目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年7月24日から2023年7月28日まで。


「『ウクライナ戦争やロシア事業を中止した影響が軽くなったほか、広告に対する需要が増えて効率が高まった』。メタが26日に開いた決算説明会で、スーザン・リー最高財務責任者(CFO)はこう総括した」。
——「米アルファベットと米メタの2強はそろって増益を確保した」と記事では述べるが、Google(およびYouTube)の復調はMetaほど劇的ではない。その意味で広告の完全復調とは言い得ない。さらにジェネレーティブAI投資は膨大だが収益力には当面結びつきにくい。まだ不透明。

「アルファベットは主力の広告事業が持ち直し、前期から売り上げの伸びが加速した。売上高は前年同期比7%増の746億ドル(約10.5兆円)、純利益は15%増の184億ドル(約2.6兆円)となった」。
——タイトルだけ見ると、好調ぶりが揺るがないように見えるが、米市場の見立ては異なる。成長が鈍化している事実は両社に共通。だが、Alphabetは広告事業が復調。特にYouTubeは勢いが増している。Microsoftは企業向けやPCが良くない。まだら模様。加えてR&D投資が重くなる。

「プロの漫画家が『結構使える』などと言っており、予想より良かった。(今はテキストでしか入力できないが)漫画の設計図であるネームの画像を入れて反応を見てみたい、といった声もある」(少年ジャンプ+編集長・細野修平氏)
——「クリエイターの代わりではなく、ツール」と佐渡島庸平氏。その通りで、産業分野ごとに需要の柔軟性が異なり、マンガではジェネレーティブAIの取り込みが進むのかもしれない。

「11年末に創刊したバズフィード・ニュースは、ソーシャル・メディアを基盤にした報道機関を目指した。しかしいくつかの誤算があった。一番の問題はSNSが質の高いジャーナリズムを無料で提供するという事業モデルが成立する構造ではなかったということだ。特に、世界最大のSNSであるフェイスブックはそうだった」。
——BuzzFeed Newsの初代編集長Ben Smith氏への取材記事。歴史を振り返り反省の弁も述べるが、これを巻き戻したところで、正答が見えてくるわけではない。同氏は「ニュースの「届け方」については、まだみんなが『next big thing(次の大きな革新)』を待っているところだ」とするが、そこにヒントが仄見える。自分もnext big thingづくりを考えたい。
Washington Post drives revenue through its subscriber investments
International News Media Association (INMA)


主な収集先はネットだが、使えそうなデータは徐々に使い尽くされ、良質なデータは2026年には底をつくと見られている。
ツイッターは7月初め、利用回数の制限を実施し騒動となった。その引き金になったのも、AIの学習データ収集のためのアクセス集中だったという」。
——平和博さんのまとめ。問題は、“無限”とも形容されているネット上のコンテンツでさえ、人類が築いた文化的資源の一部でしかないことが可視化されたこと。自由にはクロールできない文化の宝庫が、新聞社や図書館などに非デジタルな形式で保存されていることをどう守り、どう活用するのかが重要。
AI, the media, and the lessons of the past
Columbia Journalism Review

OpenAIやMetaなどAI大手7社、米連邦政府に「責任あるAI開発」を“自主的に”約束
ITmedia NEWS

サイバーセキュリティ対策やコンテンツがAIによって生成されたことをユーザーに示すための透かしへの投資などを約束するものだが、“自主的”なものであり、規制ではないので守れなくても責任は問われない」。
——政府からの働きかけによるわけだ。このままでは、欧州など規制に積極的な国々で一網打尽にされかねないと判断したのだろう。米政府は、AI分野での寡占企業の暴走を抑えたい一方、世界での優位性を維持したい。中国がこの分野でどれほどのポテンシャルを持っているのかも、認識しているはずだ。
AIの報道利用、日経はこう考えます – 日本経済新聞
日本経済新聞

AIの提案を採用する場合は、その旨を明記します」。
——うっかり本記事の紹介をもらしていた。先週公表されたこの記事は、日経のジェネレーティブAIの利用についてのガイドラインを内外に説明するもので、重要。ITmediaがすでにガイドラインを公表しているが、各社はこのような表明を進めるべきだろう。技術の進展に合わせてバージョンが変わることも、容認されるべきだ。