Disruption This Week—–14/1/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年1月1日から2022年1月14日まで。

NFTでニュースを売る、ブームの背後にある教訓とは?
「『シビル』はAPのほかにも、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルを発行するダウ・ジョーンズなどの大手メディアに次々と提携を持ちかけたが、いずれも実現しなかったという」。

——平和博氏の論説。今般のメディア×NFTブームが、2016年同時にブームになったブロックチェーンを基盤としてメディアを運営、さらに資金調達(ICO)を図るというブームに類似すると論評。その際にも、各社が発行するトークンが、事業の実態と無関係に、高騰するという欲望の力学を前提にしていた。これに頼ったモデルなら、今度も潰えるだろう。

米ワシントンを拠点として、1,000万ドルを調達したメディアスタートアップ「Grid」が誕生した。Buzzfeed、Politico、CNN、ABC出身者ら50名を集め、「裕福でエリートな専門家」をターゲットに、分析や調査法道を提供するという。ここでも高学歴・富裕層向けメディア企画だ。

Journalism, media, and technology trends and predictions 2022

Reuters Institute for the Study of Journalism

Journalism, media, and technology trends and predictions 2022
恒例のReuters Instituteらによる「Digital News Project」が公開。「Journalism, media, and technology trends and predictions 2022」とのタイトルで広範で詳細な報告書に。ニュース退潮の現況を念頭に「ニュースから遠ざかっている人々を再び引きつけること、そして、より多くのニュース消費者とより深い関係を築く」を主題に置くものになっている。
Over 80 fact-checking organizations sign letter urging YouTube to address misinformation on its platform - Poynter
世界60か国、80超のファクトチェック団体が、YouTubeは“悪しき意図による他人を操作、組織、資金獲得のための行為”に利用されることを許していると、YouTube CEO宛ての公開書簡を提出。なすべき対策も提起。YouTube側は、Google(News Initiative)からファクトチェック団体らに対してすでに多額の資金援助とコメント(笑)
The Associated Press is starting its own NFT marketplace for photojournalism
AP通信社、写真家が作品をNFT化して販売できる市場の設立(今月末に第1陣をリリース)をアナウンス。NFTには、写真がいつ、どこで、どのように撮影されたかを示すオリジナルのメタデータが含まれるとしている。Gettyなどから同種プロジェクトが乱立しそうではある。
クリエイターの収益化を支援するPatreon、「2022年に規模倍増」と同社CPOは語る | TechCrunch Japan
「Patreonにとってもう1つの大きな問いは、同社が暗号資産技術をプラットフォームに持ち込むかどうかである。2021年の秋、ガットマン氏は創業者でCEOのJackConte(ジャック・コンテ)氏とともに、クリエイターたちが収益を上げる方法としてPatreonが暗号資産を検討していることを明らかにした」。

——前段で、同社チーフプロダクトオフィサーであるJulian Gutman(ジュリアン・ガットマン)氏が、同社の収益化手法の各種拡張や改善を行っていることを述べている。同社はこの1、2年で誕生したクリエイターエコノミー企業とはその歴史が違う。その会社もまた、「暗号資産」(NFT?)を検討しているという。

The New York Times needs subscribers. The Athletic doesn’t make money. Now they’ve both got a deal.
米VoxのPeter Kafka氏が、New York TimesによるThe Athletic買収の意味を解説。両者にとってのプラスはすでに私も紹介してきたが、同氏が指摘するポイントは「もしNYTがオーガニックな成長にもっと自信を持っていたら、Athleticに購読者1人あたり約500ドルも払わなかったかもしれない」ということだ。
「Web3」は本物か 巨大ITの支配脱却へ期待先行
【有料購読者向け記事】:
「要はコンテンツ産業におけるクリエーターへの収益分配を従来よりも適正に厚くする変革を起こす可能性をNFTは秘めている。そうなれば、Web3技術は実体経済社会の一部であるコンテンツ産業の変革の基盤になったということができるだろう」。

