Disruption This Week—–20/5/2022
目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年5月16日から2022年5月20日まで。
アップル、VR/ARヘッドセットを取締役会で披露-関係者
Bloomberg.com

——AppleはVRとARを組み合わせた“ミックスド・リアリティ”をめざすという話題が業界では騒がれている。また、Metaとの呉越同舟を避けるという考えも強く、Apple内での取り組みは曲折もあったという。完成度の高いエディションを披露するのが伝統なので、お披露目はまだ先だと思うが。

Appleの「ATT」は本当にユーザーのプライバシーを守れているのか? 英オックスフォード大が指摘
ITmedia NEWS

——Appleがユーザ追跡の抑止機能として実装しているATTなどのその効果について、研究者ら第三者による実証研究論文が公表されている。そこで浮上したのが、「フィンガープリンティング」などと総称される不純な動機にもとづく対抗策。イタチごっこの感はあるが、Appleには徹底を望むしかない。
Netflix Cancellations Rise Among Long-Standing Subscribers
The Information

Netflixは長期間にわたる購読者を徐々に失いつつある。調査会社Antennaので判明。この第1四半期での解約者(約20万人)のうち、3年以上の購読者の比率が高まっていた。第2四半期は200万人が退会する可能性をNetflixは示唆している。もちろん、その一部は、パスワードの不正な共有などをしているユーザへの措置によるものだが。
![NFT の不確実性は高まるも、タイムは1000万ドル以上の利益をあげる:「クリプトネイティブなコミュニティに価値がある」 | DIGIDAY[日本版]](https://digiday.jp/wp-content/uploads/2021/06/editorial-art_crypto-red-01-01-eye.jpg)
——“自社のエコシステム外で発生した売り上げから…”は興味深い。NFTを生成して売り出す初動の売上に引き続く収入を織り込めるのであれば、コンテンツクリエイターにとって重要な道になる。
広告付き映像ストリーミングのトレンドが台頭。Disney+は、今年後半に予定する広告付きバージョンで、CMの露出を1時間当たり4分以内に抑えると言明。また、未就学児童の視聴に際しては非表示とするという。ライバルらに対してその健全性をアピールする。
As Google offers more personalized advertising, Apple suggests that in some cases, personalization doesn’t matter
Insider Intelligence

19.42% of active Twitter accounts are fake or spam: Analysis | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
What’s New in Publishing | Digital Publishing News


——クリエイターエコノミーの現状を概観する記事。フォロワー数が数千万人に達するようなトップ層のクリエイターから、中堅層にまで広がりを見せているという。
メタ、「GPT-3並み」の大規模言語モデルを研究者向けに無償提供
MITテクノロジーレビュー

——GPT-3については、私の注目を何度か説明してきている。大規模データから生成された言語モデルで、その応用用途は巨大だ。問題はその基礎的データ収集や分析、インフラ整備など、ともかくお金がかかることだ。MicrosoftがGPT-3に資金提供を始めているが、今回MetaがGPT-3と同程度の取り組みを支援することになった。
Disruption This Week—–14/5/2022
目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年5月2日から2022年5月13日まで。
Disney+ Hits 137.7M Subscribers, Beating Wall Street Expectations in Streaming
The Hollywood Reporter


——パターン1:「最低限のプライバシーポリシーを整備」、パターン2:「個人情報と個人関連情報を掛け合わせて利用するための対応」、パターン3:「Cookieレベルでの同意を取得する対応」について分かりやすく解説している記事。有益。
Digital subscription economy to grow to 1.5T by 2025: Key trends for publishers | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
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サブスクのオファが多様化し、膨れあがっていることもあり、利用者にフィットするパーソナライズは、画一的にしか売らない仕組みに対し優位性を持つだろうという視点は重要だ。
「追跡は止まらない」 ネット広告、精度と規制の板挟み
日本経済新聞

「メールアドレス、ID管理、興味の分類――。代替技術は続々と生まれている。『今後も個人データの追跡は止まらず、広告会社と規制のいたちごっこは続く』と政府の研究会で委員を務める日本情報経済社会推進協会の寺田真治は言う」。
——AppleがATTを実装してから時間が経つが、時間の経過によって小手先の(あるいはグレーな)“回避策”へのノウハウが積み上がり、本質的な転換への方向性は見えないままだ。


