Disruption This Week—–17/3/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年3月13日から2023年3月17日まで。

Mother Jones CEO on how reader donations became big business for investigative title
先鋭的な調査報道で知られる米「Mother Jones」。CEOのMonika Bauerlein氏は、その収益の4分の3が読者からの支援によるものとし、年間約5万人が寄付を行い、50人のジャーナリストからなる編集部を維持し、オンラインおよび印刷メディアを運営すると、実情を詳細に説明する。
重要な点は、金持ちしか読めない(購読制)メディアでは、公益的な報道を広く必要とする人々に提供できないと力説していること。
At SXSW, Artificial Intelligence Fills Crypto Void
【有料購読者向け記事】:
エンターテインメントとテックの総合イベント「SXSW」が開催。今年の同イベントは昨年まで賑やかだったWeb3、仮想通貨(やNFT)関連の出展に代わり(消えてなくなったわけではない)、AI関連の出展が目につくというリポート。トレンドの変遷が顕著だという。ちなみに、サムネール画像に映るポルシェのブースでは、ブロックチェーン技術を用いたオーナー向けパーソナライズをデモしているもの。
Twitter API、法人向け新料金は月額560万円から? 最大で月額2800万円のプランも 米Wiredなどが報道
「米Twitterが2月初旬に発表した『Twitter API』の有償化を巡り、一部のAPI利用者が新料金体系について案内を受けていると、米Wiredなどの海外紙が報じた。法人向けAPIの新料金は月額4万2000ドル(約565万720円)から21万ドル(約2825万4290円)になるという」。

——これが「月額」! Twitter APIを利用するエコシステムは広範だと思うが、これでほぼ壊滅となるだろう。Twitterのソーシャルグラフの研究利用も困難になりそうだ。このような事態を見据えて、各社、Twitterの代替サービスの企画やその利用を検討しているのだろうが。

YouTube Shorts ad payouts to creators highlights deeper monetization woes
YouTubeが“Shorts”上の広告収益をクリエイターとシェアするプログラムを発表して約6週間。クリエイターからは、力を注いだ投稿作品で得られる収入があまりに少ない(か、皆無か)ことに不満が高まる。プログラムは、クリエイターの収益問題にむしろ火を点けてしまったようだ。
Why Spotify wants to look like TikTok, with co-president Gustav Söderström
Spotifyが社員数30名時代からの古参CTO、現共同社長であるGustav Söderström氏へのインタビュー。先日のSpotifyがTikTok風にUIを刷新した発表は、AIレコメンデーションによる効果を最大化する、創業以来最大の変化と語る。自身を“プロダクトガイ”と呼ぶ人物の踏み込んだ議論。アプリビジネスに携わる人には読むべき記事。
英IPA(広告実務者協会)の調査によると、英国の消費者の商業メディア利用は減少を続けており、7年間で15%の減少に相当することがわかった。重要なポイントは、失われたメディア利用の大部分が、16〜34歳の人々の行動の変化に起因していることだという。
Four tips to optimise paywall conversion
「ペイウォール・コンバージョンを最適化するための4つのヒント」。
1) 各ステップを分解する、2) プレミアムコンテンツの視認性を確認する、3) オーディエンスをセグメント化して行動を把握する、4) コンバージョンポイントでの摩擦を軽減する、などを解説する記事。

——「Poool」という150媒体社をクライアントとするサービス、コンサルティングが発表したリポートからの抜粋記事。

How Bellingcat gets 15,000 people on Discord to talk about investigative journalism
OSINT(オープンソース情報による調査)で知られる調査報道集団Bellingcat。Bellingcatはデータの入手、分析などを世界に広がるネットワークでこなす。その中心的な役割を果たすのがDiscordだ。1万5,000人が集うサーバをモデレートする人物に取材した興味深い記事。
Briefing: Disney’s Iger on Hulu, Streaming: “Not Everybody Is Going to Win”
米DisneyのCEO、Bob Iger氏は、登壇したカンファレンスで、「資金力があり、積極的に競争するストリーミング事業者が6、7社がある」とし、「だれもが勝者となれるわけではない」と発言。同社傘下のHuluについてコンテンツの差別化に欠けていると微妙な発言を行った。
ソウル、10代の半数「インターネット新聞も読書のうち」と認識
「ソウル市民の28.9%はインターネット新聞を読むことを読書だと認識した。この他に読書の範疇としてオーディオブックを聞く(37.8%)、ウェブ小説を読む(49.4%)、ウェブトゥーンを見る(22.8%)、インターネットブログ・カフェを読む(16.5%)、ユーチューブなど映像を見る(10.5%)という回答だった」。

——ソウル技術研究院がソウル市民1037人を対象に実施したアンケート調査結果によるものと記事は説明する。「特に若い年齢層を中心にインターネットから得た情報を読書と考える割合が高かった」とする。

ネット世論操作とデジタル影響工作 - 原書房
【ご紹介】:
出版した『ネット世論操作とデジタル影響工作』、内容見本ができました。よろしければご確認下さい。
書肆ページ⇒ http://www.harashobo.co.jp/book/b622142.html
内容見本(PDF)⇒ http://www.harashobo.co.jp/files/7265sample.pdf