——日経新聞の論説だが、よくまとまったもので、ちょっと感心。網羅的な論だが、自分には、引用箇所のようなメディア(コンテンツ)分野への応用が最も興味深い。そのためにも、クリエイターが依拠できる仕組みが広がらなければならない。そこに巨大な資本力がものを言うでは、「2」の世界と異ならないことに。

昨年も180万部減、全然止まらぬ「新聞」衰退の末路 | メディア業界
「日本新聞協会の2021年10月のデータを全国12の地区別でみると、対前年比の減少率は大阪(8.0%減)、東京(7.3%減)、近畿(6.5%減)の順に大きい。新聞メディアの崩壊はもう避けられないが、日本の場合、ニュース砂漠の影響は大都市圏から現れる――いや、実際にすでに現れているのかもしれない」。

——結語の部分からの引用で申し訳ないが、新聞発行状況や、それが何をもたらすかという点で米国での現状に比して、引用箇所のような重要な指摘を引き出した論。そもそも日本でローカルな情報源が自律し得るか否かという議論とは別に、都市部から崩壊している現状をどう見るべきか。

NYT To Buy The Athletic for $550 Million
【有料購読者向け記事】:
米The Informationが、独占スクープとして、New York Timesがスポーツ専門メディアのThe Athleticを現金5億5,000万ドルで買収すると報道。InformationはかつてAthleticが7億5,000万ドルの評価を望んで交渉と報道していた。すでに、紹介しているように、Athleticは購読者120万人を擁しており、1,000万購読者をめざし760万まできているNYTにとっては重要(かつ、お得?)な取引となる。
WSJスクープ | ブルームバーグ・メディアCEOが辞任の意向、新メディア会社設立へ
【有料購読者向け記事】:
「ジャスティン・スミス氏は電子メールで4日、『ニュース業界は、ソーシャルメディアのゆがんだ影響や社会的な分断および偏狭さの高まりにより、消費者からの信頼や信用をめぐる危機に直面している』とした上で、『世界の視聴者に偏りのないジャーナリズムを届け、世界最高のジャーナリストに高品質のプラットホームを提供するプレミアムニュース事業を始める予定だ』と語った」。

——昨日紹介した話題。機能はNYTの初報を紹介したので、WSJからも。

2022年 、 ファーストパーティデータ がより重要になる:パブリッシャーの広告受注戦略 | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「デジタルトレンズ・メディアグループ(Digital Trends Media Group:以下DTMG)は2020年、ファーストパーティデータの活用について広告主と話を進めていた時点で、データ追加が可能な、ハッシュ化されたeメールアドレスを約500万保有していた。メールアドレス数は2021年に入って5500万を超え、結果として広告主が推進するデータ関連プロジェクトへの参加が容易になったと、DTMGの戦略/データ/パートナーシップ部門でシニアバイスプレジデントをつとめるジョナソン・シェヴィッツ氏はいう」。

——メディア各社は自社サイトの読者データ(ファーストパーティデータ)を、たとえばメールアドレスなどの形で積み上げているが、これを従来の大規模なサードパーティクッキーに代わるターゲティング基盤としてどう活用できるか、そのソリューションを持つ事業者との連携が22年の業界をめぐる潜在的に大きな動きになる。

課題解決の精度高まる データから社会を読む(写真=AP)
【有料購読者向け記事】:
「反ワクチン派の返信(リプライ)を使った『口撃』行動を調べたところ、反ワクチン派はニュースメディアに対して最もアクティブに、かつ、最も毒性が高い言語的内容を返信していたことが定量的に明らかになった。これらはソーシャルデータから社会的相互作用の全体像を可視化・測定することで初めて明確化され、反ワクチン派の口撃を封じるプラットフォームレベルの対策を講じるためのヒントとなる」。

——ソーシャルメディア(ここではTwitter)から、全量を大賞として分析した笹原和俊氏の研究。投稿内容の分析からは、「反ワクチン派、ワクチン賛成派、政治的な左派と右派、そしてニュースメディアの5つのコミュニティーが存在する」と分かった。メディアに対して激烈に反応しているケースが顕在化されたのは、改めてメディアに関わる人間が深く考えるべきポイントだ。

