Disruption This Week—–8/10/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年10月5日から2021年10月8日まで。

Twitter invests in avatar startup Facemoji – TechCrunch
Twitter、アバター開発のFacemojiに出資。Facemojiは、各種プラットフォームに連携したアバター開発キットを提供する。数年前のブームを経て、アバターはメタバース、NFTブームの重要なピースになろうとしている。NFTプロジェクトに注力中と報じられるTwitter CEO Jack Dorseyの狙いが見えてきた?
グーグル検索、言葉にならないことまで調べてくれるように
「『Things to know』の裏にあるのはMUM(Multitask Unified Model)なる機械学習モデルで、このモデルはテキストだけじゃなく、絵や音声、動画といったフォーマットからも情報を拾います。MUMは日本語を含む75言語とさまざまなタスクで学習済みで…」。

——“検索がさらに進化”ということだが、いくつものアプローチがあることは、記事で確認を。「Tings to know」は文脈を構成して、ユーザが知りたいことを先回りして検索結果をチューニングするもの。
しかし、これを突き進めていくと、周囲の音や声、地理情報、先ほど読んだメール…といった背景情報も分析すれば、より“あたり”の確度が高められるということにもなるはずだ。
“検索の最も進んだ姿は、ユーザがなにも入力しなくても、知りたいことを表示する”ことだと、以前読んだことがある。

「激白」「震える」「地獄」に頼った “感情刺激競争“がもたらすクリックの罠とニュースの未来
「共感を狙ったニュースが、今のメディア環境の中で流布すると喜怒哀楽を刺激するだけで終わってしまいがち。結果として(読者が)考えることが後回しになっていく」「共感は大切だが、ニュースを共感を集めるためだけに使うのはもったいない」。

——石戸諭氏が最近上梓した書物をめぐるインタビュー。指摘のとおりだと受け止める。報道フォーマットにエモーショナルな要素を持ち込むスタイルは、ネットの普及に端緒があるようにも思うが、それ以前がある気がしている。たとえば、戦前戦中の新聞報道。お涙頂戴の見出しが乱立していた。

How the secrets of the Pandora Papers were freed
巨大なオフショア金融取引情報のリークを端緒にした「パンドラ文書」報道プロジェクト。データは約4TBにものぼり、フォーマットは、文書(PDF)、メモ、リストなど多岐。これをどう捌いたのか。立役者であるICIJのCTOらがその労と技術インフラを解説するという驚きの解説記事。
中国がアルゴリズム利用にメス、規制の最先端に
【有料購読者向け記事】:
「中国国家インターネット情報弁公室(CAC)が先週発表した取り組みは、アルゴリズムの使用を規制する包括的システムを3年以内に確立することを目指している。中国共産党は不正とみなすビジネス慣行の締め付けや、ネット上の言論統制を強化しており、新方針はそうした活動の一環となる。
規制当局が求めるアルゴリズムとは、公正かつ透明で、中国共産党のイデオロギーに忠実なものだ」。

——大きなインパクトを感じさせる動き。反競争的、反国家的な企業活動を取り締まるにあたり、AIを活用したアルゴリズムの中味にまで取り締まりの網がかぶせられる。記事中にあるように、その動きは、世界最先端をいくもの。世界の国家がこの種の欲求を持つ時代でもある。

