスト運動”の渦中で、事業を3倍にまで拡大。月間PVが1,100万、検証依頼8,000件、回答数1,600件の実績を積み上げる。
英国では、昨年、録音楽曲市場におけるレーベルへの収入は、ストリーミングからが54%、8億7000万ポンドと過半を超えた。一方で、CD販売からの収入の落ち込みは続いているという。
【ご紹介】:
月一回の日経MJ紙への連載が日経電子版へ掲載されました。よろしければどうぞ。➡メディアに「メルマガ・ルネサンス」!? 読者との絆、復活の切り札
米Deloitteが例年実施している「Digital Media Trends Survey」を今年も発表。米消費者の、特に若者を年代層別にセグメントし、そのエンターテインメントの環境を調査する。若い消費者にとり、満足もフラストレーションもサブスクリプションから生じているようだ。
“太古”から続くソーシャルメディア、それは「メルマガ(eメールニューズレター)」だとするNYTのテック系編集者氏。数々の事例を挙げながら旧くて新しいメディアの最新トレンド「メルマガ」の現状を語る。
「なぜ、このような事態になってしまっているのだろう。それは、グーグルがイデオロギーにとらわれているからではない。同社がアルゴリズムを使って政治に関するみんなの疑問に答える『危険な火遊び』をしていることが原因だ」。

——この「危険な火遊び」とは、ネット上の言説は、集合的な規模において、良質性と信頼性を担保できるレベルにあると見なしてしまうことにある。実は、「遍在」的というよりも「偏在」的で、これをうまく処理するには、まだテクノロジーにはナイーブ面がある。

Google、米サンフランシスコで開催中のGame Developer Conferenceで、新たにストリーミング型ゲームプラットフォーム「Stadia」を発表。ゲーム本体はクラウド上にあり、Chromeをサポートする各種デバイスで実行可能。ハードとしてはコントローラを販売する程度だという。ビジネスモデルへの情報を書いているが、Google Playの流れから想定すれば、In-App広告(課金)からサブスクリプションまで想定できそうだ。
ジャーナリズムが直面する二正面戦、すなわち経済的な課題と信頼性の担保を、ブロックチェーン技術をテコにノンプロフィットで支援しようとする、Civil Media Foundation。CEOVivian Schiller氏に突っ込んだインタビューを行った記事。「フェイクを信じるのと、ブロックチェーン技術に過度な期待をするのは、同じ心理ではないか?」など、後半はシリアス。
米老舗(そして、中堅規模メディア)「The Atlantic」の広告収入路線か、ペイウォール制かの戦略的混乱の指摘から始まるオピニオン。多くのメディア人には、ペイウォール(=読者課金)への妄執が見られるが、品質面で徹底的に差別化できなけれ未来はないとの議論でもある。
米国内地方紙の惨状を解説する記事。現在も100もの地方紙を傘下に置くGannettが、ヘッジファンドの標的になっているが、その手法は、安価に買収、その後、極限まで人員やコストを削減し、系列化したりして、その後の売買価値を上げる。2004年からの15年間で、600媒体が消滅もしくは名称変更した。もちろん、地方紙のゴースト化、もしくはゾンビ化が引き起こす課題は重い。
こちらもFacebook関連の話題。米「The Verge」Casey Newton記者は、Facebookの長い間プロダクト責任者だったChris Cox氏の退任や話題となったMark Zuckerberg氏の長文ブログは、FacebookとInstagramのニュースフィード時代の本格的な終えんを示すものと解説する。

Disruption This Week—–1/3/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年2月25日から2019年3月1日まで。

アメリカレコード協会(RIAA)、2018年の米国のレコード音楽産業収入を発表。サブスク型音楽ストリーミングが絶好調で、対前年比40%増とけん引、産業全体で98億ドルへと成長(前年比12%増)。この10年間でも最大となった。

2018年「日本の広告費」は6兆5300億円 インターネット広告の二桁成長続く | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議