![Q&A:Apple による「 ATT 」導入から1年 - マーケターたちが置かれている状況は | DIGIDAY[日本版]](https://digiday.jp/wp-content/uploads/2021/10/editorial-package-illustration6-apple-vacuum-01-eye.jpg)
——ポイントは、ATTを無視してユーザ追跡を止めないアドテク企業や広告事業者に対して、Appleが厳しい罰則を課していないという事実と、それによる楽観ムードが高まっているというが指摘されている。まじめにATTを実装した事業者がソンをした格好にもなっていると。
Meta Rethinks News Partnerships as Priorities Shift
The Information

Metaの関係者は、同社がコスト削減策としてメディアとの提携関係を見直しに入っており、パートナーへの支払いを削減する可能性があるとの見方を示していると米The Informationが報道。Trump政権以降のニュース需要の低迷を理由のひとつにあげる。当面のライバルであるTikTokに伍していくために、ショート動画に力を注ごうとしているとも記事は述べる。



——引きの強いカネに関する記述を引用したのだが、実際に興味を惹いたのは「動画だとスマホで5人、6人でコラボするということは、ちょっと難しいと思うんですけれども、Radiotalkのような音声の場合だと、声だけだからこそ、配信者同士が何人も集団でコラボできるんですよね」といった部分。
単なる“朗読・ナレーション”でもなく、会話性の高いところが魅力をつくり出すポイントのように理解した。



Disruption This Week—–29/4/2022
目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年4月25日から2022年4月28日まで。

Alphabet決算は増収減益、クラウドは好調もYouTube広告が鈍化
ITmedia NEWS

——予告したとおり、米プラットフォーマ各社の業績が次々と発表されている。引用は、Alphabet(Google)の現況を端的に伝える。クラウド(GCP)の増収のために経費が増えていること、また、根幹の広告は、さすがにAppleのATTの影響が出てきているし、さらにYouTube事業がTikTokに劣後している状況が明らかになろうとしていると理解。
50 ways to make media pay: Other established and emerging ideas | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
What’s New in Publishing | Digital Publishing News

巨大ITのスマホOS寡占に事前規制 政府が導入検討
日本経済新聞

「政府のデジタル市場競争会議(議長・松野博一官房長官)は26日、スマートフォンに搭載する基本ソフト(OS)市場についての中間報告をまとめた。競争を制限しかねない行為をあらかじめ禁止する事前規制を導入する考えを盛り込んだ。事後的に対処する現行の競争政策の枠組みでは、変化の速いデジタル分野に対応しきれない」。
——Apple、Googleらプラットフォームの側も、市場形成や健全な競争関係のアピールに懸命(別途、私が執筆した記事が日経電子版で公開されるはず)だが、これらに対する厳しい見方が、この記事のように規制当局からサードパーティ開発者、そして消費者へと徐々に浸透しつつある。
東大、“世界最高性能”のディープフェイク検出AIを開発 フェイクニュースやポルノなどの悪用根絶に期待
ITmedia NEWS

——もう少し詳しく解説してくれる情報が出るのを待ちたい。ともかく、ニュースとして重要。ロシアによるウクライナ侵攻をめぐっては、“ディープフェイク”的なものより“チープフェイク”的なもののほうが多く出現している印象だが、いずれ見破りにくいものが増えてくるはずだ。機械的な検出力によるスピードアップに期待する。
日本企業は「製作委員会」から脱却すべき ディズニーの戦略をみずほ銀行が分析
KAI-YOU.net | POP is Here .

第2部の総論ではそれを踏まえ、日本のコンテンツ産業が“世界で存在感を発揮し続けるため”の提言が盛り込まれている」。
——当該みずほ産業調査のページがPDFでOGPもないため、KAI-YOUの記事をクッションとさせてもらった。みずほのリポート、150ページ近くと大変充実しており資料性が高い。が、その資料のなかに、「Web3」への言及が一度もないというのが少々の驚き。

EU、「デジタルサービス法」で合意–違法コンテンツなど、大手IT企業への規制強化
CNET Japan

——短信などで紹介済みのトピックスだが、整理された記事で改めて。

最近、新CEOを迎え電子版購読路線に邁進する米老舗メディア「The Atlantic」。CEOのNicholas Thompson氏がDigidayのインタビューに答えて購読に関する数々の挑戦、知見を明らかに。最大テーマは、平均25%の退会率を引き下げる取り組みだ。
【解説】ネトフリ急落が暗示する「ストリーミングの未来」
NewsPicks
「もうひとつの懸念材料は、解約率だ。
コンサルティング会社デロイトのケヴィン・ウェストコット副会長によると、視聴者はストリーミングサービスの値上げに警戒心を強めており、お気に入りの番組が終了するとサービスを解約する傾向が強くなっているという」。
——最大の懸念は、良質なコンテンツを取り揃えるためのコストの肥大化、そして解約率の高まりとする記事。
「Netflix」「ストリーミング」の新たな未来を論じているようで、実のところ商売における変わらぬ課題が改めて確認されたのだと聞こえる。
Disruption This Week—–22/4/2022
目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年4月18日から2022年4月22日まで。

