Disruption This Week—–14/10/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年10月11日から2022年10月14日まで。

WSJスクープ | TikTok運営のバイトダンス、音楽配信事業を拡大へ
【有料購読者向け記事】:
「人気動画投稿アプリ『TikTok(ティックトック)』を運営する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が、音楽配信サービスの世界展開に向けて音楽レーベル各社と交渉を開始した。スウェーデンのスポティファイ・テクノロジーなど業界大手としのぎを削ることになる」。

——ByteDance傘下にはもともと音楽配信サービス「Resso(レッソ)」があったわけだが、人気絶好調のTikTokとこれを組み合わせて、音楽配信分野でも事業拡大を狙うようだ。TikTokは先に、米国内で物流事業の準備を進めていることが報道されている。コマースと音楽、TikTokの事業拡張戦略が見えてきた。

Apple is quietly pushing a TV ad product with media agencies
【有料購読者向け記事】:
Netflixが広告表示付きの廉価サービスを11月3日からスタートすると発表したが、Apple TVもまた、秘密裡に広告付きバージョンを広告エージェンシーとともに検討中であるとDigidayが報道。検索広告に似たモデルで広告とのマッチングを検討中だという。
Meta’s VR social network Horizon is too buggy and employees are barely using it
Metaが力を入れるメタバース事業のフラグシップであるソフトウェア「Horizon Worlds」。だが深刻なバグを無数に抱え、同社スタッフでも利用を控える状況だと、社内文書を入手したThe Vergeが報道。メタバース担当VPのVishal Shah氏が書いたとするメモから。
「ロシア発の最大で最も複雑な工作」偽装メディアがフェイクを拡散する「ドッペルゲンガー」とは?
「シュピーゲルの公式のアドレスは『spiegel.de』だ。だが偽装サイトは、ページデザインやロゴはそのままコピーした上で、『spiegel.xxx』『spiegelr.xxxx』といった本物と間違えやすいものを使用していたという。
英シンクタンク『戦略対話研究所(ISD)』の調査では、EUでの配信が全面禁止されているロシア国営メディア『RT』が、アドレスを微妙に変更しながら、規制回避を繰り返している実態も明らかになっている」。

——平和博さんの論考。(上記引用箇所で「xxx」とした箇所は、Facebookがすでに偽アドレスとして投稿を禁止しているため記述を回避)
組織的、技術的に積み上げられた情報工作への対抗力(抵抗力)をどう構築するか。国家が主導するのか(当然な動きだが)、あるいは国家を超えた超権力たるプラットフォームが担うのか。はたまた、記事にあるようにNGO、NPOであるべきなのか。それが課題として浮上している。

Meta's Quest Pro is a powerful VR headset, but for whom?
20万円を大きく超えるメタバース用ヘッドセット「Meta Quest Pro」を発表したMeta。記事は、CEOのMark Zuckerberg氏やCTOのAndrew Bosworth氏のコメントを弾きながら、このハイエンド商品の投入に当たって、同社幹部の間でも「この高価な新しいヘッドセットのターゲット市場が誰であるかについて、必ずしも同意されていない」と論評。
NYT のサブスク拡大、鍵を握るのはゲーミングプロダクト:「今後も我々のマーケティングミックスにおいて大きな役割を果たす」 | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「ここ数週間、これは数字としてはっきりと現れているのだが、サブスクリプションをゲームのみにするのか、あるいは全エディトリアルコンテンツにするのか、2つの選択肢を提示すると、多くは後者を選んでくれる」。

——少し前に紹介したものだが、邦訳が出たので改めて。米New York Timesでゲーム製品が購読をけん引するパワーだとはよく知られているが、当然ながらニュース製品との相乗効果が求められる。その点で、同社が力を入れるのがサブスクのパッケージ(同梱)だ。これが有効に作用している記事。(実際の数字を示して述べているのでないことは要考慮)