How news publishers are turning casual, infrequent readers into paying subscribers
INMA(世界ニュースメディア協会)がとりまとめたデジタル購読者の新たな獲得手法分析調査によると、「すでに大きな投資をしている読者のエンゲージメントを最大化するよりも、ライトな読者のエンゲージメントを高めることに集中したほうが良いことは明瞭だ」という。ここで「ライトな読者」とは、もちろん、一見かつ訪問頻度が頻繁でない読者層を指す。多くのメディアが多く抱える読者はこのような層だ。この人々のニーズや行動をよく理解する必要があるのだと述べている。そして、この理解を阻む落とし穴は、メディアの運営者側は、このようなライトユーザの対極である、ヘビーユーザに占められていることだとも指摘。
How dynamic paywalls help publishers connect potential subscribers with the right offer at the right time | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
サイト来訪者の閲覧を許す回数や金額などを、来訪者の諸々の行動データで動的に変化させる“ダイナミックペイウォール”の仕組みと運用についての記事。利用各社がコメントするなど有益なリポート。米WSJでは、来訪者を65ものパラメータ(!)で分析し動的に対応しているという。
Facebook whistleblower urges Congress to move against the company
Facebookの内部告発者Frances Haugen氏の米議会小委員会での証言が行われた。
同氏は「Facebookは変わることができますが、明らかに自力では変わりません」とし、強制力ある監視や介入を求める発言を行った。議員側は、今後は超党派で取り組むことに合意したと表明。もちろん、CEOであるMark Zuckerberg氏の召喚に向かっていくことになる。
フェイスブック内部告発者、その動機と目的は?
【有料購読者向け記事】:
「ホーゲン氏は5月17日午後7時前、自身の動機を説明しようとワークプレース(=Facebookの社内向け掲示板)の検索バーに最後のメッセージを打ち込んだ。
『私はフェイスブックが嫌いなのではない。フェイスブックを愛している。救いたいのだ』」。

——昨日、英文記事で紹介したが、今回のFacebook騒動の本家Wall Street Journalが、膨大な内部文書(数万ページを超えるという)をリークした元従業員フランシス・ホーゲン氏にインタビューした記事。邦訳が出たので改めて紹介しておく。記事は、ホーゲン氏がFacebookで虚偽情報に対抗する機能に取り組み、結果として同社の姿勢に疑問を持ち退職に至る私的拝啓が説得力をもって語ったもの。
同氏は、米国時間の本日、議会小委員会で証言をする予定だ。

世界の権力者たちの脱税と隠し財産を暴いた「パンドラ文書」の衝撃  | 5年前のパナマ文書を超えた
「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手し、米紙『ワシントン・ポスト』や英紙『ガーディアン』などのメディアが分析した。同様の脱税を暴いた『パナマ文書』は5年前に流出して世界を震撼させたが、今回の『パンドラ文書』はよりスケールが大きいもの」。

——パナマ文書、パラダイス文書に続いてのパンドラ文書。日本人の名前も1,000名を超えているとか。単に税逃れだけでは終わらない。資金洗浄を経るなかで世界の政治が動いている要素がある。
ジャーナリズムには、世界的な協業のスキームが必要だ。1分1秒の“発表報道”を追いかけるだけでなく、このような丹念な仕事に力を注いで欲しい。別の記事を紹介しながら、またもう少し分け入ってみたい。

次世代SNSは仮想現実に、フェイスブックの本気度(写真=ロイター)
【ご紹介】:
月一連載が日経電子版に掲載されました。渦中にあるFacebookですが、VR分野で新たな動きには大いに興味を惹かれています。よろしければ一読下さい。

Disruption This Week—–10/9/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年9月6日から2021年9月10日まで。

「ラジスマ」って知ってますか? もう「年寄りのメディア」ではないラジオ
「まとめると、男性は30代以上、女性は50代以上でラジオの接触率が高く、もはや『ラジオは年寄りのメディア』というイメージでは捉えられないといえる。ワイドFM対応ラジオの普及よりも、ラジスマのような仕掛けを今から普及させておきたいというラジオ業界の狙いは、悪くない」。

——新たに“ラジスマ”に動くかどうか別として、radikoも聴くし、ポッドキャスト化されたコンテンツにも親しく接するようになった。音声メディアが新たな付加価値を主張する時代ではないか。

