Disruption This Week—–9/7/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年7月5日から2021年7月8日まで。

ディープフェイク防止へ、企業のリスク対策急務
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「オランダのセキュリティー会社センシティによると、20年12月に同社が検出した世界のディープフェイク動画は約8万5000件で19年12月から3.5倍に増えた。18年以来、検出数は半年に2倍のペースで増えている。多くが有名人の顔を合成したポルノ動画で、日本人数百人分の動画も確認したという」。

——国際的に高度な情報操作に利用されることが懸念される一方で、実際は個人をめぐる即物的な偽情報の生成に多く使われる面が見えてくる。これからは、ちょっと知られた企業や個人をめぐるレピュテーション侵害のケースが増えるのではないか。

USA Today will make readers pay for its website, joining other top news outlets.
米最大手新聞チェーンGannett傘下の「USA Today」がペイウォール化を発表。広告ベースのフリーアクセスを守る最後の大手が、購読制へと舵を切る。同紙発行人と編集長に取材した記事。速報や公共性の高い記事はフリーを維持するとする。
UXの改善を数値で示す:ケーススタディ
「定性的なユーザビリティテストに進み、なぜこれほど多くの顧客が営業担当者に連絡を取っているのかを理解しようとした。そして、顧客のセルフサービスを妨げる重大な障害を発見した。それは、顧客の多くが目的の製品や製品カテゴリーさえ見つけるのに苦労しているということだった」。

——“UXの改善って、主観的にしか判定できないよね”と考えがちだが、この記事を読むと、どう定性的に問題を見定めた上で、定量的にその改善を進めていくかという手法が具体的に見えてくる。改めてUXの改善は重要。

Global advertising spend 2020: Five tech companies dominate the market
広告業界は「五占」の時代に入った? GroupMによる世界の広告市場調査によれば、Google、Facebook、Alibaba、(TikTokを擁する)Bytedance、Amazonの5社で、広告売上高2,960億ドルで、市場の46%を占めた。10年前には、メディア企業が多くを占めていたのだが。
After Apple Tightens Tracking Rules, Advertisers Shift Spending Toward Android Devices
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iOS14.5以降、「ATT(アプリ追跡透明性)」機能が稼働して以降、予想されていた広告支出の変動が現実となりつつある。米WSJがアプリ調査企業を取材。6月の1か月のiOS上の広告支出は1/3下落したという。一方、Android上では10%上昇を示した。
New platform launches to bring TV ads to console games
ゲーム専用端末やPCゲームに、TV CMのような動画広告を挿入再生する仕組みを米Simulmediaが開発。ゲームユーザは、ゲーム内で15もしくは30秒の広告を選択できる。ゲーム内でCMを視聴完了すると、インセンティブが得られる仕組み。すでに大手EA社らと提携しているという。
Meet the program that can write programs
GPT-3の可能性についてはこれまでも触れてきたが、いよいよMicrosoft、GitHub、そしてOpenAIが、GPT-3モデルを用いた自動的なプログラミング基盤「Copilot」を発表。「Githubで公開中の何テラバイトものコードを機械学習」したもので、人間のコードに適切な推奨をするという。「自動化されたペアプログラマのようなもの」という説明もある。
Disney+ U.S. Growth Slows Sharply in First Half of 2021, Internal Data Shows
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米The Informationが、躍進著しかった「Disney+」の成長に急ブレーキがかかっていると報道。2021年前半は、北米市場で成長がほぼフラットに。ほとんどの成長はインド・南米に依存するが、インドでは値付けが極端に安価という問題を抱える。
The New York Times is using Instagram slides and Twitter cards to make stories more digestible
米New York Timesは、テキスト主体のニュース記事でも、Instagramの(カルーセル)スライド機能や、Facebookでのテキストのビジュアル表示機能を多用するようになっている。テキストであっても、視覚効果に訴えることで、若者らのエンゲージメントを伸ばそうという試みだと解説する記事。
ただし、複雑な記事を、PowerPointのようなスライドで説明することで、論が単純化を引き起こすという副作用にも触れている。
Z世代の半数以上が音の出るメディアを2つ同時に利用・・・音声メディアへの高い受容性が明らかに | Media Innovation
「調査では、Z世代の音声メディアユーザーの6割が音楽を流しながら『音を出してテレビを見た』経験を持ち、3人に2人が音楽を流しながら『音を出して動画を見た』経験があることがわかりました」。

——自分にはとうていできないことが得意の“Z世代”(2020年時点で15~23歳)。自分は音のマルチタスクには耐えられない。むしろ、ポッドキャストとの接触では静聴度が高まる。