Disruption This Week—–26/4/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年4月22日から2024年4月26日まで。

Google takes lion's share of growing UK ad market as publishers lose out
英広告協会の市場調査によると、2023年の英国広告市場全体が6.1%増の366億ポンドに成長し、オンライン・フォーマットが全体の4分の3以上を占めることと予測。だが、すべての成長は大手プラットフォーマーにもたらされ、最大の勝者はGoogleに。報道メディアは損失を被ったとする記事。
経済情報特化の生成AI、日経が開発 40年分の記事学習 - 日本経済新聞
「日本経済新聞社は24日、経済情報に特化した生成AI(人工知能)の基盤技術を開発したと発表した。大規模言語モデルと呼ばれるもので、約40年分の日経グループの新聞や雑誌の記事を学習させた。記事の要約機能などで活用を見込む」。

——オープンソースLLMを活用(具体的にはLlama3)しているという。記事要約はもちろん、すぐに思いつくが、やはりストック型情報の高度な再利用法を考えたいところ。

トムソン・ロイター、法律専門家向けの生成AIプラットフォーム「CoCounsel」を公開

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トムソン・ロイター、法律専門家向けの生成AIプラットフォーム「CoCounsel」を公開
「CoCounsel は、法律 AI のスタートアップ Casetext を買収して開発されたもので、OpenAI の『GPT-4』のような高度な生成 AI モデルを使用して、Thomson Reuters 独自の膨大なコンテンツデータベースを理解し処理する」。

——次に日経新聞のAIへの取り組みを紹介するが、Reuters、そしてBloomberg(以前、Bloomberg LLMの試みを紹介した)など、専門分野でのストック情報を持つ企業が、AI活用で優位に立ちそうな予感がする。

TikTok、法廷闘争へ 米で「禁止」法成立
「バイデン米大統領は24日、中国系の短編動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」の米国での利用禁止につながる法案に署名し、同法が成立した。
TikTokの周受資・最高経営責任者(CEO)はこれを受け、『われわれはどこにも行かない』と言明。『事実および憲法はわれわれの味方であり、われわれが再び勝利すると期待している』とし、法廷闘争する構えを鮮明にした」。

——一方の、米国では既定の動きではあるが、大統領が署名まで進んだ。記事にあるように、これからは法廷闘争が長く続くことになりそうだ。

日本のTikToK利用率が大幅増、主要SNSでは過去1年で最大の伸び
「NTTドコモ・モバイル社会研究所が22日に公表した調査では、スマホなどの所有者のTikTok利用率は18%で、前年比8ポイント増となった。特に10代の伸びが目立った。その他主要SNSの伸び率は限定的で、最大のInstagramも2.2ポイントの伸びにとどまった」。

——これから原典に当たってみたいというところだが、そろそろSNS全盛期から、ある種の転換が起きている感触もある。

「ABEMA」含むメディア事業、初の四半期黒字に サイバーエージェント、24年9月期2Q決算は増収増益
「『ABEMA単体での黒字はまだ』(同社代表取締役社長の藤田晋氏)としているが、ABEMA関連では、広告と周辺事業が伸長。2022 FIFAワールドカップの生配信以降、『DAZN』『WOWSPO』などの外部パートナー連携も手伝い、スポーツ関連コンテンツが伸びているという」。

——「ABEMA単体での黒字化はまだ」という注釈はあるが、初期数年は、巨額投資を危ぶむ声が高かったことを思えば、“ついに!”との思いは外野でさえある。わが国の映像ビジネスの歴史に画期が訪れている。

The Washington Post is developing an AI-powered answer tool informed by its coverage
米Washington Post、米バージニア工科大のAI研究者と組み、ジェネレーティブAIとRAGを用いて、読者の質問に回答するシステムを開発中。テキストに限定せず、音声や動画も扱うという。興味深いのは、「読者はテキストの記事で理解はせず、質問により理解する」という関係者の見解だ。
そのヘビーユーザーは利益をもたらしているか? 一休が売上10倍、営業利益率5割超を達成できた理由
「この手のクーポンは様々な企業のプロモーションで見られますが、当社では『このお客様がこの宿を予約する確率が約◯%で、そのときの購入金額は◯円だと想定されるから、◯円オフクーポンを発行するべき』という計算を一人ひとりに対して行った上でクーポンを発行しています」。

——「http://xn--4gqvz.com/」を運営する一休。同社の代表を務める榊淳氏が語る“データドリブン”経営。命名はともかくとしてダイナミックなオファリングには学ぶべきものがある。
https://markezine.jp/article/detail/44470

公取委衝撃「なめられている」 グーグルに「心臓部」握られたヤフー:朝日新聞デジタル
「公取委は、定期的にグーグルとヤフーに契約状況などを確認していたが、説明はなく、全く察知できなかった。
『完全になめられている』
契約変更を把握した公取委内部には衝撃が走ったという」。

——すでに各メディアで報道している件。この記事では、公正取引委員会が行政処分を行うに至った経緯が比較的詳細に述べられている。20210年ごろまでに立ち返ったもの。

ジャーナリズムとは何かを再考する(4の前編) 「『エモい』だけの記事」の原因とは?(奥村信幸) - エキスパート - Yahoo!ニュース
「『エモい』だけでなく、ニュースの中で感情を刺激することは、あながち悪いことではありません。その記事に関心を持ってもらい、途中で離脱しないで全部読み終えてもらう仕掛けは、記事で伝える内容が過度に誇張されたり、誤解を招いたりしなければ許されるはずです」。

——一部で話題になっている“新聞報道のなかに“エモい”記事が増えている”現象について、奥村信幸氏が建設的な批判。私も一概によくないこととは思わない。エモーショナルに訴える記事は、読者体験の度合い高いことは想像できる。ポイントはそれをどう生かして、次のステージへと読者を誘うかだ。奥村氏はその点、「普遍化」というプロセスをあげる。