Overcoming indifference: what attitudes towards news tell us about building trust
Reuters Institute for the Study(RISJ)、「ニュースに対する信頼」をめぐる4か国調査の結果を公開。明らかになってきたのは、声高な批判や怒りではなく、「(ニュースへの)無関心」の広がりだった。ジャーナリズムという仕事への無関心は、ジャーナリストとの交流の欠如という側面も見えてきた。
Facebook, Ray-Ban debut picture-taking smart glasses
Facebook、アイウェアのRay-Banと組んだスマートグラス「Ray-Ban Stories」を発表。写真と動画の撮影・録画ができる。操作は音声コマンドか、メガネにあるスイッチで。その反響(用途への反発も)はこれからだと記事は言及する。
What TikTok’s Growing Threat to YouTube Means
【有料購読者向け記事】:
TikTokの急成長は、Instagramに対する強力な競合という文脈で語られるが、事態はYouTubeを脅かすものと理解すべき。App Annieのリポートで、課金でこそ、TikTokとYouTubeはしのぎを削るが、ダウンロードでは、トップのTikTokに対しYouTubeはトップ10にも入らない状態だ。
Google トレンドを活用するための 15 のヒント
「Google トレンドを公開してから今年で 15 年を迎えました。これに際し、過去 15 年間における Google トレンドに関する検索動向を調べてみたところ、『Google トレンドの使い方』や『Google トレンドの仕組み』などが多く調べられていました。そこでこの度、Google トレンドを最大限に活用して興味深いインサイトを得るための 15 のヒントをご紹介します」。

——Googleの公式ブログから。Googleトレンドの使い方ぐらい知っているという方も多いが、この15の使い方には、これははじめてというものも含まれているのでは?

「どんな文章も3行に要約するAI」デモサイト、東大松尾研発ベンチャーが公開 「正確性は人間に匹敵」
「人間より短時間で要約でき、要約の正確性は『人間に匹敵する』という。今後も精度を高め、議事録作りやコールセンターでの対話メモ作成などでの活用を目指す」。

——すでに紹介済みの件だが。非常に洗練されたアウトプットを出してくれるので、その応用用途をぼんやりと考え続けている。自分の立ち位置からすると、DeepLのような翻訳サービスと組み合わせて、海外ニュースのダイジェストを高速かつ大量に生成するのなどは、考えられるなと。

Gannett announces launch of new premium sports subscription product, USA TODAY Sports+
米最大手新聞のひとつUSA Todayが、デジタルサービス「Sports+」を発表。映像・音声・VRなどを取り込んだスポーツニュースを配信。「5,300万人のスポーツファン」をターゲットとする大規模なアクションに打って出た。
Microsoft launches a personalized news service, Microsoft Start – TechCrunch
Microsoft、新たなニュースサービス「Microsoft Start」を開設。日本語版も立ち上がっている。同社のWindowsなどと連携するのはもちろん、Web版、iOS・Android版も提供する。ユーザによるカスタマイズ機能を充実させているのが目立つ。
プライバシーファースト時代のブランドセーフティ | Exchangewire Japan
「(EUの域内市場担当委員のティエリー・ブルトン氏によれば)行動規範は強化される予定だが、規範に署名した5つの主要プラットフォーム(グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、ツイッター、ティックトック)のうち4つは約束を守っていないという」。

——広告とブランドセーフティをめぐる、近年の大きな構図変化をていねいに解説する記事。

東海地方の経済情報に特化したウェブサイト「中日BIZナビ」サービス開始

プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES

東海地方の経済情報に特化したウェブサイト「中日BIZナビ」サービス開始
「東海地方の経済・企業情報に特化した有料ウェブサイト。中日新聞および中日新聞東海本社発行の紙面に掲載される地域密着の経済ニュースに加え、デジタルならではの独自コンテンツを豊富にそろえた東海地方でのビジネスに必須のサイトです」。

——中日新聞社電子メディア局が、新たにビジネス(法人)向けに、有料情報サイトを開設。情報を詳細化してビジネスユースを狙い、法人内で複数ユーザによる利用を想定した価格モデルに。個人的に、「新聞社はデータベース企業になるべき」と思ってきたので、その成否に興味津々。

サブスク、短期・低コストで導入支援 キメラが考える「コンテンツ届ける人も幸せに」の哲学とは? - Media × Tech
【ご紹介】:
私も編集に携わっている「Media×Tech」から新着です。ぜひご一読を。➡ サブスク、短期・低コストで導入支援 キメラが考える「コンテンツ届ける人も幸せに」の哲学とは?

