Disruption This Week—–17/1/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年1月14日から2020年1月17日まで。

 

 

「トレンドとしてはサブスクリプションの普及が注目された。ゲーム以外のアプリでの昨年のサブスクリプションは支出総額の28%を占めたが、これは2016年の18%と比較して大きなアップだった。
実際、サブスクリプションは多数の非ゲームアプリの主要な収入源となっている」。——App Annieが2019年をまとめた調査結果をリポート。成長と停滞など、興味深いトレンドが見えてきたが、なかでも興味深いのは、非ゲーム分野での課金の伸び。とりわけサブスクリプションモデルについてだ。

 

 

同じくTwitterの話題だが、深刻なテーマ。英BBCが、Twitterを用いて「性同一性障害」「白人優越主義」「反ゲイ」などのキーワードで広告ターゲティングができるとする調査報道を公表。利用可能キーワードからの排除を怠ったと、Twitterは謝罪。

 

 

英BBCトップのTony Hall卿、職員向けへの年頭所感を公表。今後数年間かけ、同社の2/3をLondonからSalfordへ移し、R&Dを強化する。最大の眼目のひとつにBBC Newsアプリを完璧な刷新を挙げ、動画像の強化や操作体験の強化を図る。また、報道の仕方から対象まで見直すと意欲的。

 

 

米業界団体のThe Digital Entertainment Group(DEG)、2019年の米国「ホームエンターテインメント」市場が前年比8.4%増の252億ドルとなったと発表。原動力は、デジタル動画(ストリーミング、レンタル、購買)。なかでもストリミーングは市場全体の63%に膨れあがった。

 

 

米New York Timesが、2019年の同社デジタル事業が記録破りとなったことを公表。それによれば、デジタル関連収入が8億ドルに到達。それは、公表されてきた計画を1年前倒しにするものとなった。また、19年の購読者獲得が100万突破も記録。いまや、総デジタル購読者は500万人に。

 

 

Webブラウザー市場の6割以上を握るGoogle Chrome。その公式ブログが、年内にCookieトラッキングを改めた新システムの製品化すると公表。昨年夏に発表した「プライバシーサンドボックス」の製品版での実装だ。ターゲティング広告に依存してきたビジネスがいよいよ苦境に。

 

 

昨年11月のサービス開始から破竹の進撃を見せる「Disney+」。Sensor Tower調べで昨第4四半期のアプリダウンロード数(App StoreおよびGoogle Playの総計)で、2位「TikTok」に倍以上の差をつけて1位の3,000万強。サブスクリプション売上でも、サービス開始1か月で、5,000万ドルを突破した模様だ。

 

 

「『べリングキャット』で情報解明の中心になったのは、東欧・ユーラシア担当のアリック・トーラー氏。
事故発生から2時間後、トーラー氏が『フライトレーター24』の航路画像と現場の様子を撮影したとおぼしき画像とともに、墜落現場の位置情報の提供を呼びかける…」。——興味深い記事。役割を果たしているのは、テクノロジーと公開情報、そして、ソーシャルとの積極的な関わりだ。これらは、いずれも伝統的なジャーナリズムになかった文法、作法だ。

 

 

「2010年はCD販売とデジタルダウンロードが、少しずつ肩を並べようとしていた、そんな時代の変わり目となっていました。ところが2019年になると、どちらの販売方法も、もはや米国内で1割にも満たないシェアとなり、代わりに大多数のユーザーが、ストリーミングで音楽を聴く時代へと…」。

——楽曲提供者側の利害意識と消費者のそれとが両方とも十分に満たされるようになったかというと、まだまだのようではあるが。それにしても、楽曲ビジネスの再興をストリーミングが駆動しているのは間違いない。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「CA(=ケンブリッジ・アナリティカ社)はかつて各国の選挙戦支援の多くで成功を収め、それに魅入られた業界関係者は多い。世界に拡散するミニCAは数百社に及び、影響力を増している。実際、英オックスフォード大の調査では、19年には世界70カ国でネット世論操作の形跡がみられ、前年の1.5倍に増えた」。——過去CAのビジネスに携わり、同社を告発した人物が鳴らす警鐘。テクノロジーをめぐってる無責任とモラルハザードが組み合わさった現代的な病。

