Disruption This Week—–8/11/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年11月5日から2019年11月8日まで。

米国のファクトチェック非営利団体First Draft、仏大統領選を機に立ち上がったジャーナリストらの団体CrossCheckが開発したファクトチェックスキームを用いて、米国内でのジャーナリスト教育に乗り出す。偽情報の同定、検証、リポーティングのスキル教育。主眼は、もちろん“2020”、大統領選だ。
「高木氏(=高木浩光氏)は、そもそも『氏名をハッシュ化して、氏名そのものが分からないようにしていれば個人情報ではないと考えていたようだ』と、個人情報の定義にも誤解が多々存在していると指摘した」。

——考えるべき喫緊のテーマを幅広く扱うディスカッション。読まれるべき。
引用箇所は、「個人情報」が旧来の、氏名などに結びついているか否かとの概念を捨て、個人データをどう守り、活用していくかについてだけでも、議論が広がらないとまずい。

「今回デジタル版を作るにあたっては『雑誌コンテンツを軸に、インターネット上でもできるだけ同じような体験を提供したい』というテーマの下、以下の3つのポイントを重視したという。
・記事の読みやすさ
・使いやすさ(誰でもサクサク使える)
・シンプルなデザイン」

——若い世代との接点拡大を前提にすれば、めでたい出来事。自分はこの種の雑誌の“ライトユーザー”なので、マイクロペイメントもしくは本数上限制限のあるようなライトサブスクリプションがあると嬉しい。

「YouTubeによると、Super Chatを利用しているチャンネルは10万以上あり、一部のチャットストリームは1秒当たり400ドル以上稼いでいるという」。

——LINEスタンプに触発されたようなビジネスだが、なるほどという印象。スティッカー自体を制作する機能はないようだ。

米New York Timesが、2019年第3四半期の業績を開示。注目の購読者だが、電子版で新規27万人を獲得。いよいよ500万人に近づいた(電子&印刷の計)。一方で、広告は電子と印刷いずれも下落。特にオンライン広告の下落は同社および市場に衝撃を与えたとする(記事はNYTによる)。
「米国の出版専門誌Publishers Weeklyは、インディーズ作家を対象とした有償の書評サービスを始めた。BookLifeという自主出版支援サイトの上で、PWの書評専門ライターがPW誌とは別個に記事を担当するもので、著者がポケットマネー(?)で依頼する形をとる」。

——記事にもあるが、老舗書評メディアとしては、作家からの対価ありの書評需要に応える仕組みが、その信頼性・ブランドを毀損しないか注意深く企画されるべきだが。関心層に自著の情報を広げる効果がありそうだ。

「利用初期時に無料で簡単に始められることが、結果的にエンゲージメント、リテンション、コンバージョン、満足度などにいい影響を与えていると考えています。最終的に、生活の一部としてサービスを取り組んでもらうためにも、無料プランは非常に大事な役割を担っていると思っています」。

——サブスクビジネスにおける両者(AppleとSpotify)のスタンスの違い。考えるための材料が含まれた記事。

「GlobalWebIndex2018」、世界40か国強における十代から60代消費者のメディア接触を調査。日本はデジタルメディアへの接触時間シェアが最小で39%。平均値の65%を大きく下回る。最高値はベトナムの74%で、タイ、フィリピンが続く。
【有料購読者向け記事】:
「米上院議員らは31日、検索順位の表示に使われるアルゴリズムについて、検索エンジン各社に開示を義務付ける法案を提出した。消費者がフィルターされていない検索結果を見る選択肢を持てるようにすることが目的だ」。

——EUでも同様の動きが生じている。ただし、大きなうねりとなるのかは、予断を許さないが。

「StreamLabsは配信者向けにライブストリーミング配信中に視聴者とリアルタイムでコミュニケーションを行うサポートをするツールを無料で提供。主要配信プラットフォーム(AmazonのTwitch、GoogleのYoutube Gaming Live、MicrosoftのMixer、Facebook Liv)の全てに対応しており…」。

——Twitchなどのゲームをめくるライブストリーミングが主たる市場性なのだろうが、そこに止まらないのではないか。興味深い収益分野。

【ご紹介】:
作家の一田和樹さんと、ジャーナリストの平和博さんをお招きして、私も理事を務めるファクトチェック・イニシアティブがセミナーを開催します。場所は、スマートニュースのイベントスペース。ぜひご来場を。