Disruption This Week—–15/12/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年12月11日から2023年12月15日まで。

News avoiders shouldn’t be ignored
「ニュースの特定のトピックやニュース全体から意図的に離れている(多くの場合、あまりに憂鬱になったり、消耗したりするため)という人々は、通常、意図的にニュースを避けていると報告していない人々とほぼ同じ量のニュースを全体的に消費している」。

——ニュースの「選択的回避」議論が少しずつ高まっている(Reuters Instituteが何年も前から指摘している)。これが何をもたすのか自分も気にしているが、スペインの学識である筆者は引用箇所のように述べている。選択的回避者は、一方でニュースの熱烈な回避者でもある可能性。

People are watching longer TikToks. What does that mean for competition with YouTube?
TikTokが数十秒の短尺動画だけでなく、クリエイターに長尺(最長で15分程度)系を推奨し始めたことは紹介した。米Insider Intelligenceは、この動きもあってか、2024年には米成人のTikTok平均視聴時間が55分と、YouTubeを5分程度上回ると予測する。
ただし、その利用者数比でいえば、23年においてYouTubeはTikTok(1億230万人)の2倍以上(2億3740万人)ではあるが。
オープンAI、独メディア大手のコンテンツ有償利用へ
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「生成AI(人工知能)の『チャットGPT』を手掛ける米オープンAIは、ドイツの出版・メディア大手アクセル・シュプリンガーと複数年のライセンス契約を交わした。AIツールによるコンテンツ利用に対価を受け取りたいメディア業界には画期的な動きだ」。

——昨日は、米NYTimesがジェネレーティブAI担当幹部を外部から招聘という話題を紹介した。続く今日は、この話題。独最大手メディアが、OpenAIと手を組んだ。AP通信やGetty Imagesなどとの提携に続く大きな動き。記事は「共同発表によれば、チャットGPTはユーザーの質問への回答にアクセル・シュプリンガー傘下メディアのコンテンツを基に要約した回答を作り、回答の下に出典へのリンクを表示する。この新形式は近く利用可能になる予定」と伝える。このようなフォーマットがこれからメインストリームになる可能性が高い。

電子版「For You」開始 一人ひとりに最適記事をお届け - 日本経済新聞
「日本経済新聞社はこのほど、日経電子版アプリに一人ひとりの興味や好みに応じて記事を自動配信する読者専用ページ『For You』を新設しました。記事を読む目的や関心のある分野などの3つの質問への回答をもとに、好みを反映した記事20本をおすすめします」。

——いろいろなコンテキストからニュース(記事)に出会う仕組みが必要。紙面の編成だけが新聞の読み方ではない。

アップルにも影響必至、グーグル敗訴でアプリストア市場揺らぐ可能性
「スマートフォンのアプリストア運営を巡りグーグルがゲーム大手のエピック・ゲームズに敗訴したことで、年2000億ドル(約29兆円)近くを生み出すアプリストア市場のグーグルとアップルの2社による複占が揺らぐ可能性がある」。

——「陪審は全員一致で…エピック側の訴えを認める」とある。同様の訴訟でEpicはAppleに一度は敗れているが(2021年)、状況の変化は加速している。いずれ複数のアプリストアが並び立ち、“税金”のディスカウントが始まる…のだろうか。

WSJスクープ | 米紙NYタイムズ、AI担当の編集幹部を初採用
【有料購読者向け記事】:
「米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、同社初の人工知能(AI)担当編集ディレクターにデジタルメディア『クオーツ』の共同創業者、ザック・スワード氏を起用した。主要報道機関の間でAIの潜在性やリスクが議論される中、この新技術を重視する姿勢を浮き彫りにした」。

——懐かしい「Quartz」の名が。それはともかく、NYTimesはやはり、ジェネレーティブAIにリーチしてきた。対外的にはAIへの抵抗感や懸念を打ち出しているが、内部的にはどう活用するかを真剣に検討していることは想像できた。さて、国内勢諸紙はどう感じたか?

Audiobox
米Meta、自身の音声を数秒間サンプリングするだけで、人工音声を生成するサービス「Audiobox」を公開(デモ版)に供した。先月発表されていたもの。
自身の音声に加えて、さまざまな効果音を追加できる。単なるスピーチデータだけでなく、“番組”を創れるというわけだ。
The Next News Disruption Has Already Begun
【有料購読者向け記事】:
先日も簡略に紹介したが、厳格なペイウォール制に賭け、広告に依存しないメディア「The Information」が開設から10周年。
創業者でCEOのJessica E. Lessin氏がこれまでの10年、今後の10年を語る記事を執筆。広告(主や売上の)プレッシャーをはねのけることで、スクープに専念できたと誇ると同時に、テクノロジーへの期待も述べる。
「生成AIを使って、読者は質問により新しいことを学ぶことができるようになる。チャットボットが世界を征服するとは思わないが、新しいツールは今後も大きな心理的変化を促し、読者の出版物に対する期待も変えていくだろう」。
「ChatGPT」から個人情報含む学習データの抽出に成功--Google DeepMind研究者ら
「プロンプトでコマンドを入力し、『poem(詩)』といった単語を延々と繰り返すようChatGPTに求めたところ、学習データを含むテキストの断片を丸ごとChatGPTに出力させることに成功した。アライメントされたプログラムでは通常、そのような漏えいは起こらないはずだ」。

——ジェネレーティブAIがユーザーのプロンプトによって、機微な情報を出力しないよう調整する仕組みを「アラインメント」と呼ぶ(らしい)。これをハックするアプローチが次々と発見されているとする記事。GenAIの脆弱性が顕在化されてきている。

日経、デジタル購読数100万に 専門メディアで法人開拓 - 日本経済新聞
「日本の有料ニュース媒体で100万超えは初めて。電子版有料会員数は89万7千、電子版以外のデジタル購読数が3年前の約2倍の11万5千。英文媒体『Nikkei Asia』とあわせると107万となりました。世界の新聞社の有料ニュース媒体では日経グループの英フィナンシャル・タイムズ(FT)に次ぐ5位水準で、FTとあわせると326万と世界3位の規模です」。

——デジタル版購読100万人突破は、国内メディアとしては“悲願”だっただろう。チャートでもわかるように、専門(バーティカル)系など、多メディア化が寄与している側面もある。

有料ネットニュース利用、日英は9% エンタメと競合 - 日本経済新聞
【ご紹介】:
日経MJ紙への連載コラムが日経電子版に転載されました。よろしければどうぞ。➡ 有料ネットニュース利用、日英は9% エンタメと競合
保守・リベラル、日米で差異 - 日本経済新聞
【ご紹介】:
「日本の有権者の政治的価値観を扱った調査結果がこのほど明らかになった。スマートニュースメディア研究所が大学教授らと取り組んだ『スマートニュース・メディア価値観全国調査』だ」。

——スマートニュース メディア研究所が実施した大規模な世論調査結果から。まだ、発表時のリリースや解説中心に紹介されているが、今後、データを用いた本格的な研究が現れてくるだろう。

スマートニュース、有料ビジネスニュースとクーポンを集約した日本初の購読サービス『SmartNews+』を提供開始 国内外25以上のメディアの厳選記事が読み放題
【ご紹介】:
「ニュースアプリ『SmartNews』で、有料ビジネスニュースとクーポンを集約した日本初となる、購読サービス『SmartNews+』(スマートニュースプラス)の提供を開始しました」。

——ビジネスメディア系の各種プレミアムコンテンツを定額で読み放題に。いずれ購読すべきメディアを発見するのにも良いかもしれないです。