目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年9月9日から2024年9月13日まで。

米Poynter研究所、今年6月開催のサミット「Summit on AI, Ethics & Journalism」の内容をまとめた。40以上の編集部門リーダー、技術者、編集者、ジャーナリストを集め、ジャーナリズムのAI利用と倫理を議論したもの。「倫理的なAI(ニュース)製品開発の原則」は参照されたい。

Spotify、以前は著名なポッドキャスターらとの独占契約獲得に走って業績を落としたが、今度はYouTuberらクリエイターらとの契約獲得の動きを加速との情報。音声系のサービスだが、動画が重要ということに。
豪、偽情報拡散防止で法案 SNS企業への罰金盛り込む
Reuters Japan
「オーストラリア政府は、SNS(交流サイト)などでの偽情報拡散防止に向けた法案を発表した。選挙や公衆衛生、重要インフラの混乱などにつながり得る偽情報の拡散を防げなかったSNS運営企業(プラットフォーマー)には世界売上高の最大5%相当の罰金を科す」。
——この規制をどう厳格に運用するのかが知りたいが、踏み込んだ意見表明や、引用文言中に機微なワードを含むような投稿がことごとく排除されるという、ディストピアを想像してしまうのだが。
Sounding the A.I. Alarm
Status

「国会議事堂に集まった何千ものメディアは、この重要な局面でジャーナリズム業界を支援するよう、議会に対して強く要請」。
米国内の報道機関の協議体News Media Allianceが提唱した反AIキャンペーンで、100名以上の報道関係幹部が、議員らにAIがもたらす有害な影響を訴えた。
米国内の報道機関の協議体News Media Allianceが提唱した反AIキャンペーンで、100名以上の報道関係幹部が、議員らにAIがもたらす有害な影響を訴えた。
“Non-core revenue streams often have a higher profit margin”: FT Strategies’ Joanna Levesque
Media Makers Meet | What’s new in media

メディア事業にとって「非中核的な収益源は利益率が高いことが多い」。ある意味で逆説的な主張を掲げるのは、メディア事業者にコンサルティングを行うFT Strategiesの幹部Joanna Levesque氏。事例として「Time Out」誌の事業を挙げる。

英国の放送と電気通信分野規制を担うOfcom、2024年の最新調査で、英・成人にとっての最大のニュース情報源がTVを抜きインターネットとなったと発表。10人中7人以上(71%)がオンラインニュースを消費しており、70%が利用するTVをわずかに上回ったという。

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「バンドもファンもニセモノだった」。
米連邦検察は、Spotify、Apple Music、Amazon Musicなど音楽配信サービスから印税を得るためこれらサービスを不正に利用した米North Carolina州のミュージシャンを起訴。7年間にわたり、AI生成のニセバンド・楽曲とボットリスナーによって、数十億回もの再生で荒稼ぎしてきたという。
「バンドもファンもニセモノだった」。
米連邦検察は、Spotify、Apple Music、Amazon Musicなど音楽配信サービスから印税を得るためこれらサービスを不正に利用した米North Carolina州のミュージシャンを起訴。7年間にわたり、AI生成のニセバンド・楽曲とボットリスナーによって、数十億回もの再生で荒稼ぎしてきたという。

「AI開発は、画像学習のラベル付けなど、低賃金のアウトソーシングに依存する部分が少なくなかった。
ただ最近では、より高度な学習用のテキストの需要が高まり、質の高い文章が書けるプロのライターに発注が行われるようになってきたのだという。
ライターへの発注では、時給30ポンド(約5,600円)程度を支払うケースもあるという」。
ただ最近では、より高度な学習用のテキストの需要が高まり、質の高い文章が書けるプロのライターに発注が行われるようになってきたのだという。
ライターへの発注では、時給30ポンド(約5,600円)程度を支払うケースもあるという」。
——平和博さんのブログから。ジェネレーティブAIが教材を学習し続けるしかないが、(簡単に学習できるような)その教材である素材が枯渇しようとしている。対処するには、少量とはいえ、人間がそれなりの品質でAIのために学習用教材を創ってやるしかなくなっているという話題。まあ、デジタル化されていない文化財はまだまだ存在するので、いずれそちらにも関心が向くだろう。
メディアの主役に躍り出た動画は、活字文化に終わりを告げるか?
MITテクノロジーレビュー

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「メディア学者たちは、この最後の脅威についてあまり心配していない。新形態のメディアが旧来のメディアを終わらせることはめったにないからだ。むしろ、司祭で研究者でもあった故ウォルター・オングが指摘したように、テレビとラジオの台頭によって、大量のテキスト、つまり台本が必要になった」。
「メディア学者たちは、この最後の脅威についてあまり心配していない。新形態のメディアが旧来のメディアを終わらせることはめったにないからだ。むしろ、司祭で研究者でもあった故ウォルター・オングが指摘したように、テレビとラジオの台頭によって、大量のテキスト、つまり台本が必要になった」。
——写真や動画による表現や受け止める能力の高度化は、従来の静的なテキストメディアを終熄させるのか? 答えはNoだという。ジェネレーティブAIの急速な台頭で明らかになったのは、その学習上の源泉が必須であること。もっといえば、それを大量に必要であるということだ。記事は、そう指摘する。
How The News Launched a Brazilian Newsletter Empire
Inbox Collective

2020年3月、ブラジルで誕生したポルトガル語で書かれるニューズレター「The News」。いまでは200万人のアクティブ購読者、8種類のレター、30人以上のスタッフ、そして複数の収益源を有する優良メディア企業に。「パンデミックがなければ存在していなかった」と創業者は述べる。