Disruption This Week—–27/1/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年1月23日から2023年1月27日まで。

CNET Is Testing an AI Engine. Here's What We've Learned, Mistakes and All
すでに紹介済みだが、米CNETが誤りだらけのAI生成コンテンツを複数掲載、非難を浴びた件。編集長Connie Guglielmo氏が「我々が学んだこと、間違いなどを紹介する」との記事公開。CNETが運用しているチェック体制を説明。“一握り”の記事でその運営が守られていなかったとする。
米バズフィード、コンテンツ作成でオープンAIの技術活用へ
【有料購読者向け記事】:
「米新興ニュースメディアのバズフィードは、提供コンテンツの個別化などに向け、チャットボット(自動応答システム)『チャットGPT』の開発元である米オープンAIの技術を活用していく方針だ」。

——米CNETがAI生成による誤りだらけの記事を掲出していたことで物議を醸しているの対し、米BuzzFeedは(おもにエンタメ分野で)積極的にChatGPTを活用していく戦略を発表。ポイントはインタラクティブ、パーソナライズということだろう。読者一人ひとりに向けてコンテンツを生成する時代がやってくる。

Exclusive: AP goes after ads with website redesign
AP通信、他メディアへのコンテンツライセンスが主事業(売上の82%)だが、10年前「ダイレクトオーディエンス部門」を設置。読者との直接的な接点強化を推進中だ。記事は、同メディアへのトラフィック力増大により広告収入増をめざすべくBBCより幹部人材を招聘したとするもの。
The rise of the registered web
“登録型Web世界の高まり”。メディア関連コンサルティングの英FT Strategiesが世界450以上のニュースメディアを対象に行った調査で、ログインユーザー数が多いメディアは、そうでないメディアに比し、高いビジネスの収益性が高いことがわかってきたという。登録情報がますます重要になってきているというわけだ。
ユーザにとっては、より安全で負担の少ない登録制が求められる。
Washington Post lays off 20 newsroom employees, shuts down gaming section | CNN Business
米Washington Postは火曜日、レイオフの実施を公表。発行人Fred Ryan氏が2023年初頭に実施としていた20の編集ポジションを削減した。また、欠員だった30のポジションの補充を行わないことも明らかに。レイオフは同社の複数の部門に及ぶと広報部門は述べている。
Where did all the new podcasts go?
ポッドキャスト検索エンジン「Listen Notes」によれば、2020年には110万の新しいポッドキャストが開始された。だが、21年にその数は73万に減少。そして22年には、わずか21万9000にまで激減。ポッドキャスト市場に何が生まれ、何が死のうとしているのかを論じた重要な記事。
米司法省がグーグル提訴、デジタル広告市場の支配巡り
「米司法省と8つの州はアルファベット傘下のグーグルを提訴した。デジタル広告市場において違法な独占の疑いがあるとし、同社の広告テクノロジー(アドテク)事業の分割を求めている。
司法省はバージニア州の連邦地裁に提出した訴状で、グーグルは独占力を乱用してウェブサイトのパブリッシャーや広告主に不利益を与えていると主張した」。

——バイデン政権は、ようやくIT超大手に対する規制の動きに。同政権としては初の動きだろう。

Informed app attracts big-name publishers to join curated subscription bundle
「世の中のすべての記事を読むには十分な時間がない。NYTimesが毎日公開するものすべてを読む時間はないと言う人が多い。これが主流のニュースユーザーなのだ。時間が足りない、それほど多くの記事は読まない、膨大な情報量に圧倒されている」と新ニュースアプリ「Informed」が発進。高額なペイウォール系メディアのFT、Bloomberg、NYTimes……などと提携。