Disruption This Week—–27/8/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年8月23日から2021年8月27日まで。

「どんな文章も3行に要約するAI」デモサイト、東大松尾研発ベンチャーが公開 「正確性は人間に匹敵」
「文章の要約文を生成するAI「ELYZA DIGEST」を試せるデモサイトを公開した。人間より短時間で要約でき、要約の正確性は「人間に匹敵する」という。今後も精度を高め、議事録作りやコールセンターでの対話メモ作成などでの活用を目指す」。

——試しに、このニュース記事(本文全体)を要約させてみると…「文章の要約文を生成するAI「ELYZA DIGEST」を試せるデモサイトが公開された。人間より短時間で要約でき、要約の正確性は「人間に匹敵する」という。今後も精度を高め、議事録作りやコールセンターでの対話メモ作成などでの活用を目指す。」となり、要約文自体の体裁も安定して優れた結果。

Instagram Outlines How its Search Algorithms Work, and How You Can Optimize Your Presence
Instagram、第1回の「フィードアルゴリズムの仕組み」(記事中にリンクが示されている)解説に続き、第2回として、「検索アルゴリズムと関連する検索結果の表示」に関する仕組みを解説。今回はユーザがInstagram内部で興味を惹く投稿を“発見”する流れを示す重要な要素に当たる。
Politico sells to German publishing giant Axel Springer in deal worth about $1 billion
独Axel Springerおよび米Politico、資本提携を公表。両社ともその取引価額を明らかにしていないが、関係者によれば、やはり10億ドルとされる。興味深いのは、Axel Springerは、米Axiosとの同様の交渉も行ってきたと記事が指摘したこと。その可能性も今回の発表で消滅することになる。
Inside the Plan to Make Jeff Bezos’s Washington Post the Everything Newspaper
Jeff Bezos氏ら米Washington Postが、新編集長に前AP通信編集兼副社長のSally Buzbee氏を指名するプロセスを追った月刊Washingonian誌の詳細なリポート。社内・社外の最終候補者4名の評判についても解説する周到な記事だ。
活用進むヤフーの“中傷対策AI” 無償提供の背景は
「『Yahoo!ニュース』のコメント欄は、1日平均32万件超の投稿のうち約2万件が連日削除されている。複数のAIと人力を駆使し、不適切投稿のパトロールとともに、論理的な投稿を上位に表示することで健全化を目指し、技術は同業他社にも無償提供されている」。

——評価できる振る舞い。このシステム自体の評価は別の話として、テクノロジー各社はアプローチの違いこそあれ、さまざまな技術的な取り組みを社内で行っているわけだが、それをビジネス上の競争優位に直接関わる要素が薄ければ、公共的な分野に提供することを積極的に考えるべき。

12 revenue sources for digital news organizations | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
デジタルニュースメディアに、収益化をめぐる革新が起きている。それを12の手法に整理して事例紹介する記事。
「ニュースの発信ではなく、コミュニティの創造」「ペイウォールではなくメンバーシップ」「広告ではなくスポンサーシップ」「データの再パッケージ化と販売」「財団とNGO化」…といった具合だ。
Substack scoops up paid social app Cocoon's team
ニューズレター(メルマガ)配信サービスの米Substackが興味深い動き。有料購読型のソーシャルメディアアプリ「Cocoon」チームを買収との報道。狙いの詳細は見えないが、記事はニューズレター配信者と読者の関係をソーシャル化する意図と推測する。
How newsletters have helped publishers build up their subscription businesses
【有料購読者向け記事】:
登録後14日以内にサイトに戻ってこなかったり、メールを開かなかったりすると、その人はそのままの状態になってしまい、解約される危険性がある。米L.A.Timesはニューズレターをめぐるデータを、解約か、購読継続かの重要なシグナルとして分析する。
The Information、New York Magazine、Quartzなど、購読制の中心にニューズレターを置くメディア戦略を整理する。