【コラム】クリエイターエコノミーとクリエイターテックが実現する大きなビジネス | TechCrunch Japan
「クリエイターテックは、クリエイターのパトロネージュ(支援者)としての役割を受け入れ、革新し続けなければならない。すでに特定のクリエイターのニーズに対応して、場合によってはブランドとクリエイターを結びつけて収益性の高いパートナーシップを実現する、競争の激しいパトロンサービスの市場を作り出そうとしているクリエイターテックも存在する」。

——現在は、本格的な“クリエイターエコノミー”の時代への過渡期にあると見ている。そこにはすでに、「支援者」と自称する勢力が存在するが、いずれ、上前をはねるだけのビジネスか、本当の支援者なのか、弁別されていくことになる。

「情報的健康」目指す仕組みを データから社会を読む (写真=ロイター)
【有料購読者向け記事】:
「人間の思考にはシステム1、システム2という2つのシステムが存在する。システム1は暗黙的システムとも呼ばれ、無意識かつ自動的に判断を行うシステムを指す。システム1が動いているときは、直感的な好き嫌いで情報を判断するなど、非合理的な判断を動物的に行うことがある」。

——鳥海教授のオピニオン。「情報的健康(インフォメーション・ヘルス)」を目指すデジタルダイエット」という提言、さらに、「情報に偏りがないかを評価する人間ドックのようなシステムの導入」というビジョンに言及する。

クラウド社会の盲点 個人が自衛策考える必要も(写真=ロイター)
【ご紹介】:
日経MJ紙への寄稿が日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ クラウド社会の盲点 個人が自衛策考える必要も|

Disruption This Week—–10/12/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年12月7日から2021年12月10日まで。

50 ways to make media pay: Subscriptions | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
メディア企業が採用できる“購読”プログラム、12の例示。一般的な購読プログラムの提示から、学生や各種グループ別の優待、限定トライアル、法人向けプラン、他者との協業提案、プレミアムコンテンツの提案など各種手法を整理した記事。同業他社と組んでの提案は面白そうだ。
Newsrooms stop mocking the creator economy and start learning from it
メディア(報道機関)は、“クリエイターエコノミー”に学ぼう。少なくとも、これまでのように、オーディエンスと彼らが夢中になっているクリエイターやインフルエンサーとの関係を見下しているわけにはいかないとする論説。
Instagramで時系列表示オプションを来年提供するとモッセリ氏が公聴会で発言
「アダム・モッセリ氏は12月8日(現地時間)、米上院消費者保護、製品の安全性、およびデータセキュリティに関する小委員会が開催した『オンラインで子供を保護する:Instagramと若いユーザーのための改革』と題した公聴会で、来年1~3月期にInstagramで時系列フィードを選べるようにすると語った」。

——“Facebook文書”問題の中核、Instagramの事業トップが公聴会に出席。議員らからの追及に対して「時系列表示も選べるようにする」と発言。アルゴリズムによる表示をしない選択もできるようにするというが、「青少年」の利用法に対する対策としては安直だろう。

Global advertising industry expected to hit $1 trillion by 2025
2021年、世界の広告市場の成長率は過去最高レベルに。大手広告代理店Magnaは、21年の広告業界の成長率を22%とし、20年の12.5%を大きく上回る「史上最高」と発表。記事は、理由の一つとして、パンデミック後、中小企業がECなどでオンライン広告活用に乗り出したことと述べる。
Discord is letting creators monetize their communities with subscription-based memberships
大人気のライブチャットサービスであるDiscordが、本格的に“クリエイターエコノミー”をサポート? テスト段階だが、Discord内のコミュニティである各「サーバ」の運営者に、プレミアム機能へ課金を設定する権限を提供開始。
The end of the Silicon Valley insider–critic
シリコンバレーに抱き抱えれられてきた記者らの論評が終焉する時代。テクノロジー・サイエンス分野をカバーするライターによる論説。十数年前にはテック企業に批判的な記事を見かけるのは稀だった。現在はテック企業らから利益誘導を受けたことのない信頼できるライターが多く存在すると述べる。
Axios のライセンスビジネス、8カ月で100万ドルの収益 | DIGIDAY[日本版]
「Axios HQのゼネラルマネージャーであるジョーダン・ザスラフ氏によると、年間契約が1万ドル(約110万円)からスタートするHQのライセンス収益はわずか8カ月で100万ドル(1億1000万円)を超え、年末には150万ドル(約1億6500万円)に達する見込み」。