 

 

【ご紹介】:
私が編集に携わる「Media×Tech」、新たなコンテンツは、NewsPicksで要職に携わる佐々木紀彦氏。旧著『5年後、メディアは稼げるか』からのアップデートをお願いしました。

Disruption This Week—–10/1/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年1月6日から2020年1月10日まで。

 

 

英BBC、Amazonの音声サービスに提供しているBBC Voice Newsの会話機能を強化すると発表。同ニュースを聴きながら、巻き戻しやスキップ、さらには、より長い(詳しい)コンテンツを、音声で指示できるという。
「放送の100年になかった歴史的出来事」と担当責任者は述べる。もっと自然な会話機能が提供されれば、真に革命的な出来事になる。

 

 

デジタルメディア界で最も重要な調査、Reuters Instituteらの「Digital News Project」が、2020年1月版「
Journalism, Media, and Technology Trends and Predictions 2020」を発表。回答メディアの5割が、“最も重要な収入源”として読者収入をあげた。「読者収入と広告」を選択したのも、4割近くある。

 

 

「樽石さんが手がけた“AIライター”である『まとめ記事自動生成ソリューション』の作成記事数は、1年間で2万ページ以上。シェア数が多いなど支持されている口コミの学習結果から、検索結果で上位表示されやすいと見込まれる記事を、AIが作成している」。

——過去にも、海外で不動産物件を紹介する記事を機械生成しているメディアについて、紹介したことがある。とても有望なアプローチだが、利用する“素材(情報)”をどう扱うかなどに、ガイドラインやら技術提供者の倫理が追随できていなければならない。

 

 

ハリウッドとIT経営の大物らが組んだ新興企業Quibi、モバイルに特化した動画サービスを予定するが、今年4月のサービスインを前に、CESに併せた各種ブリーフィングを行った。興味深いのは、記事が紹介する「Turnstyle」。スマホをタテ・ヨコいずれに持っても最適な映像を表示する。

 

 

「訴訟は、竹書房のWebサイト『WEBコミックガンマ』に『どるから』を連載中の漫画家・ハナムラさんと共同で起こした。竹書房は、Cloudflareに要求する損害賠償は最低限にとどめ、『著作権侵害を容易に行えなくする環境整備への道筋となる判決を強く望む』としている」。

——問題提起の意義が強い話題だが、CDN事業者(情報の配信過程にあって、情報をキャッシュしているだけだとすると)に対してコンテンツ盗用の幇助的責任を問えるのか注目。

 

 

昨日も紹介した米BuzzFeed復活の話題。同社が精力的に取り組むのは、収益源の多様化。とりわけECだ。CEOのJonah Peretti氏が強調するのは、メディアが喚起した消費意欲を回収するのが、メディア当体ではなく、Googleなどミドルマンだということ。“(価値)帰属問題”と提起する。

 

 

「1stパーティデータを再構築、つまり同意の取り直しを行う必要もでてくるだろう。この際、保有している1stパーティデータがそもそも持っていても大丈夫なのか、保持していることが逆にリスクになるダークデータではないのか検証すべきだろう」。

——充実した論考。中でも、注目しているのは引用箇所。“どうデータを使おうか?”と考えるメディアが増えているが、法制的、技術的にデータを持つリスクを検討すべき。

 

 

昨年発表された調査「Reuters Institute’s Digital News Report 2019」から、若者を始めとする消費者がニュースに目を向ける“瞬間”を4つに分類できることを取り上げた論。1) 習慣化された日時(週末や夜間など)、2) 起き抜け、3) 暇つぶし、そして4) プッシュなどでブレークを、メディアは戦略化すべきとする。

 

 

「日教販の決算は専門取次ゆえに、書籍が学参、辞書、事典で占められていることから、返品率は13.9%となっている。だから減収減益にしても利益が出ている。
それに比べて、日販は書籍が33.4%、雑誌が47.5%、トーハンは書籍が43.5%、雑誌が49.0%で、この高返品率が改善されない限り、両社の『本業の回復』は不可能だろう」。——2019年11月の単月では、書籍の復調でやや救われたが、通期が厳しい基調なのは、揺るがない。“配本”流通というメカニズムの不思議なところは、配本量を減らすことではネガティブスパイラルが止まらないということ。流通メカニズムを異次元化することが問われる。

