Disruption This Week—–16/6/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年6月12日から2023年6月16日まで。

【インド太平洋地域のディスインフォメーション研究シリーズ Vol.5】韓国のフェイクニュース対策(上):日本とは様相が異なる韓国の現状 | 記事一覧 | 国際情報ネットワークIINA 笹川平和財団
「韓国におけるフェイクニュースを用いたネット世論操作は、韓国の政府機関によって以前から行われてきたことが指摘されている。例えば、2012年の朴槿恵元大統領を選出する選挙で、彼女の勝利に貢献するために、偽草の根運動(astroturfing)を国家情報院が主導して行ったとされている」。

——上中下の大変な労作。お隣の国でどのようなニセ情報環境が生じているのかを詳細に点検している。まず、気になったのは引用箇所。昨今、日本でも政府主導の“ニセ情報対策”の動きが活発だが、それに全面的にアラインすることのリスクは自覚すべきだろう。

How AI tools already contribute to daily news: Insights from Semafor, BBC and others | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
ジェネレーティブAIは、報道メディアの現場でどのような使われ方をしているか。英BBC、米Semafor、同じくWashington Post、Bloombergなどでの利用法を紹介する貴重な解説記事。
EU欧州議会がAI規制案採択 文章など「生成」明示求める
「欧州連合(EU)欧州議会は6月14日、本会議を開き、対話型人工知能(AI)『ChatGPT』など生成AIを含む包括的なAI規制案を賛成多数で採択した」。

——素早い動き、とは言え、年内いっぱいに成案を得るというのがスケジュール。施行は翌年以降だ。その間に、開発社側がどのような自己規制を打ち出すのか。

Young people are abandoning news sites: New research reveals scale of challenge to media | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
“若者のニュース離れ”現象。Reuters Institute「Digital News Report2023」によれば、英国市場では、35歳以上は、直接の好みが時代とともにほとんど変化していないが、18~24歳は、ニュースサイトやアプリの利用率が著しく低くなっていることがわかると指摘する記事。
Worldwide, online news is looking a lot more like TikTok and a lot less like “shared articles”
英Reuters Institute、2023年版Digital News Reportを公開。毎年注目している「ニュース忌避」について、より具体的なケースを調査。たとえば、「ニュースが流れたらラジオを消す、SNSではスクロールしてニュースを読み飛ばす」などの習慣化が忌避者の半数以上(53%)と判明した。
A Reckoning Arrives for Creator Economy Startups
【有料購読者向け記事】:
大手SNSがクリエイター獲得合戦を演じ、数百の新興企業がクリエイター向けツールやサービスを提供する“クリエイターエコノミー”ともてはやされたトレンドに、早くも大きな逆風。米Informationのデータベースによれば、7つの関連新興企業がこの1年強で閉鎖となったという。M&Aの数は相当数に上るはずだ。
【編集長雑記】「ar」編集長:令和の編集長は忙しいけど“楽しい” | ほんのひきだし
「スマホ一つで何でもわかる世界。
“可愛い誌面”を追求していればよかった『ar』編集部の仕事は、ここ数年で大きく変わりました。どんなによいコンテンツを作っても届かなければ意味がなく、雑誌離れと言われて久しい20代を相手に情報を届けるとなれば、“スマホのお作法”を知ることはマストとなりました」。

——昨今のメディアの現場感覚がよく伝わってくる記事。勉強になった。「雑誌のほかにWEBサイトを2つ、SNS4つを運営しており、その合間に本誌から発展させた写真集を作ったり、さらにその宣伝やイベント等もやっています。あえてWEBと雑誌の部署は分けていません」という点、忙しさがよく分かる。「脳内が忙しいのです」なのだ。

May 2023 Layoffs Jump on Tech, Retail, Auto; YTD Hiring Lowest Since 2016 | Challenger, Gray & Christmas, Inc.
米雇用関連コンサル企業のChallenger, Gray & Christmas、5月に米国内でのレイオフが急増したと発表。特にメディア業界は、2023年に入りこれまでに17,436人の削減。過去最高の年初来(YTD)記録を更新した。
JASRAC、世界のデジタル配信サービスのコンテンツや楽曲情報を共有・交換する「GDSDX」
「日本音楽著作権協会(JASRAC)は6月9日、グローバル展開する動画、音楽の配信サービスのコンテンツ情報と、著作権管理団体が管理する楽曲情報を共有、交換するプラットフォーム『GDSDX』を5月31日にリリースしたと発表した」。

——JASRACをめぐってはとかくいろいろ批判的な指摘がされるが、このGDSDXリリースの動きは興味深い。デジタル配信が大前提の市場で、各国での消費を的確に結んでいくことができる仕組みづくりは喫緊の課題だったはず。対抗するシステムは存在していたのだろうか?

焦点:米国で広がるメディアリテラシー教育、若者の必須スキルに
「最初のうち、ヘイジャーさんは、責任はソーシャルメディアの不十分なコンテンツ規制にあると考えていたが、その後『ネット上で目にするレトリック(巧みな弁舌)に対処するツールを生徒たちに与えるべきかもしれない』と考えるようになった」。

——青少年自らが“メディアリテラシー”に取り組む事例を紹介する記事。確かに単に教育関係者、政府が与える啓発がらみの教材の無力を感じることが多い。そもそもが単なる道徳教育であるようなケースが見受けられる。

(パブリックエディターから 新聞と読者のあいだで)ニュース回避、疲れた心に配慮を 藤村厚夫:朝日新聞デジタル
【ご紹介】:
朝日新聞に寄稿したコラムが電子版にも掲載されました。よろしければご一読を。➡ ニュース回避、疲れた心に配慮を 藤村厚夫
生成AI、音楽配信や報道現場に変化の波 - 日本経済新聞
【ご紹介】:
月1回連載の記事が日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ 生成AI、音楽配信や報道現場に変化の波

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