モバイルメディア開発 第3の選択

スマートデバイスに向けたモバイルメディア開発フレームワーク「MediaCloud for Publishers」
これまでの開発手法とどう異なるのか。そのアプローチを解説する

本稿は、筆者が所属するメディアプローブ株式会社が提供する製品に関する紹介です。

メディアプローブは、メディア企業(出版社や Web メディアを運営する事業者)が運営する Web コンテンツを、スマートフォン/タブレットなどスマートデバイスに配信するためのクラウド型コンテンツ配信フレームワーク「CloudMedia for Publishers」を発表しました
CloudMedia for Publishers は、iPhone や iPad をはじめとしたスマートデバイス向けアプリケーションに加えて、XML 型コンテンツ配信サーバー、広告配信、ログ解析など必要なサービスをひとつに集約し提供するものです。

従来、Web 経由でコンテンツを配信してきたメディア企業にとり、そのコンテンツをスマートデバイス対応するためには、

  1. Web 表示をスマートフォンに最適化する(スマートデバイスからのアクセスに対して表示を切り替える)仕組みを開発する
  2. Web コンテンツを用いてスマートデバイス専用アプリを開発する

の2つの方向性がありました。
1. の最適化表示については、Google「最適化の理由」が参考になるでしょう。

“最適化表示”のメリット……スマートデバイスユーザーが Web ブラウザを使ってアクセスすれば、それに最適化した表示をサイト側が行うため、ユーザーの閲覧体験には特別な断絶がない、言い換えれば“特別なデメリットがない”ことがメリットでしょう。

“最適化表示”のデメリット……メディア企業が利用している CMS や生成済みの HTML に手を入れ、スマートデバイス(のスクリーンサイズ)に最適化する仕組みやフローを構築、スマートデバイスからのアクセスをそちらへ振り分ける必要などがあります。
また、歴史のある Web メディアでは PC 向けサイトとして、各種広告やナビゲーションなどがコンテンツに密に結合しているケースがあり、これに対処しなければなりません。過去の記事を適切に表示することが困難なケースも少なくありません。つまり、最適化表示サイト構築にはケースによれば手間のかかる改修を覚悟する必要があります。
また、最適化表示後の多くは、PC 向けサイトのような大型広告を表示できないため収入減要素が伴います。

専用アプリ開発のメリット……一般に、Apple や Google などスマートデバイス ベンダーが熾烈な競争の中で作り込んできた豊富な機能を用いて、操作性や機能など付加価値を盛り込むことができます。ユーザーには Web 閲覧体験以上の価値を提供できる可能性が生じます。
ユーザー満足度を向上できる可能性に加え、提供者にとっての最大の可能性は課金収入への道が改めて開けることです。ペイメントの仕組みが整っています。

専用アプリ開発のデメリット……Web の運営では生じなかったソフトウェア開発のコストや工数が発生します。また、スマートデバイス市場は競争が熾烈であり次々に OS に新機能が盛り込まれるなど、プラットフォーム進化に追随するだけでも開発負荷が重いことも、一般には認識されていない課題です。
さらに、Web メディアとアプリとでは、開発や運用、マーケティング、収入モデルなど、あらゆる面で断絶があることも重荷かもしれません。経験を積み直すことが求められるからです。

メリットデメリット

メディアプローブが考えた解決策は、上記のいずれとも異なる方法です。
CloudMedia for Publishers は、まず“最適化表示”システムの構築以上に迅速にアプリ化できることをめざしました。
そのために、既存 Web コンテンツをはじめとした各種コンテンツのデータソースに柔軟に対応し、アプリ用 XML 型データを生成配信する専用サーバーを運用します。アプリはサーバーから最適化されたデータを受け取ります。
このアーキテクチャにより、アプリは一つひとつのコンテンツを随時取得して記事表示する Web メディアと異なって高速な表示が実現しました。また、モバイルのような不安定な通信環境でもそれを意識させられることが少なくなります。

一方、スマートデバイス専用アプリを用意して、ユーザーに優れたメディア体験を提供します。
高速な記事表示に加えて、スワイプによる快適な記事遷移、複数の記事クリッピングサービスや Evernote との連携、そして Twitter、Facebook への投稿などの機能がスムーズな操作で行えます。
一般にアプリで記事(コンテンツ)を閲読する際にユーザーが求めると思われる機能を、あらかじめ盛り込んであり、今後もそのような機能を追加していく予定です。

MediaCloudforPubs現在は iPad および iPhone に対応する CloudMedia for Publishers
(Android および Windows Phone 対応を計画中)

このように、上記 1. の Web の最適化表示に止まるものでもなく、また、2. の専用アプリ開発でありながら、それに伴う企画・開発・保守(OS の進化への対応)などの重荷は取り除く“第3のアプローチ”として考案したのが「クラウド型コンテンツ配信フレームワーク」です。

たびたび当ブログでは、モバイル向けアプリ開発として、専用(ネイティブ)アプリなのか Web(HTML5)型アプリなのかといった論点を扱ってきました(例えば、「それでもHTML5 Webアプリを選択する理由とは?」参照)。
開発生産性の視点からいずれを選択すべきかとの問いは、メディア企業が限られた予算や開発リソースを活用するためにいずれを選択すべきかという、内向きの議論でした。
次々に OS に新機能が加わる、あるいは、対象とするスマートデバイスを iOS だけでなく、Android、そして Windows Phone などへと広げていく際、プラットフォームに最適化した開発を続けることの課題に対し、CloudMedia for Publishers は、専用サーバーが扱うコンテンツデータはシンプルに、ユーザーが利用するアプリは各プラットフォームに最適化した多様性を提供します。
第3のアプローチによって、メディア開発や運用コストを低減し、同時にユーザー体験は継続的に高めていく方向性が見えてくるのです。
だとすれば、専用アプリか Web メディアかという論点は、少なくともフレームワークを活用できるメディア企業にとっては、過去の論点となっていくはずです。いかにメディアを新たな環境下でマーケティングしていくかという、次の課題へと歩みを進めるべき時期がきているのではないでしょうか。

ユーザーが駆使するデバイスは PC に止まることなく、いまや数種以上へと多様化が進んでいます。さらに、ユーザーにとって最も“お気に入り”のメディア閲覧デバイスの、PC からスマートデバイスへというシフトが急です。
それはメディアビジネスが直面する課題であると同時に、眼前に広がる市場が大きく広がり、動き始めていることをも意味しているはずです。
(藤村)

資料:CloudMedia for Publishers

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