Disruption This Week—–16/8/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年8月13日から2019年8月16日まで。

【有料購読者向け記事】:
広告掲出不可ワードの制御に苦しむ米メディア。米大手金融機関フィデリティが要求するNGワード集(要するにこのようなキーワードが出現するニュースに、自社の広告を掲載しないようにとの指示)は、400もの長大なものに。
「爆発」「難民」「人種差別」…。そして「Trump」もだという。報道系ニュースでこれを満たすのは不可能というものだろう。当たり障りのないエンタメニュースへと迂回が求められる時代だ。
Facebook傘下のInstagramで、初のファクトチェッカーと連携した偽情報通報システムが実装。ただし、当面は、US国内に止まるという。親Facebookでは2016年に始まった連携がようやく人気ソーシャルメディアにも適用。特にこの分野では、“健康”にまつわるポストにリスクが高いと指摘されている。
米テック界で尖った記事で有名な「The Verge」。中でも、大手プラットフォーマや偽情報をめぐり厳しいリポートを続ける上級記者Casey Newton氏との対話。GoogleやFacebookはコントロール可能な規模へと分割すべきや、Facebookはモデレータをもっと優遇すべきなど自説を披露する。
米国のローカルデジタルニュースメディア「NJ Advance Media」は、ニュージャージー州内の各警察署が監視機構のないまま行使している強権行為を一覧化する情報源(元々、州政府が約束していた)が整備されないことに業を煮やし、自らデータベース化する「Force Project」を開始。生成されたデータをProPublicaと連携し販売を開始した。
調査報道+データジャーナリズム=有料販売という、最先端事例。
2011年、米New York Timesがペイウォールを開始した際には、月20本のフリーコンテンツが与えられていた。8年後の今、それは5本にまで絞り込まれている。全米の新聞500メディアを調査した、購読メディアの成功方程式を探るリポート。
米Harvard大Shorenstein Centerの調査から。
GDPRやCCPAなど、個人情報のトラッキングに対する抑止と可視化の動きが強まる中、パブリッシャーと広告ベンダーは、Cookieの利用に代わるユーザーID識別の手法を探ることに。記事は、Sourcepoint社がが提唱するCMP(ユーザー情報の合意に基づく管理システム)の動きを追う。

古く、廃れてしまったコンテンツを上位表示させるためにすべきこと

アイオイクスのSEO・CV改善・Webサイト集客情報ブログ|SEO Japan

「私は、古く、廃れたしまったコンテンツに注力し、検索トラフィックを上昇させることにしたのだ。
具体的な作業はこうだ。毎週、私は新しいコンテンツを1記事公開するようにした。しかし、私のチームに、平均で23の古いコンテンツをアップデートさせていた。
より頻繁に記事を書いていた時期では、上位10ページの記事が占める全体の検索トラフィックの割合は33%であった」。

——新しいコンテンツ生成に力を注ぐか、あるいは、本記事のように、過去記事のアップデートで底上げするか。サイト運営者は読んでおきたい記事。

広告ブロックツール「AdBlock Plus」開発元Eyeoらが提唱する「許容可能な広告」イニシアティブ。そのガイドラインをパブリッシャー向けに概説した記事。「許容可能な…」に準拠すると、ホワイトリスト広告がAdBlockの下でも表示されたり、ユーザーの選択により、メディアへの購読料支払いに変更したりすることも可能だ。イニシアティブは、広告主とパブリッシャーに過度に依った広告スキームだが、ここに消費者(読者)の許容値も盛り込む。なかなか上手く考えられたスキームだ。
【全文閲読には要購読】:
「担当する同社の漆原正貴氏は『話者が明確で細切れに読んでも文脈の把握がしやすい』と特徴を説明する。注力するのは恋愛物とホラーだ。『読者が求める感情と読み心地にズレがない』ため、隙間時間に没入できる」。

——別の場所でも、LINEのようなチャットメッセージングでないと、若者が情報を理解しにくいと聞いたことがある。進化と見るか劣化と見るかは別に、細切れなコミュニケーションが、物語りの全体像を描き出す時代に入っているらしい。新聞小説よりも、より粒度の小さなものが求められている。

