Disruption This Week—–26/4/2024
目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年4月22日から2024年4月26日まで。
——オープンソースLLMを活用(具体的にはLlama3)しているという。記事要約はもちろん、すぐに思いつくが、やはりストック型情報の高度な再利用法を考えたいところ。
トムソン・ロイター、法律専門家向けの生成AIプラットフォーム「CoCounsel」を公開
BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア
——次に日経新聞のAIへの取り組みを紹介するが、Reuters、そしてBloomberg(以前、Bloomberg LLMの試みを紹介した)など、専門分野でのストック情報を持つ企業が、AI活用で優位に立ちそうな予感がする。
TikTok、法廷闘争へ 米で「禁止」法成立
Reuters Japan
TikTokの周受資・最高経営責任者(CEO)はこれを受け、『われわれはどこにも行かない』と言明。『事実および憲法はわれわれの味方であり、われわれが再び勝利すると期待している』とし、法廷闘争する構えを鮮明にした」。
——一方の、米国では既定の動きではあるが、大統領が署名まで進んだ。記事にあるように、これからは法廷闘争が長く続くことになりそうだ。
日本のTikToK利用率が大幅増、主要SNSでは過去1年で最大の伸び
Bloomberg.com
——これから原典に当たってみたいというところだが、そろそろSNS全盛期から、ある種の転換が起きている感触もある。
「ABEMA」含むメディア事業、初の四半期黒字に サイバーエージェント、24年9月期2Q決算は増収増益
ITmedia NEWS
——「ABEMA単体での黒字化はまだ」という注釈はあるが、初期数年は、巨額投資を危ぶむ声が高かったことを思えば、“ついに!”との思いは外野でさえある。わが国の映像ビジネスの歴史に画期が訪れている。
——「http://xn--4gqvz.com/」を運営する一休。同社の代表を務める榊淳氏が語る“データドリブン”経営。命名はともかくとしてダイナミックなオファリングには学ぶべきものがある。
https://markezine.jp/article/detail/44470
『完全になめられている』
契約変更を把握した公取委内部には衝撃が走ったという」。
——すでに各メディアで報道している件。この記事では、公正取引委員会が行政処分を行うに至った経緯が比較的詳細に述べられている。20210年ごろまでに立ち返ったもの。
——一部で話題になっている“新聞報道のなかに“エモい”記事が増えている”現象について、奥村信幸氏が建設的な批判。私も一概によくないこととは思わない。エモーショナルに訴える記事は、読者体験の度合い高いことは想像できる。ポイントはそれをどう生かして、次のステージへと読者を誘うかだ。奥村氏はその点、「普遍化」というプロセスをあげる。
Disruption This Week—–19/4/2024
目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年4月15日から2024年4月19日まで。
——先日紹介した米Forbesの広告用インプ稼ぎに用いられていたらしいサブドメイン問題。“広告テクノロジー”というようなハイテク手法でもないが、機械による計測に任せているだけでは、広告主側にはなにが起きているかも分からない。また、何が起きていても、さして問題でもなかったのかもしれない。エージェントが介在していただろうが、広告をめぐるモラルハザードをあらわすエピソードだろう。
“The most effective strategy to optimise conversion rates”: How to make a hard paywall dynamic
Media Makers Meet | What’s new in media
Meta、著名人になりすました詐欺広告に対する取り組みを説明
ITmedia NEWS
——話題になっている“有名人(を騙る)詐欺広告”問題への対処策。「日本語がわかるスタッフも(多少は)含まれている」辺りから取り組み強化が必要そうだ。まだAIにはそこまでの実務能力はないということか。
アングル:メタのニュース配信停止、政治分野で高まる情報操作リスク
Reuters Japan
——Facebookが(報道メディアのへの支払を嫌って)報道メディアの記事リンクの投稿抑止する動きの結果、政治的、党派的な偏りのある投稿が減るどころか、もっと怪しい言説が増えてしまったという調査結果が報じられている。
Oh look at that! Now Google is using AI to answer search queries.
