Disruption This Week—–25/8/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年8月21日から2023年8月25日まで。

生成AIによる「“新”証言」で物議 日赤、関東大震災100年企画の一部展示を取りやめ
「しかし企画内容が報じられると、SNSを中心に『証言を生成はない』『AIねつ造』『冒涜では?』など批判的な声が多く上がった。中には『数年後には史実として語られてそう』と心配する声もあった」。

——興味深い騒動だが、結局のところ、新たに創造したのだから「証言」という文言を使うのはウソだろう、ということのようだ。個人的には見てみたい展示。中止せずともキャッチコピーを変更すればいいのではないか。

Writer making six figures on Substack says 'I won't write for free anymore'
「もうタダでは書かない」——。英国で1,000名超の有料購読者を擁するニューズレター(=Substack)ライターへの取材記事。英国では現在、「数十人」のライターがSubstackで6桁以上の収入を得ているという。取材されたEmma Gannon氏はInsta、Xは購読者源としては最下位とする。
【下山進=2050年のメディア第6回】週刊「ダイヤモンド」女性編集長が経験する初めての右肩あがり | AERA dot. (アエラドット)
「(新編集長の浅島亮子氏は)デジタル有料化を社の政策とすることができず、NewsPicksに、編集部の中核メンバー三人を奪われたときには、『うちが「変われないオールドメディア」の烙印を押されたも同然』と愕然とした」。

——なんというかこの辺りのくだりは、“下山進節”的だ。自分はこの箇所を読んでいて、いよいよレガシーメディアと新興メディアの双方向でのヒトの往き来が生まれてくるのだと感慨を持った。悪いことばかりではない。

ユーチューブとUMG、AI対価支払いの仕組み開発へ
【有料購読者向け記事】:
「米アルファベット傘下のユーチューブは、生成人工知能(AI)ツールがアーティストの作品を使用した際にそのアーティストが対価を受け取る仕組みの開発に向け、音楽世界最大手ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)と手を組む」。

——水面下でAI大手とライツマネジメント側との協議が始まっているとの報道は、すでに紹介している。いよいよ浮上してきたようだ。本件は楽曲および関連する映像のAI利用に関するもの。アーティスト自身が直接関わるのではなく、レーベルなど中間業者がとりまとめる動きで、レガシーモデルだ。大きなカネが動きそう。

メタ、音声翻訳AIモデルを発表 数十言語に対応
「米メタ・プラットフォームズは22日、数十カ国語の音声を翻訳・文字化できるAIモデル『SeamlessM4T』を発表した。ブログで明らかにした。
このモデルは約100言語の文字・音声に対応し、35言語では完全な音声対音声翻訳も可能という。
メタはこのモデルを非商用利用向けに一般公開する方針」。

——ジェネレーティブAI版多国語翻訳機が現実のものに。デバイスも含めて同種機能はすでに存在しているが、精度が重要。また、メタはどのようなビジネス化をめざすのかにも関心がある。

Who’s hiring in Subscription Publishing
米英で購読戦略を推進する著名メディアの求人一覧。New York Times、The Economist、The Atlantic、The Information、Dow Jonesなど各社が求める人材スペックが見えてくる。この記事からより詳細な応募ページへの遷移もできる。
個人情報保護委「生成AI利用に注意」 事業者・行政機関向けにポイント解説
「サービス組み込み用の生成AIを提供する事業者などは、利用者が入力した情報を学習に使う場合もある。サービスの実装方法や規約によってはこれが個人情報保護法に触れる可能性があるため、確認するよう注意喚起したものとみられる」。

——いまも、そして今後も、ジェネレーティブAIをAPI経由で自社サービスに接続していくケースが増える。ユーザーもだが、その種のサードパーティ事業者も注意することが増える。

‘Don’t Put Your Head in the Sand’: Stars Are Quietly Inking Deals to License Their AI Doubles
【有料購読者向け記事】:
フォトグラメトリ(複数の2D画像から3D画像を生成する)技術を使い、ハリウッドスターたちが作品ごとに自身の人工的な複製(デジタルツイン)を許諾していることに気づいた人物が、スターのデジタルツインの永続的な権利販売ビジネスを見いだしたという経緯を詳細に追ったストーリー。
もちろん、それがジェネレーティブAI時代の新たな産業を生み出すことになるのだろう。
33歳のNewsPicks編集長「新しい発明を探索」動画で新境地:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「ユーザーとして必然だと思いませんか。スマホや5G(高速通信)で環境は整っています。情報感度の高いビジネスパーソンでも、『効率が良いのでテキストで』という人は一部だと思っています。僕自身、昔よりも集中しないと、テキストを読もうとはなりません」。

——“知ったかぶり”のような口の利き方はしたくないが、この一連のシリーズで語られていることは、ある意味で(ネット)メディアでの“常識”。それを朝日新聞が熱心に咀嚼している構図が興味深いと思っている。

「生成AIは著作権保護の検討が不十分」新聞協会など声明 「著作権法30条の4は大きな課題」
「学習利用の価値が著作権者に還元されないまま大量のコンテンツが生成されることで、創作機会が失われ、経済的にも著作活動が困難になる」「海賊版をはじめとする違法コンテンツを利用した、非倫理的なAIの開発・生成が行われる」「元の作品への依拠性・類似性が高い著作権侵害コンテンツが生成・拡散される」

——今後は、国内でのジェネレーティブAIをめぐる騒動は、著作権法第30条の4をめぐっていきそうだ。さて、法改正論議のテンポを世界が待ってくれるのだろうか?

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