Bloomberg Media Is Removing Its Open-Market Programmatic Ads
米Bloomberg Media、同社メディアでの広告表示に他社(サードパーティ)製プログラマティック広告、そしてTaboolaなどのレコメンデーション製品の利用を取り止めると発表。ユーザ体験の毀損を招いており、これら除去が長期的にプラスと、社内テストの結果で判断したとする。
How Tortoise podcasts became the most profitable part
「スローニュース」を謳い文句に2019年にスタートした英新興報道メディアのTortoise Media。購読者の要望が“聴くこと”にあることを発見。ポッドキャスト「Slow Newscast」を開設。12名の従業員を擁するオーディオ部門が年間黒字に転じたという話題。同社は現在5万人の有料購読者を持つ。
BeReal tops 53M installs, but only 9% open the app daily, estimates claim
“盛らない”SNSと話題の「BeReal」。Sensor Towe調べで全世界でのダウロードは5300万を突破、MAUは2022年1月から2254%も急増。だが、今年第3四半期のMAUで見ると、Androidのアクティブインストール者のわずか9%であるとしている。好奇心でインストールはしたものの…ということか。
Paywalls are closing off the internet. Crypto can fix that
ペイウォールの乱立は、Webの最も良質な特徴であるオープンアクセスを閉ざし、結果として良質なコンテンツに出会う機会を失わせる。記事はNFTとスマートコントラクトを使って出版社と連携する新たなマイクロペイメントの仕組み「Unlock」や「The Block」などの潮流を紹介する。
「サブスクはチームスポーツ」 克服すべき障害とは? Piano社ベンチマークレポート2022 - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着記事です。サブスクをはじめとしたメディアの課金トレンドをめぐり、Piano Japan代表に世界および日本のメディアについて尋ねました。ご一読を。
スマートニュース メディア研究所、初となるメディアリテラシー教育の長期授業プログラムをクラーク記念国際高等学校と共同で実施
【ご紹介】:
私も参加しているスマートニュース メディア研究所が、広域通信制高校のクラーク記念国際高等学校と共同で長期授業プログラムを実施することを発表しました。

Disruption This Week—–7/10/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年10月3日から2022年10月7日まで。

Google settles Arizona location data suit for $85 million
米Google、同社のアプリが位置情報履歴機能をオフにした後もユーザーの位置情報を追跡・保存し続けている点で米アリゾナ州司法長官が提訴した事案で8,500万ドルの支払いに応じて和解を選択。同長官が「アリゾナ州史上最大の消費者詐欺訴訟」と呼んだ裁判が回避されたことになる。
YouTube Cash May Trump ‘White Hot’ TikTok’s Hold Over Creators
【有料購読者向け記事】:
SNS界のベテランMatt Navarra氏は、記事によれば“インフルエンサーにインフルエンスを与えるメタインフルエンサー”的存在。同氏は、Facebook、Instagramはソーシャルグラフに依存しているという点でTikTokに敗退しつつあり、今後はYouTubeがTikTokの重要なライバルになっていくとする。
76% of UK consumers willing to consume ads in exchange for free content: YouGov survey | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
オンライン市場調査のYouGov、欧州での消費者調査で、各国いずれでも広告表示の見返りとしてコンテンツの無料提供を高い比率で選好。英国では76%と最高。低いスペインでも51%。と同時に、広告のクッキー利用抑止策は積極的に活用しているとの結果にもなった。
A New Refrain From Artists: We ‘Almost Gave Up on Instagram’
【有料購読者向け記事】:
TikTok人気に押され、動画シフトを進めるInstagram。そのInsta上で写真、静止画像、コミックなどで人気を培ってきたクリエイターらは、「Instagramはアーティストを必要としなくなった」と怒りと失望を募らせているとするNew York Times記事。
First Steps to Getting Started in Open Source Research - bellingcat
OSINT=オープンソース調査(報道)を始めるには? この分野で著名なBellingcatスタッフが、「基礎から始めるOSINT」を5つのステップで解説。「1. 自分のスキルや興味のあることを把握」「2. ツイッターを利用」「3. 仲間を見つける(そしてリストに載せる)」「4. コミュニティブランチを探す」「5. 観察し、学び、実践する」という構成だ。
NIKKEI Prime第1弾 必読のビジネス情報をあなたに
「日本経済新聞グループは朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報やサービスを提供する『NIKKEI Prime(日経プライム)』をスタートします。第1弾として、企業で意思決定を担うプロフェッショナル向けに3つの媒体を創刊します」。

