Disruption This Week—–5/3/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年3月2日から2021年3月5日まで。

 

 

「“他のプロバイダーのように”サードパーティーCookieの代わりにユーザーを一意に識別するような識別子を使うことはしないとGoogleは強調する。Googleが採用するのは、プライバシーサンドボックスをベースとするFLoC(Federated Learning of Cohorts、群れの連合学習)と呼ぶAPI」。

——いよいよ“ポスト・クッキー”時代に向けた技術的なコンセプトを固めたGoogle。問題はその精度であり、広告を嫌うトレンドをなだめられるような“体験”を提示できるかだ。

 

 

【有料購読者向け記事】:
米Wall Street Journalがデジタル戦略を強化中。新規購読者獲得(と若者層へのアピールのため)のためにSEOに取り組み成果を挙げている。だが、内部からはトレンド記事や検索に最適化された記事執筆への反感の声もあがり緊張感が高まっているという。

 

 

ジャーナリズム、とりわけ発展途上国におけるジャーナリズムにとって要となる資源は、「フリー&オープンソフトウェア」(FOSS)だと指摘するカタールNorthwestern大の研究者Lugo-Ocando教授。資金援助も重要だが、ジャーナリズム活動を可能とする養成教育や、ソフトウェアやデータなど資源の利用の確保が重要と述べる。

 

 

米New York Times、「2021年はライブの年になる」として、ライブ報道チームを組成した。同社の編集幹部Marc Lacey氏が同ライブチームの編集者3名を紹介する。編集者と特派員が組み、ライブ報道のフォーマットを洗練させ、リアルタイム・ジャーナリズムを強化していくとする。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「『世界の消費者の81%が企業の個人情報の取り扱いに対する懸念を強め、48%はプライバシーへの不安から商品やサービスの購入・利用を中止している』。グーグル幹部は調査結果を引用してこう説明する」。——Googleが、データを収集してユーザターゲティングを行っていく振る舞いに規制を強化していく方針を改めて発表。Googleは代替技術に一定の目途を見いだしたということだろう。Facebookにいたっては、いまもターゲティング広告の有用性をキャンペーンしている状況。その間にも引用で示したように、ユーザの広告忌避感が高まっている。

 

 

「新しい『fan-powered』ロイヤリティの下では、アーティストは自分のファンの実際のリスニング習慣に基づいて支払われる。熱心なファンが特定アーティストの音楽を聴いている時間が多いほど、アーティストはそれに応じてより多くの収入を得られる」。

——SoundCloudが収益配分モデルをいよいよ変更。アーティストらはサービス全体の収入から機械的な配分を受けるのではなく、“自分のファンから収入を得る”。これは昨今のホットになりつつあるクリエイターエコノミーの文法に則るものだろう。

 

 

カナダで創刊175年の歴史を誇る老舗新聞社Globe and Mailが立ち上げたAIプロジェクト「Sophi.io」をめぐる解説記事。プロジェクト立ち上げ時、編集部は広告収入に影響あるPVにのみ固執していたが、新プロジェクトでは購読者獲得につながる指標もスコア化した。

 

 

「新型コロナワクチン誤情報ラベルは、まずはTwitterの人間のチームが誤情報と判断したツイートに追加する。この評価をAIツールに学習させることで、将来的には自動化していく。それには時間がかかるため、最初は英語のツイートへのラベル付けから開始する」。

——ワクチン関連情報をめぐるファクトチェック態勢づくりは急務だが、Twitterがプラットフォームとしてどのような態勢を組むか、一つのアプローチを見せた。記事に詳しいが、「ストライク制」は、興味深いレギュレーションだ。

 

 

米Northwestern大のMedill Spiegelリサーチセンターが45の米ローカルニュースを調査したところ、そのデジタル有料購読者の49%が、月に1度も購読メディアのサイトを訪れない“ゾンビ読者”だった。電子版購読者を将来の読者基盤と見たい業界にショックを与えている。

 

 

すでに一度紹介したが、Google検索のコアアップデートが2か月以内に行われる。「Core Web Vitals」と呼ばれるアルゴリズムでは、ページロード速度、反応性、視覚的安定など体験面の指標が重視されるが、普及しているCMSのWordPress(のエディタGutenbergのコード)での対応が遅れており危険水域にあるとする記事。

 

 

【ご紹介】:
私が編集に携わる「Media×Tech」に新着記事。注目の『デジタルエコノミーの罠』への書評です。➡ 書評:「空想のインターネット」に対する追悼文——『デジタルエコノミーの罠』

