Disruption This Week—–24/6/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年6月20日から2022年6月23日まで。

グーグル・ニュース、スペインで8年ぶり再開
「スペイン政府は昨年、2020年に改定された欧州連合(EU)の著作権規則を法律に移項。メディア企業がハイテク企業と直接交渉できるようにした。
これを受けてグーグルはサービスの再開方針を表明していた」。

——Googleのスペインからの撤退ぶりは歴史に残るものだが、取引スキームができたことで、ようやくサービス再開。同社は「スペインでできるだけ早期にニュースパブリッシャーに対価を支払う仕組み『ニュースショーケース』を始めるとしている」そうだ。

U.S. digital newspaper ad revenue expected to surpass print by 2026
米PwC、米国の新聞社におけるデジタル版広告収入が印刷版を、2026年には追い抜くとの調査を公表。チャートを見れば分かるように、デジタル版広告が急増する楽観シナリオではなく、印刷版の低減によるものだ。調査担当者は、「デジタル化への意欲の差ではない」と述べる。
EU、「偽情報に関する行動規範」改訂版を発表--ディープフェイクなどの抑止を強化
「欧州連合(EU)の欧州委員会は現地時間6月16日、偽情報の流布を食い止めるための規則を全面的に見直した改訂版を発表した。EUが強化したのは「偽情報に関する行動規範」(Code of Practice on Disinformation)で、この規範に署名しながら対策を講じなかった企業は、世界売上高の最大6%にあたる罰金を科せられることになる」。

——重要な動き。そもそも同規範に署名しなければ、罰金を科せられることもないのだろうが、これから逃れることはIT大手にとって、欧州での経済活動に支障があるということだろう。「大手テクノロジー企業では、Meta Platforms、Google、TikTok、Twitterなどがこの規範に署名している」とある。Appleを除く勢力が集合している。

The Washington Post is not selling its software business, despite offers
米Washington Postが外販するクラウド型パブリッシングソフトarc XP。同ソフトウェア事業はすでに数百億ドルの評価を受けているが、同社はいまだ黒字化されていない事業に投資を加速する意思と同社幹部らがコメント。近い将来、同社最大の収入源へと成長すると期待。
【3分解説】なぜ食べログ「敗訴」は大問題なのか?
【有料購読者向け記事】:
「例えば、YouTubeの場合、動画がサイトの上部に表示されるかどうかは再生回数を大きく左右するだろう。クリエイターの収入に直結するため、アルゴリズムの変更は死活問題で、食べログと同様の問題提起がなされてもおかしくない」。

——良い意味でも、そしてそうでない意味においても、アルゴリズムが果たす役割は、現在、ネットを泳ぐために決定的に大きい要素。そのぜひをめぐる判例でもあり、とても重要なケースだ。

「ニセ・誤情報に騙されないために」 総務省がネットリテラシー教材を公開
「総務省は偽情報や誤情報について、メディアリテラシーと情報リテラシーを掛け合わせた『メディア情報リテラシー』の向上が必須とし、各国の政策を調査。有識者と共に教材と効果検証手法を開発した」。

——作成された資料のなかには、「その分野の専門家?」というページもある(サムネールで表示されているページだ)。信頼性を測る指針として、「その情報は、専門知識や必要な資格を持った人が、責任を持って発信しているか?」などをあげている。茶化すつもりはないが、「専門家」「専門知識」を基準にして信頼性を測ることの難しさを感じている自分としては、違和感が強い。

