Disruption This Week—–22/11/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年11月18日から2024年11月22日まで。

コムキャストがCATVチャンネル分離へ、MSNBCなど-関係者
「メディア・ケーブルテレビ(CATV)大手の米コムキャストはニュース専門局『MSNBC』や『CNBC』『USA』などのCATVチャンネルをスピンオフ(分離・独立)する計画だ。事情に詳しい関係者が明らかにした。視聴者や広告主を失いつつあるCATV事業へのエクスポージャーを減らす」。

——Bloombergの報道が出てから、米メディア業界はこの話題で持ちきりだ。各社の経営上の複雑な要因が作用しているため、一概に言えないが、なによりも最大の環境変動要因はCATVの収益構造が弱体化していることだろう。これまで収益性が良すぎたことから変革が遅れたのは、他のレガシーメディアに似ている。ストリーミングの一部がかろうじて黒字化を示すが、安定化するには、独占的な地位獲得が必要になる。

Google Discover has become Reach’s ‘biggest referrer of traffic’
Facebook、InstagramなどSNS、Google検索からの流入が減少していると、多くのメディア担当者が体感している。そんななか、検索を利用したコンテンツフィードの「Google Discover」が存在感を増している。記事は英大手メディア企業Reachの幹部がその影響や特性を語る。
AI detection tool helps journalists identify and combat deepfakes
DeepfakeをAIを用いて検知するジャーナリスト向け無償サービス「TrueMedia」の紹介記事。開発するTrueMedia.orgの創業者はAI研究家Oren Etzioni氏。同氏のコメントなどを紹介。難題はフェイク作成側も検知を回避する方策を生み出してくることだという。
米司法省、グーグルに「クローム」売却を求める方針-関係者
「訴訟はトランプ政権下で提起され、バイデン政権でも継続された。判事が是正案を受け入れれば、オンライン検索市場と急成長するAI業界を一変させかねない」。

——PCなどでは重要アプリであり続けるWebブラウザ。そのシェアトップの「Chrome」は、Googleにとっても、検索、マップ、Gmailなどの重要基盤で、ブラウザ自体は無料だとしても市場の支配力はすさまじい大きさだ。かつてNetscapeを駆逐したMicrosoftとIEの関係が想起される。

Unveiling LIMINAL PANDA - Threats to Telecom Sector | CrowdStrike
米CrowdStrikeの防諜対策幹部、同社が「LIMINAL PANDA」との名称を与えた、重要インフラに対する中国のサイバー脅威アクターについて初めて公開。リポートでは、LIMINAL PANDAのインフラへの侵入の手口など詳細に紹介する。
「2024年米国選挙におけるプラットフォームXのアルゴリズムによる潜在的偏向の計算分析」。
豪Queensland大研究者Timothy Graham氏ら、X(Twitter)が2024年7月に大きくアルゴリズムを変更。オーナーMusk氏によるTrump候補支持表明に符合するとの論文(プレプリント)を公表。
報道経験ないニュース系インフルエンサー、米若者の頼れる情報源に
「ピューの調査によると、30歳未満の成人の約40%が、ニュース系インフルエンサーから時事問題や政治の最新情報を入手している。こうしたインフルエンサーの大半に上る77%は、報道機関に所属せず、メディアでの勤務経験もない。
新たなデータはメディア環境の変化を浮き彫りにした。若者を中心に、政府や社会問題、経済といった重要なニュースについては、非伝統的な情報源の利用が一段と増えている」。

——併せて紹介する米Pew Research自身のリリースブログを参照されたい。

幻冬舎コミックス、Xへの画像投稿は「AI学習阻害・ウォーターマーク付き」で 11月15日の規約変更を理由に
「Xは15日の規約変更により、ユーザーが入力した情報を、AIのトレーニングに利用する旨を明文化する予定だ。しかしXでは、これを嫌って他のSNSに“移住”しようとするユーザーや、投稿する画像にAI学習の阻害処理・ウォーターマークをつけようと呼び掛ける人も見られ…」。

——これもXをめぐる話題なので、遅まきながら紹介しておく。引用箇所にあるように、Xの利用規約がAI学習に強制的に用いられることを嫌っての動き。この種のせめぎ合いがこれから活性化するだろう。Xは、自社のxAIの開発にとどまらず、他のAI開発ベンダーに学習用コンテンツを売って大儲けするオプションを手に入れようとしているわけだ。

Norwegian startup Factiverse wants to fight disinformation with AI
ノルウェーのスタートアップであるFactiverse、米国大統領討論会のライブファクトチェックを提供し、いくつかのメディアパートナーによって利用されたという。同社の技術はLLMとは異なり、情報検索に基づいく別タイプのモデルを構築したと創業者は述べる。
「X」利用者が続々と「ブルースカイ」へ移動 仕組みは? オーナーは? - BBCニュース
「世界各地でかなりの人数がブルースカイのアプリをダウンロードしている。イギリスでは14日、アップルのアプリ市場『AppStore(アップストア)』で、最もダウンロードされた無料アプリになった」。

——Musk氏の振る舞いもあって、Xを離脱する動きが高まっているものの、記事にもあるように、BlueskyがXを脅かす存在になるためには、今後の長期にわたり成長が欠かせない。そのためには、大物たちの寄付に頼る資金源では心許ない。これからがBlueskyの胸突き八丁の上り坂だろう。

Disruption This Week—–7/7/2023

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2023年7月3日から2023年7月7日まで。

AI Is Tearing Wikipedia Apart
「懸念されるのは、機械が生成したコンテンツは多くの人間のレビューとバランスを取らなければならず、あまり知られていないWikiを悪いコンテンツで圧倒してしまうことだ。AI生成は、信憑性のある人間のような文章を書くのに便利な反面、誤った情報を含んでしまったり、存在しないソースや学術論文を引用してしまったりすることもある」。