英バーミンガム大の研究者、アフリカ諸国で最もポピュラーなアプリ「WhatsApp」が、ナイジェリアの大統領選で果たした役割を調査、レポートを公開。強い暗号化メッセージングアプリは、偽情報の拡散に猛威をふるう一方、政府をはじめとする資金力のある情報源に対抗しうる草の根的な役割も果たすという二面性を指摘。
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Disruption This Week—–19/7/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年7月16日から2019年7月19日まで。

「バージョン5.0登場時点では『操作可能になるまでの時間』が最も重要視されています。
操作可能になるまでの時間に最も大きく影響を与えているのがJavaScriptです。Googleは『モバイルファーストインデックス』を掲げており、PageSpeedなどの計測もモバイル端末の環境をシミュレートして行われていますが、モバイル端末はCPUが非力なことが多く、PCであれば問題にならないJavaScriptでも大きな影響を及ぼしてしまう場合があります」。

——現在の検索ランキング指標にとって重要な重みを持つものが「Webの表示速度」。それを構成する要因を整理して、改めてモバイルにとっての表示速度問題への示唆を与える論。

「現実は『毎日訪問してくれるユーザー』『タイアップ広告を見てくれているユーザー』『コアな記事を読んでくれるユーザー』など多様なロイヤリティユーザーが存在しています。そのため、データとして一つだけの指標を評価し続けるのは難しく、プロジェクトの途中で目的の形骸化が起こってしまいがちです」。

——大変に興味深い連載がスタート。従来、メディア界では理念が一人歩きするような局面が多かった。現実的なKPIをどうセットできるのかに、どう議論を届くのか。

英BBC Newsが、退任間近のメイ首相に首相官邸で単独インタビュー。テレビ・ラジオ版はもちろん、Web版とモバイル(Facebook Watch)版へのカットを前提にした機器をセットアップ。担当した「デジタルビデオ」編集長が、そのBBCの“モバイルジャーナリズム”アプローチを語った。
米Washington Post、サードパーティ・クッキーに頼らない文脈型ユーザターゲティング広告配信機能「Zeus」を間もなくサービスイン。同社のCMSである「Arc Publishing」と合わせて、外販も行う。ファーストパーティデータによる行動ターゲティングは、GDPR時代を意図するもの。
Googleの公共政策担当(要するに、ロビーイング部門)幹部のKaran Bhatia氏が、上院専門委員会での喚問を前に、米国最大の保守派メデイアFox Newsに寄稿。Googleは、保守派の言論に対する否定的なバイアスや検閲を行っていないと主張。検索アルゴリズムは、政治的視点を検知しないとする。
ニューズレター(メルマガ)配信サービスのSubstack、Andreessen Horowitzを引き受け手に、シリーズAの資金調達を実施。1500万ドル強を獲得。同サービスは、メルマガの配信から、サブスクリプションを基盤とする事業を推進。今では、ポッドキャスト分野にも拡大中だ。
米広告関連団体IABおよびPwCによる調査では、ポッドキャストをめぐる広告市場は、2021年には、全米で10億ドルを超えると見込まれる。同市場は、18年には4億8000万ドルだった。その成長速度は急だ。
米LaGrange大の学識による論説。記事を自動生成するJボット(ジャーナリズム・ロボット)のトレンドを概観。だが、これらを用いて記事をものにするには、人手で生成する記事以上に人間の記者や編集者が必要と皮肉な事実を指摘する。
「指針案では対象とするデータを『消費者個人と関係する全ての情報』と明記した。住所や氏名だけでなく、サイトの閲覧や購買の履歴、位置情報も当てはまる。こうしたデータは個人の嗜好に沿って効率を高める『ターゲティング広告』などでIT大手にとって利用価値が大きい」。

——規制当局から出てきたと思われる「指針案」。GAFAが念頭にあるというが、そのような“ターゲティング”がどう可能なのか興味ある。

メディア(運営者)が追求すべき最大の指標は、「ユーザーロイヤルティ(忠誠度)」。そのKPI化は、一ユーザーがどれくらい反復的にそのメディアを訪れたかによって計測されるべきとする論。それがメディアの最大の資産増大を意味するという。
【ご紹介】:
朝日新聞RONZAで、私が携わってきたSmartNews、ファクトチェック・イニシアティブ(最近始めた「Media×Tech」も)での取り組みが紹介されています。よろしければご一読を。
【ご紹介】:「Media×Technology」でブログ書きました。ご一読下さい。➡ 「ストーリーズ」 新たなストーリーテリングの創造|