Netflix writes a new chapter as co-founder Hastings steps down
「Netflixは次の章へ」。
10年以上一貫して成長軌道を歩んできた動画配信サービスの米Netflixは、業績からも成長面からも大きな壁に突き当たっている。共同創業者Reed Hastingは共同CEOの座を譲り執行役会長に。新たな成長源泉を見いだす歩みに向かうことになる。
Google Calls In Help From Larry Page and Sergey Brin for A.I. Fight
【有料購読者向け記事】:
Google、ChatGPTを検索事業の本質的な脅威と認識、“コード・レッド”を宣言。現CEOは、創業者のLarry PageおよびSergey Brin両氏に助けを求めた。現在同社内では両創業者も関わる約20ものAI関連プロジェクトが稼働しているとする詳細なNew York Timesの報道。

Disruption This Week—–23/12/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年12月20日から2022年12月23日まで。

ネトフリ広告付きプラン、普及まだ先
【有料購読者向け記事】:
「今回のデータが公表される数日前、ネットフリックスは広告付きプランの保証視聴回数を達成できず、その結果出稿されなかった広告分について、返金に応じていると業界誌ディジデイが報じていた」。

——すでにAntennaの調査などについて紹介したが、WSJも、Netflixの広告表示付き廉価版の試みに、否定的な報道。ただし、記事中にもあるが、まだ、滑り出し1か月の段階。今後の展開に引き続き注目すべき。

Porn, Piracy, Fraud: What Lurks Inside Google’s Black Box Ad Empire
「Googleは、広告販売パートナーの大方を秘匿する唯一の主要広告プラットフォームだ。つまり、Googleは広告を掲載するサイトやアプリ、その背後の人々や企業をすべて非公開としている」。
それにより驚くべき偽情報で荒稼ぎするサイトでの広告収入を、匿名のサイトオーナーと折半しているとする詳細な米ProPublicaの調査報道。
米Axios、記事「箇条書き」に活路 ネット系停滞と一線
【有料購読者向け記事】:
「アクシオスは、立ち上げ前に既存メディアの欠点を徹底的に分析し、記事が長すぎるとの結論に至ったという。忙しい読者が短時間で要点をつかめるように、記事は『スマート・ブレビティー(賢く、短く)』と呼ばれる箇条書き方式で提供する」。

——傾く老舗メディアに挑む新興メディア……という図式が揺らいだここ数年。新たな挑戦者はAxiosと見なす記事。ビジネスの仕方、稼ぎ方などに目が行き届いた新興メディアへ注目が集まる。

ByteDance Inquiry Finds Employees Obtained User Data of 2 Journalists
【有料購読者向け記事】:
TikTokおよびその親会社であるByteDanceの従業員らが、米ユーザのデータに不適切にアクセス、監視活動を行っていることはすでに報道されてきたが、今回、新たなに米ジャーナリストの個人データをTikTok従業員が漁っていた事案も内部調査から判明した。
メタバース・ビジネス新展開
25年前に亡くなった
伝説のラッパーが復活ライブ
【有料購読者向け記事】:
「(早逝したラップ・アーティストの)スモールズの超リアルなアバターは、見事な技術的偉業というだけのものではない。メタバース・プラットフォームが普及すればすぐに直面することになる、2つの大きな疑問に対する重要なテストでもある。その疑問とは、亡くなったアーティストのアバターのパフォーマンスを人々がお金を払って見るか、そして、そのビジネスは倫理的か、ということだ」。

——非在の人物をテクノロジーで甦らせる試みは、映画やこの種の芸術ステージ、そして親族と触れあっていたい私的な欲求などに応える産業となっていく可能性がある。この記事ではVRによる見た目の再現と新たな創造が軸だが、ChatGPTのような会話力の人工的な創造がここに組み合わされていくことになることは間違いない。その亡くなった人物の考えや声をAIが学習できれば、応用は広がっていく。

ワシントン・ポスト、SaaSで稼ぐ 2000媒体に基盤提供
【有料購読者向け記事】:
「会社は異なるがArc XPとアマゾンのクラウド部門、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)には共通点が多い。例えば顧客の声に耳を傾け、矢継ぎ早に機能を追加することだ。最近は記者がスマートフォンで撮影した動画をサイトで生中継できる機能など『21年は機能追加数が過去最多だった』(広報担当者)」。