——AxiosがどのようなSaaS提供者になったのかは、記事を読んで欲しい。自社内製システムに投資できるメディア企業は、等しくソフトウェアビジネスの実践者となるべきだということを、最近のいくつかの事例は示している。

コンピュータサイエンス誌「bit」、1969年の創刊号から全386巻が電子復刻版としてAmazon Kindleで販売開始。1冊わずか198円
「同プロジェクトの『デジタルで絶版をなくし、誰もの手に届く所に置き、後世に伝える』趣旨に沿い、税込み198円と非常に安価。目次リンクも入っているため内容を確認してすぐに目的の記事へジャンプできます」。

——私のような文系でも、「bit」全盛期を思い出すな。書物に限らずこのような雑誌でも、できれば電子化してアクセシビリティを高めてもらえるとありがたい。同時に、検索可能性をどう高めていくのかも重要な課題。

中国の偽情報対策 連携 米とEU…国際機関選挙 協調も : 国際 : ニュース
【有料購読者向け記事】:
「会合には、米国のウェンディー・シャーマン国務副長官と、欧州対外活動庁のステファノ・サンニーノ事務総長が出席した。米国務省によると、両氏は偽情報対策として『米EU間の情報共有を深める用意』を表明した」。

——従前、米露関係ではロシアの情報工作について多くの情報が提示されてきたが、中国の高度な政治的意図による欺瞞工作についてはそれほどではなかったと思う。読みとばしてしまいがちなニュースだが、単に米中関係に止まっていない、中国の期満工作についても、広範囲の脅威として見なす時期に入っている。

How TikTok Reads Your Mind
「TikTokはどうあなたの心を読んでいるか?」
米New York TimesコラムニストのBen Smith氏、TikTok自らが従業員(非エンジニア)に同アプリのアルゴリズムを解説した内部文書を入手。そのエッセンスを解説する論。もちろん、アルゴリズムの究極目標は「DAUを増やす」だ。そのための要因を整理している。TikTokの熱心なユーザなら心当たりがあるはずだ。
また、他の重要な発見として、TikTokとその中国版であるDouyinは、依然として強い関係を有しており、同一の人物らによって開発されているという事実を紹介している。これは米政府の同アプリ排除の理由に挙げていた事象だ。
月間6億PV「まだ天井ではない」 文春オンライン、飛躍の裏に隠された施策とは - Media × Tech
【ご紹介】:
昨日ご紹介したように、2021年のSmartNews Awardsが発表。「文春オンライン」が2回目の大賞を受賞。改めて、その中心メンバーにMedia×Techがインタビューしました。おめでとうございます!

Disruption This Week—–3/12/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年11月29日から2021年12月3日まで。

How Future's fortunes changed to reach £108m profits - Press Gazette
大躍進中の専門メディアの集合体である英メディア企業Future PLCについて、1日に紹介したが、同じPressGazetteがその躍進のヒストリーを詳細にわたって解説した記事。次々と手がける買収が顕著に成長に寄与していることがわかる。
How researchers used decades of Wall Street Journal articles to predict stock market returns
米経済紙「Wall Street Journal」の記事を約30年間分・80万件の全文分析から、株式市場の平均的な変動の25%を予測できと、「全米経済研究所」がその研究を公開。
簡単に言えば、「市場が上昇または下降する理由の大部分は、WSJlで議論されていることによって捉えられる」のだそうだ。いろいろと面白いことが示唆されている記事。
Why publishers must shift their focus from business to audience needs
「例えば、『今月は100万PVを達成した」と言うのではなく、それが何を意味するのか、なぜ重要なのかをチームに説明しよう。同僚を読者のように扱い、ストーリーを彼らに興味深く、関連性のあるものにするのだ」。

