Disruption This Week—–18/11/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年11月14日から2022年11月18日まで。

Focus on value instead of reach: Ideas for metrics to use in your newsroom | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
広告収入中心時代では、UUやPVが重視され、その結果として老舗メディアもSEO対策に走ったが、購読や会員制中心では、「購読者1人当たり売上」から「購読者生涯ボリューム」指標へと向かうべきと説き、経年的な寄与度変化を見る手法をチャートで解説した論考。実務家の参考になりそうだ。
ニュース配信事業者の利用料支払い、公取委が調査開始…報道機関300社にアンケート
【有料購読者向け記事】:
「公正取引委員会は16日、米グーグルやヤフーなどのニュース配信事業者の取引実態を調査すると発表した。新聞やテレビなどの報道機関に支払っている利用料が不当に低い水準になっていないかといった点を調べる。報告書をまとめ、問題を解決する提言も行う方針だ」。

——注目の動き。「提言」を待つ。

Tortoise's Ceri Thomas on the future of podcasting: 'It is the bedrock of everything we do' - Press Gazette
「Tortoiseでわかったのは、スマホで2、3千字を読むように求めたのだが、それはまったく機能していなかったということ。2、3段落の文章は読んでもらえたが、だんだん読めなくなってきたんだ」。

——スローニュースを提唱するTortoiseが音声分野にピボットした経緯を伝える記事。Tortoise Studiosの編集長であるCeri Thomas氏への取材記事。同氏は放送局から移籍して、最初はテキストメディアに取り組んだが、その後、音声分野に転換し、鉱脈をつかんだ。

中国テック事情:ロシアを劣化コピーする中国のネット工作
「中国に拠点を置く3つのアカウント・ネットワークのうちの1つは、わずか300件あまりのツイートしか含まれていないが、フロリダ州の民主党候補を支持し、銃規制や中絶の権利について肯定的なツイートをしている。また別のネットワークでは、2020年の大統領選挙に不正行為があったという誤った見解など、右派の主張を広めており、ローレン・ボーバート下院議員のような共和党の扇動者たちを頻繁にリツイートしていた」。

——今回の中間選挙などを標的にした中国のデジタル選挙介入(おもにTwitterのボットネットワークを活用)について、米スタンフォード大の研究者らの分析を紹介する記事。中間総括としては、中国はロシアをお手本にして、この分野の技術を急速に習得しているが、まだお粗末(露骨な誘導表現など)な面もあるのだという。このような他国の選挙介入が常識になっている状況が怖い。

Scoop: CVC, Group Black partner on bid for Vox Media
フラグシップのVoxをはじめとして、Eater、SB Nation、Thrillistその他、高品質で尖ったメディアを傘下に治めてきたVox Mediaに対し、半ば公開的に買収提案がCVCを筆頭として行われている。不況風が吹くと、まず広告系メディアの再編というパターンだ。
ロシアはあとどれだけ戦えるのか? ロシア軍東部軍管区における予備保管装備の衛星画像分析|ユーリィ・イズムィコ|note
「では、ロシアの予備兵器はこれまでにどの程度が現役復帰しているのだろうか。また、今後も膨大な損害に耐えて戦争を継続する能力はどの程度残されているのだろうか。これらの問いに定量的かつ包括的な答えを提示することはもちろん難しい。しかし、ロシア軍の装備保管基地(BKhRVT)の位置を特定し、衛星画像で観察すれば、全体的なトレンドを掴むことは可能であろう」。

——小泉悠氏が始めているOSINT公開サイトでの新論考。ロシア軍は侵攻以降、戦車などを中心に重火器の損耗が激しく、お蔵入りしていた旧世代兵器の再利用を進めている。その状況を衛星画像などで分析したものだ。

Nearly a third of subscribers expect to cancel subscriptions this year
米Toolkitらの調査では、米国の消費者2,509人を対象とした調査で、少なくとも1つのデジタル出版物を購読している人の27%が、年内に購読数を増やす予定と答え、同比率の29%が同じ期間に購読数を減らす予定としている。残り44%は現状の購読数を維持するという。これがサブスクメディアにとって朗報か否かは、継続的に見なければならないが、重大な事件でも起きない限り、不況の兆しが購読数の重しとなっていくことだろう。
Protocol, the tech-news focused website, will shutter and lay off its entire staff | CNN Business
元Politicoの創業者Robert Allbritton氏が2020年に立ち上げたテクノロジー系メディアProtocolが今週末に閉鎖され、数十人のスタッフが解雇されるとCNNが伝えた。Protocolは新興政治メディアPoliticoの成功をテクノロジー系ジャーナリズムに移転しようとする試みだったが、適わなかった。PoliticoもProtocolも、現在は独Axel Springer傘下にある。
TikTokインフルエンサー、裏でスコア評価され企業に提供されていた?
「まさかこんな裏スコアがあったとは。MarketWatchが入手した、企業やブランドと共有されていたというドキュメントは『極秘資料』のラベルつきで、インフルエンサーの評価スコアが記されています」。

——アルゴリズムに秀でた企業として有名なTikTok。案外、“顧客サービス”はベタにやっているようだ。「どのインフルエンサーがその商品に向いているのか、商品カテゴリ別に分類して表示するシステムもあるのだとか」という。

OSINT(オシント)、戦争犯罪の証拠集めに活用 「偽物」扱いされないための工夫とは:朝日新聞GLOBE+
「例えば、オンライン調査では、情報を集める調査員などにバイアスがある可能性を認識し、必要に応じて専門家に相談すること、データを収集する際は、そのデータの安全性を事前に調べ、ページのURLやソースコード、画像などを投稿した人物や、付いたコメント、収集した機器のIPアドレスなどを記録する、といった点だ」。

——OSINT(オープンソースによる調査報道手法)の広がりが、いま起きている戦争犯罪などで確たる証拠を示す有力な動きになっているが、デジタルデータの取り扱いなどをめぐる混乱も生じている。記事は、これら取り扱いに関する包括的なガイドライン「バークリー・プロトコル(指針)」などをめぐって関係当事者らに取材している。