 

 

米AdAgeデータセンター調べ。米国のTV・ラジオ・新聞・雑誌では2009年からの10年間で、雇用が21万人減。だがインターネットメディア関係では19万人増と、雇用が3倍増に。

 

 

【ご紹介】:
日経MJへの連載記事が、年末に日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ TikTokが政治の渦中に 国の検閲やデータ利用に懸念

 

 

【ご紹介】:
私が編集に携わるメディア「Media×Tech」、新たな書評記事が公開されました。よろしければどうぞ。➡ 書評:サブスクモデルにもヒント――アダム・オルター『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』

 

 

【ご紹介】:
私が運営に携わっているJIMA(インターネットメディア協会)。坂本旬さんに「メディアリテラシーとは」というテーマで寄稿いただきました。概念の整理や認識を深めるための手がかりがまとまっています。

 

 

【ご紹介】:
ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)が、ソウル大学ファクトチェックセンター所長のチョン・ウンリョンさんらをお招きしてセミナーを開催します。➡ セミナー「韓国メディアで広がるファクトチェック」を開催します。

 

 

【ご紹介】:
FIJ理事・奥村信幸氏が先ごろ開催された「APAC Trusted Media Summit」のイベント報告が掲載されました。ファクトチェックを軸にメディアをめぐる課題や活動の数々が整理されています。ぜひ、ご一読を。

 

 

「日本でも『NASAによるオーストラリアの山火事の様子』『宇宙から見たオーストラリア』などとして拡散したこの画像。
実際は、オーストラリアで写真やポストプロダクションを手掛けているAnthony Hearsey氏が作成した合成画像だ」。——私も運営に携わるFIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)のメディア・パートナーでもあるBuzzFeedから最新のファクトチェック記事。SmartNewsや東北大研究室が開発に携わる警報システムを利用しているとある。

Disruption This Week—–26/12/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年12月23日から2019年12月26日まで。来年は1月10日から更新します。

A call for context

Nieman Lab

 

 

「ニュースとは、コンテキスト(背景、文脈)の中に位置づけられたデータのこと(であるべき)」。2016年大統領選の帰趨を見誤ったことを嚆矢として、ジャーナリズムは、大局観(全体像)や、あるトピックを深く掘り下げる際に必須なコンテキスト理解の重要性を忘れてはならないとの論。時代が、散乱した“情報”の高速な配信をニュースとする動きへと傾くときに、重要な命題。

ネット広告への「苦情」さらに増加 2019年度上半期JARO広告審査統計 | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議

AdverTimes(アドタイ)宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム

 

 

「媒体別の苦情の件数はテレビ(1962件)に次いで『インターネット』の広告に関する苦情が多く(1907件)、前年同期比で144.3%に達した。
苦情の内容は大別すると『表示』『表現』『手法』に対するものがあり、今期は『表示』が増え、過半数(54.1%)を占めている」。——広告を表示・表現・手法などから整理する視点に感心。それはさておき、自分たちは、この「苦情」の広がりに対してどう行動できるだろうか……。

 

 

「実業之日本社は、コンソーシアム型のブロックチェーン技術を活用し、著作権者との合意内容のオープン化、電子契約(スマートコントラクト)や暗号資産(仮想通貨)による決済も可能な拡張性を持つネットワークシステムを構築することで、国内外からの出版コンテンツの利活用を促進するとともに…」。

——権利侵害の可能性が極小化できれば、コンテンツ流通にもっと大胆に取り組めるはず、といったユースケースを積み上げていく必要があるが、いずれは汎用性の高いプラットフォームとなっていくはず。

 

 

「ファクトチェック・プロセスの強化は理にかなっているものの、今回の施策は専門のレビュアーを雇わず、外部委託された低賃金のパートタイムのアマチュアに依存するものだ。またやや不可解なことに、米国居住者全体ではなく代表的な米国のフェイスブック・ユーザーの集団から選ばれることが決まっている」。

——わが国でも“対岸の火事”とたかをくくっているわけにはいかない。直接政府機関が介入することは避けるのは当然としても、自主的な改善に向かうようフォーラムの開設など、縛りは厳しくなる。