これらすべての情報をひとつのフィンガープリントにまとめることにより、広告主たちはあるウェブサイトから別のウェブサイトに移動した利用者を認識できるようになる」。
——「デバイスフィンガープリント」というユーザ同定用の手法もあるのだが、より汎用性の高いユーザ同定手法が広がってきている。

2024年には、米国のインターネットユーザの半数以上が広告表示付きの動画ストリーミングを視聴する。21年には対前年16%の成長で、有料購読型サービスの8%成長を上回っているとMRI-Simmonsなどが調査結果を公表している。


Netflix、「ただ乗り」1億世帯 表面化した成長の壁
日本経済新聞

「停滞の理由は、コロナで隠れていた課題が明るみになったことにある。不正利用の放置、競争の激化、そしてネットフリックスの収益構造の難しさだ」。
——当のNetflixが一部申し立てていることなのだからそうなのだろうが、これまで強かった同社の事業に対して、優れたライター、ブロガーらからは指摘されてきたことだが、大手メディアは分析的に指摘してきたのだろうか? ちょっと気になったな。



‘The Perfect Slot Machine’: TikTok’s Most Addictive Design Features Are Being Cloned Across the Internet
The Information

「完璧なスロットマシーン」。TikTokが完成させたタテ型フィード。スワイプのたびに、新たなまだ見ぬ(フォローもしていない)動画を表示し、それが“中毒性”を生んでいる。このユーザ体験を大手から新興まで、数限りないアプリが模倣(クローン化)していると論じる記事。
「Metaの偽善が明らかになった」──メタバースでのアイテム販売高額使用料についてApple幹部が批判
ITmedia NEWS

——Metaは、ビジネス利用も想定されるHorizon Worldsでの収益化手法について、サードパーティ開発者からの販売仲介料を徴収する意向だとは、すでに紹介した。明らかになったその強気すぎる料率が明らかになった。Apple Storeの“過重な税金”を批判してきたMeta(Facebook)がこれかと、Appleが反撃。
Disruption This Week—–15/4/2022
目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年4月11日から2022年4月15日まで。


アナリストによるレポートによれば、今年のTikTokのグローバル広告収益は116億ドル(約1兆4500億円)になる見通し」。
——Twitterが商売下手というのは定評だが、それにしてもTikTokの稼ぎぶりはすごい。しかも、TikTokが収益事業に乗り出したのは遠い過去のことではない。今後の成長が恐ろしい?
2023年末の「Cookieの終焉」までに、広告主が知っておくべき問題とその対応 | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議
AdverTimes(アドタイ)宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム

——「ニールセンID システム」の半ば解説、プロモーション記事だが、ポストクッキー時代に起きている足もとの課題について、広告に携わる関係者が知るべき専門情報が盛られている。
Norby, a CRM for Creators, Raises More Seed Funding; Celebrity Avatar Startup Genies Valued at $1 Billion
The Information

クリエイター向けに各種のプロモーション用機能をまとめたSaaSをサブスクリプションで提供する米Norbyが資金調達。SMSメッセージ、イベント、ニューズレター配信、LP制作、データ分析、ファンからのメッセージへの返信機能などの“CRM”を提供する。
Snapchat’s new feature automatically creates Stories based on select newsrooms’ content – TechCrunch
TechCrunch

——ビジネス用途が有望視されている「ホライゾン・ワールド」でのビジネスモデル(収益化施策)が明らかに。やはりクリエイターエコノミーの流れに乗るものだ。もちろん、収益化策はそれ以外にも各種考えられる(このソフト、サービス自体を有償化することもありそう)。が、まずは利用ボリュームを増やすことが優先なのだろう。

Amazonプライム・ビデオ、日本だとApple TVより407倍人気 Appleが分析結果を公開
ITmedia NEWS

——Appleが自らのプラットフォーム上で、他社アプリと自社のそれとで人気の対比を調査、公開。Apple純正サービスが、他社有名アプリに劣後していることを公表するのは、興味深い。もちろん、意図は「独占状態などつくり出していない」ことの傍証提示だろう。日本ではAmazonプライムが強烈に強い。

Alongside a subscriber-only investigation on eviction, USA Today publishes a free graphic novel
Nieman Lab