共通の関心トピックで語り合えるアプリ「Talkstand」、ゲスト参加とオーディエンス機能追加で新たな体験提供へ

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

共通の関心トピックで語り合えるアプリ「Talkstand」、ゲスト参加とオーディエンス機能追加で新たな体験提供へ
「大西氏によれば、何かに詳しい二人が話す内容を漏れ聞くという体験は、エンターテイメントなどとも親和性が高いという。スポーツ観戦の後、同じチームのファンが居酒屋やスポーツバーで語り合う体験はコロナ禍で難しくなったが、Talkstand はその代替の場になれる可能性がある」。

——エンターテインメント分野でのユースケースが想定されているようだ。だとすると、Spotifyが買収した「Locker Room」のようなアプローチか。ビジネスユースでも特定テーマをディープに語り合えるような場も考えられるのでは?

質の高い「良いニュース」とは何か? これからのニュースが備えるべき「5つの要素」(石戸 諭) @gendai_biz
「(「良いニュース」であるための5つの要素とは)謎、驚き、批評、個性、思考です。社会の『謎』に迫り、『驚き』を与えるだけでなく、そこに『批評』が宿り、簡単にまねのできない『個性』があり、さらに読んだ人にとって『思考』する時間を提供するようなもの。それが良いニュースなのだと考えています」。

——石戸諭氏の新著について自身がイントロダクション。「ニュース」をめぐる定義は広いし、人々の欲求を受けてつねに変化を続ける。しかし、「良いニュース」の定義には、共通するものがある。

五輪の見方を変えたSNSとストリーミング 新たな共感・視聴スタイル生む
【ご紹介】:
連載コラムが日経新聞電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡️ 五輪の見方を変えたSNSとストリーミング 新たな共感・視聴スタイル生む

Disruption This Week—–13/8/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年8月10日から2021年8月13日まで。

18~19世紀の新聞データ100万ページを英国企業が無償公開 商用利用は条件付きで可
「大英博物館と協力して古い新聞をデータ化し、サブスクリプション形式で提供している英Findmypast Newspaper Archiveは8月9日(現地時間)、18~19世紀に刊行された新聞約100万ページのデータを無償公開した。同社が許可すれば商用利用も可能という」。

——個人的に密かに、新聞ビジネスのピボットは、方向性としてこの種のデータベース事業が良いのではないかと思っていたところ。ぜひ日本でも成立させたい。

ビジネスパーソンを熱狂させる、国内1位“歴史ポッドキャスト“運営の正体──メルカリ共同創業者らも出資 | DIAMOND SIGNAL
「そこで広報活動の一環として始めたのが『コテンラジオ』だった。じわじわと人気を集め、今や人気Podcastランキングでは必ず上位にランクイン。支持する約14.2万人のユニークリスナーは、深井氏によれば『おもにビジネスパーソンや経営者など知的好奇心が高いリスナー』だという」。

——とっても面白い企業が、面白いポッドキャストの試み。可能性を感じさせるな。

The micropayments mirage
「マイクロペイメント(小額課金)の蜃気楼」。長い間、小額課金は購読制(サブスク)とは異なり、ビジネス上成立しないものと退けられてきた。記事は、小額課金の課題は、純粋に技術的なものであるとし(手数料の過大さなど)、改めてその可能性について言及する。
「TikTok売れ」で30年前の実験的SF小説が3万5000部の緊急重版……メガヒットに出版社も熱視線
「きっかけは、1人のTikTokユーザーによる動画投稿だ。
TikTokで小説を紹介する動画を投稿している『けんご(@けんご 小説紹介)』さんは2020年から動画投稿を行っており、若い世代に人気のTikTokクリエイターだ」。

——“TikTok売れ”。覚えておこう。もちろん、国内外でTikTok推しのヒット曲があることは認識していたが、このケースのようにTikTokerが直接本の推奨をするというのは、興味深い。