——米Washington Postが自ら内製開発したCMS「arcXP」をめぐる奥平和行記者による充実した取材記事。ただし、同氏が知ってか知らずか、arcXPをめぐる同社の経営は揺らぎ、その戦略は転換を遂げているのだが。メディア企業がテクノロジー事業(企業)を胚胎し育て上げることの難しさが伝わる。期せずしてVox MediaもCMS「Chorus」のディスコンを決めたと報道されている。

Slow fade for Google and Meta's ad dominance
“デジタル広告複占時代”の衰退?
米調査会社Insider Intelligence、2022年の米デジタル広告収入の48.4%をGoogleとMetaの合計が占めると予測(Google28.8%、Meta19.6%)。2014年以来初めて5割を下回る。2017年のピーク時には、54.7%だった(Googleは34.7%、Metaは20.0%)。
5 themes that governed the news industry in 2022 | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
2022年、報道メディアをめぐる5つのトレンド。1) ジェネレーティブAI出現で制作自動化の動き、2) 印刷コスト増大でデジタル化進展、3) Web3、NFTが本格化、4) 改めて広告に頼るメディアも、5) “音声(ポッドキャスト)トレンド”加速
Finding new ways to reach news avoiders
ニュースをめぐるエコシステムは、“ニュース・ジャンキー(中毒者)”に向けて作り出されている。ニュースをよく読む人より、ニュースを大量摂取する人向けにビジネスが最適化されており、それがまたニュースメディアの首を絞め、“ニュース忌避”を呼んでいるとする貴重な論。
最近までCNNでアンカーをしていた筆者が、抜け出す方向性を示唆する。
2023年に最も注目すべきテクノロジーは、世界を変えうる技術革命「生成型AI」だ | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
【有料購読者向け記事】:
「AIは計算負荷が高く、高価なデータセンターを必要とするため、政府や超大企業しか利用する余裕がない。しかし、AIにはストーリーがあり、実用性がある。それこそ、2021年と2022年に登場した技術(Web 3.0とメタバース)が提供しなかったものだ」。

——スコット・ギャロウェイ氏のお馴染みの論説。今年1年の間にも歴史に残るようなAI研究の成果が生み出されている状況を、的確に論じている。Web3トレンドより実用性が高く、その分、日社会に良い影響も悪い影響ももたらすだろうことを示唆している。
で、最大の難点は、大規模言語モデルの駆使は、ブロックチェーンのマイニング同様、設備集約、高エネルギー消費型の産業であること。むしろGAFAを生き延びさせる可能性が高いことかもしれない。

Disruption This Week—–11/11/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年11月7日から2022年11月11日まで。

GPT-3活用で10日で開発 アイデアとスピード勝負の有料AIライティングサービスはどうやって生まれたのか?
「10回の文章生成ができる無償プランのほか、月間100回利用できる3000円のプラン、使い放題の9800円のプランなども用意している。すでに数百アカウントが有料プランに移行した。サービスの中では、大量に文章を考えなくてはならない運用広告向けのツールが継続的に利用されている」。

——そのクオリティは記事の中の実例である程度見て取れる。未来はこうなっていくのかという感想を持つ。AIによる創作機能ではもっと壮大なアイデアも出てくるだろう。興味深い。

電子漫画サービス「ピッコマ」営業利益が過去最大 日本アプリ市場で売上1位
「・日本国内のアプリ全体(ゲームカテゴリ含む)の売上第1位
・グローバルマンガアプリの売上第1位
・グローバルアプリ全体(非ゲームカテゴリ)の売上第7位
・グローバルアプリ全体(ゲームカテゴリ含む)の売上第20位」

——「ピッコマ」の累計ダウンロード数は、2016年4月のサービスインから3,600万に“過ぎない”が、売上をともなう有料課金アプリとしては、多大な影響力をアプリ界にもたらしているといえる。そのエコシステムの広げ方に興味をもつ。