——日経新聞が、3つの有料専門(バーティカル)メディアを創刊。以前で言えば日経BP社が手がけていたニューズレターのようなものだろう。ただし、購読費は手頃なもので、日経電子版購読の拡張版という要素もありそう。購読指向のメディア運営はこういう展開を見せるという意味でモデルとなる。

Briefing: Apple’s App Store Revenue Fell in September Quarter, Analyst Estimates
【有料購読者向け記事】:
AppleのApp Storeの収益が減速。米投資銀行のMorgan Stanleyが今週発表したリポートによると、Sensor Towerのデータを引用して、9月期のApp Storeの純収入が前年同期比2%減になったと推定した。近年、Appleはハードウェアを軸とした収益構造から、ソフトウェア・サービス事業での成長へと軸足を移していたが、痛手。新型iPhoneの増産計画も需要が弱くキャンセルしたこともあり、ダブルパンチとなった。
北朝鮮の無人航空機と思われる物体を撮影した衛星画像について|ユーリィ・イズムィコ|note
「今回新たに確認された機体は、既存の北朝鮮が保有している機体とは全く形状が異なるものであることに加え、北朝鮮が2021年1月に朝鮮労働党第8次大会で示した 『国防科学発展及び武器体系開発5か年計画(通称:国防5か年計画)』を踏まえると、同計画で開発が言及された無人航空機(UAV)または無人戦闘航空機(UCAV)である可能性が高いと思われます」。

——先に公開されていたインタビューでOSINT(オープンソース/インテリジェンス調査報道)を開始する旨を述べていた小泉悠氏。それが本格的にスタートした。「Deep Dive」というメディアが開設。第1弾は北朝鮮が軍事ドローン機を開発した模様というものだ。

Publishers: 10 things you should know about AI in journalism | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
ジャーナリズムにとってAIとは? ロンドン大学でJournalismAIプロジェクトを率いる筆者が解説。AIを用いて編集部内にある偏見を特定、緩和したり、自然言語処理ツールを使用してコンテンツを分析し、十分に報道されていないトピックを発見するなどさまざまなものがあるとする。
先日、同僚から米国で行われたメディア関係者向けイベントで「ソース・ダイバーシティ(記事や番組内で扱われる情報源に偏りがないよう多様化を図る)」を計測するアプローチが話題に上ったと聞いた。政治的な偏りや人種、性差などで偏っていないか、自動的に計測、分析するなどもAIが行うべきテーマになりそうだ。
出版状況クロニクル173(2022年9月1日~9月30日) - 出版・読書メモランダム
「TRC(図書館流通センター)の売上高は3位で、トーハン、日販GHDと一ケタ異なる510億円だが、税引後利益額は遜色がない。
粗利益率も18.8%と群を抜き、売上高経常利益率に至っては4.4%で、日教販1.3%、日販GHD 0.7%、トーハン0.3%に比べ、ダントツということになる」。

——図書館流通センターの高い収益性に着目した箇所。もちろん、その根本的な回答は、「増え続ける公共図書館を背景とする図書館専門取次として、低返品率、出版社との直接取引などが相乗」したビジネスだからという指摘。なるほど。この構造を一概に否定できないが、ここにもまた電子化の波が押し寄せれば、構造は大きく揺らぐことになりそうだ。

新聞・ラジオがポッドキャストに注目、若者ファン狙う
【ご紹介】:
日経MJ紙での連載が日経電子版に掲載されました。よろしければご一読を。➡️ 新聞・ラジオがポッドキャストに注目、若者ファン狙う

Disruption This Week—–30/9/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年9月26日から2022年9月30日まで。

