2012年、デジタルメディアの注目すべき動向は? —Monday Noteが挙げる5つの視点

メディアビジネスとテクノロジーを丹念に追いかけているオピニオンメディア Monday Note が、来年(2012年)のデジタルメディアをめぐる注目ポイントを5つ挙げています。
My 2012 Watch List がそれです。筆者はFrédéric Filloux氏。 パリ在住で、フランスでの電子メディア推進団体に関わる重鎮のひとりです。

My 2012 Watch List | Monday Note via kwout

早速、同氏が2012年に注目するとしている動向を列挙します。

  1. ニュースの有料化
  2. (ネイティブアプリから)Webアプリ化への動き
  3. (Apple社がiOS5以降推進している購読課金の仕組み)Newsstand
  4. (単なる記事のPDF出版でない)本格的なタブレット版メディアへの取組み
  5. “Huffington Post病”の蔓延

では順番に、氏のコメントなどを交えながら紹介していきましょう。

1は当然のことでしょう。2011年には多くの新聞メディアが有償化に踏み切りました。
“ペイウォール”という言葉も見かけるようになりました。
今なら、だれもが有望な方向性として挙げるのが New York Timesが選択した“メーター制”モデルです。月々20本までは無償で見ることができ、それ以上読む場合に課金されます。
このような課金モデルも多種試みられていますが、重要なのは読者来訪数をいかに減らさずに課金をしていくかです。
その意味でも、一定数の記事はこれまで同様無償で読むことができれば、読者は減らずその読者への広告表示機会を維持できます。
ここでは詳しく紹介しませんが、氏が指摘していることで覚えておきたいのは、課金になじむようなメディアのあり方(コンテンツの方向性、レベル感、対象読者層等々)を模索することもポイントだということです。

2のWebアプリ化は、HTML5のトレンドと合わせて2011年後半語られるようになりました。AndroidかiOSか、はたまたWindows Phoneか……といったプラットフォーム依存性は、開発生産性に課題をもたらすと同時に、プラットフォーマーが仕掛けてくるビジネス上の制約への対抗上、重視されるようになりました。特にiOSネイティブアプリを提供してきたFT.com(Financial Times)が、改めてWebアプリを再開発したことは話題になりました。

3Newsstandは、上記2とは裏腹の注目点です。ユーザー(読者)がいかにスムーズに定期購読型の支払いをしてくれるようにするかというテーマです。
Apple社が提供するNewsstandは、デジタル版の定期刊行誌の最新号を自動的にバックグラウンドでダウンロードしてくれる機能を持っています。日刊紙ならユーザーが毎朝ダウンロードや同期などの操作をせずに最新号をモバイル機器で読むことができます。プラットフォーマーは、このようなユーザーに負担にならないように定期購読を維持させる努力をしています。これは上記とは逆に各プラットフォーマーに依存する取組みで、これが普及していくのか、確かに注目です。

4は、3とも関わります。“電子版”と言えば、単に紙面をPDF化して見せている段階はそろそろ終わらなければなりません。そうしないと、わざわざユーザーは電子版を“有料で”購読までしないからです。今後の注目領域は、優れたUIとデジタルならではの付加価値を盛り込んだタブレット版メディアの開発状況です。

最後の5はテクノロジーよりの課題ではありません。事業者が考えるメディア経営の根本的な方向感に関わっています。Filloux氏はこれを「Huffington Post 伝染病」と呼びます。それはどういうことでしょうか?
HuffPoは、2011年、AOLに巨額で買収され話題を呼びました
HuffPoは、多くの非常に低廉な執筆料(無償というケースも多いと言われています)で働く寄稿者(ブロガー)に支えられており、その意味では“ブログメディア”です。また、同メディアで話題を呼ぶ多くの記事は、その1次素材を新聞、放送等の従来の伝統的なメディアに依っているとつねに批判されています。その意味では、自身でオリジナル記事を生産しない“アグリゲーションメディア”とも呼ばれます。

まさに、HuffPoはWebメディアの申し子として生まれ、ベンチャー系メディアならではの思い切った軽量経営で急成長してきました。そして、いまや並み居る有名どころの新聞社を凌ぐ企業価値として認知されたわけです。 また、ベンチャー系メディア企業は多かれ少なかれ、HuffPoと共通する特徴をもって雨後の竹の子のように成長を続けているという現象もあります。
お気づきのように、氏はこのような現象をHuffPo伝染病と苦々しく扱っています。また、HuffPoがそのビジネスモデルで欧州へと進出してくるのを警戒しているようです。2012年はこのHuffPoモデルがどれくらい“伝染”するのかが注目というわけです。

さて、駆け足ですが、Filloux氏の視点に導かれて2011年、そして来る2012年のデジタルメディアの動向、その注目点を取り上げてみました。
欧州危機や米国経済の失速、そして、我が国も……という経営環境の下、従来型事業の踏襲では立ち行かない伝統的なメディア、そしてその先を駆け抜けようとするベンチャー系メディア。全世界的に見てそのいずれの動きも加速することはまず間違いありません。本ブログでもその動きを追っていきます。
(藤村)

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