Business Insider
大きな原因は、そもそも『フェイクニュース』とは何かが、はっきりしないことだ」。
——32件の法律・法案の分析から見えた特徴の1つは、大半が規制対象としている「フェイクニュース」について、明確な定義をしていないという。各国が大きな選挙を控えて、偽・誤情報対策に乗り出しているが、法制化には、国家権力による恣意的な運用を行いやすい下地づくりという側面がついて回る。
Disruption This Week—–12/4/2024
目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年4月9日から2024年4月12日まで。
アドビ、1分3ドルで動画コンテンツ買い取り-AIモデル構築で
Bloomberg.com
——記事が確認するように、動画を学習することでテキストなどのプロンプトから簡単に動画を生成できる、Google「SORA」などの台頭に対抗するための動きだ。Adobeの本業はプロ向けのクリエイティブ制作ツールやサービスの提供だったが、大きな業態変更を果敢に進める段階のようだ。
米メディアAxiosの創業者Jim VandeHei氏は、ジェネレーティブAI時代にメディア企業が生き残る唯一の方法は、ジャーナリスティックな専門知識、信頼できるコンテンツ、人と人とのつながりを提供することに集中することだと語る。
Axiosにとって、それはライブイベントの増加、スター・ジャーナリストを中心としたメンバーシップ・プログラム、高級購読ニューズレターの拡大などだという。同氏はまた、このAI時代のメディアの転換は、印刷からデジタルへの転換以上に困難だとも述べる。
野田(絵美氏):SNSの利用状況には10代と20代の大きな違いはありませんが、利用スキルや情報リテラシーについては10代のほうが非常に高いです。これは学校教育の成果だと捉えています」。
——「たとえば、『情報が偏る』というSNSのリスクを理解している割合は20代だと3人に1人程度です。対して、10代では過半数と、他の世代を圧倒していました」と野田研究員は語る。アルゴリズムについても同様の知識があるという。
——若年層によるネット配信の経験を尋ねた調査。多くは動画と想定するが、ショート動画やゲーム実況など、YouTubeに収れんしない多様性が生じ、それがまた配信体験の底上げをしていると理解。引用箇所は、その男女比で女子が高いとの指摘。にわかに仮説を用意できないが、覚えておきたい事象だ。
AP通信が12月に行った調査で、主に欧米の報道メディアに関わるスタッフ(292名)の70%近くが、SNSへの投稿、ニューズレター、見出し作成、インタビューの翻訳や書き起こし、記事の下書きなどにジェネレーティブAIを使用と回答したという。記事内リンクから調査リポートが得られる。
Spotify、プロンプトで操作できる「AIプレイリスト」を英豪でβリリース
ITmedia NEWS
——すぐに飽きてしまいそうではあるが、それにしても、自分専用のプレイリストが生成されるというのには惹かれる。凝ったプロンプトを考えてみたくなる。
OpenAI、新API公開でファインチューニング機能強化——企業がAIモデルをカスタマイズしやすく
BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア
——いわゆる“ハルシネーション”対策はもちろん、専門的領域をめぐる応答で、大外しな会話が飛び出したりするジェネレーティブAIの弱点をどう改善するか、どう精度を上げていくか。現時点で最大の壁を越そうとする動きに見える。もちろん、その成果は今後の評価待ちではあるが。
——「ピンクスライム」とは、元来、本来の肉類の増量を図るために用いられる偽造肉(ピンク色をしている)に模して、過去は安価な労働力で、今ではジェネレーティブAIなどを用いて生成された信頼性のないニュース記事などのことを意味する。数年前に私自身が指摘したように、本物のニュースサイトと同規模どころか、より爆発的にこの種のでっち上げ記事が生成されることになるだろう。
ファクトチェックアワード2024
FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ
今年(2024年)もファクトチェックアワード、やります! 僭越ながら今回も選考委員を務めます。
「ご応募は自薦・他薦を問いません。「ファクトチェック」と明示されたものに限らず、情報の真偽を検証することを主眼としたコンテンツであれば対象となります」
Disruption This Week—–5/4/2024
目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年4月1日から2024年4月5日まで。
米グーグル、生成AI検索サービスの有料化検討=FT
Reuters Japan
——昔々、Google検索やGmailなどの使い始めの頃には、「散々便利に使わせて、いずれは有料化に転じるのではないか」と猜疑心を持った記憶が。それが薄れてはいたが、今ごろになってそれが現実になってきたようだ。
AI生成テキストの透かし、改ざんは簡単 新研究で実証
MITテクノロジーレビュー
——研究は、最新の電子透かし技術(アルゴリズム)をAIを使ってハッキングしたと主張。その簡略な要約を記事は紹介している。どうやって、電子透かしが、そのコンテンツをAI生成だと示せるのかが理解できて面白い。
米メジャーリーグのデジタル顧客体験改革、年間球場来場者数が9.6%増 | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議