 

 

【有料購読者向け記事】:
“消費者は多すぎる広告に飽き飽きしている”。Bank of Americaが調査した米消費者の意向では、Facebookを筆頭に、広告表示が消費者の受容限界を超えつつある。収益多様化の道を探る巨人たちが直面する課題や変化を論じた記事。

 

 

“リストラPTSD”世代を自称する筆者が主張するのは、メディアが、広告をバックにしたビジネスから、VCや大手プラットフォームに駆動されるビジネスへと変質。来年には、ブランドがスポンサードするビジネスモデルが台頭するというもの。特定テーマに絞ったメディアには適合しそうだ。

 

 

「単にクッキーや位置情報を使ったターゲティング広告がやりにくくなるという次元の問題ではなく、巨大プラットフォーマーとは違う消費者との繋がり方を考える時代となった。
大したデータでもないのに『データを所有しているから、なにかマネタイズできないか』というような議論から早く脱却して本質論に向き合うべきである」。——そもそも誰が言ってるんだかとのツッコミはしないとすれば、非常に正論。現在の広告ビジネスへのステークホルダーが心して読まなければならない論。

 

 

特定テーマに焦点を当てたミニメディア(たとえば、「気候変動」)は、不特定の広範なトピックスを追うニュースメディアに比べて、組織しやすく読者エンゲージメントも形成しやすい。また、プラットフォームによる拡散メカニズムとの相性も良いと重要な仮説を提起するコラム。

 

 

「日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビジョンの民放5社は2019年12月から2020年2月にかけて、関東地区のインターネット接続テレビを対象に、視聴者を特定しない仮名の視聴履歴をインターネット経由で収集・集約する技術検証実験を実施する」。

——興味深い調査。リアルタイムで視聴動向を確認できる時代。TV放送局はNHKも含めて共有データプラットフォームとして、大切に育てていくべきでは。

 

 

米Spiegel Research Centerでのニュース購読者調査で、この数年来の読者における広告体験の悪化が証明。広告ブロック利用者は、非広告ブロック利用者に比べ購読者であり続ける顕著な傾向があるという。

Disruption This Week—–20/12/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年12月16日から2019年12月20日まで。

 

 

2020年、報道をめぐるコラボレーションが現実的なテーマに。「パラダイス文書」に始まり、「中国の新疆ウイグル自治区における強制収容所」報道、そして、気候変動をめぐる報道の取り組みも、世界のジャーナリストを協調行動に向かわせようとしている。

 

 

「有名なデータセット『ImageNet』の45%以上は、世界人口のわずか4%である米国のものであることが指摘されている。このデータセットで学習した場合、例えば結婚式の花嫁衣装は米国と北インドでは大きく異なるために、米国の花嫁の写真は『花嫁』と正常に分類するが、北インドの花嫁は『コスチューム』と誤分類してしまうことが報告されている。これは文化差別/地域差別において公平性が保たれていない事例といえる」。

——よく語られる“AI(機械学習)のバイアス”問題の具体的な例が分かりやすくあげられている。

 

 

メディアの計測サービスのChartbeatが発表した「2019年、最もエンゲージされたコンテンツ(記事)100選」。記事上でのアクティブな滞在時間を軸に算出。第1位は、The Atlanticによる調査報道記事「消えたマレーシア航空機に何が起きたのか」。8位には、Yahoo JAPAN記事も!

 

 

「今年、相当な数の契約者をサンプル調査した感触では、我々がどのようなことを何を目的にしているか説明すれば、より高い料金を払ってもよいと考える人は実際かなりいる」。

——New York Timesが電子版購読者を伸ばし続けているという話題の背景に、電子版購読料金が、日経や朝日などに比べて格段に安いという事実がある。堅調な購読者の伸びを力に、同紙は、来年には購読料金の値上げに踏み切るとCEOが認めた。

 

 

先に紹介した米Nieman Labの特設サイトから。“Cookieなき時代”、メディア運営者が有するファーストパーティ・データは比類のないマネタイズの資産となるとメディア運営者有利な時代を預言するBloomberg Mediaの幹部。データの利用は、読者への透明性と対話性を高めるべきと提言する。