The age of the à la carte internet
米Axiosのメディアチームが、最近の(特に2020年からの)購読制の動きを概観。Magid社「Video Entertainment Study」によれば、ストリーミングへの支払う意思のある消費者が、この1年間で9%から16%に増大していると紹介する。一方、有料によるサイロ化が分断にも関連と述べる。
Salesforce enters the streaming wars with new video service for professionals
クラウド型エンタープライズベンダーのSalesforce、ストリーミングメディア「Salesforce+」開設準備中。9月開催の同社「Dreamforce」で発表を計画。ユーザや開発者を対象とするストリーミングによるオウンドメディア。制作スタジオや50名の編集スタッフも用意し、拡充する。
How many readers actually scroll once they load an article? | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
Webメディアの多くの45%の読者は、15秒以内に離脱。そして、その6割は戻らない。また、表示した記事をスクロールするのは7割〜8割(地域差)。最もよく見られるのはページの切れ目。つまり読者は読み進めるべき記事なのかを早く見極めたがっている。デスクトップ(PC)とモバイルでは、後者のスクロール深度が浅くなる。
Comic Book Writers and Artists Follow Other Creators to Substack
ニューズレター(メルマガ)配信サービスの米Substack、コミック分野で作家らとの連携を強化中。Marvelで実績を誇る作家がハブとなって、多くのコミック作家が各自のメルマガ配信に取り組む。作家は著作権を維持したまま、購読料を得られるという。
Facebook、同社の広告ターゲティングの透明性を調査していた研究者のアカウントを停止
「Ad Observatory Projectは、Facebook上の政治広告に関する透明性を高める目的で、ニューヨーク大学の研究者、ローラ・エデルソン氏などが立ち上げたプロジェクト。Facebook上の政治広告関連データを匿名で提供できる専用拡張機能『Ad Observer』のWebブラウザへのインストールを、ボランティアに呼び掛けてきた」。

——Facebookにおける政治(的)広告の透明化を研究者ら第三者が推進する動きに、Facebookが待った。もちろん、Facebookの主張は利用規約の逸脱ということだろうが。

TikTok becomes the Olympics' breakout media platform
TOKYO2020の覇者はTikTok。世界の若いアスリートが多用することで、TOKYO2020を代表するメディアプラットフォームとなった。「ベッドルーム、シャワー、トレーニングジム、カフェテリアなど、テレビカメラが入れないような場所に視聴者を連れて行くものがあった」とする記事。
サブスクメディアのKPI設計とは?——「職人芸」から「予測」へ - Media × Tech
【ご紹介】:
私が編集に携わるメディア「Media×Tech」に新着記事です。購読型メディアでは、PV追求メディアとどう計数管理すべきなのか。着眼点を解説します。

Disruption This Week—–25/6/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年6月21日から2021年6月25日まで。

グーグル、クッキー廃止計画を2023年に延期
【有料購読者向け記事】:
「米アルファベット傘下のグーグルは24日、ウェブ閲覧履歴を追跡するために広く使われているクッキーについて、廃止計画を延期すると発表した。広告業界、プライバシー擁護団体、規制当局からの抵抗と追及に屈した格好だ」。

——Googleの広告ビジネス(のパフォーマンス)にはマイナス要素ではないと思うが、FLoC(Googleによるポストクッキー時代のターゲティング手法)の業界からの受け入れが進んでいないとすると、長期的にはダメージとなる可能性もある。