How Defector generated $3.8 million in its second year
1年前に紹介したスポーツ&カルチャーメディアの「Defector」が創刊2年目を終えた。総購読者の数は1年目の36,000人から38,000人へと伸び、売上は380万ドルに(95%が購読料収入)。28,000人は年間購読者で更新率90%。注意を払うのは他の購読とのトレードオフ関係だという。
NBA pushes boundaries with new mobile app
NBA(全米バスケットボール協会)、直接ファンとのエンゲージメント強化に向け、自らモバイルアプリを提供。計画当初には、大枚をはたいて放映権をライセンスする大手メディアらとの摩擦が問題となったが、アプリではアーカイブを充実させるなど、すみ分けを図り定着へ向かう。
The New York Times looks to gaming product to grow subscriptions
米New York Timesのゲーム部門責任者、「ここ数週間で、ゲーム購読の提案をし、ゲームの購読を取るか、より大きなNew York Timesのバンドルを取るかを選択させた。最終的に読者はバンドルを取るという証拠を確かに見ることができた」と語る。
Wordleは依然として無料で提供しながら、有料ゲームや、ニュースメディア全体へのファネルに位置づけることに手応えを感じているという。ただし、同社はゲームの購読、バンドル製品の購読数(の伸び)の実数は発表していない。
Google Search adding 'Discussions and forums' section and translated news coverage
Google、検索結果に関連するRedditなど掲示板(フォーラム)での議論を追加表示する機能を実装したと発表。すでに米国内では有効になっている。また、来年には検索結果に関連するニュース記事を表示するなどの拡張も予定しているという。
'Harder to dispute': Ebiquity CEO on why advertisers are slowing spending in the Google-Facebook duopoly
Meta、そしてGoogleにおける広告ビジネスの引き潮を指摘する広告業界人が指摘する記事。両者とも依然として大きなシェアを誇るものの、引き潮は、Appleによるターゲティング広告制限の影響で、以前に比べ広告精度が落ちてきたことが影響しているとする。
Removing Coordinated Inauthentic Behavior From China and Russia | Meta
Meta、Facebookなどを舞台に大規模な影響力工作を行っていた中国、ロシア系のアカウント群(ネットワーク)を排除したと公式発表。後者は特に大型で、60もの報道機関を仮装して、ウクライナはもちろん、独、仏、英、伊を対象に工作を行っており、今次の侵攻以降最大の事案だとする。
アーティストにとってサブスクは地獄の入り口か?──ストリーミングが変えた音楽産業(松谷創一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース
「そこで(=NFT化)期待されているのはコンテンツ(デジタル資産)を投資対象にすることで、デジタル時代のコンテンツ経済を活性化させることにある。デジタル時代のコンテンツ経済を活性化させることにある。投資対象であることとはつまり、その価値が変動することを意味する。
たとえば、キャリアの浅いクリエイターが自らのコンテンツに投資を募り、その資金で制作活動を続けて後に大ヒットすれば、当初は安値だったデジタル資産の価値も上がるというスキームだ」。

——松谷創一郎氏の論。初見ながら凄い筆力をもった方と感心した。種々、自分には異論も感じるが、日本でデジタル、特にストリーミングが進まず、かたやCDで異様なビジネスモデルが発明されてガラパゴス化している点などへの論及に説得力がある。また、そこからの脱出は、もはやストリーミングへの最適化ではなくNFT経済でリープフロッグすべきというのも、興味深い。

Are paywalled podcasts ready for prime time? | Toolkits
報道メディア界にもポッドキャスト人気が波及。有力なタイトルを有するメディアは、そのマネタイズに踏み切る動き。ポッドキャストで300万ユーザの英Economist、新興メディアTortoise Mediaなどを例に取り上げた記事。すでにサブスク路線を行くAppleやSpotifyなどプラットフォームとどう棲み分けるのか。
'Cheer the f**k up': Ex-media boss Ellis Watson's rallying cry to industry
「今は、本当にエキサイティングでダイナミックな時代だ。そして、クソみたいな意見を蔓延させているプラットフォームの支配に脅かされることなく、最低限まともな質の高いコンテンツを作り、それをパッケージし、人々が望む方法で売り出せば、本当に驚異的にエキサイティングな時代になると思う」。