 

 

「AIナウの報告書は、規制当局者が介入して感情認識技術の使用を厳しく制限すべきであり、それまではAI関連会社は同技術の採用を中止するべきだと記している。特に、顔の表情だけを利用して人がどう感じているかを正確に知るのは非常に難しいと結論付けた科学的心理学会の最近の研究を引用した」。

——この記事では感情認識技術の精度自体にも疑義を呈しているが、その問題よりも感情認識ターゲティングが生み出す危険性の問題が大きいと、私は考えている。追い込まれた感情を持つ人間につけ込むターゲティングビジネスは、極めて危険だ。感情認識技術を喧伝する大手プラットフォーマらの現下の広告商材訴求には、警鐘を鳴らしたい。

 

 

「私の個人サイトは今までロード時間は4.2秒、パフォーマンスのスコアは43でした。このスコアを改善するため、私はサイトを再設計することにしました。
まずは、その結果から報告します。
ロード時間は1.6秒に短縮され、Lighthouse(Chromeの機能拡張)のスコアは100を獲得しました」。——ある外国のブログサイトのパフォーマンス改善の実務的なステップを紹介した記事。メディア運営に携わる人々は、PWAのような“抜本的な”手法があることは念頭に置きながら、このようなステップがあることを認識されるべき。加えて、このような高速化がもたらす、諸々の効果についても知られるべき。

 

 

「この定義(=「良いニュース」)は4つのパーツで構成されている。
①事実に基づき②社会的なイシュー(論点、争点)について③読んだ人に新しい気づきを与え④かつ読まれるもの」。――石戸諭氏が論じる“ニュースの価値”。同じ問題を考える上で、とても大きな手がかりになる。
自分は、ニュースを効用という視点から評価しようとすると、たちまち隘路に陥ると考えている。
何かの“役に立つ”との側面に視線を注げば、数量的な比較の中にニュースを置くことになるだろう。
多くの人々の役に立つことを計量することになるからだ。
けれど、私にしか“役立たない”、言い換えれば、私には確かな意義(価値)を発するようなニュースもまた想像することができる。そのような“価値論”は可能だろうか?

 

 

「視聴者がビンジウォッチを始めるタイミングを機械学習技術で予測し、イッキ見が行われていることを認識して関連広告を流す。これは、視聴者が3つ目のエピソードを観ようとする盛り上がっているタイミングで行われ、次のエピソードが広告なしで視聴できること、もしくはブランドパートナーから視聴者個人に提供されたものだと表示される」。

——記事で詳しく述べているように、ビンジウォッチは、マニアウォッチャーの証だ。そのような視聴者をていねい、かつ効果的に広告視聴者としての扱おうとするもの。UXを高める広告の工夫として理解すべき。

 

 

「トランプ大統領が人種差別的な発言を行う。
ニュースにすれば、その発言に注目が集まる。ニュースにしなくても、さらに発言は繰り返され事態は悪化する。
対処法の一つが、カリフォルニア大学バークレー校教授で認知言語学者のジョージ・レイコフ氏が提唱する『真実のサンドイッチ』だ」。——偽情報を広く叩けば叩くほど、その偽情報が広がり定着してしまうという背理。そこで事実と事実の間にサンドイッチするように紹介することで、偽情報がまん延してしまう悪循環を阻止するという提案。その他、興味深い動きが紹介された論。

 

 

【ご紹介】:
私が編集を担当している「Media×Technology」で、2019年のSmartNews Awards「グランプリ」を受賞した「文春オンライン」編集長竹田直弘さんをはじめとするスタッフの方々へのインタビューをまとめました。フランクに“進化の歴史”を詳細を語っていただきました。

SmartNews Awards 2019

SmartNews Awards 2019

 

 

【ご紹介】:
SmartNews Awards 2019が発表されました。「グランプリ」は、まさに旬の“あのメディア”です! 編集長インタビューもありますので、ぜひお読み下さい。

Disruption This Week—–13/12/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年12月9日から2019年12月13日まで。

