Disruption This Week—–19/4/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年4月15日から2024年4月19日まで。

メディア業界を揺るがす、Forbesによる MFA サイト運営問題。プレミアムパブリッシャーに向けられる懐疑の目 | DIGIDAY[日本版]
「クライアントの広告が何年ものあいだ、効果測定企業、DSP、SSP、さらにはエージェンシー自体によっても検出されずにこのサブドメインに表示していたという事実こそ最大の脅威であり、ドメインなりすましを検出するための機能とレポート結果に大きなギャップが存在することを明らかにしている」。

——先日紹介した米Forbesの広告用インプ稼ぎに用いられていたらしいサブドメイン問題。“広告テクノロジー”というようなハイテク手法でもないが、機械による計測に任せているだけでは、広告主側にはなにが起きているかも分からない。また、何が起きていても、さして問題でもなかったのかもしれない。エージェントが介在していただろうが、広告をめぐるモラルハザードをあらわすエピソードだろう。

Newsweek is making generative AI a fixture in its newsroom
約90年の歴史をもつ米NEWSWEEK。同メディア編集部はAI利用について非常に積極的。記事には「方針と基準」へのリンクが設けられ、AI利用についても開示。人が関与するのを前提に、編集部が「執筆、調査、編集、その他のジャーナリズムの中核的機能」でAIを使用する許可与える。
続々と課金制を施行するメディアが増えるなか、そのコンバージョン率を上げることが最初の課題となる。その点で、固定的なペイウォールをダイナミックモデルにするのが有望視されるが、その6つのアプローチを事例で解説する記事。
AI Index Report 2024 – Artificial Intelligence Index
米Stanford大のAI研究所、「AI Index Report 2024」(第7回)を公開。10のポイントを呈示。「1. AIは一部のタスクでは人間に勝るが、すべてのタスクで勝てるわけではない」「7. データあり:AIは労働者の生産性を高め、より質の高い仕事をもたらす」など。興味深い論点を網羅。
Two new books are essential reading for anyone considering a news startup - Poynter
ニュースメディアで起業を検討する人々に必読の2冊の新刊書。ひとつは、起業家たちの物語。もうひとつは、進化するメディアの状況におけるツール、テクニック、トレンドに焦点を当てたもの。米メディアPoynter.が紹介する。
Meta、著名人になりすました詐欺広告に対する取り組みを説明
「Metaは人による広告の審査と、自動検知を組み合わせて運用中。審査チームには、日本語や日本の文化的背景、ニュアンスを理解する人員も含まれているという。『最新の傾向を把握することで新たな脅威に備えることができるよう、今後も取り組みを続けてまいります』」。

——話題になっている“有名人(を騙る)詐欺広告”問題への対処策。「日本語がわかるスタッフも(多少は)含まれている」辺りから取り組み強化が必要そうだ。まだAIにはそこまでの実務能力はないということか。

アングル:メタのニュース配信停止、政治分野で高まる情報操作リスク
「調査の一つに関わったマギル大学メディアセンターのディレクター、テイラー・オーウェン氏は『政治グループで話題になるニュースが、ミームに取って代わられつつある。われわれのフィードではかつて、ジャーナリズムや真実の情報が常に流れ、信頼感の印となっていたが、それが消えてしまった』と話した」。

——Facebookが(報道メディアのへの支払を嫌って)報道メディアの記事リンクの投稿抑止する動きの結果、政治的、党派的な偏りのある投稿が減るどころか、もっと怪しい言説が増えてしまったという調査結果が報じられている。

Oh look at that! Now Google is using AI to answer search queries.
Googleは、通常の検索結果にAIが生成した回答をひそかにテスト中だ。これは「AI Overviews」と命名されており、米英両国で約1か月前に始まった。同社は、回答が複雑(だが回答可能)と思われる通常の検索クエリに対して、自己生成のOverviewsをテストしているのだという。自らの牙城を崩すかもしれない試行に、同社は大変に慎重な扱いをしているようだ。
最長で禁固20年「フェイクニュース法」がニュースを脅かす、その本当の理由とは?
「世界31カ国32件の『フェイクニュース法』を調査したところ、対策の効果よりも、政府による濫用のリスクが際立ったという。
大きな原因は、そもそも『フェイクニュース』とは何かが、はっきりしないことだ」。

——32件の法律・法案の分析から見えた特徴の1つは、大半が規制対象としている「フェイクニュース」について、明確な定義をしていないという。各国が大きな選挙を控えて、偽・誤情報対策に乗り出しているが、法制化には、国家権力による恣意的な運用を行いやすい下地づくりという側面がついて回る。

Google blocking links to California news outlets from search results
米カリフォルニア州で、「カリフォルニア・ジャーナリズム保護法案(CJPA)」が制定へ向かう。可決されれば、同州在住者がGoogle検索などを利用した際に表示される記事リンクに応じた利用料が求められる。Googleは法案牽制のため、一時的にリンク表示のブロックに踏み切った。