Disruption This Week—–25/11/2022

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2022年11月21日から2022年11月25日まで。

Knowing the news: How Gen Z and Millennials get information on essential topics
AP通信と米国報道協会が協力、米国16歳から40歳(Z世代・ミレニアル世代)がさまざまなテーマのニュースとどう接触しているのか多角的に調査したメディアインサイト・プロジェクト概要。「難しい(ハード)ニュース」「使える(役立つ)ニュース」などの分類が参考となりそうだ。
【コラム】ツイッターが日本で見い出した価値、イーロン・マスク氏は守れるか-ガロウド
「イーロン・マスク氏によるツイッター買収について議論はあるが、マスク氏には正しい点が少なくとも一つ存在する。ツイッターが『ニュースのオープンソース化のようなものだ』という認識だ…(日本では)ツイッターは情報共有や避難所探し、安否確認、危険時の救援要請のために利用された」。

——Twitterをめぐり情報の公共圏を考えるようなことも、日本ではずいぶん以前から語られてきた。いま、マスク氏によって思い出されるという皮肉。

コンテンツを自動生成するAIに「著作権」の課題、その命運を握るかもしれない集団訴訟の中身
「(GitHub)Copilotのライセンスでは、コードにはクレジットのような帰属の表示が義務づけられている。これに対して訴訟を起こしたプログラマーたちは、ライセンス下にあるオープンソースプログラムをCopilotが複製する際にGitHubが帰属を示しておらず、著作権を侵害していると主張している」。

——GitHub Copilotは、記事が解説するように、プログラマが書き始めたコードをAIが補完してプログラム全体を生成する“創造的なAI”の応用事例。Copilotはその利用にクレジットを求めるが、そもそもこの技術自体、膨大なプログラマらのオープンなコードを学習したことにより作り出された(とクレジットを明記もしていない)という不満や批判があり、これが集団訴訟に繋がっている。先に紹介したStable Difusionの事例と同様、ジェネレーティブAIが引き起こす社会的インパクトが広がろうとしている。

Stable Diffusion made copying artists and generating porn harder and users are mad
最もホットな分野、ジェネレーティブAIの代表格Stable Diffusionが新バージョン(Ver.2)がリリースされた。各種機能改善が図られたのは当然だが、話題はポルノ系の出力や特定アーティストのタッチ模倣が抑えられたことだ。これが一部マニアらの不満を呼んでいるとの記事。
Stable Diffusionが法令遵守や公序良俗問題にどう対処していくかは、今後のこの分野の発展を見通す上で重要だろう。
New product thinking resource for newsrooms has launched
報道系メディアで“プロダクト指向のメディア”を考える人々のコミュニティ「News Product Alliance」(NPA)は、メディア関係者向けに300以上のオープンな教材を集めたライブラリを公開したとする話題。
教材のテーマは、読者エンゲージメント、多様性と包括性、リーダーシップと人材管理、ビジネスモデルと収益化、製品設計、技術など多岐にわたる。Google News Initiative(GNI)の支援を受けたプロジェクトだ。
Media layoffs spike amid recession fears
調査会社Challenger, Gray & Christmas社調べでは、米メディア業界では今年10月までに3,000名がレイオフされ、それは今後も続くとされる。先ほど紹介したDisney以外にも、Warner Bros. Discovery、Paramount Global、Comcastなどでレイオフが進行中か計画されている。
記事は、2020年にも起きたが、その際は新型コロナ禍に見舞われたことで、政府の公的支援が潤沢にあった。現在、それはないとも記事は伝える。
AIが書いたコンテンツ、見分けるのはもはや至難
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「AIコンテンツサービスは大盛況だ。そのためコンテンツ制作者の生産性は向上している。だが同時に、自動生成コンテンツだと誰も気づかないものも作れるようになった。他の種類のAI生成コンテンツ(画像や動画、音声、合成されたカスタマーサービス係など)に関しても同じことが当てはまる」。

——私たち消費者が目にする(耳にする)コンテンツの多くにAI生成によるものが増えているとし、その事例を紹介する記事。実際、今日目にしたDisney内の異変を伝えた第一報は、Bloombergの「Automation」生成記事だった。

TikTokは中国の監視手段、米上院議員が超党派で相次いで警告
共和党のコットン上院議員:
「それは単にティックトックにアップロードされるコンテンツだけでなく、電話端末や他のアプリの全てのデータ、あらゆる個人情報、それに顔画像や目が端末のどこを見ているかの情報も含まれる」。

——広がる政治家によるTikTok排除論。妥協的なバイデン大統領のTikTok容認をめぐる政治的な動きという面もありそうだ。

The Future of Podcasting Isn’t Just Audio; Taylor Swift and MrBeast Break Records
【有料購読者向け記事】:
Lightspeed Venture Partnersのパートナー Michael Mignan氏、今後はビデオポッドキャストが動画サービスと境界をなくしていくとの予測を語る。ポッドキャストがSpotifyとAppleに支配されているのに対して、市場の多様性が期待されるとも述べる。
インテル、96%の精度でディープフェイクを検出する新技術「FakeCatcher」
「Intelのプレスリリースによると、FakeCatcherは「われわれを人間たらしめるもの、すなわち動画のピクセルに表示される『血流』を確認する」ことにより、ディープフェイクをリアルタイムで検出できるという」。

——「顔から血流のシグナルを収集し、アルゴリズム使って変換することで、動画が本物かディープフェイクかを判別できる」のだという。これがどの程度精細度の高い(低い)動画データで可能になるのかが知りたいところだが、重要なアプローチ。