Meta、社員1万1000人解雇を正式発表 CEO「世界のオンライン移行、期待通りにならず」
「Metaが10月に発表した第3四半期(7~9月)の決算では、売上高は前年同期比4%減の277億1400万ドル、純利益は52%減の43億9500万ドル(1株当たり1ドル64セント)に。前四半期に続く減益となり、さらにその幅を広げていた」。

——問題はその要因なのだが、記事では「主力の広告事業が減速した他、Questシリーズのヘッドセットやメタバースを担う『Reality Labs』の売上高がほぼ半減していた」としている。同社が未来に期待を賭けるVR関連が伸び悩んで(?)いることは数字以上のインパクトのはずだ。

ロシア軍に監禁されたウクライナの子どもたちが書いた「落書き」の意味 | 東洋経済education×ICT
「フォトグラメトリ」という手法を用いて戦争のデジタルアーカイブに取り組む東京大学大学院 情報学環 教授の渡邉英徳教授。動画を観て、自分は、戦争報道に止まらないジャーナリズムへの広がりと深まりという可能性を受け止めた。
ロシア大統領に近い実業家プリゴジン氏、米選挙への介入認める
「プリゴジン氏の事務所によると、ロシアが米中間選挙に介入しているとするブルームバーグ(Bloomberg)の報道についてコメントを求められた同氏は『われわれは介入したし、介入しているし、今後も介入するだろう』と発言した」。

——“大統領の料理人”と呼ばれて有名なプリゴジン氏。同氏はレストラン運営や給食事業などでプーチン大統領に近い関係を築いてきた。同時に、現下のウクライナで戦闘行為を続ける民間軍事会社ワグネルを設立運営するなど十分にグレーな事業に携わるが、2016年大統領選などでも顕在化したロシアのトロール工場(偽情報製造組織)を運営してきた疑いも指摘されていた。
今回の発言で、そのトロール工場の運営や、他国への介入の疑いも確定したことになる。

Recession fears shake newspaper industry
「不況は、ローカルニュース(紙)にとり、ほとんど“パーフェクト・ストーム”だ」と、米Northwestern大のTim Franklin教授は述べる。不況は人件費と用紙の流通の高騰をもたらすとする記事。劇減する広告収入に対し、購読料収入は逓増に止まる。ここにコスト増が加わるというわけだ。
Bloomberg EIC to staff: Be careful using Twitter as a source - Talking Biz News
米Bloomberg News編集長、編集スタッフに向け、「最近のTwitter社の変化によって、ニュースソースとしてTwitterを利用する際のリスクが高まっている。誤報やデマを見極めるための警戒を怠らないようにしなければならない」と社内メールで注意喚起。
メタとGoogleの決算から垣間見える、 プラットフォーム 時代の終焉 | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「JPモルガン(J.P. Morgan)によると、前回の金融危機時にデジタルメディアが広告費全体に占める割合は12%だった。2021年の割合は67%だ。広告予算が大きくなればなるほど、その金額と、ひいてはそれを資金源とするメディアオーナーたちも、マクロなトレンドの影響を受けやすくなる」。

——種々の視点から、プラットフォーム+広告+(背後のデータ寡占化)による進撃の低迷を指摘する記事。社会的な視点からの抑制も利いてきているとするが、最も説得的な箇所が引用部分。

Silicon Valley's pivot to paid
米シリコンバレー(テック企業群)が、広告離れを模索し始めた。もちろん、景気後退局面に差し掛かっているという側面もあるが、文化として広告主による支配を嫌うという点もあると指摘する論。Elon Musk氏がTwitter収益源をめぐり転換をめざすこともその文脈から理解できそうだ。
[更新]Netflixの「広告つき」新料金、一部のNHK作品等が広告なしの理由…月額790円、国内でも開始
「広告の頻度としてはテレビCMとほぼ同じはずだが、作品を視聴している最中にブツ切りで広告が割り込んでくるため、体験としてはあまり良くない。YouTubeと同じだと言えばその通りだが、体験の悪化が200円の差額に見合うかは、議論がありそうだ」。

