Disruption This Week—–8/9/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年9月4日から2023年9月8日まで。

How an innovative Armenian platform battles news fatigue with solutions journalism
アルバニアのメディア「Urbanista」は、問題解決に焦点をあてた小規模でニッチなジャーナリズム・プラットフォームだ。この種のソリューションジャーナリズムは世界的に増えつつある。多くのレガシーメディアには、“ニュース疲れ”に抗する動きが生じていないと指摘する記事。
米アルファベット、選挙広告のAI生成コンテンツに情報開示義務付け
「グーグルの親会社、米アルファベットは6日、選挙広告を出す全ての広告主に対し、11月半ば以降、広告に人工知能(AI)が生成したコンテンツが含まれる場合には明確かつ目立つ情報開示文を付記するよう義務付けると発表した」。

——広告主に対するコントロール。問題はUGC(による投稿)の部分だろう。

米ニューズ、AI企業と交渉中 コンテンツ利用巡り=CEO
「トムソンCEOはゴールドマン・サックス主催のテクノロジー会議で、今後AI企業によるメディア企業のコンテンツ利用を巡る訴訟が多発する可能性があるとし、『すでにメディア企業の一角はそうした議論を始めている』と指摘。『個人的には、われわれは現段階ではそうした状況に関心はなく、交渉への関心の方が強い』と語った」。

——カンファレンス上でのNews Corp幹部の発言を捉えた記事のようだ。訴訟より交渉をとるというスタンス。どのAI企業との定型化は明かしていないようだ。

グーグルがAI生成画像に電子透かし、大手テック企業で初
【有料購読者向け記事】:
「シンスID(SynthID)と呼ばれるこのツールは、当初はグーグル・クラウドの機械学習プラットフォームであるバーテックス(Vertex)でホストされているAI画像生成ツール、イメージェン(Imagen)のユーザーのみ利用できる」。

——生成された画像に電子透かしを入れるアプローチ。残念ながら独自製品に組み込むプロプライエタリな動きで、広がるかどうか。さらに言えば、この種の電子透かし開発プロジェクトは数種類あるが、テキストに応用できる見込みは立っていない。

Publisher playbook on how to kickstart your AI strategy
メディア企業は「AIの能力を活用して、プロセスを変革、効率を最大化し、深く刺さるユーザー中心のコンテンツを提供する可能性を得ることができる」。ではそのための阻害因子は何か? 英FTのコンサル企業による調査から3つのポイントから解説する記事。
日本にも「ニュース砂漠」は生じるか 愛媛の港町で民放が打った奇策:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「以前なら、できあがった原稿と映像は自分が所属するテレビ愛媛の本社(松山市)に送っていた。
だが今は、ライバルだった県内の他の民放3局(南海放送、愛媛朝日テレビ、あいテレビ)の本社にも一斉に届ける」。

——重要な試み。ニュース(報道)の健全性維持のためには、取材が完全に1本化されることは必ずしも良くないが、NHKと他局の連合報道というようなスキームは、悪くない。その先にはNHKの報道基盤を公共インフラ化するという発想もあり得る。

Non-news sites expose people to more political content than news sites. Why?
人々は近年、ますます“ニュース忌避”を強めている。とりわけ政治関連報道は嫌われている。米国を含む欧州3か国での調査から、ニュースサイト以外での政治ニュースへの接触が圧倒的に大きいことが判明。たとえばエンタメ、ショッピングサイトでの接触だとする研究が公開された。
「ニュースを盗む」生成AIで検索最適化、それをブランド広告が支える仕組みとは?
「『コンテンツファーム』は、ニューヨーク・タイムズなどのニュース記事を自動収集。生成AIを使って、検索エンジンで上位に表示されるように書き換えさせた上で、無断掲載していた。
盗用記事には主要ブランドの広告が掲載され、それらのサイトを支える仕組みになっている」。

——有名サイトでの報道記事を“学習”し、それを広告収入狙いのサイトで大量にニュース記事として公開する、新手のコンテンツファームの事例。面白いのはどうやってAI生成記事を見つけたかというと、ニセニュース中に生成AIのエラーメッセージがそのまま残存しているのを目安にしたということらしい。

生成AIの自社ルールの作り方 米AP通信の例 「“何をさせないか”を明らかに」
「AP通信は通信社であり、当然ながら生成AIの用途についても、配信する記事を執筆することの支援が中心になると考えられる。発表されたガイダンスも、そのユースケースを前提とした内容に限定されたものだ。しかしそこで示されている注意事項は、他の業界の生成AIユーザーにとっても参考となるものだろう」。

——老舗通信社APが定めたジェネレーティブAIをめぐる「ガイダンス」。小林啓倫氏が詳しく解説している。

Googleによる新たな検索体験。知りたいことを検索すれば生成AIが要約してくれるように
「AIが要約してくれた文章からさらに詳しく聞きたい場合は、追加で聞いてみましょう。
上の動画では『iPhone 15 予想』と検索して、生成AIによるまとめを表示しました。
これまでの聞こえてきたiPhone 15の噂から『新機種のモデル』『予想価格』『新たなProMotionディスプレイ搭載の可能性』などの情報をまとめてくれています」。

——あくまで試行運用と思われるが、“会話型AI検索”の姿が伝わってくる。調べたいことを深掘りしていくには向いていそうだ。一方で、知りたいことを知らない、という利用者にとってセレンディピティを与えるサービスの実装がより一層重要になる。

動画配信、ネット接続型テレビの市場広げる - 日本経済新聞
【ご紹介】:
日経MJ紙に寄稿した記事が、日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ 動画配信、ネット接続型テレビの市場広げる。
JEPA|日本電子出版協会  2023年9月19日 藤村厚夫氏: 生成AIとメディアの現在、未来
【ご紹介】:
9月19日、オンラインセミナーで「生成AIとメディアの現在、未来」のお話をいたします。オンラインでどなたでも参加いただけるようです。

コメントする