——欧州で最近開催されたオーディエンス分析のイベントでのスピーカーの発言。「コンテンツ中心からユーザー中心への切り替えには慣れが必要で、多くのジャーナリストにとっては不慣れな領域だ」とも。

メタバースで不動産ブーム、史上最高額再び更新
【有料購読者向け記事】:
「この投資にはリスクも伴う。市場が低迷しても、大抵ある程度の価値を維持できる実際の不動産とは異なり、バーチャルな不動産の価値は、その仮想世界が廃れ、人々が訪れなくなれば、ゼロになる可能性もある。また、暗号資産の乱高下による影響も受けかねない」。

——すでに紹介したことのあるトレンドだが。依然としてその熱は冷めずに昂進を続けている。これこそバブル現象もいいところだが、先取りして勝ち逃げすれば良いと考えている事業者が多いのだろうか。

Streaming Services to See 150M Cancellations Next Year as Churn Heats Up, Deloitte Predicts
調査会社Deloitteが「テクノロジー、メディア、通信(TMT)」に関する2022年の市場予測を発表。さまざまな分野をカバーするが、なかでも有料ストリーミングサービス市場における巨大な退会トレンドを予測。22年の米国における解約率は38%(!)にも上るという。
Twitter bans sharing 'private' images and videos without consent | Engadget
Twitter、ユーザの個人情報保護の範囲を拡大。投稿された写真、動画などについて個人の了解なく共有するなどの行為に厳格に対処することに。最悪の場合、アカウントの永久停止も。一方、公益性に基づくなどのケースでは許容余地も認めるという。
出版状況クロニクル163(2021年11月1日~11月30日) - 出版・読書メモランダム
「フライヤーは出版社や著者の許諾を得たビジネス書を10分ほどで読める分量に要約し、ウェブやスマホ上で配信している。月額2200円のゴールドプランだと2600冊が読み放題となる。主な利用者は30~40代で、現在の累計会員数は86万人、法人採用は410社を超えている」。

——書籍のダイジェストサービスにどれぐらいのニーズがあるのか、知りたいと思っていたところ、この情報。微妙な規模だ。さらに、法人からのニーズをどう読むべきなのか検討。

「漫画村」の4倍規模 違法漫画サイトへの月間アクセス数は4億目前に ABJ調査
「タダ読みされた出版物の被害金額を試算可能な範囲で算出したところ、2021年1月から10月までで7827億円となり、20年の年間被害額である約2100億円を大きく上回っているという。出版業界の諸問題を科学的に調査する出版科学研究所によると、漫画の紙と電子の正規市場の20年の合計金額は、6126億円だったとしている」。

——試算の詳細な手法を確かめていないのだが、この発表によるならば、指摘されている盗用コンテンツから生じている収益が、正規市場で生み出された収益を上回っている可能性があるという。21年(今年)の驚くべき伸長。

A New Publishing Platform for Comic Books Will Give Creators a Greater Stake
米Reddit創業者Alexis Ohanian氏らのVCが出資する、コミックに焦点を当てたパブリッシングプラットフォーム「Zestworld」の話題。コミックス作家らが継続的に収入を得られるように開発。2022年初にもサービス開始をめざすという。すでにSubstackもこの分野を対象にした動きを見せている。
Google、「プライバシーサンドボックス」で独立監視者任命を約束
「英政府競争規制当局の競争・市場庁(CMA)は11月26日(現地時間)、1月から独禁法違反の可能性を調査中の米Googleの『プライバシーサンドボックス』の取り組みについて、Googleから改善したコミットメントを受理したと発表した」。

