「広告に別れを告げる」 課金型コンテンツの伸張とコンテンツマーケティング

調査会社 Forrester Research が課金型コンテンツの成長予測を発表した。
広告を伴わないコンテンツ分野の増加は、マーケティングに変化を促す。
やってくる広告フリーなメディアの時代を読み解く。

最近、調査会社 Forrester Research が、ヨーロッパにおける課金型コンテンツビジネスの成長予測を発表しました。
残念ながら、レポートの詳細は高価な課金型コンテンツ(!)のため入手できませんが、概要をリリース(FORRESTER: EUROPEAN PAID CONTENT REVENUE TO GROW BY 65%, REACHING €10.2 BILLION BY 2017)で公開しています。また、詳細レポートを参照した紹介記事(the Gurardian Online paid-content market poses threat to traditional advertising)も現われています。

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本稿では、Forrester の調査と考察を紹介していきます。
ポイントは、今後の数年で少なくとも欧州では課金型コンテンツビジネスが成長すると見込まれる一方、従来型広告ビジネスが縮退していくというものです。
調査結果とその影響を、同社のリリースと上記紹介記事を組み合わせながら追ってみましょう。

欧州における好調な音楽、動画、ゲーム、そしてニュース系の課金ビジネスの存在によって、西欧におけるコンテンツ購買者は増勢基調にあり、今後の5ヵ年で8〜12%成長すると見込まれる。
課金コンテンツ収入は、2017年までに65%成長し、1兆3000億円規模に達する。
特にスマートフォンとタブレットの浸透が課金コンテンツ市場の成長を支え、2017年の課金コンテンツ収入の20%はタブレットユーザーによるものと予測する。
この成長は、ネット接続機器の浸透、海賊行為への取り締まり強化、そして、Spotify や Netflix など購読型サービスが人気を集めていることなどに牽引されている。
ただ、一方でこれらサービスの進捗が、無料コンテンツの推進によって可能だった純粋な広告掲載によるマーケティングの破壊が引き起こしている。

古典的な宣伝を用いたマーケターの手法は、新たな破壊的進化に直面する。それは“課金型コンテンツ”である。

デジタルメディアをめぐるマーケティングの観点から、課金型コンテンツの伸張は何を意味するのでしょうか?
この点について、調査を取りまとめた Forrester アナリスト Darika Ahrens 氏が自身のブログで、短いながら興味深い考察を示します(Goodbye Advertising, Hello Content Marketing?)。

マーケターが従来型の広告手法を用いて消費者にリーチできるチャンスが、少なくなる

購読課金型の人気サービスがコンテンツ消費スタイルが牽引していけば、メディアが、収入を広告主からの純粋な広告に依存していく余地が限定的になる。さらには、消費者(読者)は広告フリーなコンテンツモデルへの欲求を高めていくことになる。

ブランド(広告主)は失地挽回のためにコンテンツ能力を高める必要がある

課金型コンテンツが増え広告機会が減少することは、広告主にとり悪いことばかりではない。Forrester の予測が示すものは、消費者(読者)がコンテンツの価値を尊重しそれを求めるということである。マーケターは、自らが扱うブランドの影響力を、コンテンツ能力を高めることによって継続しなければならない。

筆者(藤村)の見解も交えながら整理していきましょう。
従来、インターネット上のコンテンツやサービスは、無料でなければ消費者に受け入れられないとされてきました。
Forrester の調査によれば、その通念はいまや様変わりしようとしています。
消費者は支払う意志を持っているが、それを強く動機づけるようなサービスが欠けていたのだというのです。
しかし、米国、欧州では人気の購読課金型サービスがいくつも誕生しています。
また、支払いに手間のかからない Amazon や iTunes Store、そして Google Play のように、サービス・購買・インストールなど、ソフトからデバイスまでを通貫するようなユーザー体験の整備が進んでおり、“良いコンテンツへの尊敬が課金に結びつく”習慣が徐々に生み出されているのです。

課金型コンテンツ市場の拡大は、もちろんメディアビジネスを継続可能なものとするために暗中模索してきたメディア関係者のひとりとして朗報と受け止めます。
と同時に、そこに副作用が生じようとしていることも Forrester は指摘しています。それは、純粋な広告市場が縮退しようとしていることです。
課金コンテンツ市場の拡大と広告市場の縮退とは、“鶏と卵”のように円環する関係なのかもしれません。
ここで、メディアビジネスに携わる諸氏に注意を喚起したいのは、課金型コンテンツの普及は当然のことながら広告を掲載しないコンテンツが増え、広告掲載を意図しないメディアが増えてくることを意味します(たとえば、「Web メディアの明日、その条件を考える」参照)。読者からの支払いによって運営を成り立たせたいとの願望を有するメディアは、多いはずです。
デジタル分野でのマーケティングを行う事業者やプロフェッショナルは、これまでのような広告枠を買って広告クリエイティブを掲載するという、広告による古典的なマーケティングスキーム以外の道をいずれは準備しなければなりません。
いや、そもそも純粋な広告自体が、読者のアテンション(注目)を集められなくなってきていることの帰結として、いまそれは起きてしまっているのかもしれません。

(純粋な広告に対する)破壊的進化の結果として、広告主が消費者にリーチする方法が分裂してしまった。
デジタルマーケターらは、コンテンツ開発能力をもってこの事態に対処していかなければならない。
それは、コンテンツ資産を持つこと、スポンサーシップを築くこと、そして、コンテンツマーケティング戦略を作り上げることである。

読者集客力やエンゲージメントに秀でたメディアに広告を掲載する、という長く続いてきたペイドメディア依存のマーケティング手法から抜けだし、広告主自らがコンテンツ力を高めていかねばなりません。
オウンドメディアやアーンドメディアの開発力を高めていく必要を示唆しています。
ここに話題となることが増えてきた、“コンテンツマーケティング”という考え方の将来的な意義が見えてくるのです。
(藤村)

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