迫るモバイル化の波、なぜメディア企業は過ちを犯すのか?——4つのポイントを考える

つい最近、昨2011年にスマートフォンの出荷台数がPCのそれを上回ったことが明らかになりました(「成長著しいスマートフォン、出荷台数でPC上回る」など参照)。
米国の大物アナリストが「2012年末までには、スマートフォンの出荷台数がPCの出荷台数を上回る」と予測してからたったの2年弱。予測を1年も前倒しする急ピッチで市場は動いています。
Webがメディア産業を大きく変えてしまった経験もあって、メディア企業(出版社、新聞社、放送局等)はスマートデバイス(スマートフォンやタブレットなどモバイル機器)への取り組みを始めているところですが、どうやらそれを急がなければならない気配です。Webをどうするか……から、モバイルをどうするかへと課題が大きく旋回しているのです。
そこで、押っ取り刀で取り組むメディア企業の中には、このメディアのモバイル対応、タブレット対応をめぐって錯誤も犯している、というのが今回の話題です。
題材は米国のテック系ブログメディア TechCrunch。最近「Four Mistakes Publishers Make When Bringing Content to Tablets」(コンテンツをタブレット化する時、出版社が犯す4つの過ち)という記事が掲載されました。邦訳が残念ながら出ないようなので、参考のために要旨をかいつまんでみたいと思います。
ちなみに同記事の寄稿執筆者は、CNN.comや同モバイルサイトの開設に携わった起業家で、現在はタブレット版のニュースリーダーアプリ(ニュース記事閲覧ソフトウェア)を開発するベンチャーのCEOということです。
多くの読者が、タブレットやスマートフォンに向かおうとする時。これら新しい閲覧デバイスが出版業界の今後の成功と失敗を決定づけることに、疑問の余地はない。
成功するメディア企業なら、持てるデジタルコンテンツを新しいデバイスの上で再び活かすことができるだろう。
それなのに、どうして他の多くのメディア企業はモバイル化戦略に躓いてしまうのだろうか?
多種多様なモバイルプラットフォームを追いかけすぎたり、優れたメディア体験の創造に失敗したり……。
我々は、繰り返してはならない多くの失敗を目撃してきた。
記事はこのような書き出しで、以下に4つの“過ち”のタイプを紹介しています。

1. “車輪の再発明”を試みては失敗する

多くの出版社は、自社内資源を過信するという誤りを犯しがちだ。優秀な社内技術スタッフを擁していることで、自分たちのコンテンツに対し自分たちだけが最適プラットフォームやユーザー体験を創造できると思いこむワナに陥る。
それは誤りなのだ。
パートナーシップこそ、新しい世界にあって読者基盤を(改めて)築き上げる重要な手法だ。そのような開発能力を有した(社外の)チームに焦点を当てるべきである……。

2.(音楽の)DJのように振る舞えない

ラジオを聴いたり、クラブに出向いて素敵な音楽に出会えたとしよう。それは素敵な音楽を紹介してくれたDJや自分のために楽曲を探し当ててくれた仕組みのおかげだ。
我々は素敵な音楽に出会い、そしてそれをまた人に紹介したいと思っている。音楽の世界で起きていることが、ニュースなどのコンテンツの世界でも起きようとしている。
キュレーションやソーシャルなメディアで、自分が出会うべきコンテンツを探し出す仕組みが生まれているのだ。
残念なことに、コンテンツやメディアと読者が出会う機会を設けるのを放棄しているメディア企業は多い。
過去において、たとえば新聞社は宅配のように、自らのコンテンツを限られた購読者のもとにだけ届けることに専念し、出会いや共有が生まれてくること制約をしてきたのだ……。

3. ブランドが持っている潜在能力を活用しない

多くのメディア企業は、多数の(メディア)ブランドを創造し運営している。たくさんのコンテンツを日夜生み出しているにもかかわらず、そのさらなる活用には積極的でない。
これら価値あるブランド力を活かし、コンテンツを組み合わせマッシュアップしながら、より垂直でニッチなメディアを創造すべき機は熟している。
アグリゲーション(コンテンツの収集)によってメディアを再創造すべき時なのだ。これにかかるコストは限定的で、得られる対価は大きい。
より深いテーマに焦点を当て、新たな配信などに取り組むことが、既存の収入源などとの共食いをせずに実現する道である……。

4. もはや旧くなった検索対策を行う

従来、自社のコンテンツを見いだしてもらう主要な手法は、検索エンジン対策(SEO)だった。
タグ付けなどオーソドックスな対策を施すことで、検索エンジンに見いだしてもらうのが効果の高い施策だった。
しかし、それは幅広くフリーなアクセスを許し広告収入を生むWebメディアにおけるスタイルだった。
いま、モバイル上のニュースリーダーアプリでは、異なるモデルが必要になっている。
アプリ通してニュースを読む読者は、ニュースを読み進む流れの中にあって、関連する記事と出会い、そしてそれを再び投稿したり共有することを通じて、再びメディアへのリンクを生み出す。
記事と記事の関連性、読者の背景にある文脈への理解しての記事の推奨などが新たに必要になってくるのである……。

以上、駆け足で紹介してきました。急速に台頭するスマートデバイスの世界では、同じ“デジタル”分野のメディアでありながらも、かつてのWebに対し、影響力を築き上げるための文法や作法が異なることが伝わってきます。

同記事の寄稿者がニュースリーダーアプリ開発を行っている新興企業のトップであることを割り引いたとしても、自社資源への過信に陥らず、キューレション/アグリゲーション時代、検索エンジン対策全盛からの転換を果たすべきだと、自戒を込めて読みましたが、いかがでしょう?(藤村)

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