Disruption This Week—–10/5/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年4月30日から2024年5月10日まで。

Leaked Deck Reveals OpenAI's Pitch on Publisher Partnerships
米Adweek、OpenAIがメディアとの提携スキーム(メディアがコンテンツのAI学習を許可し、代わって対価を得る)を解説した提案書「Preferred Publishers Program」をスクープ。金額など具体的な表示はないが、全体像は見える。OpenAI側はそれは「古い情報」だとコメントしている。
Facebook's referral traffic for publishers down 50% in 12 months
2018年からChartbeatが追跡している792のニュースメディアのサイトへのFacebookからの流入トラフィックを集計すると、2018年3月の13億件から先月の5億6100万件と、過去6年間で58%もの急減。さらにこの1年間では50%減だった。

2024 Edelman Trust Barometer

エデルマン・ジャパン

2024 Edelman Trust Barometer
「日本では特に、ジャーナリストや記者への信頼が欠如している」(ダウンロード可能なPDF資料から)
——2024エデルマン・トラストバロメーター
AI動向の年次調査レポート「2024 AI Index Report」公開 スタンフォード大研究所
【全文閲覧には要購読】:
「スタンフォード大学の研究所は、AI動向をまとめた最新の年次調査レポート『2024 AI Index Report』を公開した。生成AIのトレーニングコストに関する新たな推定値、責任あるAIの展望に関する詳細な分析などを報告している」。

——一度紹介済みだが、改めて。スタンフォード大の詳細を究めたAIトレンドの調査リポート。記事は無料購読者への限定記事だが、原文PDFはだれでも入手できる。

ニュースレターで解決できる? AIの脅威、トラフィックの減少、ファーストパーティデータの蓄積 | DIGIDAY[日本版]
「ソーシャル・プラットフォームへの依存度は下がっている。今後は検索への依存度も下がるだろう。(中略)私たちは、最も忠実なオーディエンスといえるニュースレターのオーディエンスをしっかりとケアし、自社で多くをコントロールできるプラットフォームに対応しなければならない」。

——Webでの閲読体験は下がる一方だ。サーフィンならいざ知らず、“好みのメディア”を決め打ちで読むのなら、ニューズレター(メルマガ)が重要な選択肢になる。配信するメディアからすれば、購読制への架け橋としての役割を期待できる。
記事はニューズレターに力を入れるメディアの動向と、その意図を解説するもの。ただし、この種の取り組みはもはやWebサイトの副産物の域を脱して手間ヒマのかかる取り組みでもあるのだが。

「ガザ攻撃」大学デモに介入、工作ネット「ドッペルゲンガー」「スパモフラージュ」の影響力とは?
「米国内では、イスラエルによるガザ攻撃を巡って大学での抗議デモが急速に拡大する。そんな中で、ロシアや中国などの影響工作ネットワークや政府当局者のアカウントから、社会の混乱や世論の分断を強調する発信が行われ、拡散されているという」。

——ロシア系影響力工作組織である「ドッペルゲンガー」、中国系組織の「スパモフラージュ」の活動がわかりやすく描かれた興味深いリポート。

Small newsrooms won big in the 2024 Pulitzers - Poynter
米報道関係者に与えられるアワードである「ピューリッツァー賞」の2024年版が発表。記事が紹介するように、今年の特徴(の一つ)は、中小・新興メディアの受賞だ。Lookout Santa Cruz、Invisible Institute、そしてCity Bureauがその代表だ。各メディアへの取材、コメントが読める記事。
テイラー・スウィフトの「AIクローン」、ティックトックが排除約束
「動画共有アプリ『TikTok(ティックトック)』は音楽レーベル最大手ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)と結んだ新たな契約で、人工知能(AI)が生成した未承認の音楽をプラットフォームから削除することに同意した」。

——政府などが求めるより、スウィフトが求める方がよっぽどニセ情報対策に進展がありそうな雰囲気。

X launches Stories, delivering news summarized by Grok AI | TechCrunch
X(旧Twitter)、話題になっているニューストピックスの要約を表示する機能「Stories」を提供開始(日本では未定?)。有料版購読者向けの限定機能。オリジナルソースではなく、同社の「Grok AI」がX上の投稿を読み取り、要約を行う仕組みだという。
小学館やJIC、AI翻訳で漫画5万点輸出へ スタートアップに29億円出資 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「漫画の文字部分をAIが画像分析で読み取り、英語や中国語などの言語に翻訳する。漫画の翻訳に特化しているため、ギャグ漫画などの特有の言い回しにも対応が可能だ。
オレンジは国内の複数の出版社と連携して作品を翻訳する」。

——良い試みだと思う。が、ジェネレーティブAIの活用はどうなのだろう? いずれかのLLMと連携するなどしていっきに多言語化を進めるなど“その先”もめざしてほしい。

What's next for The Atlantic after reaching profitability and 1m subscribers
黒字化と購読者100万人を達成した、創業170年近い老舗メディアの米「Atlantic」。WIRED編集長からAtlanticのCEOに転進したNicholas Thompson氏が語る躍進の秘訣は「われわれには大成功だが、他の多くの出版社では成功しないだろう。たまたま今がうまくいっているだけ」と控えめ。
興味深いポイントをいくつか開示しているが、最大のものは、「少なめの記事で、多くの人びとの話題となる」ことを編集ポイントとし、それがビジネスのポイントでもあるとしていることか。
Curio raises funds for Rio, an 'AI news anchor' in an app | TechCrunch
AIを使った音声ニュースのスタートアップである英Curio社、Bloomberg、WSJ、FT、そしてWaPoなどの著名紙の最新の記事見出しをスキャン、その記事の音声要約版をキュレーションする技術「Rio」に出資。
SMPP調査レポート① 日本では、イデオロギー的傾向を超えて、マスメディアへの信頼度が高い - スマートニュース メディア研究所 SmartNews Media Research Institute
【ご紹介】:
私も業務上関与しているスマートニュース メディア研究所。昨年11月に発表した「第1回スマートニュース・メディア価値観全国調査(SMPP調査)」の成果を次々記事化しています。本記事は、調査で分かった人びととメディア、その接触のありようをまとめたものです。