——WikiはジェネレーティブAIの誕生で岐路に立たされているように見える。一つは、AIは自由に使える貴重なトレーニング教材としてWikiをクロールし尽くしている。他方、AIが生成する情報(知識)がWikiにどんどん書き加わっていく。実際、記事によれば、Wiki財団はこれへの対策ツールの開発などに取り組んでいるという。

MetaのTwitterっぽい新SNS「Threads」使ってみた かなり近いが投稿検索・ハッシュタグなく性格は別物
「では実際に投稿してみよう。Twitterでいう『ツイート』のことは『スレッド』と呼ぶようだ。機能はシンプルで、文字を書いて投稿ボタンを押すだけ。写真は10枚まで添付できる。1スレッド当たりの文字数制限は500文字」。

——話題のThreads。実際にどう使うのか(使えるのか)? 試用記事。ポイントはInstagram(Metaは相互運用性を追求するので、Facebookもか)の目的別アプリということで、アカウントを共有する。言い換えれば、InstaやFacebookのフォロワーをインポートできるというのが魅力(言い換えれば、危険性)ということのようだ。つまり、ゼロからフォロワーを築いていく必要はない。

ITmedia NEWSは記事執筆フローにChatGPTなどAIを導入します
「分かりやすいように要約を先に示しておきます。

– 『取材・執筆・編集』のアシスト全般にAIを利用
– ChatGPT利用は『情報漏えいの懸念がないもの』に当面は限る
– 『AIを使ったから間違えた』は言い訳にならない
– 記事を作る主体はあくまで人」

——ジェネレーティブAIの利用の是非を、倫理的に騒ぎ立てるような時代ではないと思う。ITmedia NEWSがChatGPTの業務的な利用を明言。引用したような「ポリシー」の明言が重要なんだと思う。

How (and should?) we stop the infinite scroll
「ネズミがレバーを押すと、おやつがもらえる。たとえレバーを押してもいつもおやつがもらえるわけではなくても、たまにおやつがもらえることがある……だからレバーを押し続けるのだ。私たちはフィードをスクロールし、興味をそそる楽しい投稿を探している。すべての投稿が面白いとは限らないが、私たちはドーパミンの素早いヒットを求めてスクロールし続ける」。
近年のスマホUIの方程式である「無限スクロール」。「ビジネスに優しく、健康に悪い」仕組みを掘り下げ批判する論。
Fake journalist profiles used to launch Bournemouth Observer - Journalism News from HoldtheFrontPage
英ローカルメディアの体をなした非常に巧妙な偽造サイトが出現したという話題。最近立ち上がった「Bournemouth Observer」は、英国のローカル報道メディアだが、11名の記者らのプロフィールはすべて非実在の人物。掲載された事件報道も地元警察が確認できないという謎のサイトだ。
Gen Z and AI: The Publishers' Guide | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
インターネットのない世界を知らない最初の世代、同時にソーシャルメディア必須の時代(幼少期にはYouTubeが存在)を生きてきた“Z世代”。1990年代半ばから2010年代前半に生まれたこれら若者をオーディエンスとするメディアをどう開発していくかを論じるガイドライン。
“The single greatest threat and the single greatest opportunity”: Insights on AI and publishing, from FIPP World Media Congress 2023 | What’s New in Publishing | Digital Publishing News
「AI、それは単一の最大の脅威であり、単一の最大の機会」だと述べる、最近行われたFIPP世界メディア会議での講演概要。
「1. 物語のために来訪、コミュニティのために滞在、2. 伝統的な記事の解体、3. AI:単一にして最大の脅威、最大の機会」という魅力的な構成。
「マスメディアは作れる」元テレ東高橋弘樹Pが目指すゲームチェンジ:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「仮に(朝日新聞の販売部数が)400万部だとして、ユーチューブでも400万回再生とかいくわけです。400万人が目にしたコンテンツを『マス』と言うとすると、『マスメディア』とは輪転機を持っていることや地上波の権利を持っていることではなくなる」。

——ひろゆき氏や成田悠輔氏の起用で人気コンテンツをYouTubeに提供し続けた高橋P氏。自らの媒体社をたちあげてやりたいことを述べた。正論が多く、納得感がある。

「退屈な仕事が減った」 米地方メディア、ChatGPTの活用進む:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「アウトポストの取材地域は、地元ハンボルト郡のほかユーリカなどの自治体。山形県ほどの面積を6人の記者でカバーしている。シムさんのソフトは、それぞれの議会で取り上げる議題に関する公開データを集める。そのデータを『平易な文章で要約して』とチャットGPTに自動的に送り、サマリーを書かせるというものだ」。

——一方で、ジェネレーティブAI利用の浸透に対して猛反対する新聞事業社がある一方で、このような零細事業者がAIを活用。事態への多面的な視点、のみならず新聞メディアのなくしてはならない使命を思い起こさせる点でも、意義の高い記事。

出版状況クロニクル182(2023年6月1日~6月30日) - 出版・読書メモランダム
「とりわけ『出版社がボロ儲け 狂乱のIP(漫画の知的財産)パブル』は、コミックスとアニメのメディアミックスによる版権収入が集英社、小学館、講談社の業績を支えていることを明らかにしている。それが現在の大手出版社のトレンドなのだ」。

——引用箇所は、「アニメ熱狂のカラクリ」を特集した東洋経済誌から。その突出した大手の一角である小学館の決算に触れて、このブログでは、出版やIPをめぐる業績停滞を迎えるなか、増収を支えたのが広告とデジタル収入であることを伝えている。出版とその流通産業の姿は、かつてに比べ決定的に変わってしまっている。