Trends in US news media 2022: Subscriptions, trust, newsletters and more
最近公開されたReuters Institute「Digital News Report 2022」のリポートに関連する話題。調査によれば、ニュースにお金を払う米国人の約56%は、2つ以上のタイトルを購読。全国紙と地方紙の組み合わせが多いが、政治、文化系雑誌を組み合わせるパターンも見られる。
Community building platforms for publishers: Facebook Groups vs. Twitter Communities vs. Discord | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
メディア運営者がコミュニティを運営、強化していくため選択すべきプラットフォームはどれか? Facebookグループ、Twitterコミュニティ、そしてDiscordの利点とマイナス点を実践的に検討する記事。Discordが評価されるが、万人向けではない面もあるとする。
Leaked Audio From 80 Internal TikTok Meetings Shows That US User Data Has Been Repeatedly Accessed From China
米TikTokの複数の社内会議の録音が漏えい。解散する米BuzzFeedによる衝撃のリポート。
「『中国ではすべてが見られている 』と、2021年9月の会議でTikTokの信頼・安全部門のメンバーが発言。別の会議では、ディレクターが北京にいるあるエンジニアを 『マスター管理者』と呼び、『すべてにアクセスできる 』と述べた」。
まさにTrump前大統領がTiktokについて懸念を表明していたとおりの実態が暴露された。
「ニュースを見るのが嫌」38%のユーザーが伝えたい、その切実な本音とは?
「その理由は何か。
最も多かったのは、『政治やコロナの話題が多すぎる』(43%)だ。次いで『ニュースを見ると気分が落ち込む』(36%)、『大量のニュースに疲れる』(29%)、『ニュースは信頼できない・偏向している』(29%)、『論争に関わりたくない』(17%)、『自分にできることは何もないから』(16%)、『時間がない』(14%)、そして『難しすぎて理解できない』(8%)」。

——すでに紹介したReuters Instituteによる調査結果を論じた平 和博氏の論。「ニュース忌避」と自分は呼んでいるが、重視しなければならない現象だ。実はニュースをめぐる両極的な“分断”以上に大きな問題が潜んでいるのではないか。

鼎談「これからのメディアリテラシー教育、そしてメディアについて」第1部~メディアリテラシーの課題をめぐって - スマートニュース メディア研究所 SmartNews Media Research Institute
【ご紹介】:
最近参加したスマートニュースメディア研究所で、メディアリテラシーをめぐる討議を行いました。専門家の方々の議論をモデレートすることできました。よろしければご一読を。➡ 鼎談の第1回

Disruption This Week—–25/2/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年2月21日から2022年2月25日まで。

Twitch creates new program to pay streamers more reliably
ゲームなどのライブチャットで人気の米Twitch、同社が指定し、広告収入を支払うストリーマに対して、単純なレベニューシェアではなく、最低保証額を盛り込んだ「Ad Incentive Program(AIP)」の導入を計画中。記事はこれをストリーマ向け“ベーシックインカム”だと紹介。
Digital giants eye magazines to spur growth
米雑誌市場の推移をPwCが調査。その売上規模は、過去5年間で20%以上減少。他方、今後5年間はオンラインメディア企業による買収や自らデジタル化するなど、減少は鈍化すると予測。また、消滅する媒体もある一方、新たなオンライン雑誌も誕生するとのオピニオンも紹介する記事。
2021年 日本の広告費 - News(ニュース) - 電通ウェブサイト
「インターネット広告費については、1996年からの実績について1997年に推定を開始して以来、継続的に高い成長率を維持し、2021年には2兆7,052億円、前年比121.4%となり、マスコミ四媒体広告費(2兆4,538億円、前年比108.9%)を初めて上回った」。

——シンプルに言って、デジタル広告(インターネット広告)は、四マスの広告費の総計を上回る規模へと成長した。
とはいえ、20年にはすでにほぼ拮抗する状態だった。新型コロナによる影響から立ち直ろうとする21年に、大きく抜き去ったかっこうだ。21年は20年同様に、雑誌の書店販売などが滞ったりと外出系の不調などが効いたか。

Who Is Policing the Location Data Industry? – The Markup
日本でも“人流データ”分析などスマホGPSデータの活用が盛んだ。米テック関連調査報道のThe Markupは、位置情報収集ビジネスの隆盛と、それを取り締まる制度が未整備なこと、データ収集がますます巧妙になっていること、プラットフォーマらのスタンスなどをリスクとして検証する。
ロシア側動画に自作自演の跡 SNSで拡散、フェイクか
「SNS(交流サイト)で流れた『ウクライナによるロシア、親ロシア派支配地域への侵入』とされる複数の映像は、フェイク動画の可能性があることが日本経済新聞や英調査報道機関ベリングキャットなどの分析で分かった。米欧はロシア側への攻撃を自作自演する『偽旗作戦』とみている」。