——DC Thomsonなどのメディア企業トップを歴任してきたEllis Watson氏が、Press Gazetteのカンファレンスで講演。メディア人は楽しく仕事をしろとはっぱをかけた。ディア企業に対して「みんながやっていることを追うのをやめて、自分でやってみよう」と呼びかけた。

静岡県の水害巡りフェイク画像が拡散 画像生成AIを利用 投稿者はデマと認めるも「ざまあw」と開き直り
「投稿者は問題の画像がフェイクだと認め、謝罪文を投稿。画像生成AI『Stable Diffusion』を使い、作成したことを明かした。フェイク画像を投稿した理由について投稿者は『大した目的はない。そもそも安易にこれが広まると想定していなかった』としている」。

——さっそくAIによる画像生成サービスを活用した偽映像が使われ始めた。愉快犯らしい。

WSJスクープ | メタとグーグル、人員整理でコスト削減を加速
【有料購読者向け記事】:
「メタの事情に詳しい複数の関係者によると、同社は事業の伸び悩みと競争激化に直面する中、人員削減などを通じて今後数カ月で経費を少なくとも10%削減する計画だ。
…グーグルもコスト削減策の一環として、社内に残りたい場合は新たな職務に応募するよう従業員に求めている」。

——直前の投稿とも関係する報道。

Audiences don't trust in news on social media: Reuters Institute report
英Reuters Institute、デジタルプラットフォーム上で接触したニュースを信頼性を低く認識するとの「認識ギャップ」現象をめぐる国際調査(英米、ブラジル、インドで実施)の結果を発表。この記事は調査結果を要約するもの。Facebook、Twitter、そしてTikTokは低評価。だが世界観ギャップもそこに関与している点には注意が必要。(年齢高い層はInstaやTiktokをより低く評価)
OpenAIがリリースした高精度な音声認識モデル”Whisper”を使って、オンライン会議の音声を書き起こししてみた | DevelopersIO
「2022/09/22の夕方ごろ、OpenAIが音声認識ですごいものを出したらしいというニュースが社内のSlackをにぎわせていました。
個人的には、いくら認識が凄いって言っても、実際日本語は微妙なんじゃないかな…?と思っていたのですが…」。

——GPT-3で知られるOpenAIが日本語“も”認識し、テキスト化してくれる「Whisper」を公開。専門家が専門的にテストを試みたプロセスと結果を解説。期待ができる。こうなってくると、いずれ、発話された言語(多言語)を認識し、翻訳するといった夢のようなリアルタイム処理も、登場しそうだ。

How platforms turn boring
当初、TikTokは、そこでしか起こり得ない文化があったからこそ、エキサイティングだった。今は他のあらゆるネットワークで見られるものに近づいているとする記事。ユニークな中小プラットフォームは、大プラットフォームにの独自性を吸収されて衰弱していく。
偽情報はどこから生まれる?対抗策は? 英調査報道集団「ベリングキャット」創設者が解説
「検証の手法を普及させていくことの重要性にも言及。16~18歳向けの教育プログラムがスタートしたことを紹介しながら、
『私たちの願いは、伝統的な調査方法とオープンソースの手法を組み合わせてインパクトを与える方法を示し、彼ら(若者)が自分たちの生活に変化をもたらす力を与えることだ』」。

——OSINT(オープンソース調査報道)のBellingcat創設者エリオット・ヒギンズ氏が講演。引用にあるようにテックに強い青少年向けプログラムを同団体がスタートしたと述べる。

Disruption This Week—–9/9/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年9月5日から2022年9月9日まで。

グーグル「ニュースショーケース」、米でのサービス開始に遅れ 条件折り合わず
【有料購読者向け記事】:
「米グーグルが報道機関に対価を支払い各社コンテンツを掲載する『ニュースショーケース』の米国での立ち上げが、当初予定から1年近く遅れている。事情に詳しい関係者らが明らかにした。一部メディアとの協議が行き詰まっているという」。