Disruption This Week—–29/1/2021

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2021年1月25日から2021年1月29日まで。

 

 

Twitterは、先日紹介したように、買収したRevueを速くもTwitterサイトに統合し始めている。どうやら「ニューズレター」は、ブックマーク、モーメント、Twitter広告などのオプションと並んで、Twitterのサイドバー・ナビゲーションに近日中に新たに追加されるらしいと、あるエンジニアが発見都の記事。

 

 

「これ(=広告への逆風予測)には、iOS 14をはじめとするプラットフォーム変更の影響や、規制の状況の変化も含まれる。iOS 14の変更時期はまだ不明だが、影響は第1四半期の後半には見られるだろう」。

——好調だった2020年4Qの業績を発表したFacebook。CFOのコメントでは、2021年1Q後半には早くもAppleのポリシー変更の影響が見えてくると、懸念を織り込む。

 

 

「2016年」の大統領選をめぐり、少なくともTwitterで4つのアカウントを操作し、偽情報による荒らしを行ったとして、初めて刑事告発された男「Ricky Vaughn」がFBIにより逮捕。これまで選挙干渉や情報工作が指摘されても、多くは正体不明や海外勢力で、逮捕にいたった事例は皆無だった。

 

 

「1月28日は『データプライバシーデー』として、オンライン上の個人情報を守る重要性を人々に喚起する取り組みが行われます。Appleはデータプライバシーデーを記念して、企業がWebサイトやアプリケーションを通じてユーザーのデータをどのように追跡しているかをイラストと共にわかりやすく解説したレポート “A Day in the Life of Your Data”を公開します」。

——恐らくiOS上でのユーザプライバシー保護施策の強化と連動すると見られる、Appleのキャンペーンが始まった。

 

 

機械学習を駆使して、約20億人ものそれぞれ嗜好の異なるユーザの興味を喚起するような“ニュース”を表示する仕組みとは。Facebook Engineeringチームが自ら解説するNews Feedアルゴリズムの構造。読んでいる途上ではあるが、重要な参考文献。

 

 

“キュレーションとコラボレーション”をコンセプトとするドイツ発ニュース配信サービス「Forum.eu」の話題。同社は提携するパートナーメディアの重要な記事をキュレーションし、欧州の主要6か国言語に翻訳して掲載するという“汎欧州”的なアプローチをめざしている。

 

 

「米Twitterは1月25日(現地時間)、偽情報拡散防止対策『Birdwatch』のパイロット版を米国で公開したと発表した。誤解を招くツイートに一般ユーザーがnote(注釈)を付け、その注釈を他の多数のユーザーが評価すれば最終的にはツイートにその注釈がラベルのように表示されるという、コミュニティ主体の取り組みだ」。

——Twitterはこれまでも、真偽不明情報の投稿に対する抑制策をサードパーティによる検証情報には求めてこなかった。自生的な仕組みに可能性を見ているようだ。「コミュニティ主導」とされる今回の「Birdwatch」でもその思想が明瞭。パイロット版以前もテストは行っているだろうから、一定の勝算はあるのだろうが。その成果に興味。

 

 

「人々の感情は明らかに、製品品質面の犠牲を受け入れても構わないという点へとシフトしている。われわれは、個々の機能を最適化するのではなく、消費者の体験を全体的に考慮する必要がある」とプライバシーファースト方針を、Facebook幹部(プロダクト担当vp)が、これを「ビッグシフト」と呼んで、社内向けメールで宣言。

Benevolent Haze

Columbia Journalism Review

 

 

いまや、米国の老舗、非営利、そして顕著な公共性を持った多くのメディアのパトロンとなったLaurene Powell Jobs氏。彼女が率いるEmerson Collective基金が、Steve Jobs氏が遺した数十億ドルの資産をどうメディア支援に使っているか、Jobs氏との出会いからを含む長い物語。

 

 

「コロナ化での生活変容については、多数派ではないものの、約5人に1人は新しい生活を好意的に受け止めているという結果になりました。総じて高年層より若年層にその傾向が見られ、特に20代女性は30%が新しい生活を気に入っていると回答」。

——なかなか興味深い調査。新たな生活の利点は、おもにリモートワークやECなどによって生じた自由時間(の増加)を、自身のしたいことに振り向けていることから得られたという文脈になる。テクノロジー活用の有無に関わっているとも言えるかもしれない。

Disruption This Week—–3/7/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年6月29日から2020年7月3日まで。

 

 

