Disruption This Week—–9/8/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年8月5日から2019年8月9日まで。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「フェイスブックの代表は報道機関の幹部に対し、ニュース記事全文や見出し、記事の抜粋を掲載する権利について、年間で最大300万ドル(約3億2000万円)を支払う用意があると伝えたという。
フェイスブックが接触を図った報道機関には、娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニー傘下のABCニュース、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)親会社のダウ・ジョーンズ、ワシントン・ポスト、ブルームバーグなどが含まれるようだ」。——揺れるFacebook。2018年初頭に、ニュースの表示は、
ユーザーのウェルビーイングを損ねる可能性があると、表示を絞るアルゴリズムを採用した。1年半後にはこの動きだ。

 

 

「報告書では、ISPが通信内容を確認する目的で全契約者の約款を変更し、『あやしいサイトにアクセスした場合は、通信の遮断を許可する』といった条項に同意させることは、反対意見が出るため困難だと指摘している。
一方、ISPがユーザーに対して個別に連絡し、同意を得た人だけにアクセス警告方式を実施することは、理論上は可能という」。——アクセス警告方式は、それなりにジェントルなアプローチだと思うが。ただ、「海賊版サイト」という同定はだれが、どのようにして行うのか?

 

 

【有料購読者向け記事】:
「新聞業界アナリストのケン・ドクター氏は、広告収入の激減と発行部数の落ち込みを踏まえ、紙面の発行を週7日から日曜のみに減らし、オンラインで記事を流すことを検討している新聞社もあると指摘する。こうした方策によって印刷や配送のコストは抑えられ、より利益率の高い電子版に読者を向かわせることになる」。——「日曜版」だけ宅配される“新聞サービス”。確かにそれも、将来の新聞の姿かもしれない。

 

 

サブクリプション・テクノロジーの提供を商材の中核に置くpiano社。同社は元々マイクロペイメントの仕組みを売る会社だったが、現在は、サイトへの流入読者を機械学習を介しスコアリング、“潜在的サブスクリプション購読者”を割り出し、動的にアプローチする仕組みを提供する。

A Framework for Moderation

Stratechery by Ben Thompson

 

 

現代の重い課題、「コンテンツ・モデレーション」。先日の銃乱射事件の犯人が8chanに投稿していたのに端を発し、クラウド基盤CloudFlareが、「ヘイトに満ちている」と8chanへの基盤提供を停止。GAFAはもちろん、こんな分野まで、「コンテンツ」をどう扱うかが問われる時代に。
Stratecheryが、単純に違法・合法の二分法でなく、コンテンツ(とりわけユーザー投稿型の)の取り扱いをどのようになすべきかという現代的課題を整理。

 

 

「日本新聞協会の調査によると、2018年の新聞発行部数は一般紙が3682万3021部で、前年に比べ約194万部、5.0%の大幅な落ち込みとなった。一般紙の2000年からの減少数は1057万部に達し、国内で部数最大の読売新聞社(朝刊発行部850万部)が消えてしまった以上のインパクトだ」。

——海外向け英語記事から見つけた公益法人ニッポンドットコム掲出記事。「普段はほとんど新聞を読まない『拡張オーディエンス』」という概念に関心を持った。機会によって“(新聞の)ニュース”に触れる人々ということだろう。

 

 

サイト訪問者は4人。それは「たまたま」「時々」「定期的」、そして「熱狂的な」読者に分類できる。それぞれに最適なアプローチとは何か。単に全体PVを追うのは止めにしよう。米Atlanticのコンサルティングチームが、ホワイトペーパーを公開(記事内からダウンロードできる)。

「LINEは8月5日、スマートフォン向けアプリ『LINEノベル』の配信をApp Storeで開始した。アプリには同社のほか、講談社、集英社、KADOKAWA、新潮社、実業之日本社、東京創元社、スターツ出版、双葉社から刊行された小説が約200作品搭載。専用アプリのダウンロードは無料で、アイテム課金制」。

——「何を」、つまりどんな作品を提供しているのかをウォッチしたいという関心と、「どのように」、つまり、コンテンツをアイテム課金扱いして、有料購読を促進する手法にも同じぐらい興味がひかれる。

 

 

「現在は、ウェブサイトのデータはGoogleアナリティクス、アプリのデータはFirebase向けGoogleアナリティクスと別々で測定・分析をすることができますが、『App + Web』のプロパティを作成することで、アプリとウェブサイトのデータを組み合わせた測定が可能となります」。

——Webでもアプリでも稼ぎまくるGoogleならではのアプローチ。アナリティクスを提供していることも、今回のようなスマートなアプローチを実現できる素地になっている。今後、方程式の異なる両者を共通に可視化すらアプローチはますます重要になる。

 

 

米New York Timesの開発チームが、昨年、開発し実践に投じた構造化されたコンテンツを入力・編集できるCMSエディタ「Oak」。今回、それをリアルタイム共同編集可能にアップデート。記者はもちろん、編集者、写真撮影者らが、順番にではなく、同時に編集・入力を可能にした。新しい時代に適合した記事生成、編集のスタイルを反映。
【ご紹介】:
自分が編集を担当している「Media × Technology」で、新着記事「『Google 砲』を生み出す『Discover』とは何か」を公開しました。Google検索の将来を予感させる技術的結晶をGoogle米国法人で活躍してきた長山一石氏に解説してもらいました。

 

 

【ご紹介】:
日経MJへの月一連載記事が、日経電子版に掲載されました。よろしければどうぞ。➡ 「いいね!」が消える? いじめや数競う心理 抑制へ