——日本でも始まった「広告表示付き廉価版」のNetflix。従来990円だった「ベーシック」プランがベースに、ダウンロード不可などの制約と広告が表示。体験したBusiness Insider Japan編集長の伊藤氏がリポート。

Disruption This Week—–14/10/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年10月11日から2022年10月14日まで。

WSJスクープ | TikTok運営のバイトダンス、音楽配信事業を拡大へ
【有料購読者向け記事】:
「人気動画投稿アプリ『TikTok(ティックトック)』を運営する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が、音楽配信サービスの世界展開に向けて音楽レーベル各社と交渉を開始した。スウェーデンのスポティファイ・テクノロジーなど業界大手としのぎを削ることになる」。

——ByteDance傘下にはもともと音楽配信サービス「Resso(レッソ)」があったわけだが、人気絶好調のTikTokとこれを組み合わせて、音楽配信分野でも事業拡大を狙うようだ。TikTokは先に、米国内で物流事業の準備を進めていることが報道されている。コマースと音楽、TikTokの事業拡張戦略が見えてきた。

Apple is quietly pushing a TV ad product with media agencies
【有料購読者向け記事】:
Netflixが広告表示付きの廉価サービスを11月3日からスタートすると発表したが、Apple TVもまた、秘密裡に広告付きバージョンを広告エージェンシーとともに検討中であるとDigidayが報道。検索広告に似たモデルで広告とのマッチングを検討中だという。
Meta’s VR social network Horizon is too buggy and employees are barely using it
Metaが力を入れるメタバース事業のフラグシップであるソフトウェア「Horizon Worlds」。だが深刻なバグを無数に抱え、同社スタッフでも利用を控える状況だと、社内文書を入手したThe Vergeが報道。メタバース担当VPのVishal Shah氏が書いたとするメモから。
「ロシア発の最大で最も複雑な工作」偽装メディアがフェイクを拡散する「ドッペルゲンガー」とは?
「シュピーゲルの公式のアドレスは『spiegel.de』だ。だが偽装サイトは、ページデザインやロゴはそのままコピーした上で、『spiegel.xxx』『spiegelr.xxxx』といった本物と間違えやすいものを使用していたという。
英シンクタンク『戦略対話研究所(ISD)』の調査では、EUでの配信が全面禁止されているロシア国営メディア『RT』が、アドレスを微妙に変更しながら、規制回避を繰り返している実態も明らかになっている」。

——平和博さんの論考。(上記引用箇所で「xxx」とした箇所は、Facebookがすでに偽アドレスとして投稿を禁止しているため記述を回避)
組織的、技術的に積み上げられた情報工作への対抗力(抵抗力)をどう構築するか。国家が主導するのか(当然な動きだが)、あるいは国家を超えた超権力たるプラットフォームが担うのか。はたまた、記事にあるようにNGO、NPOであるべきなのか。それが課題として浮上している。

Meta's Quest Pro is a powerful VR headset, but for whom?
20万円を大きく超えるメタバース用ヘッドセット「Meta Quest Pro」を発表したMeta。記事は、CEOのMark Zuckerberg氏やCTOのAndrew Bosworth氏のコメントを弾きながら、このハイエンド商品の投入に当たって、同社幹部の間でも「この高価な新しいヘッドセットのターゲット市場が誰であるかについて、必ずしも同意されていない」と論評。
NYT のサブスク拡大、鍵を握るのはゲーミングプロダクト:「今後も我々のマーケティングミックスにおいて大きな役割を果たす」 | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「ここ数週間、これは数字としてはっきりと現れているのだが、サブスクリプションをゲームのみにするのか、あるいは全エディトリアルコンテンツにするのか、2つの選択肢を提示すると、多くは後者を選んでくれる」。

——少し前に紹介したものだが、邦訳が出たので改めて。米New York Timesでゲーム製品が購読をけん引するパワーだとはよく知られているが、当然ながらニュース製品との相乗効果が求められる。その点で、同社が力を入れるのがサブスクのパッケージ(同梱)だ。これが有効に作用している記事。(実際の数字を示して述べているのでないことは要考慮)

