Disruption This Week—–1/12/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年11月27日から2023年12月1日まで。

On ChatGPT's first anniversary, its mobile apps have topped 110M installs and nearly $30M in revenue | TechCrunch
ChatGPTがサービス開設からようやく1周年。モバイル関連調査企業data.aiによると、1周年を迎えた現在、ChatGPTのモバイルアプリバージョンは合計で1億1,000万インストールを突破、消費者からの売上は約3,000万ドルに達した。
出版状況クロニクル187(2023年11月1日~11月30日) - 出版・読書メモランダム
「今世紀に入っての雑誌の凋落が一世帯当たりの消費支出にも露わである。2000年の5386円に対して、22年は2526円と46.9%になり、まさに半減してしまっている。
しかもこれは平均であり、20代の場合は2000年7916円に対し、22年は959円、30代は7740円に対し、2154円となり、かつての雑誌のコア読者層の雑誌離れが歴然となっている」。

——引用箇所は、『季刊出版指標』(2023年秋号)が特集した企画から「一世帯当たりの年間品目別支出金額〈雑誌・書籍〉」を惹いた部分。注意したいのは年齢を平均化した記述である点で、年齢階層別に見ると、「とりわけ20代は半減どころか、90%近いマイナス…」となる。これだけを見れば、「雑誌」フォーマットは、もはや消滅に向かっていると言っても良さそうだ。

<img src="https://www.niemanlab.org/images/caleb-woods-VZILDYoqn_U-unsplash-700×467.jpg" alt="So who are the consistent news avoiders?” />
「私たちが、何者であるか(アイデンティティ)、何を信じているか(イデオロギー)、そして私たちが利用するメディアの経路(インフラストラクチャー)が、私たちがニュースとどのように関わるかに大きな影響を及ぼしているということだ」『ニュース回避』。

——「はっきりさせておきたいのは、若者や女性、社会経済的階層の低い人たちのすべて、あるいはそのほとんどが、一貫してニュースを避けているということではない。それは事実ではない」と新刊書『Avoiding News:Reluctant Audiences for Journalism』は述べているという。

Federal government reaches deal with Google on Online News Act | CBC News
Googleとカナダ政府、オンラインニュース法(ONA)をめぐる争いで合意に達し、Googleがニュースメディア企業に年間1億ドル規模の支払いをする見返りに、カナダ国内でニュースのオンライン共有を継続することとなったとする報道。政府高官もそれを認めた。
ttps://www.cbc.ca/news/politics/google-online-news-act-1.7043330
オープンAI内紛 「効果的利他主義」巡る騒動
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「アルトマン氏は今年の春、世界各地を回って、AIは深刻な害をもたらす可能性があると警鐘を鳴らしたが、同氏はまた、EA(=「効果的な利他主義」)を『非常に奇妙な目新しい行動』を見せる『信じられないほど欠陥のある運動』と呼んだ」。

——OpenAIのCEOをめぐる大騒動の背景にあった要素のひとつに、「EA」と「e/acc」(「効果的な加速主義」)があったとの指摘が徐々に明らかになっている。本記事もその視座で解き明かそうとしている。当事者や社員向けの(会社からの)メッセージも、明瞭な説明をしていないので、判定が難しいのだが。

インスタ創業者が作ったニュースアプリ「Artifact」、AIのおすすめが的確すぎて驚いた
「Mark as Clickbait Titleは、要するに“釣りタイトル通報ボタン”です。これはニュースを読んでいるときに媒体にフィードバックしたいことですね。書き手のしての私としても、読者のこういう情報はぜひ欲しいです」。

——いしたにまさき氏によるニュースアプリ「Artifact」試用記。
アルゴリズムがニュースを選択、提案は一般的だが、それへの反応でユーザーのステータスを変化させ、そのステータスに対応した機能を提供する…という相互作用的な特徴が興味深い。併せて、引用箇所のような、“荒れない”ユーザーからの意思表明の仕方については学べそうだ。

Sports Illustrated’s Parent Says Articles by Allegedly Fake Writers With AI-Generated Photos Came From Third-Party Provider
水着写真などで有名な米スポーツ専門老舗メディア「Sports Illustreated」、Webサイトに掲載した記事がAIが作成した顔写真入りで、実在しないライターによる記事と指摘され、それがパートナーから供給を受けた記事だったと認め、パートナー契約を破棄したことを公表。ライターの略歴なども仮想のものだった。
WSJ News Exclusive | Instagram’s Algorithm Delivers Toxic Video Mix to Adults Who Follow Children
【有料購読者向け記事】:
米Wall Street Journal、十代もしくはより幼いインフルエンサーのみをフォローするInstaアカウントを設定し、Reel広告にどのような表示をするか検証。子供たちのきわどい映像やあからさまに性的なアダルトビデオを表示するアルゴリズムだと判明した。
TikTok Ignited a Frenzy for Short Videos. Now It Wants Longer Ones
【有料購読者向け記事】:
「YouTubeはわざわざTikTokのような存在になろうとし、いまやTikTokはYouTubeのような存在になろうとしている」。
YouTubeが短尺動画のShortsに乗り出す一方、短尺動画の本家TikTokは、「1分以上の動画」投稿を奨励。実際、ユーザーの視聴時間の半分が、これらやや長めの動画視聴に集まっているという。
ソーシャルメディアはテレビになるのか
【有料購読者向け記事】:
「ソーシャルメディアがマスメディアへと変貌を遂げたのは、中国系動画投稿アプリ、TikTok(ティックトック)が登場し、テレビを通じた体験を再現できるものが今でも非常に好まれていることが世界中のソーシャルメディア企業に実証されたことが大きい」。

——このテーマはメディアの変遷を考えるうえで、それなりに重要だと思う。TikTokやInstaで人気を博すコンテンツ(投稿)は一握りの人気クリエイターだ。SNSが多種多様な社会的島宇宙を形成している…と想像できる時代は過ぎ去ってしまった。言いかえれば「SNS」と呼ばれるものはもはや消滅してしまった。

新聞・テレビ「信頼」68%…メディア価値観調査
【ご紹介・有料購読者向け記事】:
「『ニュースを十分かつ正確、公平に報道する点においてマスメディアを信頼しているか』との質問で、『信頼している』とした回答は、政治的立場が保守的の人は69%、リベラルは67%、中間は70%だった」。

——こちらもスマートニュース メディア研究所が発表した世論調査の結果からの記事。「マスメディア」への信頼度の高さと政治的な偏りの少なさで、米Pewなどとの調査結果と大きな隔たりが示された。「問題」は、先ほど紹介した「時事」の記事にあったように、若者の新聞離れの進行で、将来の分断の芽がそこに含まれているかもしれない点だ。