Disruption This Week—–21/3/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年3月17日から2025年3月21日まで。

Measuring Google’s AI Overviews’ impact: Why keyword data is more telling than CTRs for publishers
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過去6か月間でAI概要のキーワードシェアが大幅に増加した。たとえば、米ProPublica では、AI概要をトリガーとするキーワードシェアがこの期間に204%増加したという。また、AI概要の強調スニペットに扱われる場合とそうでない場合に大きな差異があるとする記事。
U.S. Reaches 100 Million Paid Music-Streaming Subscribers for the First Time, Vinyl Sales Hit $1.4 Billion: RIAA 2024 Year-End Report
全米レコード協会(RIA)の年次レコード音楽収益報告によると、昨年、米国での有料ストリーミングの加入者数が初めて1億人を突破。
レコード売上は20年近くぶりの回復を続け、売上高は14億ドルに到達。ただし、ストリーミングの成長は近年低迷中だとする記事。
実験的試み:イタリアでAI生成記事オンリー新聞が誕生
「Il FoglioのAI新聞は4ページで、3月18日付けの火曜特別版にセットで配布されました。オンラインでも見ることができます。
この新聞、記者(人間)が手を入れたのは、AIチャットbotに質問することとそれを読むことだけ」。

——個人的には、AIがベースを記事や紙面のベースを生成、それを人間がチェック・修正するというのがいい。あるいは、人間は調査報道や深度のある解説記事に携わるべきか。

Gamified app Newsreel aims to lure 'news curious' Gen Z away from Instagram
z世代向けニュースアプリ「Newsreel」、言語学習アプリ「Duolingo」に似た、ニュース情報をクイズ形式で提供。政治と外交問題に重点を置いたストーリーを1日3つ配信、ユーザーは段階的にストーリーをクリアしていくスタイル。“ニュース好き”な青少年をターゲットに据える。
Independent launching AI-powered news service for 'time-poor audiences'
英オンラインメディアIndependent、時間のない読者向けに時間のない読者向けにAIが記事を要約し表示するニュースサービス「Bulletin」を開始する。Geminiを用いて同メディアの記事を140字以内に要約。同編集部員がレビューやチェックをするなどして掲載するスキームだという。
How a New Zealander working from her mum’s kitchen started a news service read by Madonna
各種SNS上でフォロワー数400万を擁する青少年向けニュースメディア「Shit You Should Care About」。27歳の代表Lucy Blakiston氏(在ニュージーランド)へのインタビュー。
同氏は毎日ニュースサイトを見て回り、セレブ文化から紛争に関するニュースまで、読みやすいストーリーをまとめ、Instagram、X、TikToなどに共有する。無料・有料の日韓ニューズレターも配信。2018年創刊で躍進するメディア事業だ。
Guardian, GB News and Newsquest among latest publishers to tell readers: ‘consent or pay’
英メディアGuardian、利用者がサードパーティ・クッキーによるトラッキングに同意しない場合、同メディアの利用料金を求めるダイアログボックス表示を開始。英大手メディアでは、昨夏からこの動きが顕著に。トラッキングのオプトアウト選択を明示するよう規制が進んだ結果だ。

「AI検索、メディアには痛手 サイト訪問9割減」を解説 – 日経デジタルガバナンス

NIKKEI Digital Governance(日経デジタルガバナンス):デジタル・AI時代のガバナンスを伝える専門メディア

「AI検索、メディアには痛手 サイト訪問9割減」を解説 - 日経デジタルガバナンス
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「2月24日に公開した(米トールビット社による米国内外の)調査結果によれば、AI検索の回答で表示するリンクなどをクリックして元サイトを閲覧するクリックスルー率は、従来型のグーグル検索に比べて95.7%も減少しました」。

——先ほど投稿した共同通信社とGoogle(Gemini)との提携を材料にすれば、検索によってこれまで生じてきたオーガニックなクリックスルーは、検索のAIモードによって多くが失われることになる。その欠損を提携が金銭等で補えれば……ということか。

Publishers don't really know how Google AI Overviews is impacting their referral traffic
Googleが進める検索へのAIモードの導入。ユーザーの質問に対する回答が検索ページ上に表示されるため、AIモードは通常の検索結果よりもメディアへのクリックスルー率を高めることにはならないとメディア幹部は考えているとする記事。加えてGoogleはこの詳細を明かしていない。
共同通信社、米Googleとニュース提供の契約 Geminiアプリの利便性高めるため
「Googleにより当社のニュースコンテンツの価値が尊重され、新たな契約を締結した。信頼性の高いニュースを提供することで、社会全体の情報環境の向上に寄与することを期待している」。

——共同通信社の水谷亨社長のコメント。同社が配信するニュースは、多くの報道機関で用いられている。その大元の情報源にGoogleはアクセスできることになる。Geminiは、Google検索と融合していく方向にあることから、その利用接点は広範だ。この取引で、共同通信社の経営が強化されるのであれば、良いのだが。

Disruption This Week—–14/3/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年3月10日から2025年3月14日まで。

Meta's Community Notes will use open-source technology from Elon Musk's X
米Meta、新たに利用を進めるクラウドソーシング型のモデレーションツールに、Xで利用されているコミュニティノートの(オープンソース)アルゴリズムを採用したと発表。今後はそのアルゴリズムを発展させていくことも表明。