AdverTimes(アドタイ)宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム
MLBでは顧客のファーストパーティデータを収集し、顧客をより正しく理解すべく、試合をリアルタイムで追えたり好きな選手の戦果をフォローしたりできる『MLBアプリ』や、メジャーリーグの野球場を訪れる際のチケット管理のための『MLB BallParkアプリ』、MLBの試合をストリーミングできる有料の『MLB.tv』といったデジタルプロダクト、チケット購入サイト『ickets.com』などを有している」。
——Adobe社のイベントで、MLBチーフオペレーションズ&ストラテジーオフィサーが語った、MLBのDX改革。データに基づく分析から3つの改革を実施と具体的な取り組みを紹介。特にパーソナリゼーションのアプローチが興味深い。
https://www.advertimes.com/20240403/article455247/
OpenAIやAnthropicといった大手ジェネレーティブAI開発企業は、学習のための高品質のテキストデータの収集に苦慮している。低品質な情報源には事欠かないが、高品質な情報源であるメディアなどとの交渉は難航。
YouTube上の字幕を利用するアイデアやAIが生成した文章を再利用するなどの苦肉の策も検討されているとする記事。
レディットがニューヨーク・タイムズよりも価値が高い理由
MONEY INSIDER
– 一方、利益を上げているニューヨーク・タイムズの時価総額は約70億ドルだ。
– これは、ユーザーによる無料コンテンツを生かすレディットのビジネスモデルを、投資家が評価していることを意味している」。
——いまさらながらの問題意識ではあるが、メディアの価値をどう計量するか。もちろん、公開企業の株価の総額で測るのは、ある種の代替的なアプローチだが、意味がなくはない。記事が示唆しているのは、運営にかかるコストという視点。Redditではユーザー投稿という原稿コスト・ゼロというSNSの圧倒的なアドバンテージだ。
米チャットプラットフォームのDiscord、近日中にも広告掲載を開始と米Wall Street Journalが報道。同社CEOのJason Citron氏は広告体験について否定的な意見を再三述べ、広告事業には着手してこなかった。異なる収益化アイデアに期待したのだが……。ちょっと残念。
——広告費の側面から音声メディアの好調を紹介したが、自身の経験や種々のテクノロジー進化で、この分野にはまだ発展の余地が高いと注目している。特にジェネレーティブAI技術の出現は、品ぞろえの多様化がなかなか進まない(一部の売れ筋に集中する)オーディオ書籍市場が活性化させるだろう。
「実際のところ、どの国にも違法アップロードのサイトはあり、なかなかなくなりません。ですので、我々ができることは“クランチロールのサイトで見た方が良い”と思えるような体験を提供することに尽きると思っています」。
——世界で10億人のユーザーをめざすクランチロール。課題は、やはり違法アップロード問題のようだが、対策には傾聴すべきものがある。
OpenAIの「Voice Engine」は15秒分の声データを元に本人そっくりに喋る
ITmedia NEWS
——すでにOpenAIはこの技術を昨年中からさまざまな箇所で利用している。Spotifyも昨年9月、この技術を用いた「Voice Translation」を発表している。問題は、同社も認めている“悪用の可能性”をどう防ぐかだ。同社はそれを念頭に「慎重なテストを行っている」という。悪用問題を除けばさまざまなサービスを思い浮かべることができるな。
Disruption This Week—–29/3/2024
目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年3月25日から2024年3月29日まで。
——日本でも、故美空ひばり氏の生前の録音を使った取り組みがあったと思う。ジェネレーティブAIがリーズナブルなコストでそれを容易にしつつある。今後広がるだろう。
——米YouTubeが発表。TikTokを追って考案された「ショート」がいよいよ影響力を高めつつある。
——YouTubeで稼ぐ米国の著名クリエイターが、現在の収入をどう分析し、今後どうしようとしているかをつまびらかに述べた出色のインタビュー記事。
——以前何度か紹介した、胸辺りに大きめのバッジのように装着するジェネレーティブAI駆動のデバイス「AI Pin」。日本でも発売の動きが出てきた。スマホをリプレイスするのか、補完するのか。あるいは、単なるキワモノなのか。日本語エディションが出れば試してみたい。
焦点:巨大ITが直面する米欧の独禁法問題、業界初の解体命令も
Reuters Japan
——記事が結論づけているように“解体”(分割)に至る道は相当に険しい。そんな議論を続けている間に、新たなAI巨大プラットフォームが誕生しかねない。ただし、この種の緊張感を巨大プラットフォームに与えることは総合的に有益だと思う。
調査ではGPT-3.5に物理学から経済学、スポーツまでの26分野、1,045件のテキストの出力を指示したところ、59.7%で盗用を含むテキストが含まれ、45.7%で同一のテキストがあった、と指摘」。
——他の同様の調査結果も示されている。これだけ大規模な模倣では、フェアユースとは言いがたいと思うが、OpenAIらはどう抗弁するのか興味を持つ。
——ChatGPTのみならずGeminiにおいても、同様の脆弱性発見されているという。他人がどのようなプロンプトを発し、AIがどうそれに応えたかを再現できるらしい。