AdverTimes(アドタイ)宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム

 

 

「2018年のマスコミ四媒体由来のデジタル広告費は582億円で、中でも出版社由来のデジタル広告費(雑誌デジタル)は337億円で二桁成長となった。出版社系デジタルメディアの成長、出版社のデジタルトランスフォーメーション、多様なコンテンツホルダーとしての大規模な事業開発により、新領域ビジネスの伸長が期待されている」。

——恒例の電通による日本の広告費、2018年版。試みとして興味深いのは、年々収縮が続く四マス関連広告費について、ネット広告分を示したこと。雑誌分野でネット広告の成長が見られる。

 

 

米国消費者による“コード・カッティング(CATV離れ)”を調査したCordcutting.comが、Netflix、Amazon、Huluの利用者の20%は、家族や友人のユーザー登録を借用していると発表。その“損害額”は、Netflixだけでも年間20億ドルを超えると算出。サブスク市場の課題とも言えそうだ。
「18年度の電子出版市場規模は2479億円で、前年比11.9%増。
それらの内訳は電子コミックが1965億円、前年比14.8%増で、その占有率は79.3%に及び、来年は確実に売上とシェアは2000億円、80%を超えるであろう。
それに対して、電子雑誌は193億円、前年比9.8%減で、200億円を割り、シェアは7.8%となった」。——それが喜ぶべきか悲しむべきかは別とすると、ブログ筆者が語るように、日本の電子出版市場はいよいよ「電子コミック市場」との色合いを深めている。ブロッキング問題が、そのまま出版産業の存亡論議へと短絡するのは、これが背景になってもいるのだろう。

 

 

米国のCenter for Media Engagementが実施した調査によると、ジャーナリズムが掲出した記事末に「記事はどう作られたか」という小型のコラムを設けて説明を添えるだけで、メディア、記事に対する読者の信頼などのエンゲージメントが改善されるという。

 

 

ゲーム体験に大きな転換期。Xbox LiveやPlayStation Plusの時代には、ディスク購入(所有)型ビジネスは縮小。ゲームにおけるサブスクリプション型ビジネスの時代について、EAのキーパーソンらが語る。

 

 

電子版事業で他社が羨む好業績を続けるNew York Times。CEOのMark Thompson氏への最新インタビュー。徹底したブランド(マーケティング)、女性読者を意識したスタッフ編成、そして、購読者獲得やエンゲージ強化の施策をピンポイントで次々と実施していることなどを語る。

 

 

ニュース記事、その品質的な価値を、AIによってスコア化できるか? 欧州のジャーナリストが立ち上げた「Deepnews.ai」という方法論とその開発の現状をリポート。ディープラーニングを用いた品質評価は、人間による評価と比較し「80%」程度の精度に到達したとする。
「デジタル中心に移行することが、新聞社の『働き方改革』に繋がっているように思います。
まず夜は随分早く仕事を終えるようになりました。深夜に締め切りがあると、どうしても『ギリギリまで頑張ろう』『最後まで会社にいないと……』という意識が働いてしまいます」。——読みどころが満載のインタビュー記事。デジタル化、購読ビジネスなどを志向するメディア担当者は参照すべき。

「ニュースレターは最先端のデジタルプロダクトとはいえないだろうが、デジタルメディア業界きっての成功事例の数々を支えた。例えばAXIOS(アクシオス)は、eメールのニュースレターをコアビジネスに据え、2400万ドル(約26.5億円)の売上と損益分岐の達成を発表」。

——Morning Brewのビジネスの中核は、ニューズレター(メルマガ)。開封率の高い良質なテーマごとの購読者をターゲットできる点で、広告と購読がオーバーラップする興味深い分野と言える。

 

 

ご紹介】:米メディア「Axios」のビジネスを論じるブログポスト、後編を書きました。よろしければどうぞ。➡Axios:購読者獲得、グロース戦略を語る[後]

Axios:購読者獲得、グロース戦略を語る[後]

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