Disruption This Week—–10/5/2019

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2019年5月7日から2019年5月10日まで。

【ご紹介】:
私自身が深く関与している団体「JIMA(インターネットメディア協会)」サイトから、連載企画第2弾です。ご一読を。➡ 情報の受け手が進化すればメディアの質も上がっていく——NewsPicks金泉俊輔さん
「NSAI(=国際ナッシュビル作詞作曲家協会)のバート・ハービソンはこう付け加える。『ストリーミングで100万回再生されても数百ドルしか懐に入らないなら、家族を養うことなんてできません』」。

——いろいろと考えさせられる、興味深い論。ストリーミングサービスの出現によって、少なくとも米音楽業界は再興を果たしているはずなのだが、アーティストらはそう感じていない。また、中間の事業者(レーベルや出版社、そして各種団体)の役割も問われることになる。

米New York Times、19年1Q業績を開示。デジタル購読者だけで現在350万人(印刷との計450万人)と、2025年までに1000万購読者獲得に向けたペースを上回る好調ぶりと、自ら解説。特筆すべきは、デジタル広告収入の好調さで、要因としてポッドキャスト「The Daily」の名を挙げる。
何度か紹介しているが、米国メディア界での注目トレンドは、「サブスクリプション」、「ポッドキャスト」、そして「ニューズレター(メルマガ)」だ。この記事が扱う「Inside.com」は、都市ごと、ジャンルごとのテーマを扱うメルマガを50超取り揃えた、注目の新興メディアだ。
大物投資家らが資金面でバックアップ。メルマガという“旧くて新しい”メディアの再興が進む。
ある投資家兼メディアコンサルタントの論。
「“未来のジャーナリズム(メディア)”は小さくあれ」。Instagramで出くわすような、オンラインを根城にする無数の極小ブランドやドロップシッパーのように。ニッチ性とターゲティングを高め、マーケティングすべしとのオピニオン。
New York Timesと並び、テクノロジーの取り入れに熱心な米Washington Post。そのCIOおよびCPO(Chief Product Officer)職を担う技術畑のベテラン、Shailesh Prakash氏への興味深いインタビュー記事。同社内製CMSを年商1億ドルビジネスへと成長させようとする原動力だ。
再認識させられたのは、同氏はJeff Bezos氏が同社を買収する2年前にはWaPoに着任していたということだ。
「右肩上がりで頼みの綱となるインターネット広告も、その50〜70%が海外に流れているという実態は衝撃的だ」。

ーー記事でも触れられてはいるが、国外プレーヤーへの法的な域外適用などに関心を向けるべきだろう。ネットがよい意味でも悪い意味でも越境的な特性があることを前提に、“排外”感情に訴えるアプローチにならないようにしたい。

長年経営に苦しんできた英the Guardianを擁するGuardian News and Mediaが、19年3月期でEBITDAベースの黒字化を実現。寄付や課金メンバー制のプロモーションで、65万人の月額課金ユーザーの獲得に成功。一方で、この3年間に450名の従業員削減を代償としたことも示す記事。
「2006年から現在のスタイルになっているポッドキャストは2018年に最も成長した。3月時点で、米国の消費者の半分以上がポッドキャストを聴いている。ポッドキャスト視聴者が50%を上回ったのはこれが初めてだ。
この数字からすると『The Daily』はまだ成長する余地を残しているようだ」。

ーーポッドキャストとスマートスピーカーとの関連性は、魅力的なテーマだが、米国ではラジオ視聴者規模がスマートスピーカーのそれに対し数倍大きいので、なんとも言えない。やはり(場所や時間帯など)オンデマンド性と、プロバイダの多様性が魅力なのだろう。

「これは『デジタル・ストーリーテリング(Digital Storytelling)』と呼ばれ、新たなニュースの方法論となりつつある。縦型映像も、デジタル・ストーリーテリングをスマホで展開する上で効果があるとして、BBCやアメリカのメディアなどが活発に仕掛けを始めた分野だ」。

——奥村伸幸氏が、さまざまなニュース表現手法を「デジタルストーリーテリング」として、総合的に解説。必読の記事。

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Disruption This Week—–9/28/2018

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2018年9月25日から28日まで。

[番外編]小田秀匡・田島将太・山口亜祐子 スマホの画面で記事をよりよく読んでもらうために