——GoogleがサードパーティCookie廃止にともなって、開発していた代替技術「プライバシーサンドボックス」。Chromeへの実装が遅れていた理由と、その改善の目途が立ったということに。広告界に新たな動きが生じそうだ。

Disruption This Week—–5/11/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年11月1日から2021年11月5日まで。

The Rise of E-commerce and Shoppable Media
【有料購読者向け記事】:
コマース機能を埋めこんだメディア、さらにはショッピング体験をARやVRにより“没入型”体験とする取り組みを主題とするカンファレンスを米The Informationが開催した。ショッピング体験の拡張にはゲーム、そしてエンターテイメント要素が必須となる。
Fox bets big on blockchain
TVネットワークを傘下に持つ米Fox、「コンテンツのトークン化には大きなチャンスがある」と、ブロックチェーン部門を設置、少なくとも1億ドルの投資を開始。NFTへの取り組みを強化、デジタルコレクターズアイテム事業を加速すると、CEOが投資家に説明。
Microsoft、クラウドで言語AI「GPT-3」 企業利用弾み
「マイクロソフトのクラウド基盤「Azure(アジュール)」を介して、オープンAIのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を使えるようにする。イベントの文字起こしや顧客のクレームを即座に要約したり、ブログの下書きやキャッチコピーづくりに役立てたりする用途を見込む。当面は招待制で提供する」。

——Open AIに投資してきたMicrosoftが、GPT-3をいよいよ商用利用可能なクラウドサービスを提供へ。いまだ利用用途がクリアではないが、記事で述べているような要約文の生成など、ビジネス利用での応用が出てくれば弾みがつきそうだ。

Netflix、日本でモバイルゲームを配信開始--まずはAndroid向けに5作品
「Androidスマートフォンの場合、Netflixにアクセスするとゲーム専用の列とタブが表示されるので、そこからゲームの選択やダウンロードが可能。Androidタブレットの場合はゲーム専用の列、あるいはカテゴリのドロップダウンメニューが表示される」。

——ウワサされていたNetflixのゲーム分野への進出。目的はもちろん、若者らの取り込みと、ユーザの利用時間拡大といったところだ。それが、直接広告事業を営まない同社にとりどれほどプラスに響くのか、掘り下げた報道に期待したい。

New York Times Adds 455,000 Subscriptions in Third Quarter
米New York Timesが第3四半期業績を開示。45万5,000人の購読者を追加し、電子版購読総数は760万に(印刷を含めば840万)。45万人のうち、12万人は非ニュースサービス(ゲーム、料理、製品レビュー)の購読者だ。同社は2025年に1,000万購読者をめざしている。
メールベースの ユニバーサルID 、再び注目の的に:ただし、信頼性とプライバシーには疑念も | DIGIDAY[日本版]
「何よりもまず、ひとりのユーザーが複数のメールアドレスを所有できるという現実が、IDシグナルを混乱させる可能性がある。『率直なところ、メールではうまくいかない。人々があまりにもたくさんメールアドレスを所有しているからだ』」。

——Web界ではCookie、アプリ界ではIDFA(デバイスIDEA)による個人ターゲティングの後継世代を探る動きが続く。
この記事では、ユーザが差し出す(登録用などの)メールアドレスがその機能を果たすのではないかという議論が持ち上がっている。ファーストパーティ戦略としても整合性が高い。だが、メールアドレスには、それ以前からあるいくつかの問題点も指摘されているという記事。

Why the Press Could Fail

The Information

Why the Press Could Fail
【有料購読者向け記事】:
米メディアThe Information創業者Jessica Lessin氏の論説。テクノロジーを推進する技術者や起業家と、テクノロジーを嫌う傾向の強いジャーナリストや政治家との間の知識ギャップが極端に広がっていると憂慮。
「テクノロジーが嫌いで、世界にとって悪いものだと思っていたら、自然言語処理の専門家にはなれない。暗号や原子力でも同じことが言える。その分野に情熱を持っていなければならない」というのだ。「この分野の発展は、あまりにも速い」。
AIに記者の仕事は奪えるか? ニュース記事を代筆してもらった
「以下の文章を読んで、AIが書いたのか、記者が書いたのか考えてみてほしい。当社のプレスリリースを短いニュース記事にまとめてみた。マーケティング分野の専門用語が混ざって読みにくいが、文章の自然さにまずは注目してほしい」。