Patreon CEO Jack Conte on why creators can’t depend on platforms
「なぜクリエイターはプラットフォーム任せにしてはいけないか」。創業8年。音楽アーティストらを中心にクリエイターへの購読サービスを提供してきたPatreon。いまや時価総額は40億ドルに。その創業者Jack Conte氏(同氏自身もミュージシャンだ)に聞いたロングインタビュー。自身の体験から話し始める。
Many people worldwide say they’re losing interest in news … but more are paying for it
Reuters Instituteによる「Digital News Report」が10周年、2021年版が公開。記事は、このボリュームのあるリポートを概観したもので便利。ニュースへの関心度、有料支払の動向、ニュース接触への直間比率、各国の動向分析では、日本の状況も含まれている。
What publishers can learn about TheSoul Publishing’s road to 1B social subscribers | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
10年前、“ソーシャルメディア・ファースト”を掲げ、自社ドメインにこだわらない戦略をとった多くのメディアが現れ、そして消えていった。しかし、Instagramをはじめとする新たなフォーマットを駆使して成長を遂げる新興メディアも誕生。記事は5年前に誕生、いまでは10億人のフォロワーを有するTheSoul Publishingを解説する。
ディープフェイクはどう作られる? 技術資料を無償公開 東大発ベンチャー
「資料は同社のWebページ上か、もしくはPDFをダウンロードすることで読める。ディープフェイクに使われている顔画像処理や音声処理の概要や、『オートエンコーダー』『GAN』(敵対的生成ネットワーク)などの画像を生成するディープラーニングモデルの基礎を取り上げている」。

——私のレベルでも理解が進む貴重な資料。

Shopify Seeks to Challenge Amazon Through Deals With BuzzFeed, Other Sites
【有料購読者向け記事】:
ECプラットフォームのShopify、BuzzFeedとアフィリエイト事業で提携。Vox MediaやComplex Networksなど各種メディア企業も提携を検討中とする記事。広告に次ぐ収入源を探すメディア群は、この分野でのAmazon頼みによるリスクを回避する動き。
「マンガアプリ」失敗の本質
「もし『アプリの総ユーザー数・総ダウンロード数』が重要と考えているなら、それは間違った勝利の条件です。見過ごすことはできません。繰り返される日本の『失敗の本質』です。
出版社のマンガアプリ戦略は、なぜ失敗する可能性があるのか? わかりやすく説明するためには、約6万点の少数作品でもユーザー数を劇的に伸ばしている『ピッコマ』を解説するのが最適です」。

——いろいろと“目からウロコ”なマンガアプリの解説。というか、出版社のアプリ戦略に対して、「ピッコマ」のアプローチがどう違うのかの議論。

フェイスブックの監督委員会、その効果に賛否
【有料購読者向け記事】:
「20人のメンバーで構成される委員会は、どのコンテンツを許可し、どのコンテンツを削除するかに関するフェイスブックの判断を裁定し始めて以来、同社の判断を撤回する決定を8回下した。また、同社の判断を支持した決定は3回あった」。

——時々の、おもに政治的事象において右往左往を続けてきたFacebook。そこで同社は、投稿コンテンツを検閲する運用ポリシーと判定を下す委員会を設けた。これは大きな前進だし学べるアプローチといえる。問題は記事が述べているように、委員会の決定が拘束力を持たないこと、そして、適切に検討がなされているかどうかだ。

Andreessen Horowitz and the 'Future' of Media
米西海岸の大手VCのAndreessen Horowitzが開設したテクノロジーメディア「Future」をめぐり、批判的な論調がメディア界からあがっている。BloombergやInformationなどで記者をしたEric Newcomer氏は肯定的な論評を公開。IT大手批判はあっても、テクノロジー嫌いであるべきではないとする。
10周年を迎えたライヴ配信大手「Twitch」から、クリエイターエコノミーの現在が見えてくる
「Twitchでストリーマーを支援するのは、ベル・アンド・セバスチャンのアルバムを買ったり、クラウドファンディングサイトの『Kickstarter』で新しいボードゲームの資金調達に参加するようなこととは違った。ストリーマーは実際にそこにいて、お金を渡すと反応が返ってくる。そして、すべてはリアルタイムで起きるのだ」。

——Amazon傘下のライブストリーミングサービス「Twithch」。調査会社の予測では、今年にはMAUが4,000万人を超える。そして、クリエイターが自身の活動を直接現金化する仕組みを備えたという意味でもパイオニアだ。