「Appleが2020年のWWDCで発表したユーザープライバシーに関する変更は、多くの業界関係者を驚かせるものでした。そして、これらの変更点が我々が知るモバイル業界に終わりをもたらしたという声が多数挙がっています」。

——モバイルアプリにおける各種計測や分析技術を提供するAdjustによるiOS14でのユーザセキュリティ機能についての見解。専門外の人々にとっては分かりづらいと思うが、要は、ユーザにきちんと(メリットなどを)説明・透明化した上で、計測を行っていく道は残されているという論旨。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「プラットフォームとして利用できるサービスの情報を集めたところ、通常講演とトレーニング講座の両方をカバーできるものが見当たらなかった。そこで通常講演の配信プラットフォームとして大手である米ON24(オン24)、トレーニング講座は米ニューロウのサービスを選択した」。——NVIDIA社のGPU関連の大規模イベント「GTC」のオンライン化に関して。ON24は日本ではアイティメディアが提携している。

 

 

「Patreonは、2006年から13年にかけてミュージシャンとしてYouTubeでキャリアを築こうとした、コンテ自身の経験から生まれた。この期間、ポンプラムースはしばらくの間経済的に成功したが、その後、収益の急速な減少や、広告収入の分配の少なさに苦しんだ。だが、収入が減っていくのを見たコンテは、インターネットの世界のクリエイターたちと熱心なファンたちとの間にある、一見親密な奇妙な関係に、高い利益が得られそうな市場を見出した」。

——まだ序論の段階だが、楽しみな連載が始まった。

 

 

パンデミック下、一部のメディアがメルマガの強化で増収を実現との話題。マーケティングソリューションのLiveIntentが公表したデータでは、「ショッピング、ホーム&ガーデン、スタイル、ファッション、ビジネスのカテゴリ内の出版社のメルマガが、開封数で最も増加。最初の3つのカテゴリーで20%以上の開封率が増加、収入で15%以上の増加」とする。

 

 

【有料購読者向け記事】:
「アトランティック・メディア(Atlantic Media)が米国でほとんど知られていない日本企業にQuartzを売却したと知り、従業員は動揺していた。同時に、従業員は疑問に思っていた。梅田氏はQuartzの買収によって何を成し遂げたいのだろうと」。——先日紹介した記事の和訳が掲載された。

 

 

米Wall Street Journalが立て続けにデジタル改革(組織再編)を打ち出している。先日は「Audience Touchpoints(読者との接点)」担当チームを紹介したが、今度は「Content Experiences(コンテンツ体験)」チームの拡充だ。いずれもテクノロジー面のヒトと仕組みの強化をめざす。

 

 

トーハンの決算:「営業利益は19億7600万円、同53.8%減、経常損失は4億7200万円、当期純損失は55億9200万円。
経常損失の概況は『取次事業』が19億7200万円の損失、『不動産事業』が13億5200万円の利益、フィットネス事業などの『新規事業』が1億2000万円の損失」。——日販の決算は(パンデミックの影響で)延期だそうだ。それにしても土地だけが希望の星というのは……。しかも、ポスト・パンデミックであおりを受けるのは、出版流通だけではなく、不動産もだろう。

 

 

総収入の半分をライブイベントに頼ってきたテック系メディアの米VentureBeat。中でも、120名のスピーカーが80のセッションに登壇する、4月開催の同社最大のイベントGameBeatが急遽全面オンラインに。だが、総収入は例年を上回ったという。責任者へインタビューした記事。
そもそも、このイベントのビジネスモデルは、スポンサード。いろいろヒントがありそう。

 

 

米New York Times、Apple Newsから撤退。2015年のサービス開始依頼、NYTはApple Newsのパートナーとしてコンテンツを提供。記事下部のリンクから購読者候補をドメインに誘導する手法を採ってきた。News+が購読モデルを採ったことで、両者は微妙な競合関係に入っていた。(しかし、自社のビジネス動向について、よくもこれほど長々と報道できるものだなあ)

 

 

iOSのAPIに起因、クリップボードに取得された文字列を、同じiPhone上のアプリに止まらず、MacやiPadなどからも読み取れる脆弱性がある。これを利用してユーザの活動をスパイし続けているアプリの代表格がTikTokだ。同社は3月にこれを指摘され、その停止を表明したが、依然この行為を止めていない。

Disruption This Week—–10/4/2020

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2020年4月6日から2020年4月10日まで。

 

 

米Vox Media、総編集長Lauren Williams氏の名前で、読者に寄付を求める。対象となる、メディアは「Vox」と「Record」と、同社ではペイウォール制を運用していないもの。高品質なメディアで生じている広告収入の減少を補うものと説明。

