デジタルメディア、新たな時代を拓くエヴァンジェリストの資質とは?

今回は、視点を一転させて、いま・これからのデジタルメディアを担いで運営していく人材像について、筆者が日ごろ考えているところを述べてみようと思います。 というのも、最近、アマゾン日本法人がいよいよ国内で電子書籍ビジネスを推進すべく、「電子書籍エヴァンジェリスト」の採用活動を始めたことが念頭にあるからです。 募集要項には、電子書籍ビジネスをリードする人材について同社がどう考えているかの一端が示されています。

  • 出版、または出版に近いメディア業界での5年以上の経験
  • コンテンツ開発・出版交渉、ビジネス開発での実績、またもしくはライセンスビジネスマネジメントでの長い経験
  • 書籍好きで出版業界と電子出版、電子機器や技術についての知識が豊富なこと
  • 業務時間のうち25%くらい出張可能なこと
  • 優れたコミュニケーション能力、戦略的・分析的能力
  • 新しいメディア業界と最先端技術への情熱
  • 変化の速い環境でスピーディーに仕事を進める力

「エヴァンジェリスト」とは伝道師です。事業においては突破口であり推進役のことでしょう。まだ平坦でない道のりを進む事業を先導する象徴的な存在として、その役割が期待されます。 要項には「氷山モデル」(下図参照)で言うところの“コンピテンシー”に近い項目が、ストレートかつシンプルに挙げられていて、ある種の感慨を持ちました。

icebergヘイ・コンサルティンググループ編「正しいコンピテンシーの使い方」PHP研究所より作成 (@IT情報マネジメント より引用・転載

電子書籍をめぐっての事業は、従来の出版、メディア事業において求められてきた知識や圧倒的な経験に加えて、最新のIT、特にネットワーク技術への理解、インターネットで起きる最新のトレンド理解などが、能力としてうまく統合されてはじめて推進できるものでしょう。 いったんパターンができ上がってくれば、あれやこれやと悩むこともなくビジネスは流れ始めることでしょう。 しかし、いまはその手前のところにあり、まだまだ流れを見定めることが難しい段階です。勢いエヴァンジェリストには定型化されていない各種応用問題へ果敢に取り組むことが求められます。 “感慨”と述べたのは、アマゾンが求める人材、そして私が上記した要素を満たす人材が、従来のメディア、出版社から自然発生的に誕生するのかどうかという点で懸念を感じるからです。 同時に、いったんデジタルメディアの側へと河を渡った“経験者”であっても、この数年、求められる能力に地殻変動が生じスキルの見直しを迫られていると付け加えておきます。 そこで、自らの経験を頼りに思いつくままに(言うなれば乱暴に)、いま・これからのメディアのリーダーに求められる共通スキルとコンピテンシーを書き出してみることにします。 もちろん、メディア(出版)も多種多様、業務も実際にはさまざまな職種に分かれており一意でないことは当然と意識しつつの試みです。 名づけるなら、「スマート・メディア時代のメディア人とは」です。

知識・技術(スキル)に類するもの(職種によりすべてが必要なわけではない)

  • TCP/IPを含むネットワーク技術の基礎知識
  • HTML、CSS、JavaScript、XMLなどデジタルコンテンツとプログラム言語に関する基礎知識およびコーディング経験、もしくは利用経験
  • インターネット広告をめぐる技術および販売実務に関する基礎知識と経験
  • フォントや組版など、雑誌・書籍のデザインフォーマットに関する基礎知識
  • SEO(検索エンジン最適化)の基礎知識と実務経験
  • 各種ソーシャルメディア(ブログ一般、およびTwitter、Facebook)への基礎知識と利用経験
  • 専門(得意)分野における勉強会、会合、メーリングリストなどへの一定の参加経験、あるいは運営経験……

コンピテンシーに類するもの(各職種にほぼ共通)

  • 書籍や雑誌、Web・スマートフォンのコンテンツに大好きな分野を複数持つ
  • 日常的なIT(PCやスマートフォン等)の利用に不自由はなく、さらに言えば、それが好きである
  • IT(市場、製品、技術)に関する話題に人並み以上の興味を感じる
  • 優れたコミュニケーション能力、戦略的・分析的能力を有する
  • データ分析や抽象的思考に拒否反応がない
  • 新しいメディア業界と最先端技術への情熱を有する
  • 企画を立案し、発表することが大好き
  • トレンド・市場の変化を楽しめる
  • 社内外との協業を楽しく感じる
  • 自ら手を動かして作ってみることが好き……

書きながら、実は自分に不足している要素がいくつもあるのに愕然としてもいます。 しかし、自分の年齢であってもそれを克服して先へと向かいたいという欲求もわき上がってきます。 それは、いまが大きな変化への転換期にあり、業界で長い経験を有する先達と肩を並べ、あるいは一気に抜き去るチャンスの時でもあるからです。 ある意味でこのような向こう見ずな情熱こそが、成功が約束されているとは言えない新大陸を目指す際の、必要不可欠な要素かもしれません。 (藤村)

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