——「AIのべりすと」というWebサービスを使ってプレスリリース風文書を生成してみた結果が示される。かなりの出来を示す。記事では、NEWS編集部がそれに添削して経緯も示しているが、「配属当時の記者と比べればまし」というところで吹いた。

出版状況クロニクル162(2021年10月1日~10月31日) - 出版・読書メモランダム
「この一年間に二度、岩波文庫が棚一本分、ブックオフで売られているのを見た。一方は青帯の哲学系、他方は緑帯の日本文学系で、いずれも110円であった。それはもはや驚くべきことでもないが、それだけの分量が地場の古本屋に売られず、ブックオフに持ちこまれてしまったことに問題が凝縮しているのではないだろうか」。

——本論の前半では電子書籍の流通の強い成長(その多くがコミックス)を指摘、後段でこの岩波書店の状況に言及する。個人的に同書肆に対する文化的な(政治的な?)幻想は持たないが、とはいえ、岩波文庫こそ電子書籍化で、多品種少量であっても流通を維持してもらえないかと願うところ。

“It Might Well Be Unsolvable”: Nilay Patel on Facebook’s Reckoning With Reality—And the Metaverse-Size Problems Yet to Come
サイト開設10周年を迎えた米テックメディア「The Verge」。開設当初は鋭い切り口ながらテクノロジー分野にポジティブだった同メディアが、いまや超大手プラットフォームを監視し切り込む位置に。Facebook文書から10年を振り返る編集長Nilay Patel氏への興味深いインタビュー。
JIMA : 【参加申込、開始しました!】オンラインカンファレンス Internet Media Days 2021 開催。11月26日 – 27日の2日間、今年のテーマは「明日から使えるDX」
【ご紹介】:
参加申込、開始しました! 2回目の今年は、非会員でも全セッションに参加いただけます。➡️ オンラインカンファレンス Internet Media Days 2021 開催。11月26日 – 27日の2日間、今年のテーマは「明日から使えるDX」
スマートニュースが米事業強化、ベルリンの壁に起業原点-鈴木CEO
【ご紹介】:
SmartNewsの最新資金調達と、そこに至る歴史を、創業者への独自取材などを通じて詳しく報道する記事です。➡ スマートニュースが米事業強化、ベルリンの壁に起業原点-鈴木CEO

Disruption This Week—–22/10/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年10月18日から2021年10月22日まで。

Google Launches 'Google for Creators' Platform to Provide Guidance on Digital Content Strategies
Google、“クリエイターエコノミー”のための総合支援サイト「Google for Creators」を公開。クリエイターが自らの存在感を高め、それを収入に換えるためのコンテンツ戦略、ヒント、技術的Tipsなどを整理して提供するものだ。
この8月に米Politicoを買収することを明らかにした独Axel Springer。そのCEO、Mathias Döpfner氏の舌禍事件(WSJが同氏発言を報道したことはすでに紹介した)が、Politicoスタッフから大きな反感を招いている。Döpfner氏はPoliticoスタッフへの弁明集会を開催するはめに。
ポイントは、Politicoの記事有料化(ドイツ人でありながらペイウォール=壁という語を用いた)を勝手に宣言したこと、PoliticoはEUにおけるAxel Springerの方針に従うべきことなどをぶち上げたことに加えて、(これが大きいと思えるが)Politico買収交渉の過程で並行してAxiosとの交渉も進めていたことが明らかになってきた。Axios創業者は、Politicoの創業メンバーであり喧嘩別れのようにして飛び出た人物だったのにもかかわらずだ。
70ドル以下で手に入る攻撃ツール、Microsoftがサイバーセキュリティレポートを発表
【全文閲読には要購読】:
「・サイバー犯罪のサプライチェーンは(個人ではなく)犯罪組織によって構築される場合が多く、成熟化が進んでおり、誰もがサイバー犯罪のための道具を購入できるようになっている
主なサイバー犯罪サービスの平均販売価格は次の通りだ。最も安価なランサムウェアキットであれば、66ドルから入手できることが分かる」。

