Disruption This Week—–17/2/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年2月13日から2024年2月16日まで。

‘Less writing articles; more AI conversation’: We get reaction to ex-Googler’s WaPo op-ed tip for publishers
“書かれたものから会話へ”。
印刷物の時代には、出版社は「記事」を作り、それを印刷、その紙を読者に配布していた。Webは、配布と紙に関するすべてを変えたが、記事はほとんどそのままに。だが将来は、出版社とって記事が主題ではなくなり、読者との会話について考えることになるとの論説。どのように会話の関係として読者(というよりユーザー)をつなぎ止めるのか。AIチャット能力が主役となる時代がやってくる。
'Miraculous' Substack-based Ankler Media eyes $10m annual revenue next year
2022年1月創刊のSubstackベースのニューズレターメディアのAnkler Media。ハリウッド情報のメルマガが出発点だが、早くメルマガ5タイトル、ポッドキャスト2タイトルのメディア企業に成長。すでに年商100万ドル超に。25年には1,000万ドル超を目指すとCEOは述べる。
Slate reports best year | Semafor
30年近い歴史を誇る米メディアSlate。老舗のカルチャー、政治関連メディアにとって、2023年は、長い歴史のなかで最高収益となったという。ポッドキャストとWebサイトで50/50の広告収入を獲得。しかも広告収入は同社収入の半分以下。有料メンバー制が過去2年で倍増という。
Extending our Mastodon social media trial
英BBCのソーシャルメディアへのアプローチを研究するチーム、昨年、7月に開始した分散型ソーシャルメディアMastodonサーバーの試行運用が6万ユーザーに到達と公表。詳細なデータや見解を開示。良好な運用状況から試行運用をさらに6か月延長を決めたとする。
Paramount cuts 800 staff two days after Super Bowl was biggest ever TV show
米放送大手CBS、平均視聴者数で1億2340万人(TVとストリーミング合計)を突破し、史上最も視聴された「テレビ番組」となったSuper Bowl LVIIIを放映し、その記録破りの成果を公表した数時間後、CEOであるBob Bakish氏は同社800人のレイオフを発表した。
French Watchdog Uncovers Massive Russian Disinformation Operation 'Portal Kombat'
フランスの対外情報監視機関Viginum、「Portal Kombat」とのコードネームで呼ばれるロシアの大規模なオンライン影響工作活動を指摘。193ものWebサイトからなり、ウクライナでの戦争をめぐる欺瞞情報を流布し、欧州各国のウクライナ支持を挫くことを目的としたものだとする。
食べログ「評点」変更の是非は 高裁判決を弁護士が解説 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「グルメサイト『食べログ』の評価基準の変更が独占禁止法違反に当たるかが争われた裁判に関心が集まっている。東京高裁は1月、評価点を決める『アルゴリズム(計算手法)』の変更が『優越的地位の乱用』に当たるとして飲食チェーン店側への賠償を命じた一審判決を取り消し、サイトを運営するカカクコム側の逆転勝訴とした」。

——高裁で一審判決が取り消された。プラットフォーマーによるアルゴリズム変更をめぐる判例が揺れている。専門家3名による見解を紹介する記事。

Decoding new newsroom jobs in the age of AI

Media Makers Meet | What’s new in media

Decoding new newsroom jobs in the age of AI
“AI時代の新しい報道部門の仕事を読み解く”。AIを報道メディアの業務にどう生かすか。最近現れた報告書を読み解く論。後半ではAIを報道に生かすために生み出される新たな職務を解説している。
広告だらけの低品質サイトに100億円超流入 資生堂は監視強化 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「広告だらけで独自性のない低品質コンテンツを集めたサイトに、国内で年100億円超の企業広告費が流入している疑いがあることがわかった。生成AI(人工知能)が悪用されて低品質サイトは3割以上増えた。見せかけの閲覧数に基づいて広告費が請求され、広告主の予算が浪費されている。資生堂などは検知ツールで監視を強める」。

——「生成AIによる低品質コンテンツ」に力点が置かれた記事だが、これをある種のコンテンツファーム(検索上位を狙って人為的にコンテンツを生産し広告収入を集める手法)は、米国では2010年ぐらいには大きな動きになったし、2016年にはご存じキュレーションメディア騒動があった。根幹にはこの種のモラルハザードを生みやすい広告テクノロジーがある。

Artificial Intelligence in the News: How AI Retools, Rationalizes, and Reshapes Journalism and the Public Arena
英Guardian、独バイエルン放送、米Washington Post、英Financial Timesなど35のメディア(新聞、放送など)と報道に携わる多くの専門家から聴取したAIと報道をめぐるさまざまな現状と課題、そしてプラットフォームとの関係をリポートした必読資料が公開された(PDFも入手可)。
メディア接触の新潮流...「ニュース回避傾向」が強い層の特徴とは?
【ご紹介】:
昨年11月に公開された「スマートニュース・メディア価値観全国調査」。そこからいくつも新たなファクトが浮かび上がります。本記事は気鋭の研究者・大森翔子氏が調査から見出した、我が国での「ニュース回避」トレンド。従来、ロイター・ジャーナリズム研究所が例年取り扱い、注目を集めてきました。それが日本においても姿を現しています。「メディア接触の6類型」分析で読み解く斬新で貴重な論考です。
今のニュースメディアに欠けている機能とは何か
【ご紹介】:
私も末端で参加させてもらったメディアをめぐる座談会。元日経メディアラボ所長の坪田知己氏が中心となってメディアをめぐる話題が広がりました。よろしければご一読を。