——ウクライナによりロシアの攻撃とする偽映像、それを主張する情報の根拠など3つの事例をOSint(オープンソース調査報道)的手法で批判したもの。雑だが大量にこの種の偽情報が生成されては、世界に流れ出しているというわけだ。

偽プレスリリースに「認知作戦」の影 サイバー情報戦の謎に迫った:朝日新聞デジタル
【全文閲読には要購読】:
「取材を進めると、日本と台湾を舞台に偽情報が飛び交う、『情報操作戦』とも言える実態が見えてきた。安全保障に詳しい専門家も、ネットを活用した『ディスインフォメーション(偽情報)』による『対日影響工作』の一端が初めて明らかになったとして、注目する」。

——日本と台湾を標的とする偽情報工作のありようを浮かび上がらせる執念の調査報道。日本の新聞社からも、こんな種類の記事が発せられるとは。

オトナル、朝日新聞社と共同で「ポッドキャスト国内利用実態調査2021」を実施。使用サービスはSpotifyがApple Podcastを抜いてトップに
「ポッドキャストを聴く方法・聴くプラットフォームではオーディオ ストリーミングサービスのSpotifyが34.9%でトップでした。続いてApple Podcast(29.7%)、Amazon Music(24.0%)、Webサイト(18.5%)、Google Podcasts(14.6%)の順で使用率が高い結果となりました」。

——紹介するのが遅くなったが、ポッドキャストをめぐって国内市場の動向を調査した貴重なリポート。前年にはトップだったApple Podcastが首位を明け渡すという現象。いかにSpotifyがこの分野に力を入れているかの証左でもある。

「広告のFacebookの離れ」が加速、「広告戦争の敗者」と大手紙
「報道各社が指摘しているのが『広告主のFacebook離れ』です。前述のようにFacebookの広告事業は今後低迷するという見通しですが、Googleは2021年第4四半期決算において検索広告売上高が前年同期比36%増に達したと報告。Amazonも広告売上高が前年同期比32%増と、Microsoftも2021年度第2四半期においてLinkedInの広告収益大幅増とそれぞれ明かしています」。

——22日に紹介したFacebookから多くの広告主が逃げ出しているという報道。日本語のまとめ記事が出たので改めて紹介しておく。引用箇所は、Facebookから逃げ出した広告主らが他プラットフォームに移行したことで、他社は増収というコントラストを示す。

「ロシア連邦の支配地域、ルガンスクの指導者、パセクニク氏の“避難指示”の動画のメタデータによると、これが録画されたのは、公開の少なくとも2日前、2022年2月16日だ。それは、ロシアが『ウクライナが攻撃を開始した』と主張したよりも前、ということになる」。

——ロシアによるウクライナ侵攻が間近とされる流動的な状況下、“親ロシア派”勢力の指導者が、ウクライナによる攻撃が始まったとする緊急声明が、数日前に用意されたものだとウクライナのファクトチェッカーが指摘、話題となっている。つまり、ロシアによって用意されたシナリオどおりに状況が進展していることの証左というわけだ。動画データに付加されているメタデータを読み取っただけのシンプルな検証だが、いかにデジタルリテラシーが重要かという点で大きな学び。

Giving the VR Olympics another chance
米Axiosのメディア担当Ina Fried氏が北京オリンピックのホッケー競技をVR中継アプリとテレビ中継で見比べてみた記事。VRではヘッドセットを付ければ、選手らを間近から見たり、競技場全体を見回したりできる一方、観戦中リラックスできない、何を観ればいいのか精神的負担が増えたという発見も示す。
【ご紹介】:
2年前執筆の論ですが、再掲します。稚拙ではありますが、精いっぱいメディアの現況と原理を考え抜いて書いた記憶があります。当時声をかけていただき、今回も転載に快く応じていただいた「α-Synodos」の芹沢編集長に感謝します。
書評:ネット時代を生きる「情報の受け手と送り手」双方の必読書——坂本 旬、山脇岳志『メディアリテラシー 吟味思考(クリティカルシンキング)を育む』 - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着記事です。私も執筆に関わった『メディアリテラシー 吟味思考(クリティカルシンキング)を育む』の書評です。
「ジェンダー問題」扱う作品がヒット、スマートニュース子会社は調査報道の救世主となるか | DIAMOND SIGNAL
【ご紹介】:
調査報道コンテンツの配信に特化したスマートニュース子会社のスローニュースをDiamond Signalが取材しました。この1月にニュースアプリSlowNewsをリリースしたところです。

