Disruption This Week—–7/7/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年7月3日から2023年7月7日まで。

AI Is Tearing Wikipedia Apart
「懸念されるのは、機械が生成したコンテンツは多くの人間のレビューとバランスを取らなければならず、あまり知られていないWikiを悪いコンテンツで圧倒してしまうことだ。AI生成は、信憑性のある人間のような文章を書くのに便利な反面、誤った情報を含んでしまったり、存在しないソースや学術論文を引用してしまったりすることもある」。

——WikiはジェネレーティブAIの誕生で岐路に立たされているように見える。一つは、AIは自由に使える貴重なトレーニング教材としてWikiをクロールし尽くしている。他方、AIが生成する情報(知識)がWikiにどんどん書き加わっていく。実際、記事によれば、Wiki財団はこれへの対策ツールの開発などに取り組んでいるという。

MetaのTwitterっぽい新SNS「Threads」使ってみた かなり近いが投稿検索・ハッシュタグなく性格は別物
「では実際に投稿してみよう。Twitterでいう『ツイート』のことは『スレッド』と呼ぶようだ。機能はシンプルで、文字を書いて投稿ボタンを押すだけ。写真は10枚まで添付できる。1スレッド当たりの文字数制限は500文字」。

——話題のThreads。実際にどう使うのか(使えるのか)? 試用記事。ポイントはInstagram(Metaは相互運用性を追求するので、Facebookもか)の目的別アプリということで、アカウントを共有する。言い換えれば、InstaやFacebookのフォロワーをインポートできるというのが魅力(言い換えれば、危険性)ということのようだ。つまり、ゼロからフォロワーを築いていく必要はない。

ITmedia NEWSは記事執筆フローにChatGPTなどAIを導入します
「分かりやすいように要約を先に示しておきます。

– 『取材・執筆・編集』のアシスト全般にAIを利用
– ChatGPT利用は『情報漏えいの懸念がないもの』に当面は限る
– 『AIを使ったから間違えた』は言い訳にならない
– 記事を作る主体はあくまで人」

——ジェネレーティブAIの利用の是非を、倫理的に騒ぎ立てるような時代ではないと思う。ITmedia NEWSがChatGPTの業務的な利用を明言。引用したような「ポリシー」の明言が重要なんだと思う。

How (and should?) we stop the infinite scroll
「ネズミがレバーを押すと、おやつがもらえる。たとえレバーを押してもいつもおやつがもらえるわけではなくても、たまにおやつがもらえることがある……だからレバーを押し続けるのだ。私たちはフィードをスクロールし、興味をそそる楽しい投稿を探している。すべての投稿が面白いとは限らないが、私たちはドーパミンの素早いヒットを求めてスクロールし続ける」。
近年のスマホUIの方程式である「無限スクロール」。「ビジネスに優しく、健康に悪い」仕組みを掘り下げ批判する論。
Fake journalist profiles used to launch Bournemouth Observer - Journalism News from HoldtheFrontPage
英ローカルメディアの体をなした非常に巧妙な偽造サイトが出現したという話題。最近立ち上がった「Bournemouth Observer」は、英国のローカル報道メディアだが、11名の記者らのプロフィールはすべて非実在の人物。掲載された事件報道も地元警察が確認できないという謎のサイトだ。
Gen Z and AI: The Publishers' Guide | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
インターネットのない世界を知らない最初の世代、同時にソーシャルメディア必須の時代(幼少期にはYouTubeが存在)を生きてきた“Z世代”。1990年代半ばから2010年代前半に生まれたこれら若者をオーディエンスとするメディアをどう開発していくかを論じるガイドライン。
“The single greatest threat and the single greatest opportunity”: Insights on AI and publishing, from FIPP World Media Congress 2023 | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
「AI、それは単一の最大の脅威であり、単一の最大の機会」だと述べる、最近行われたFIPP世界メディア会議での講演概要。
「1. 物語のために来訪、コミュニティのために滞在、2. 伝統的な記事の解体、3. AI:単一にして最大の脅威、最大の機会」という魅力的な構成。
「マスメディアは作れる」元テレ東高橋弘樹Pが目指すゲームチェンジ:朝日新聞デジタル
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「仮に(朝日新聞の販売部数が)400万部だとして、ユーチューブでも400万回再生とかいくわけです。400万人が目にしたコンテンツを『マス』と言うとすると、『マスメディア』とは輪転機を持っていることや地上波の権利を持っていることではなくなる」。

——ひろゆき氏や成田悠輔氏の起用で人気コンテンツをYouTubeに提供し続けた高橋P氏。自らの媒体社をたちあげてやりたいことを述べた。正論が多く、納得感がある。

「退屈な仕事が減った」 米地方メディア、ChatGPTの活用進む:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「アウトポストの取材地域は、地元ハンボルト郡のほかユーリカなどの自治体。山形県ほどの面積を6人の記者でカバーしている。シムさんのソフトは、それぞれの議会で取り上げる議題に関する公開データを集める。そのデータを『平易な文章で要約して』とチャットGPTに自動的に送り、サマリーを書かせるというものだ」。

——一方で、ジェネレーティブAI利用の浸透に対して猛反対する新聞事業社がある一方で、このような零細事業者がAIを活用。事態への多面的な視点、のみならず新聞メディアのなくしてはならない使命を思い起こさせる点でも、意義の高い記事。

出版状況クロニクル182(2023年6月1日~6月30日) - 出版・読書メモランダム
「とりわけ『出版社がボロ儲け 狂乱のIP(漫画の知的財産)パブル』は、コミックスとアニメのメディアミックスによる版権収入が集英社、小学館、講談社の業績を支えていることを明らかにしている。それが現在の大手出版社のトレンドなのだ」。

——引用箇所は、「アニメ熱狂のカラクリ」を特集した東洋経済誌から。その突出した大手の一角である小学館の決算に触れて、このブログでは、出版やIPをめぐる業績停滞を迎えるなか、増収を支えたのが広告とデジタル収入であることを伝えている。出版とその流通産業の姿は、かつてに比べ決定的に変わってしまっている。

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