——日本を含む18か国でサービスインしている、Googleの報道メディア向け特別スキームの「News Showcase」。21年にも、と語られていた本丸の米国で立ち上がらない。理由は条件面。米大手メディアはやはりGoogleに強い立場。交渉がGoogle優位にまとまらないのだろう。議会などの動きも見ながらという長期戦。

Daily Mail Snapchat: How the publisher got to 15 million subscribers
Snapchatは、TikTokやInstagramなどに比して小さな存在ではあるが、英メディアMail Onlineにとって特別なプラットフォーム。その上で1,500万人ものフォロワーを稼いでいるからだ。同社は35人ものチーム編成でSnapchatを攻略している。詳細な調査で解説する記事。
Longtime Washington Post tech chief Shailesh Prakash leaving for Google
米Washington Postの中期的な成功を技術面で築いてきたとされる、同社の最高技術責任者/最高製品責任者のShailesh Prakash氏が退職へ。Google幹部職に就任の見込みとAxiosが報道。同氏は内製CMSを発展させたArc XPや広告配信基盤のZeusを、同社の収益の柱にまで育て上げたが、同事業のスピンアウトをめぐってもめ事ともなっていた。
「パクリサービス」だったTikTokは、なぜ中国初の世界で使われるアプリになれたのか?(飯田 一史) @moneygendai
「すべてはバイトダンスの創業者チャン・イーミンが、YouTubeが登録したチャンネルからの視聴よりもアルゴリズムによるレコメンドでよく視聴されていることに気付いたことに始まる。ライトなエンタメ分野では能動的な『検索』や『チャンネル登録/フォロー』よりも『レコメンド』での需要が大きい、と」。

——パクったサービスとは「Musical.ly」というサービスだったのはよく知られている。が、論の重要なポイントは、上記の引用箇所だ。そして「ドウイン(TikTokの原型)はひとつひとつの動画が短く、ユーザーが気に入らない動画は次々にスワイプしていくことから、AIが使い手の好みを学習するのに適していた」というポイントと融合する。アルゴリズムが圧倒的に優位な時代をByteDance創業者は突っ走ったことが最重要。
https://gendai.media/articles/-/99463

An A.I.-Generated Picture Won an Art Prize. Artists Aren’t Happy.
【有料購読者向け記事】:
米コロラド州のフェアでAI駆動作画サービスMidjourneyを用いたJason M. Allen氏の作品「Théâtre D’opéra Spatial」が新進デジタルアーティスト分野でブルーリボンを受賞。他のアーティストらは“違反”だと反発。 Allen氏は「私は勝ったし、ルールを破ったわけでもない」と反論する。
スポーツ紙「西スポ」が紙面発行を休止へ Webに完全移行
「今後も、福岡ソフトバンクホークスをはじめとしたスポーツ情報を報じるとともに、広くファンとつながる機能も強化するという。『西日本スポーツ賞』もこれまで通り続けるとしている」。

——ソフトバンク・ホークス関連報道で強い「西スポ」がデジタル版専業事業に。2020年に「8万部強」の発行部数だったということで、なかなか採算は厳しかったろう。だが、ローカル&スポーツ・エンタメの魅力は大きい。デジタル化での成功法則が見いだせれば、スポーツ紙業界にインパクトを与えられそうな気がする。

Exclusive: Yahoo buys The Factual to add news credibility ratings
米Yahoo、アルゴリズムを使って情報源の信頼性を評価するThe Factual社を買収。Factualは10名弱の新興企業で、Yahoo Newsの一部門となる。Yahooはこの技術を世界でシンジケーションしているコンテンツに適用し、その“信頼性スコア”を表示していく予定だ。
Frustrations Mount at Washington Post as Its Business Struggles
【有料購読者向け記事】:
New York Times、この1年で経営不調に陥ったWashington Postの内情をスクープ。記事によればWaPoは長年黒字を堅持してきたが、22年は最終赤字となる見込み。20年末に300万人としていた電子版購読者は、いまはそれを割り込み、広告収入でも昨年同期比で15%も下回る状況だという。内部情報から、1,000人程度される編集部スタッフのなかから、100名程度の人員削減も検討されているようだ。
主張:ソーシャルメディアの汚染はモデレーションでは解決しない
【全文閲読には要購読】:
「規制当局の仕事は、テック企業のプロダクト開発チームと協力し、プロダクト開発の過程で(害を)測定できる実装可能なプロトコルを作り、意味のあるシグナルを評価することだろう。
このアプローチは面倒に聞こえるかもしれないが、この種のプロトコルを追加することは、最大手企業(規制が適用されるべき特定の企業群)にとっては簡単なはずだ」。