Disruption This Week—–24/12/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年12月20日から2021年12月24日まで。

Biggest media industry stories 2021: The media's year in charts
英国のPress Gazetteがまとめたデジタルメディアの2021年(2020年との対比)。各種分野でのチャートがわかりやすい。目に見えるチャートでも、購読者数の推移でNew York Timesが群を抜いて成長、かつ絶対数としてもダントツ1位だった。
メタが明らかにした民間監視会社の実態、5万人が狙われていた
「メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)が新たに公表した調査結果から、『傭兵スタイル』の民間の監視・ハッキンググループが、フェイスブックやインスタグラムを使って100カ国以上で5万人を監視していたことが判明した」。

——すでにメタは、イスラエルのスパイ企業NSO Groupと係争関係にあるが、12月に発表された今回のリポートでは、NSO以外の多くの企業名が公表されている(イスラエル発の企業が多い)。具体的な手法は示されていないが、要はFacebookを通じて収集できるプロファイリングや、ターゲティング広告などを利用しているのだろう。

A Chart of Twitter’s Creator Economy Deals; Instagram’s Mosseri Explores NFTs
【有料購読者向け記事】:
Twitterは驚いたことに、この1年間を通じて10社もの買収を手がけた。「Breaker」(音声SNS)、「Revue」(ニューズレター)、「Threader」(まとめ)などで、いずれも“クリエイターエコノミー”に関連するものだと指摘する記事。
2021年、欧州のメディア企業を対象に、Google News Initiative(GNI)やFT Strategiesらが8か月かけて取り組んだ実験と実践の報告を要約した記事。リポートはデジタル購読者の獲得をめぐるもの。その成果は大きいが、成功組と失敗組の乖離も大きかった。成功要因を整理する。
ツイッター前CEOが抱くネット革命の野望
【有料購読者向け記事】:
「インターネットをウェブ3に作り変える長年の試みの多くは依然、初期段階にとどまっており、いずれ何らかの実を結ぶかどうかは判断できない。ドーシー氏は、暗号資産への執着が現在のような崇拝に達する前の2019年、ツイッターによって『オープンで分散化されたソーシャルメディアの基準を開発する』プロジェクト『ブルースカイ』を発表した」。

——現在のWeb3.0への熱狂を、可能性と懐疑の視点で詳解する記事。このトレンドへ熱中する最大の主人公は、Twitterを離れた創業者のジャック・ドーシー氏だ。

ネットで拡散止まぬ誤報、
背景にFBとグーグルの資金
【有料購読者向け記事】:
「世界中のクリックベイト・ファーム(製造所)は、プラットフォームのこの(Facebookインスタントアーティクルの)欠陥に飛びつき、現在も戦略的に利用している。
ミャンマーでは一夜にして、多くのクリックベイト・アクターが誕生した」。

——Facebook、そしてGoogleが放置している欠陥によって、広告収入で荒稼ぎしている勢力が世界中に拡散している。

ニールセンが2021年日本のインターネットサービス利用者数/利用時間ランキングを発表
「新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもりが長期化する中、在宅時間を楽しむ主なエンターテインメントとして、インターネット動画の視聴が習慣化している。実際、利用者数以外の指標であるGRPと利用時間シェアに着目すると、リーチでは4位だったYouTubeがGRPと利用時間シェアともに1位となった」。

