Disruption This Week—–17/7/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年7月14日から2020年7月17日まで。

 

 

新型コロナウイルスのその後にどう備えるか? 英Telegraphは、“コロナショック”時に新規購読者が例月の400%に急増。だが、その後は半分に急減。そのため、この時期の新規加入者に対し、どうやってコロナ報道以外のサービス価値を知ってもらうかに取り組んでいるとの記事。単一機能(この場合は、新型コロナウイルス報道)を目当てに購読開始した人々へのリテンション施策だ。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「これまで日経電子版では、独自指標『F√V(Frequency:訪問頻度 √ Volume:閲覧コンテンツ本数)』を用いて、有料購読者のエンゲージメントを可視化。その向上に努めてきた。そして直近では、顧客のエンゲージメントだけでなく、多様な数値を掛け合わせた独自指標を開発し、質の高いコンテンツ作りも追求しているという」。——新型コロナウイルス禍の下で、有料購読者が急増する一方、緊急事態宣言以後も、解約数の増は見られない、という。さすがの論点。

 

 

Substack、Revue、そしてTinyletterなど、米国ではニューズレター(メルマガ)配信基盤が人気。記事は、本職の記者やビジネスマンが、本業の傍らで自身のメルマガを運営するのが静かなブームと紹介する。自身の価値を訴求するある種のスタイルにもなってきているのか? 日本ではnoteの広がり方もそのような印象がある。

 

 

“反ユダヤ的、パレスチナのテロリストシンパ”と、人権活動家夫婦を攻撃するフリージャーナリスト「Oliver Taylor」。Reutersが、当人に接触を試み調べていくと、その人物は、経歴や画像などが偽造され、精巧に作られた人工ジャーナリストらしいことが見えてきたという。衝撃のリポート。

 

 

豪News Corpは、新型コロナウイルス禍の影響を受け、50もの印刷版新聞事業を休刊したが、ようやく“デジタル再建”計画が見えてきた。米ABCによると、まず9月に15タイトルをオンライン新創刊。その後順次拡大するというもの。小さな編集部を想定し、最小単位は記者1人もあるという。

 

 

米Appleは、音声ニュースコンテンツ配信・ローカルニュースのキュレーションなど、コンテンツの拡張に乗り出した。特に音声では、Appleが選択した記事20本/週を、プロのナレータで音声化。また、「News Today」もAppleが選択したトピックをまとめ、音声化する。

 

 

【有料購読者向け記事】:
米スポーツ放送チャンネルのFox Sports、Google Cloudと組み、機械学習技術などを活用、過去の放送シーンから魅力的なクリッピング制作を行えるよう取り組みを開始。米スポーツシーンは実況機会が激減。膨大な過去映像の再利用に活路を見いだしているというわけだ。

 

 

昨日紹介したTNI(Trusted News Initiative)関連の続報。老舗メディアらは、米大統領選をめぐって彼ら老舗のブランドを騙る誤情報・偽情報の流布。そこでTNIは、「プロジェクト・オリジン」と呼ぶ“デジタル透かし”技術の運用を計画。まだスペック面での議論中というのだが、間に合うのか。もう一つ、記事が指摘するのは、その運用は選挙期間の1か月限定だということだ。

 

 

「平たく言うと、ページ上でなぜユーザーが無意識にスクロールしないのか、あるいは、すべてのリンクをクリックしたりしないのかは、情報採餌によって説明がつく。ユーザーは利益率を最大にしようとして、できるだけ短時間で多くの関連情報を取得しようとするからだ」。

——“情報採餌”理論の概説。引用箇所だけ読むと、ユーザは合理的に行動するという、ありえない論に聞こえるかもしれないが、そうではない。その点も含めてとても興味深く読んだ論。

 

 

「新型コロナウイルスに関連した問題に限らず、ミスインフォメーションの内容は多岐にわたり、また大部分がソーシャルメディアを介し、時に急速に拡散するようになりました。クローズドのグループ内など『内輪』でシェアされているうちに早期発見して見守り…」。

——Global Fact7をめぐって、ファクトチェック・イニシアティブの奥村信行理事が、網羅的なリポートを連載中。自分が感じているのは、この論にあるように国際的な協調行動の重要性。新型コロナウイルス問題は、やすやすと国境を越えて情報が往来する。対抗する動きも国際協調が必須だ。