Disruption This Week—–3/3/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年2月27日から2023年3月3日まで。

Digital Information World
海外ではジャーナリストや著名メディアら、OpenAIがChatGPTの学習用にかれらのコンテンツをライセンスや権利対価の支払いをせずに利用しているのを非難する動きに出ている。すでに昨年には、Microsoftが生成型AIでプログラミングを生成する「Copilot」でGitHub上のコードを利用しているとされる係争が生じている。
WSJスクープ | アップル、チャットGPT搭載アプリの承認拒否
【有料購読者向け記事】:
「米アップルは人工知能(AI)を組み込んだ電子メールアプリについて、子供にとって不適切なコンテンツを生成する可能性への懸念から更新(アップデート)の承認を見送った。同社とアプリ開発会社のやりとりで明らかになった。開発会社は異議を唱えている。
アップルの判断は、チャットボット(自動応答システム)『チャットGPT”のような言語生成AIツールの一般利用について、懸念が広がっていることを浮き彫りにした」。

——これは思わぬところで、ChatGPTをはじめとする生成型AI技術普及には躓きの石。記事の文脈では、AIが公序良俗に反する表現を行う懸念が課題だが、他方で著作権問題もいずれ俎上に上るだろう。

インスタ創業者2人によるAIニュースフィードアプリ「Artifact」
「『あらゆるイデオロギーの媒体を広めるのが当社のゴール』『配信が認められるのは、高いクオリティ水準をクリアした記事だけです』(シストロムCEO)」。

——Instagramの共同創業者らがリリースした新たなニュースアプリ「Aritfact」。自分もぼちぼち使い始めている。利用とストレスの少ないフィード表示が“TikTokライク”なUXを求めていると理解するが、同時に高品質なコンテンツ表示をどう担保しようとしているのか。その一端が見えるレビュー記事。

国内のポッドキャストユーザーは1,680万人に。Z世代は約3割が毎月利用。「ポッドキャスト国内利用実態調査」を発表
「ポッドキャストユーザーは前年から増加、日本国内の利用率は15.7%に。特に15~29歳のZ世代は28.1%が利用。国内ユーザー総数は推計1,680万人」。

——近年、朝日新聞がオトナルと組んで実施しているポッドキャスト関連国内調査。賑々しく伝わる音声市場だが、この調査、単純に昨年と比較すると、「月1回利用する」ユーザの割合は14.4%から15.7%に、ということで、大幅増とはいえないことがわかる。

Flipboard is leaning into Mastodon — and away from Twitter | Engadget
米ニュースアプリ「Flipboard」が(Twitterを代替する)Mastodonサポートを発表。分散プロトコルのActivityPubのサポートで、FlipboardユーザがコンテンツをMastodonへ投稿でき、MastodonユーザがFlipboardコンテンツをフォローできるようにする動きだ。Twitterの外部向けAPIなどのサービスの存続が懸念されるなか、当然の動きとも見える。
ジャック・ドーシー氏肝いりの「Bluesky Social」アプリ、App Storeに登場
「ジャック・ドーシー氏が2019年に立ち上げた分散型オープンプロトコル開発プロジェクト『Bluesky』のソーシャルアプリ『Bluesky Social』のプライベートβ版が米AppleのApp Storeに登場した」。

——ドーシー氏がまだTwitterのCEOであった当時に立ち上げた秘密プロジェクト「Bluesky」がようやく公開。SNSとしてのコンセプトが必ずしも奇異なものではないが、それを実現する分散プロトコル(言い換えれば、単一のプラットフォームに依拠しない)によるサービスという点が目新しい。後ほど言及するMastodonなどに近いもの。Twitterを根本から作り直そうとして果たせなかった意味がわかる。

出版状況クロニクル178(2023年2月1日~2月28日) - 出版・読書メモランダム
「(22年の電子出版市場は)電子コミックの成長は21年と比較し、半減し、緩やかになってきているが、占有率は89.3%に及び、23年は90%を超えるであろう。
それに対し、電子書籍は500億円に達するかと思われたが、マイナスに転じ、成長は止まったと考えられる」。

——この数年好調を維持してきた電子出版。だが、その成長は停滞期に。また、その成長の原動力もコミック頼み、かつ、ヒットタイトル依存となると、なかなか良い材料を見いだしにくい。

2022年出版市場(紙+電子)はコミックが書籍を逆転、占有率はコミック41.52%:書籍40.97%:雑誌17.51%に ~ 出版科学研究所調査より | HON.jp News Blog
「出版科学研究所が1月25日の時点で紙の『雑誌』として公表している数字には、かなりの割合でコミック(『雑誌扱いコミックス』と『コミック誌』)が含まれている。そこで、コミック市場の内訳が発表された時点で、『書籍(コミックを除く)』や『雑誌(コミックを除く)』の実態を明らかにするのがこの記事の目的だ」。

——複雑な流通関連統計を統合した鷹野凌氏の労作。「コミック6770億円に対し、書籍が6680億円、雑誌が2855億円となり、ついにコミックが書籍を逆転した」がわかった。

焦点:生成AI、検索サービスへの導入は巨額コスト必至
「オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)はツイッターへの投稿で、チャットGPTでの会話1回当たりのコストは数セント以上と『目玉が飛び出るほどだ』と明かしている。
アルファベットのジョン・ヘネシー会長はインタビューで、生成AIでやり取りするコストは標準的なキーワード検索の10倍以上に達する可能性が高いが、少し手を加えればすぐにコストを抑制できると述べた」。

——ジェネレーティブAI全般に言えることだが、その電力消費やサーバ負荷などが驚くほど高いことは何度も指摘してきた。そもそもそのようなコストをリクープできるようなビジネスモデルが発明されていないことがポイントなのだろうが。

2022年 日本の広告費 - News(ニュース) - 電通ウェブサイト
「下半期は、ウクライナ情勢や欧米の金融政策の転換による経済環境の大きな変化、新型コロナの再拡大などの影響を受けたものの、社会・経済活動の緩やかな回復に伴い『外食・各種サービス』『交通・レジャー』を中心に広告需要が高まった」。

——これは“デジタル広告”ではなく、総広告費における概要。海外、特に米国での現状とは見え方が異なるのが興味深い。

「戦争とテック企業 ロシアによるウクライナ全面侵攻とテック企業の対応」川口 貴久 - スマートニュース メディア研究所 SmartNews Media Research Institute
【ご紹介】:
私が参加する研究会の中心メンバー川口貴久氏が、スマートニュース メディア研究所に寄稿。大手テック企業の果たす役割について、多面的な評価を行う貴重な論。ぜひ一読を。