——大手テック企業が運営するプラットフォーム上では、ユーザをはじめとして社会に害をなし得る投稿などの情報を検閲する「モデレーション(機械的・人的検閲)」が行われている。だが、これらテック企業が社員に課しているのは、これら投稿などの情報によって、自社サービス上の規模拡大であり、これがモデレーションの目的と一般的に矛盾する。そのため本質的な制御が行われない。この論文では、大手テック企業がサービスの改善を狙って日常的に行っているユーザをめぐる調査計測手法に追加できるモデレーション用の計測プロトコルを開発し、規制当局がそれを大手テック企業が運用するのを義務づけるということだ。近日、詳細が発表される。

アルゴリズムを直接管理、中国の果てしなき野望
【有料購読者向け記事】:
「プラットフォームを左右する重要技術について、規制当局がネット企業に対して組織だって開示を強要するのはこれが初めてだ。ポップ文化から政治まであらゆるものを劇的に変える能力を持つ強力なアルゴリズムを政府として果たして操れるのか」。

——中国の規制当局が、国内で人気のネットサービス30の中核アルゴリズムについて開示、その要旨を公表した。事実上のアルゴリズム規制だ。実際にはこれらサービスがすでにユーザに対して開示している概要以上に詳細ではないが、当局に開示された内容はそれとは異なり詳細なものだと記事は述べる。

ファクトチェックは「大きな物語」に対抗できるか?——[Global Fact 9リポート]ナラティブ、コラボレーション、テクノロジーが切り開く未来 - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着記事です。ジャーナリストでファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)理事でもある古田大輔氏がGlobal Fact 9に参加して、ファクトチェックの最前線をリポートします。ぜひご一読を。

Disruption This Week—–26/8/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年8月22日から2022年8月26日まで。

Exclusive: The Block launches tokenized paywall
暗号資産関連のメディアである米「The Block」、自身のメディアを、「アクセス・プロトコル」と呼ぶトークン売買によるペイウォール運用に乗り出す。同社がトークンを発行しそれを購読者が買う“有料購読制”。同メディアはすでに数千人の購読者、数百の企業購読者を有する。コンテンツの有用性に対してカネを支払うのか、トークンの投機性に魅せられているのか。行方を見守ろう。
「実在しない超リアル」次々に登場するAI生成画像の不安とは?
「筆者は、架空のファッション誌の表紙の画像を1860年代の創刊号から、10年ごとの年代順に2030年代まで生成してみた。
存在しないファッション誌の、存在しないバックナンバー(と未刊号)のアーカイブだ。それらを並べてみることで、存在しない『ファッションの歴史』が浮かんでくる」。

——急速に広がっている“AIによる描画サービス”。絵心のない人であっても、テキストで意図するものを説明すれば、それなりの、あるいは想像を超えたアウトプットが得られる。ここでもテクノロジーの両義性が浮き立ってくる。倫理的な歯止めや、詐欺的利用の抑止をどう行っていくのか。早く着手しなければ。

Economist reaches new audiences with Instagram

International News Media Association (INMA)

