Disruption This Week—–12/7/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年7月8日から2019年7月12日まで。

Google、AIスピーカー搭載の音声アシスタントが“偶然”、そのユーザーらのプライベートな会話や通話を記録、パートナーがそれにアクセスし書き起こす権限を与えている。ベルギー公営放送局が報道。Googleは、音声アシスタントの聞き取り・翻訳能力向上のためと、弁明。
「間違いその1:ユーザーに通知を有効にするよう、アプリを初めて起動した直後に要求する
アプリをダウンロードしたばかりのユーザーは、アプリがもたらすことになる価値を必ずしも明確に理解しているわけではない」。

——5つの間違ったアプローチを解説する啓発的な記事。最も重大なものは、この「間違いその1」だと思う。

米国ジャーナリズムや政治に関する研究所Shorenstein Centerによる米国ローカルメディアの現況調査「A Landscape Study of Local News Models Across America」。ローカルメディアの大きなトレンドは、NPOモデルとサブスクリプション・モデルだ。そのトレンドがデータ化されたリポート。
「最初の機能は人工知能を利用してコメントに、『悪質かもしれない』というマークをつける。コメントを投稿しようとするユーザーにはそのとき、『これを本当に投稿したいですか?』という質問と、『投稿しない』というボタンが表示される」。

——悪質な投稿者を同定し、投稿者を排除する、のではなく、投稿を思い止まらせるように仕向ける。興味深いアプローチ。

MSNBCの創業編集長で、現在はデジタル化を推進するメディアへの経営支援に携わるMerrill Brown氏が組成した「The News Project」。デジタルメディアをスタートするための基盤とサービスを、パッケージで提供する。WordPress、Piano、Google AdManager、そして開発要員とデザイナーらのサービスをセットする。
このほどあるローカルニュースが最初の顧客となった。
Googleは、同社提供で市場シェアの高いChromeブラウザに広告ブロック機能を搭載。欧州・北米でまずロールアウト。「より良い広告の(ための)連合」が策定した「より良い広告の標準」に沿って表示/非表示が判断される。
パブリッシャーは自社サイトの評価に注意を向けるべきだ。Googleの「Ad Experience Report」で自社サイトの評価がわかる。
「60~90分間のドラマコンテンツと、エム・データが保有するテレビ放送のメタデータを組み合わせ、シーン分割から重要度判定、利用シーンの決定、動画の書き出しまでを自動で行い、3~5分のダイジェスト版を作成する」。

——画期的な取り組み。ドラマにおける、重要度、区切りなどを、メタデータも使いながら判定し、冗長性ある部分を省くということか。応用の利く分野は広そうだ。

「『Tokyo Honyaku Quest』は、世界中のアニメファンが翻訳家となってアニメに関するコンテンツの翻訳を行い、翻訳された文章はコンテンツの正式な翻訳版として、翻訳者のIDと共にブロックチェーン上に記録されていきます」。

——今回は“実証実験”ということからか、アニメをめぐる記事の翻訳を分散型基盤上で実現しようというものだが、アニメ作品自体に翻訳レイヤーを設けることで、その部分の付加価値を流通させる方式まで進められればいいと思う。

「ハイブリッド戦争を展開しているのはロシアだけではなく、21世紀型の戦略として位置づけるべきだが、じつは90年代にはすでにハイブリッド戦争の有用性がロシアにおいて、広く共有され、旧ソ連領域で多々用いられてきた」。

——「ハイブリッド戦」とは、従来の軍事的圧力とさまざまな情報謀略工作を組み合わせた、見えにくい戦争の一形態。その先進国はロシアだが、現代における見えない戦争は、地球上で遍在化しつつある。

ニューズレター(メルマガ)が、有力な購読読者獲得(もしくは維持)の手法だとは、広く知られた方程式だ。英The Economistは、購読者が離脱する主たる理由の一つが、“記事をたくさん読まなければならない”苦痛であるとの読者調査から、ニューズレターの役割をチューニング。これにより、いまでは同メディアのWebサイトへのリファラは、Twitterを超えニューズレターとなったという。
【ご紹介】:「昨今、フェイクニュースと呼ばれる信頼性の低いメディアや、金もうけや政治的意図を背景に意図的にウソを流すメディアが増えていることが社会的な問題になっている。具体的な対応策として考えられるのが、ファクトチェックとメディアリテラシーだ」。

——私も関与している「インターネットメディア協会(JIMA)」の主たる活動のひとつが、「メディア」リテラシー議論。ブロガーの徳力さんが紹介。

【ご紹介】:
スマートニュース メディア研究所スタッフが、小学校にお邪魔して「インターネットで流れる情報やニュースについて学ぶ出前授業」を臨時で授業。メディアリテラシー講座を開発中です。
【ご紹介】:日経MJ紙への月一連載が、日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ ストリーミング、聴き放題広がる 楽曲選びより気分で消費へ