——興味深いデータが並ぶ。シニア世代へのネット利用が浸透しており、消費時間が伸びていくことは、これからのマーケティング(投資)を見直すポイントになりそう。

Information wants to be free, but digital property won’t be
米アトランタのローカル紙がNFTを売り出したの題材に、2022年のメディアとWeb3を展望する記事。数年後には、現在のWebサイトやブログ同様、これからは誰でも(花屋や理容師が)がNFTベースのデジタル資産を売り出すようになると予測する。
Media 3.0: The news creator economy arrives
「メディア3.0:新たなクリエイター経済の到来」。米Boston Globeの読者担当責任者が、個人としてのジャーナリストが 利用可能なツールやサービスが22年には更に増え、20世紀的メディアの硬直的な制約から解き放たれるだろうと論説。
WSJ News Exclusive | Washington Post Grasps for New Direction as Trump-Era Boom Fades
【有料購読者向け記事】:
米Wall Street Journalが同Washington Postの内情をスクープ。WaPoはトランプ政権以降、読者の政治ネタ離れによる購読者の停滞と非購読者の減少(2年間で35%減と記事は指摘)に悩まされ、トップレベルによる対策会議を最近開催したという。焦点は政治外のコンテンツの充実だ。
メディアリテラシー - 時事通信出版局
【ご紹介】:
私も執筆陣に加わった『メディアリテラシー 吟味思考 (クリティカルシンキング) を育む』が発売になりました。大冊で読みごたえのある書物に仕上がりました。ぜひ書店などで手に取ってみて下さい。私の担当は、「第1章 激変するメディア 」です!
スマートニュース、メディアリテラシーの授業実践例を新たに5本公開・・・小中高・大学向けに合計10本を無償ダウンロード提供 | Media Innovation
【ご紹介】:
先ほどの『メディアリテラシー』も含み、スマートニュースメディア研究所による活動が、複数公開されています。教育分野での社会貢献の動きです。
インターネットメディア協会が「Internet Media Awards 2022」 心と社会を動かした信頼おけるコンテンツを募集 | Media Innovation
【ご紹介】:
私が理事をつとめるインターネットメディア協会(JIMA)では、2021年の優れた、かつ、信頼できるコンテンツや取り組みを顕彰する「Internet Media Awards 2022」を実施しています。締め切りが近づいています。ぜひ応募をお急ぎ下さい。
[実践]ノーコードでふるさと納税データを地図に可視化する - Media × Tech
【ご紹介】:
私も編集に携わっている「Media×Tech」から新着。東洋経済オンライン「新型コロナウイルス国内感染の状況」に携わり、現在はスマートニュースメディア研究所の荻原和樹さんがデータビジュアリゼーションを平易に解説しました。メディア実務家必見です!

Disruption This Week—–27/11/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年11月24日から2020年11月27日まで。

 

 

この夏設立された韓国の個人情報保護委員会、Facebookが韓国国内で、2012年から18年の間に、ユーザの少なくとも330万人の個人情報を無断で売買していたとして、60万ドル以上の罰金を科した。刑事捜査にも入ったという。争点は、Facebook認証を用いてサードパーティサービスを利用したユーザの友人のデータまで提供された、というCA事件と相似の事象だ。

 

 

オンラインゲームの隆盛とともに急発展したライブチャット(ストリーミング)の「Discord」、時価総額70億ドルで資金調達へ。注目すべきは、記事中にもあるが、もはや「ゲームの…」という冠が不要のコミュニケーションやメディア基盤へと成長しつつある点だろう。

 

 

「有料オンラインライブを視聴した感想としては『生のライブに行ってみたくなった』が24%と、オンライン上での体験が実際のライブ会場へ足を運ぶきっかけになり得ることがわかった。一方、ネガティブな感想としては『生のライブのような臨場感がなかった』という声が挙がった」。

——オンラインとオフライン、トレードオフの関係ではなくなれば、将来、ライブ市場はより拡大する。その方向感を意識させられた調査結果。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「月1800万人が利用するニュース情報サービス『LINE TODAY』で、19年7月にファクトチェックのカテゴリーを新設した。真偽を確かめたい文章やサイトのURLを利用者が投稿すると、ファクトチェックを行う連携先の4団体で専門家らが調査する」。——プラットフォーム自らファクトチェックを行う。懸念もあるアプローチ。第三者のファクトチェック団体とのつなぎ込みが良策と思うが。