——年次リポート「2021 Microsoft Digital Defense Report」から。一言で言えば、サイバー犯罪は、産業化が進展して非常に安価、手に入りやすくなっている。

Facebook is planning to rebrand the company with a new name
Facebookは、早ければ来週にも会社名を変更、FacebookやInstagram、WhatsApp、そしてOculusなどを子会社に持つ親会社という構造へ変わろうとしていると、the Vergeが関係者からの情報として報じた。CEOのMark Zuckerberg氏が夏に行った発言「メタバース企業への変身」への道のりが具体的に始まった。
「misinformation」と「disinformation」、ネットに氾濫するディスり情報
「misinformationが発信者の意図を問わない客観的な表現なのに対し、disinformationは一般的に、悪意を伴う(と受け止める側がみなした)偽情報を指す。『dis』は反対や否定を意味する接頭語。英語で『disrespect』と言えば、敬意の反対、つまり相手をばかにしたり侮辱したりする意味になる」。

——私も理事として参画しているFIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)でも、「ミスインフォ」と「ディスインフォ」を使い分けるようにしている。さらに「フェイクニュース」という用語は他者の言論を否定する際に多用されることを念頭に、原則として使わないようにしている。

How A/B testing can (and can’t) improve your headline writing
米Northwestern大の研究者、サイト分析のChartbeatの協力の下、293メディア・14万件超の記事タイトルのA/Bテストデータを分析。機械学習を試みたが、どんな記事タイトル作成法が優位か成功法則は得られなかったと解説。読者が何をクリックするかジャーナリストの手には負えないとのことだ。
Facebook to Hire 10,000 Workers in EU to Build Up ‘Metaverse’
【有料購読者向け記事】:
Facebook、公式ブログで、今後の5か年かけて“メタバース”関連技術に従事するエンジニアらを1万人をEU域内で採用すると発表。野心的な計画だが、この発表はEU域内における同社をめぐる厳しい論調を意識したものとも見られるとも、記事は解説。
米議会では超大手プラットフォームの振る舞いを制限しようと「通信品位法230条」の免責を制限をめざす「悪意あるアルゴリズムに対する正義」法案が、学者やテック企業の支援を背景とする団体などからの猛反対に直面している。記事はこの攻防を解説するもの。
How TikTok Is Changing YouTube
【有料購読者向け記事】:
TikTokに脅かされるYouTube、1年前に開始したTikTok似タテ表示短尺動画「Shorts」に注力中との記事。プロにShortsの制作を募ったり、優先表示などの取り組みによってShorts視聴割合が急増しているとデータも示す。他方、長尺動画の先行きは不明に。
朝日新聞ポッドキャスト 累計1000万ダウンロードを突破・・・サービス開始から1年2か月での達成 | Media Innovation
「現在では、新たに『就活ポッドキャスト 朝日新聞 ニュースの使い方』、『朝日新聞アルキキ』、『朝日新聞AJW英語ニュース』、『犬猫だらけの夜 -sippo channel-』と『好書好日 本好きの昼休み』を新たに開始させ、計8番組の構成となっています」。

——記事によれば、「(月間ダウンロード数が)現在では150万DLを超える」という。まだ、大きな数字ではないにせよ、いつの間にかポッドキャストは無視できないメディアへと成長中。

クリエイターエコノミー:直接収入の可能性を探る - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techに寄稿しました。(これが腰に良くなかったのか?)よろしければどうぞ。➡ クリエイターエコノミー:直接収入の可能性を探る