そろそろ大勢が決しようとする英総選挙。記事は、投票日を目前にした月曜日、Apple Newsが利用者(MAUが1100万とされている)にプッシュした動画の影響。たった5人の同「News」編集者の選択が、英国の行方を左右する投票結果に影響を与えるのではないかとの論説だ。興味深いことに、記事はアルゴリズムではなく、人間の恣意性に懸念を喚起している点だ。
メディア、政治、公共政策関連のシンクタンクである米Shorenstein Center、米国の老舗非営利政治メディア「Mother Jones」躍進をケーススタディとして分析。現下の雑誌・Webメディア衰退のトレンドと対照的な成長の原動力は、「寄付金」につきる。ではそれをどう引き出したか。20ページを超えるPDFもダウンロードできる。

JIAA、インターネット広告に関するユーザー意識調査結果を発表

一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会|JIAA

「インターネット(PC/スマートフォン)の1日平均利用時間は3時間半を超え、必要性は80%を超えるなど、多くの人の生活の中心のメディアと位置付けられ、ユーザーからの評価は高い。一方で、信頼性は新聞の62%、テレビ・ラジオの55%に対して雑誌と同じ46%であった」。

——いろいろと貴重かつ驚きの結果が。広告の必要性について、約6割が共感(肯定)しており、9割が受容しているという。

米ニュースメディア(報道機関)支援に特化した非営利シンクタンク「American Press Institute」が、「偽情報と両極化の時代に、真実を伝える戦略」のタイトルを冠した長大なレポートを発表。さまざまなアプローチを論じるが、「トゥルース・サンドイッチ」というレポート形式が面白い。偽情報部分を誇張しないよう、ファクトで挟み込むようにして報道しようというもの。
【有料購読者向け記事】:
「ARはスマホなどを介して現実の世界を見るとそこに多様なデジタル情報が表示される仕組み。その場で役に立つ情報を入手したり、これまでにない遊びの空間を築いたりできる。クック氏は『最大のコア(中核的)テクノロジー。人々が常時使うものになる』との見方を示した」。

——Apple CEOがこの記事で強調しているのは、「AR」と「ヘルスケア」。スマホ中心の世界観(ビジョン)から徐々にシフトをしているところというわけだ。

投資機関の米Needhamのアナリストが、Netflixの評価を“売り”にダウングレード。2020年中に、低価格帯の商材を打ち出すか、広告収入とハイブリッド版をリリースするなどの手を打たないと、低価格帯の競合増加により数百万人単位で購読者を失うことになるとの警戒信号を発した。
米Parse.lyの解析が、同サービス利用メディアのトラフィックを解析。メディアごとにトラフィックをもたらすツールやサービスは、メディアの分野により異なる。検索が強いのは自明だが、ソーシャルメディアは意外にもダントツではなく、それをしのぐ要素が浮かび上がる。
英Reutersで、グローバルな「UGC Newsgathering」チームのヘッドを務めるHazel Baker氏。同氏に、UGC(ユーザーが生成するニュースや写真など)コンテンツのReutersにとっての重要性と、その真偽を確かめる手法などを尋ねた記事。写真などでのファクトチェックにも触れる。今後の重要課題としてCGI(コンピュータが生成するイメージ)など、“ディープフェイク”にも言及する。
Webサイトを運営する多くのパブリッシャーは、そのサイトに掲出するコンテンツ(ページ)に適正なタグを付すこの重要性を理解していない。なおざりにしている。SEO上の評価と、来訪者(読者)の探しやすさという重要性からタグ付けシステムを刷新した「南ドイツ新聞」の事例。
米「WIRED」が「インフルエンサーのすべて」を整理。2000年代のブロガーネットワークから語り起こし、現在、そして未来のインフルエンサーのありようまで。それにしても1ポスト当たりすごい収入を得ていることなどがまとめられており、まさにインフルエンサーの時代だ。
【ご紹介】:私が事務局として参加しているインターネットメディア協会(JIMA)、そのWebサイトで続けている対談シリーズ。今回は、新生ダイヤモンド編集部 編集長の山口圭介と下村健一さんの回。ダイヤモンド編集部は、オンラインとプリントの2編集部を統合したそうです。
【ご紹介】:
先日のファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)主催セミナーに登壇した、作家・一田和樹氏の講演資料「ネット世論操作最前線とフェイクニュース」がpixivで公開されました。