Bloomberg Media Is Removing Its Open-Market Programmatic Ads
米Bloomberg Media、同社メディアでの広告表示に他社(サードパーティ)製プログラマティック広告、そしてTaboolaなどのレコメンデーション製品の利用を取り止めると発表。ユーザ体験の毀損を招いており、これら除去が長期的にプラスと、社内テストの結果で判断したとする。
How Tortoise podcasts became the most profitable part
「スローニュース」を謳い文句に2019年にスタートした英新興報道メディアのTortoise Media。購読者の要望が“聴くこと”にあることを発見。ポッドキャスト「Slow Newscast」を開設。12名の従業員を擁するオーディオ部門が年間黒字に転じたという話題。同社は現在5万人の有料購読者を持つ。
BeReal tops 53M installs, but only 9% open the app daily, estimates claim
“盛らない”SNSと話題の「BeReal」。Sensor Towe調べで全世界でのダウロードは5300万を突破、MAUは2022年1月から2254%も急増。だが、今年第3四半期のMAUで見ると、Androidのアクティブインストール者のわずか9%であるとしている。好奇心でインストールはしたものの…ということか。
Paywalls are closing off the internet. Crypto can fix that
ペイウォールの乱立は、Webの最も良質な特徴であるオープンアクセスを閉ざし、結果として良質なコンテンツに出会う機会を失わせる。記事はNFTとスマートコントラクトを使って出版社と連携する新たなマイクロペイメントの仕組み「Unlock」や「The Block」などの潮流を紹介する。
「サブスクはチームスポーツ」 克服すべき障害とは? Piano社ベンチマークレポート2022 - Media × Tech
【ご紹介】:
Media×Techから新着記事です。サブスクをはじめとしたメディアの課金トレンドをめぐり、Piano Japan代表に世界および日本のメディアについて尋ねました。ご一読を。
スマートニュース メディア研究所、初となるメディアリテラシー教育の長期授業プログラムをクラーク記念国際高等学校と共同で実施
【ご紹介】:
私も参加しているスマートニュース メディア研究所が、広域通信制高校のクラーク記念国際高等学校と共同で長期授業プログラムを実施することを発表しました。

Disruption This Week—–26/8/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年8月22日から2022年8月26日まで。

Exclusive: The Block launches tokenized paywall
暗号資産関連のメディアである米「The Block」、自身のメディアを、「アクセス・プロトコル」と呼ぶトークン売買によるペイウォール運用に乗り出す。同社がトークンを発行しそれを購読者が買う“有料購読制”。同メディアはすでに数千人の購読者、数百の企業購読者を有する。コンテンツの有用性に対してカネを支払うのか、トークンの投機性に魅せられているのか。行方を見守ろう。
「実在しない超リアル」次々に登場するAI生成画像の不安とは?
「筆者は、架空のファッション誌の表紙の画像を1860年代の創刊号から、10年ごとの年代順に2030年代まで生成してみた。
存在しないファッション誌の、存在しないバックナンバー(と未刊号)のアーカイブだ。それらを並べてみることで、存在しない『ファッションの歴史』が浮かんでくる」。

——急速に広がっている“AIによる描画サービス”。絵心のない人であっても、テキストで意図するものを説明すれば、それなりの、あるいは想像を超えたアウトプットが得られる。ここでもテクノロジーの両義性が浮き立ってくる。倫理的な歯止めや、詐欺的利用の抑止をどう行っていくのか。早く着手しなければ。

Economist reaches new audiences with Instagram

International News Media Association (INMA)