 

 

「英語にて実現している精度に匹敵する、またはそれ以上の、日本語の超巨大言語モデルを創出してまいります。
開発された超巨大言語モデルは、新しい対話AIの開発や検索サービスの品質向上など、AIテクノロジーブランド『LINE CLOVA』をはじめとするLINE社のサービスへの活用のほか、第三者との共同開発や、APIの外部提供についても検討予定です」。——自分的に昨日最大のニュースは、これ。GPT-3が大きな話題を呼んでいるが、なにせ、日本語に特化した言語モデルは、なかった。世界最大級のデータを駆使した言語モデルが日本語上で創造されるとすれば…、その先の活用を考え始めてもいいかもしれない。

 

 

今どきの“ソーシャルメディア”アプリは皆、似たもの同士に。Axiosがまとめた12のSNSサービスやアプリ。DMはもちろん、ストーリーやフィルタなど、打ち出している機能がどんどんと共通化してきている。

 

 

2016年大統領選以後の“Trump景気”でデジタル購読者を伸ばし続けてきた米New York TimesとWashington Post。それぞれ2016年以降の購読者は3倍増に。しかし、両者は異なる戦略を採り、いよいよ“ポストTrump景気”局面を迎えることになる。

 

 

【有料購読者向け記事】:
ある分析によると、Facebookは2015年以降、前期比(四半期ベース)30%以上の広告配信増量を果たしてきた。同時に、配信が伸びれば単価が下がる明瞭な兆候。ついに同社広告ビジネスの曲がり角が到来か? 記事は、友達の投稿だけでは足りないとする。

 

 

「バズフィードのペレッティ氏は、ハフポスト買収をめぐるリコードのインタビューに対し、『(ニューヨーク・タイムズの)デジタル課金ビジネス(サブスクリプション)モデルは、特定のグループ、特定の読者に限定された新聞にしてしまい、幅広い大衆のための新聞であることを妨げている』と指摘する」。

——インターネットメディア時代のオリジナルなメディアとコンテンツを支えていた有名どころ編集長や論説家が、次々と創業メディアを去っていく。一方で、それを次々と取り込むNYT。次にメディアのエコシステムに到来することとは……。

 

 

Apple、中堅事業者へのApp Storeの仲介料率ディスカウント(30%→15%)を発表したばかりだが、同時に、購読者獲得のためのキャンペーンコード提供サービスも発表。App Storeで生成するオファーコードを用いれば、パブリッシャーは割引アサービスをシームレスに提供できる仕組みだ。Appleからする、パブリッシャーが発する不協和音打ち消しの動きだ。

 

 

【ご案内】:
自薦・他薦いずれも可です。JIMAが創設した「Internet Media Awards 第1回」、これはと思われたインターネットコンテンツやメディア、そしてプロジェクトをご推薦下さい。
JIMA会員でなくても応募可能です! 自分にも応募したい作品やプロジェクトがいくつもあって、関係者が投稿していいのか悩み中です。

 

 

【ご紹介】:
少々以前の記事ですが…。スマートニュースメディア研究所が取り組む「メディアリテラシー」。研究主幹の山脇岳志が、解説します。

Disruption This Week—–20/11/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年11月14日から2020年11月20日まで。

 

 

「Googleによれば、YouTubeでミュージックビデオを視聴するユーザーは月間20億人以上で、このうち15%近くは画面を見ていないという。音声広告を活用することで、YouTubeで音声だけを聴く層にも広告でアプローチできるとしている」。

——YouTubeの規模で全MAUの15%は大規模だ。Spotifyの強敵は、実はYouTubeなのではないか。Google Play Musicが終了というのも、納得だ。

 

 