「AI検索、メディアには痛手 サイト訪問9割減」を解説 – 日経デジタルガバナンス

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「AI検索、メディアには痛手 サイト訪問9割減」を解説 - 日経デジタルガバナンス
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「トールビットのトシット・パニグラヒ最高経営責任者(CEO)は米誌フォーブスの取材に対し『ユーザーがAIに何かを質問するたびに、AI開発会社がウェブサイトを攻撃している』と指摘。AI開発会社によるスクレイピングが猛烈なペースで伸びているのに、サイトに流入するトラフィックが減少する傾向があるとして、報道機関・メディア業界の関係者に警鐘を鳴らしました」。

——残念ながら、AI開発企業とメディア企業の間には、ウィンーウィンの関係は今のところ生じていないという見立てが論じられている。

Substack Surges Past 5M Paid Subscriptions, Thanks to Video and Trump (Exclusive)
米ニューズレター配信のSubstack、有料会員数が500万人を突破。わずか4か月前には400万、1年前の300万からの急増。同社共同創業者のHamish McKenzie氏が、米メディアHollywood Reporterに述べた。原動力はもちろん、米新政権の疾風怒濤の動きへの情報需要が背景にある。
また、同プラットフォーム上では、従来レガシーメディア上で名を馳せた著名ジャーナリストらが続々、アカウントを開設しているなど、メディア界の混とんも要因だとする記事。
SNS規制なのか? 政府が「情プラ法」4月施行を閣議決定 “第三者”による削除要請が物議
「ガイドラインでは、誹謗中傷などを受けた本人以外──つまり第三者からの削除要請についても『速やかに対応を行うことが望ましい』としている。X(旧Twitter)などでは、これが単に都合の悪い投稿を削除させる『SNS規制』につながりかねないとして問題視する声も上がっている」。

——本人以外の第三者からの削除要請への対応義務化は、「SNS規制」につながるのかどうか。私には微妙な一線に見えるのだが。はてさて。

With launch of AI Mode Google threatens to bleed news media dry
試行が始まったGoogle検索における「AI Mode」。英メディアPress Gazetteは、AI Overview以上にメディア運営者の収益を枯渇させるとして、Googleに対し12の問題点を指摘、回答を求めた。

音声AI進化、新Alexaは自然な会話に 詐欺や漏洩リスクも – 日経デジタルガバナンス

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音声AI進化、新Alexaは自然な会話に 詐欺や漏洩リスクも - 日経デジタルガバナンス
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「2月26日、ニューヨークのイベント会場。アマゾンのデバイス・サービス部門トップ、パノス・パネイ上級副社長が200人超の記者を前にライブで見せたデモは滑らかでした。新型のアレクサ・プラスは基盤モデルの力で『コミュニケーション力』がぐっと上がりました」。

——Alexa+はアンソロピックとの協業だという。記事は先月末にAmazonが開催したイベントでの新Alexaのデモ。ChatGPTのアドバンスド音声モードなどを利用していても、会話モードが決してネイティブではなくイライラさせられる。この分野での進化や、記事で強調されているデバイス連携は、人々の生活に浸透する際の重要テーマ。同時に個人情報漏洩リスクとも隣り合わせだ。

OpenAIのDeep researchを上回っていると称するAIエージェント「Manus」を中国のスタートアップが発表
「Manusのデモ版で実行されたいくつかのタスクについては、ログを確認することができます。以下のデモは、『7日間の日本旅行の計画』をManusに立てさせたもの。ログを再生すると、Manusが日本旅行に関するさまざまなウェブサイトからデータを収集し、時期や予算感、興味のある物事に応じた旅行計画を立てていることがわかります」。

——ちなみに、この記事にもあるように、Manusは日本語で利用可だ。問題はリソース制約の関係か、試用には順番でアカウント開設を待たされることだ。

WSJ publisher Almar Latour on preserving press freedom and the promise of AI
米テック系メディアVerge編集長Nilay Patel氏、Dow JonesのCEOでWall Street Journal発行人のAlmar Latour氏にロングインタビュー。DJとOpenAIとの取引やインタビュー直前にWSJがエンジニアチームをレイオフしたことなどを厳しく追求した。中小規模のテックメディアといえども、ジャーナリストとしての矜持を見せつける。
米紙WPのコラムニスト辞任-ベゾス氏批判するコラム不掲載後
「同紙(=米Washington Post)のオーナーでアマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏がオピニオン欄の編集方針を変更したことなどを批判するマーカス氏のコラムが、ウィル・ルイス最高経営責任者(CEO)によって不掲載とされていた」。

——Washington Postと同メディアのオーナー、ジェフ・ベゾス氏との緊張関係が、より高まっている。経緯は記事に譲るが、今後、ベゾス氏はWPの売却という選択肢も検討することになるのではないか。12年間続いたベゾス氏との関係が今後どうなっていくのか。

The Future of News Looks Niche
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米テック関連メディアThe Informationを軌道に乗せた創業者Jessica E. Lessin氏は、メディア投資家でもある。
「私は常に、真の専門知識を持つ創業者を求めてきました。大手メディア企業はニッチ市場を無視していると思います。規模が小さすぎると考えているのです」。
同氏は最近投資を行ったテニス専門メディア「Racquet」での読者体験を熱く語る。