Google Discoverへの最適化と、注力すべき領域 |SEO Japan by アイオイクス

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「・エバーグリーンな情報(正確な情報を反映するために更新は行う)
・最新の業界のトレンドを載せる
・関連トピックのニュースを載せ、それに対する意見も載せる」——最近、その影響力が高まっている「Google Discover」。この機能にヒットするよう最適化するための研究は、まだ多くない。本記事は貴重なそのひとつ。

 

 

英文化相、広告主らに対し、「新型コロナウイルス」関連記事に対しても出広するよう求める異例の声明。広告主らがキーワードを用いた広告ブロックリストを用いていることを念頭に。ジャーナリズムは緊急事態における重要なサービスだとする。

 

 

英FTが、各国の新型コロナウイルスによる死者数の遷移などいくつもの変化するデータを、わかりやすく、各国間での比較をしやすいようビジュアライズ。ほぼ毎日のように“ライブアップデート”している記事だ。目で見てわかるジャーナリズムと言える。
【有料購読者向け記事】:
米The Informationが、元AOLのCEO、Tim Armstrong氏に新型コロナウイルス下にあるメディアと広告ビジネスの見通しについてインタビュー。同氏は極めて悲観的な見通しで、全広告収益の30〜40%程度の下落、リーマン・9.11以上のインパクトと述べる。Google、Facebookなどもインパクトを受けるが、持ち直すとの見通し。
一方、メディアでは、自宅での消費が高まるため、戸外需要などが打撃を受けるとする。大手の買収統合などが進む、ネットによる侵食を受け続けたセクターは、これを機に一気にダメージを拡大するとの見通しを示した。

 

 

長く収益化に苦しんできた、米ハイパーローカルニュースメディアの「Patch」、昨今は黒字化が伝えられるようになったが、3月はPVで7割増、来訪者で6割増と絶好調。1か月でメルマガ購読は15万人増の230万人に到達。経営幹部はスタッフを増強中と述べる。
また、「コンテンツレコメンド」形式の広告パーツを外したことで、劇的にコンテンツ表示時間や検索パフォーマンスが上がり、読者とのエンゲージメントを高めているとも述べる。

 

 

英BBC World、Instagram上で10分間のドキュメントビデオを公開。「ブルックリンのInstagram魔女たち」は公開後約1週間で9,000閲覧されたとする記事。Instagram支持世代にデジタルファーストで届けるアプローチを選択したと制作責任者は述べる。

 

 

ローンチしたばかりの米Quibiの続報。Sensor Towerによれば、ローンチ当日に30万ダウンロードに達し、Disney+のローンチ時数百万ダウンロードにははるかに及ばないものの、iOSでTop3(Androidでは29位)に食い込む。また、同日、過負荷からかダウンタイムも発生したという。

 

 

「Publickeyではこれまでたくさんのオンラインイベントを見てきました。一部のプレゼンターが自宅からライブ中継を行うイベントはありましたが、ホスト役も含めてプレゼンター全員が自宅からライブ中継で行われたオンラインイベントは初めてです」。

——実は、自分も最近、関係者が全員リモートで分散しながら、セミナー動画を公開するプロジェクトに携わった。完全オンライン化はもちろん、非集合型でプロジェクトを推進することが現実のものとなろうとしている。

 

 

「食料は必要不可欠のもの、だから無料にすべきということはない」。米ローカル紙の編集と発行人を経て、現在は大学でジャーナリズムを教えるHoward Saltz氏が、メディアは、新型コロナウイルス報道を無料アクセスにすべきではないとするオピニオンだ。

 

 

【ご紹介】:
私が運営に携わるJIMA(インターネットメディア協会)のリテラシー部会が、新型コロナウイルス問題に直面する子どもたちとその教育者向けに、オンラインセミナーを制作しました。自宅でのお子さんたちとの対話にもぜひお使い下さい。

 

 

【ご紹介】:
私が編集に携わる「Media×Tech」がオンラインイベントを開催します。メディアにとりイベントは、大きな事業上の軸。その開催ができないリスク下で、オンラインイベントへどう円滑に移行するのか。私が進行を担当して、経験豊富なプロにいろいろお訊きします。

Disruption This Week—–29/11/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年11月25日から2019年11月29日まで。

「広告主のファーストパーティーデータと当社固有のユーザーデータをつなげたいという需要は確実に増えました。Apple社によるITP(Intelligent Tracking Prevention)制限の影響で、トラフィック情報の精度が今後悪くなってくることが想定されます。ファーストパーティーデータを保有する当社の役割は今後増していくのではないでしょうか」。