Economist reaches new audiences with Instagram
ペイウォールを運用する英The Economist、Instagramで若者を対象とした積極的な施策を実施。580万人のフォロワーの3分の2は18歳から34歳だという。単にブランド認知だけでなく、インスタを通じた記事経由での購読を獲得していると担当者が解説。
I made a map of Spotify podcast recommendations. Here's what I learned.
Spotifyが力を入れるアプリ内での“ポッドキャストの発見”アルゴリズム。オーディオ分野に詳しいブロガーが、Spotify(のポッドキャスト発見)アルゴリズムを解明、その楽曲のお勧め技術から発展したその特性を整理した画期的な投稿。
米メタ、3750万ドルで和解 FBの位置情報追跡巡る訴訟で
「サンフランシスコの連邦裁判所に22日に提出された今回の和解は予備的なもので、裁判所による承認が必要となる。原告側はフェイスブックが携帯端末の位置情報サービスをオフにしているユーザーからデータを収集し、カリフォルニア州法と自社のプライバシーポリシーに違反したと主張」。

——Metaの立場に立って、補足すると「メタは和解に同意するにあたり、不正行為を否定。現時点でコメント要請に応じていない」。否定はしているものの、その根拠を語る気はないらしい。

TikTokのiOSアプリも「キーロガーと同じような動作」と開発者が指摘
「クラウス氏によると、同氏の前回のブログを公開した後、アプリ内ブラウザを使っている企業の多くがJavaScriptコードが検出されないようにアプリを更新したという」。

——すでに昨日、このキーロガー問題を紹介したが、本日も補足的に紹介しておく。TikTok以外もIT大手が提供するアプリには多くこの種の“仕掛け”が仕込まれているが、TikTokのケースは危険度が高いと、論者は指摘したのだ。
面白いのは、引用箇所のように、論者が指摘した意図的脆弱性について、各社ともこそこそと隠蔽に走っているらしいことだ。

Short Content is skyrocketing: What does it mean for digital video? | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
TikTokはもちろん、それを追うYouTube Shorts、そしてFacebookとInstagramのReelsまで活況を呈している。記事は、このショートフォーム全盛が意味するものをひもとく。ユーザの認知的な負荷を軽減、そしてコミュニティの輪を広げる。
だが弱点もある。それは深いエンゲージメントだと指摘する。
An Interview With The New York Times Company CEO Meredith Kopit Levien
Ben Thompson氏の個人メディア「Stratechery」。有料購読制も敷くが、その無償バージョンに米New York Times CEOのMeredith Kopit Levien氏が登場。ロングインタビューに応えるという時代とメディアの変化を感じさせる驚きの展開。内容もNYTの重要な動きについて的確に触れるものだ。
たとえば、現在のNYTの編成をしているのは誰かとの問いに対しては、“プロダクトとして見た”場合、「現在では、ジャーナリスト、編集者、製品担当者、デザイナー、データ科学者、エンジニア、マーケティング担当者、製品マーケティング担当者が一体となって、デジタル製品エクスペリエンスに関する素晴らしい取り組みを行っている」と回答する。
Tech Companies Are Relinquishing Some Control of Online Ads to Users
【有料購読者向け記事】:
TikTok、Meta、Googleなど広告収入中心の大手プラットフォームで、表示する広告のタイプについて、ユーザが拒否したりできるコントロール権を広げる動きが進展とする記事。膨大な資金をかけて個人ターゲティング技術を開発しながら、ユーザが嫌がることをいまさら訊ねていると皮肉るコメントも含まれている。
Zero-click content: The counterintuitive way to succeed in a platform-native world | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
検索、ソーシャルメディアなどプラットフォームでは、“ゼロクリック”コンテンツの比重が高まっている。たとえば、Google検索結果ページではナレッジグラフが表示され、記事リンクをクリックする必要がない。InstagramやTikTokでは、コンテンツ中に外部リンクを許可しない。知名度や自身のページでのコンバージョンを求めるクリエイターは、どう振る舞い、工夫しているかを整理した資料性のある記事。
JIMA : JIMA会員オフラインイベント「JIMAなんでも相談会(第1回)」8月31日(水)開催
【JIMA会員向けご案内】:
31日開催のオフラインイベント「JIMAなんでも相談会(第1回)」の申込締切が近づきました。オフラインでフランクに語りあえる久々の機会です。会員社の皆さんはぜひ申し込みを!