Economist reaches new audiences with Instagram
ペイウォールを運用する英The Economist、Instagramで若者を対象とした積極的な施策を実施。580万人のフォロワーの3分の2は18歳から34歳だという。単にブランド認知だけでなく、インスタを通じた記事経由での購読を獲得していると担当者が解説。
I made a map of Spotify podcast recommendations. Here's what I learned.
Spotifyが力を入れるアプリ内での“ポッドキャストの発見”アルゴリズム。オーディオ分野に詳しいブロガーが、Spotify(のポッドキャスト発見)アルゴリズムを解明、その楽曲のお勧め技術から発展したその特性を整理した画期的な投稿。
米メタ、3750万ドルで和解 FBの位置情報追跡巡る訴訟で
「サンフランシスコの連邦裁判所に22日に提出された今回の和解は予備的なもので、裁判所による承認が必要となる。原告側はフェイスブックが携帯端末の位置情報サービスをオフにしているユーザーからデータを収集し、カリフォルニア州法と自社のプライバシーポリシーに違反したと主張」。

——Metaの立場に立って、補足すると「メタは和解に同意するにあたり、不正行為を否定。現時点でコメント要請に応じていない」。否定はしているものの、その根拠を語る気はないらしい。

TikTokのiOSアプリも「キーロガーと同じような動作」と開発者が指摘
「クラウス氏によると、同氏の前回のブログを公開した後、アプリ内ブラウザを使っている企業の多くがJavaScriptコードが検出されないようにアプリを更新したという」。

——すでに昨日、このキーロガー問題を紹介したが、本日も補足的に紹介しておく。TikTok以外もIT大手が提供するアプリには多くこの種の“仕掛け”が仕込まれているが、TikTokのケースは危険度が高いと、論者は指摘したのだ。
面白いのは、引用箇所のように、論者が指摘した意図的脆弱性について、各社ともこそこそと隠蔽に走っているらしいことだ。

Short Content is skyrocketing: What does it mean for digital video? | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
TikTokはもちろん、それを追うYouTube Shorts、そしてFacebookとInstagramのReelsまで活況を呈している。記事は、このショートフォーム全盛が意味するものをひもとく。ユーザの認知的な負荷を軽減、そしてコミュニティの輪を広げる。
だが弱点もある。それは深いエンゲージメントだと指摘する。
An Interview With The New York Times Company CEO Meredith Kopit Levien
Ben Thompson氏の個人メディア「Stratechery」。有料購読制も敷くが、その無償バージョンに米New York Times CEOのMeredith Kopit Levien氏が登場。ロングインタビューに応えるという時代とメディアの変化を感じさせる驚きの展開。内容もNYTの重要な動きについて的確に触れるものだ。
たとえば、現在のNYTの編成をしているのは誰かとの問いに対しては、“プロダクトとして見た”場合、「現在では、ジャーナリスト、編集者、製品担当者、デザイナー、データ科学者、エンジニア、マーケティング担当者、製品マーケティング担当者が一体となって、デジタル製品エクスペリエンスに関する素晴らしい取り組みを行っている」と回答する。
Tech Companies Are Relinquishing Some Control of Online Ads to Users
【有料購読者向け記事】:
TikTok、Meta、Googleなど広告収入中心の大手プラットフォームで、表示する広告のタイプについて、ユーザが拒否したりできるコントロール権を広げる動きが進展とする記事。膨大な資金をかけて個人ターゲティング技術を開発しながら、ユーザが嫌がることをいまさら訊ねていると皮肉るコメントも含まれている。
Zero-click content: The counterintuitive way to succeed in a platform-native world | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
検索、ソーシャルメディアなどプラットフォームでは、“ゼロクリック”コンテンツの比重が高まっている。たとえば、Google検索結果ページではナレッジグラフが表示され、記事リンクをクリックする必要がない。InstagramやTikTokでは、コンテンツ中に外部リンクを許可しない。知名度や自身のページでのコンバージョンを求めるクリエイターは、どう振る舞い、工夫しているかを整理した資料性のある記事。
JIMA : JIMA会員オフラインイベント「JIMAなんでも相談会(第1回)」8月31日(水)開催
【JIMA会員向けご案内】:
31日開催のオフラインイベント「JIMAなんでも相談会(第1回)」の申込締切が近づきました。オフラインでフランクに語りあえる久々の機会です。会員社の皆さんはぜひ申し込みを!