——テックと広告会社にデータ(の有用性)を握られ続けてきたパブリッシャー。ようやくファーストパーティデータの価値を軸に動きが見えてきた。

IDCやEricssonが次々と、今後のスマホ出荷台数中の5G比率の急増ぶりを調査し、公表。シンプルに言えば、2020年には、スマホ出荷台数(14億台)中の5G比率が14%に到達とする。2010年の4G出荷比率を大幅に上回る。
ゲームやeスポーツ中継などのストリーミング基盤を開発する米Genvid Technologies、2700万ドルの資金調達。Genvidは、この基盤のライセンシーが、各種のマネタイズを行えるような機能も盛り込む。
【有料購読者向け記事】:
「同委員会はIT(情報技術)化の進展で、データの提供元企業が提供先企業で個人情報となることを知りながら『提供元では個人が特定できないとして、本人同意なくデータが第三者提供される事例が存在する』と問題を提起した」。

——依然として「個人情報」という用語が使われているわけだが、従来からの定義である、個人名や仕事などがセットされた可視的な情報のみが個人をめぐる機微な情報と思われがち。早く「個人データ」と、定義の変化を共有しなければ。

英音楽雑誌がオンラインへとシフトした際に何が起きたか? ある研究を基にして、オンライン化による読者拡大とデジタル広告収入増のプラス面と、エンゲージメント(滞在時間)減少を対照した論。両者を橋渡するのは、オンライン閲覧体験の“習慣化”だと指摘する。
「ユニバーサルミュージックがアプリで伝えているのは、楽曲配信に対するデータから、次にどんな行動や施策を打てば効果を最大化できるかの判断を多様なプラットフォームに対して下す洞察力と行動力が、ストリーミング時代で成功するためには重要だということで、この判断を下す立場もアーティストに主導権が移りつつあるという音楽時代の流れを象徴している」。

——楽曲ストリーミングの時代だからというだけでなく、メディアとコンテンツで生きていくための枢要なアプローチ。自分は、マネージャーや各種スタッフがアーティストをサポートする時代のほうが良かったとは思っていない。出版にも通じるアナロジーがある。

Google、ユーザーがGoogle Assistantに「ニュースを聴かせて」と話しければ、ユーザーの位置情報や嗜好などを総合して自動的に、パートナーが生成する短尺ニュースを選択、読み上げるサービス「Your News Update」を提供開始。

——音声ニュースについては、いかに聴くに耐える得るように短いものにして届けるかがポイント。また、ニュースをすべてユーザーが選択するのは煩わしい。自動的に読み上げる、もしくはそこから「スキップ」などを行えるのが望ましい。

「『テレビ離れが起きている理由』を八つの選択肢から複数回答で選んでもらった。『テレビ離れが起きているとは思わない』は3.7%しかいなかった。
最多は『動画投稿サイト・配信サービスの方が魅力的』の60.5%。以下、『スマートフォンやゲーム機の方が楽しめる』57.4%、『ネットが普及し、テレビを見なくても困らない』56.5%、『似た企画や同じタレントばかりで番組がつまらない』27.3%などの順だった」。

——自分の経験範囲でのことだが、そのネットのほうの人気コンテンツは、テレビのコンテンツに依存したものが多い(あるいはそのもの)ということがある。新聞でも同様だが、要するにコンテンツの消費や流通に課題があるという点は意識したい。もちろん、「番組がつまらない」との要因も一定程度あるとは思うが。

“ストリーミング戦争の勃発”と情勢を語る声が高まるが、実はこの競合は、特に1社だけが勝ち残る性質のものではないと主張する論。
2007年にケーブル、ペイTVなどに消費者が支払っていた月額と、現在の主要ストリーミング・メディアの月額の総計は、ほぼ同額だとする。
「2019年上半期もスマートフォンの利用者数は継続的に増加し、スマートフォンは全世代でインターネット利用のメインデバイスとなりました。また、動画サービスの利用時間の増加が顕著です。通信速度の向上、通信プランやWi-Fi整備による視聴環境の改善が背景にあると考えられます」。

——ニールセン デジタルのシニアアナリストの山腰知美氏によるコメント。ニールセンは、職場・家庭でのパネルを揃えていて安定感のある調査を提供している。驚きがある結果ではないが、5年で4倍は、日本での現実を見せつける。

【ご紹介】:
私が編集している「Media x Tech」、今回はスマニューの俊英、田島将太の面白いデータ分析。編集者や記者に示唆があると思います。