驚きのニュース。米BuzzFeedが同HuffPostを買収へ。Verizon Mediaと大がかりな資本取引。BFのCEO、Jonah Peretti氏は、以前より、インターネットメディアが直面している経済危機に対して、大きな合従連衡をつくり出す必要を唱えていた。“買収される”ことも容認する発言をしていたが、する側に回ったようだ。両者、もしくはVerizonを交えた大きなコンテンツネットワークを生み出そうとする試みのようだ。

 

 

広告中心の事業モデルが限界に突き当たり、また、コロナ禍でマーケティング費用が縮小するなか、改めてリード生成事業モデルにスポットライト。Lead Monitorが公開したホワイトペーパーのポイントを要約した記事。テクノロジーと同じくらい、コンテンツの力は重要とする。

 

 

「テーブルを囲んでいたすべての編集者は、何が購読を促進し、何が山のようなページビューをもたらすか、という推測ゲームに参加していたが、単なる推測だけで、リーチとサブスクのトレードオフを見極めることに長けている編集者はほとんどいなかった」。
こうして始まったカナダの伝統的メディア「Globe and Mail」社内で始まったサイエンティストらが主導するAIによる分析・予測システム「Sophi」プロジェクトが始まった。「結果は驚くべきもので、最終的には数百万ドルの収益増になった」とする。ポイントは、“どの記事を有料化するか”だった。

 

 

「この結果に対し、同社は『若干の抵抗を生じさせ、会話に参加する意味や追加する内容について人々に少し考える時間を与えた』『情報の共有量全体を減らしたことで、誤情報の拡散を抑制した』と結論付けた」。

——Twitterが試みた“スローニュース化”、一定の成果があったという。とはいえ、分断のトレンドに効果的に切り込むアプローチが見つかったわけではない。良質な視点、知識に出会いやすくする手法の開発を進めていく必要がある。

 

 

「アップルはソフト配信基盤の『アップストア』を使う開発者に対し、売り上げの30%をアプリ配信手数料として徴収している。今回、20年のアプリ販売額合計が100万ドル(約1億400万円)以下の企業についてはこれを半額とすることを決めた」。

——現在は、30%の“Apple税”を嫌い広告収入に頼り、App Store経由での売上を立てていないアプリ提供者は、自動的に対象となるのだろうか? だとすると、自分の関心事であるメディア業界でも、アプリを通じた購読ビジネスにシフトする動きが高まる可能性がある。

 

 

米Vanity Fairが“Substack現象”を詳しく論じている。ある気象関連のニューズレターを刊行するライターは、Substack上で今年23万ドルの収入を得たという。読者25万人以上に対し、数千人のライター、専門家が集う決して大きくないネットワークが過熱している。

 

 

サードパーティCookieが利用不可となる時代に備える話題。米Penske Media傘下の主要タイトルでは、ファーストパーティデータ活用を導入し、CPMを前年比20%増加させたとの話題。データの分析活用はもちろん、広告主との緊密な関係が重要とする。関係者はまだ初期段階と述べる。
コンテンツ(広告)レコメンドのOutbrain社内から、最近過熱気味のニューズレターキュレーションアプリ「Listory」が誕生。文字通り、(無料ベースの)ニューズレター1,000本以上を収集して、ユーザにレコメンドする。スタート時、ユーザに謝礼を払いニューズレターを推薦してもらう「Listory Challenge」キャンペーンを実施するというのが興味深い。

 

 

Google News Initiative、欧州のメディア業界団体やFT調査部門と組み、メディアのサブスクリプション事業モデルへの転換を推進するためのイニシアティブを今年、組成。さまざまな課題を整理したフレームワーク「北極星モデル」を公開。従来型の数量重視のモデルから、読者のための価値創造型事業への転換に大きなギャップと課題があることを指摘。

 

 

【お知らせ】:
楽しみにしてきた企画、来週開催です。会員メディアの方々は、ぜひご参加下さい!

 

 

【ご紹介】:
インターネットメディア協会(JIMA)が、Internet Media Awards 第1回の応募作品を募集中です。JIMA会員・非会員に関係なく候補作を推薦・応募できます(自薦他薦とも可)。6つのカテゴリーを通じて、良質なインターネットメディアの営みを顕彰するプロジェクトです。ご応募をお待ちしています!