Disruption This Week—–4/6/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年5月31日から2021年6月4日まで。

海外の老舗メディアが、若く多様性のある新読者層の獲得にどんな取り組みをしているか。「The Daily Star」、「The Times and Sunday Times」、「The Economist」、「The South China Morning Post」がノウハウを公開。記事の企画はもちろんSNSの利用などについてなど。レガシーメディアの運営に携わる実務家にとってはいちいち参考になるはず。
PwCの調査によると、今後のメディアの成長分野は「動画」であることはもちろんだが、重要な発見は「ゲーム」の成長力だ。記事では、ゲーム市場が近い将来TVの有料購読市場に肉薄すると指摘。2020年からのパンデミックがそれを加速している。
Mozilla財団が発表した調査によると、TikTokは2年前に「政治広告禁止」ポリシーを発表したが、広告関連情報の不透明性と管理の不徹底という脆弱性を背景に、政治党派から資金提供を受けたインフルエンサーによるオーガニックを装った投稿が十数件確認されたという。その事例も掲載されている。
Googleが、Google Newsによるランキングアルゴリズムについて、同社の「Google検索セントラル」ブログで、Search Product Managerが簡略ながら解説を行った。この記事は、その解説を解説するもの。署名の有無によるランキングへの影響など、いくつかの興味深い開示がある。
Facebookが過去4年間に捕捉・削除した150の偽情報キャンペーンでは、米国が最も高頻度で標的となっていたことが、同社の最近の脅威情報レポートで明らかとなった。発信源はロシア、イランが最多だが、米国内発も多く、大統領選市場狙いのマーケティング企業が特定されている。
「新たにデータ更新となった5月17日~23日においてグローバル全体で40%、各ジャンルを見ても35%~40%と、前週(5月10日〜16日)とほぼ同水準を維持しました。日本においては、全体で38%のATTオプトイン率(=追跡を許可した利用者の率)となっています」。

——AppsFlyerから定期的に提示されるデータ。これによれば、世界のユーザと日本のそれとで、オプトイン率(ユーザ行動の追跡を明示的に許可したユーザの比率)は、大きな違いはなく、3割〜4割にのぼる。次回のデータ開示は今日ということなので、引き続き注視したい。

従来、インターネット上の活動では比較的オープンであったロシア。しかし、最近になって反プーチン勢力が活発に大手SNSを活用してきたことを受けて、これら大手への検閲を強化中。中国“グレートファイアウォール”に学んだネット隔離技術も投入し、活発な介入を行っていると、米New York Timesが報道。中国、米国、そしてロシアと、程度と手法には違いはあるものの、ネットをめぐる分断(分離)が進んでいる。
「イーブックイニシアティブジャパンの決算は売上高299億5100万円、前年比40.7%増、営業利益は9億5700万円、同20.7%増、純利益は6億6300万円、同21.7%増、売上高、営業利益ともに過去最高の実績。
『ebooksjapan』を展開する『電子書籍事業』売上高は230億1700万円、同41.8%増、紙書籍のオンライン販売『クロスメディア事業』売上高は69億3300万円、同37.4%増」。

——相変わらず、これまでしばらく見たことがなかったような、電子出版関連の好業績が伝わってくる。さてさて、電子コミック市場以外に将来の展望が見えてきているのだろうか?

「インサイダー(INSIDER)は、すべての記者に対し、毎月一定のページビュー、ユニークビジター数、有料購読者数を獲得するよう義務付けている。そして、同社が有料購読者の獲得に重点を移してから、こうした責任を記者に課すシステムが、ストレスをもたらすものから混乱をもたらすものへと変わってきた」。

——「報道の幅や深みが増すにつれて、我々は厳格な測定システムと衝突するようになってきた」と同社組合の中心メンバーがコメント。毎日更新される他社模倣系記事が膨大に上る、いかにもInsiderらしい状況。同社の伝統は簡単には覆らないようだ。

米MITリンカーン研究所のAIプロジェクトチームが、偽情報の同定とその発生源を96%の確度で判定する手法「Reconnaissance of Influence Operations(RIO)」プログラムを開発したと発表。論文は今年初めに発表され「R&D 100」の一つに受賞したという。
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