近づく「デジタルジャーナリズム・フォーラム2016」。そのインサイドストーリーを語る

3月11日・12日の開催が近づく
「デジタルジャーナリズム・フォーラム2016」。
その出発点とは何か。何を求めているのか。
そして、何に注目すべきなのか。運営スタッフのひとりとして、解説する。

業界や業態の壁を壊す変化

——聞き手(以下、Q): そもそも「デジタルジャーナリズム・フォーラム2016」(DJF2016)って何ですか? 何をめざしているんですか?

藤村: 新聞、放送、出版、ネットメディアに、一様にデジタル、特にモバイルの大きな変化が、押し寄せてきています。私自身は2000年からネット専業メディア、つまり、デジタルメディアの設立や経営に携わってきた経験があります。でも、その自分にとってさえここ数年の変化の早さに驚かされます。
このような変化の大きな要因、背景には、モバイルデバイスの普及があるでしょう。広義にはテクノロジーの影響が大きいと言えます。ソーシャルメディアの発展も見逃せません。あるいは、その底部に、私たちをとりまく国際的な関係や経済・社会の新たな段階、さらには、3.11とその後の混乱がメディアに突きつける課題もあるはずです。
ともかく、注目しなければいけないのは、これらがメディアの業界に対して横断的に、そして同時的に影響を及ぼしているという点です。

「ジャーナリズム・フォーラム2016」Webサイト

「ジャーナリズム・フォーラム2016」Webサイト

DJF2016 は、この横断的に起きている変化に対し、まさに横断的に知識を得たり、課題を議論できる場づくりを求めて企画しました。
貴重な知識を得るため“聴講する”種類のセッションがある一方で、自ら積極的に参加するための“ワークショップ”企画もあります。また、自由な交流をうながす場づくりも意識しています。

私たちを取り巻く変化は、否応もなく業界や業態の差異といった壁を突き崩そうとしています。それに抗する私たちにも、横断的な問題の共有や取り組みが求められるものと思います。

出発点は2つの出会いから

—— Q: なにか模範にしたスタイルがあったんですか?

藤村: はい。念頭に置いてきたのは、「ONA」(Online News Association)という、非営利のジャーナリスト団体が開催するカンファレンスです。米国を中心に、メディアやジャーナリズムに関わる経営、編集、記者、そして技術者らが一堂に集合する大規模なもので、充実したセッションも魅力ですが、それ以上に、参加者どうしの出会いや交流の場が魅力的です。

ONA自身のカンファレンス風景。多種多様なセッションが繰り広げられる(ONA15より)

ONA自身のカンファレンス風景。多種多様なセッションが繰り広げられる(ONA15より)

何回か、ONAが実施するカンファレンスに参加しながら、こんな内容と雰囲気のイベントをぜひ東京でも実現したいと思い始めたのです。
もうひとつ、意識したのが「ジャーナリズム・イノベーション・アワード」です。これは2015年1月に第1回が開催されました。日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)が主催するもので、報道作品の展示と顕彰(アワード授与)を行うものです。国内を対象に、ネット時代のイノベーティブな報道作品を展示し、来場者の投票などからアワード作品を選びます。こちらも、帰属する組織の大小や知名度に関わりなく作品を出展でき、評価を得ることができる画期的な空間でした。

そのようなわけで、ONA には、企画面でのアドバイスに加え、中心メンバーに来日してもらい、セッションに登壇してもらうなどの「協賛」関係を築きました。また、JCEJ 代表運営委員である藤代裕之さんには、DJF2016 の中心メンバーになってもらい、「ジャーナリズム・イノベーション・アワード2016」を併催するような関係にこぎつけました。

1回限りの組織体で挑む

—— Q: DJF2016 はどのような組織で運営しているのでしょう?

藤村: 言い出しっぺの私を含め数名の“発起人”的なメンバーが集まり、周囲へと輪を広げることから始まり、現在の「デジタルジャーナリズム・フォーラム2016実行委員」が形成されました。委員には、大手メディア・報道機関、テクノロジー企業から、個人ジャーナリスト、学識まで、フラットな関係として参画してもらっています。
実際のコンテンツや運営上の企画と実施には、「運営委員」と呼ぶ有志の方々(メディアの記者や編集者、それにテクノロジー企業の実務家、起業家、学生諸氏など)に集まってもらい、ほんとうに忙しい時間の合間を縫って汗を流して活動してもらっています。
活動の資金的基盤は、もちろん、来場者の入場料収入を見込みます。講談社に支援として無償で提供いただいた大講堂の収容限界が400名強です。運営を健全化するためにも、なるべくそれに近い数字の有料来場者を得たいと願っています。
ぜひ、興味を持っていただけそうな方々に紹介をお願いします!(笑)
入場料収集でまかなえない部分は、「特別協賛」として資金援助を企業に求めました。企画の趣旨を即座に汲んでいただき、二つ返事で決して少なくない資金や物品、そして人的な支援を引き受けてくれる企業が何社も現われ、感激しています。

気になるであろう、団体としての性格や将来についても、お話しておきます。
デジタルジャーナリズム・フォーラム2016実行委員という組織は一時的なものとします。継続しようと思えば“継続のための活動”になってしまいかねません。
また、新たな業界団体形成の動きや、ましてや政治意図をもった団体に見えることも懸念します。このようなことから、収支を公表するなど透明化し、残務を経た上で解散する予定です。
もちろん、いまは DJF2016 を成功裡に実施することに夢中なのですが。

DJF2016を楽しむためのコツ!?

—— Q: 最後に DJF2016 で、お勧めのセッションなど紹介して下さい。

藤村: いやぁ、どれも皆苦労して企画したものですし。自分が直接企画したものを紹介するのも、不公平ですよね。(笑)
お答えの代わりに、全体の構成などについて説明させて下さい。

初日(11日)は、講談社本講堂で、DJF2016 のために来日してくれた米英のスピーカーらのセッションが集中的に行われます。いずれも、スピーカーがプレゼンスライドを繰りながら、とうとうと話すというスタイルではなく、それぞれ信頼できる聞き手が、時に鋭く質問や議論を投げかけていくスタイルをとります。同時通訳がつきますので、不自由なく会話に参加してもらえるはずです。

また、本講堂でのセッション以外では、3つのトラックで同時に複数のセッション、ワークショップ等が実施されます。数十名限定の会場もあり、満席となる可能性もあります。こちらの「プログラム一覧」をぜひ予習していただき、迅速に行動されるのがお勧めです。
ちなみにのティップスですが、11日の本講堂へのアクセスと、その後のセッションが行われる高層棟への移動には、いずれも収容人数に限界のあるエレベータを使います。早めの来場、移動を心がけるのも重要と思います。(笑)

2日目(12日)には、特別協賛企業からランチが提供されます。その分、会場で出会われた方々と積極的な交流をお勧めします。
また、両日とも「F会場」として、比較的自由に交流や展示に参加していただける場所も用意しています。ワークショップにもぜひ参加してみてください。
さらに、13時からは本講堂で、「ジャーナリズム・イノベーション・アワード2016」がスタートします。こちらには50もの作品が出展、その作品の担当者らと交流できるはずです。

なによりも、会場の関係で、来場者収容限界に達したところでチケットの販売が終了することにご注意ください(申込み → こちら)。
会場でお待ちしています。

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