Disruption This Week—–26/7/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年7月22日から2024年7月26日まで。

13 ideas for fresh news formats
「ニュースフォーマットとは何か? ニュース記事の書き方やスタイル」のことだ。旧来、新聞では「逆ピラミッド型」が定着していたが、Web上ではさまざまなスタイルが開発されている。箇条書き、リスト、FAQ、タイムライン…など。新しいニュースメディアを考える整理の参考になりそうだ。
With Google in its sights, OpenAI unveils SearchGPT | TechCrunch
OpenAI、PerplexityやGoogle AI Overviewsに対抗するAI検索サービス「SearchGPT」を発表。ライバルと同様に、質問を入力すると、関連する情報源へのリンクとともに、Web上の情報や写真を表示するというもの。質問者のコンテキストを知るために位置情報を利用するとしている。
スポティファイ株急伸、四半期利益は過去最高-有料会員が急増
「23日の米株式市場で、音楽ストリーミングを手掛けるスウェーデンのスポティファイ・テクノロジーの株価が急伸し、約3年ぶりの高値を付けた。同社の4 – 6月(第2四半期)決算は過去最高益となり、有料会員数も急増した」。

——別の投稿で情報提供をしたいが、同社は現在、楽曲以外の音声分野(最初はポッドキャスト、さらに現在はオーディオブックを推進)で、今後の成長戦略を描いている。一方で、足もとの業績(特に利益)は、人員削減、一部地域での値上げなどで稼いでいるように見える。

Why Guardian has expanded paid content offering with launch of recipe app Feast
英Guardian、レシピアプリ「Feast」を本年4月に投入。着実にファンを伸ばし、現在は10万ダウンロード超に。同社は、定期購読者に加えて寄付金支払者(従来は「メンバー」と呼び、現在は「サポーター」とする)をさらに拡大するための重要ファクターとしているという。同社のレシピコンテンツには従来から根強いファンが存在していた。
マスク氏のX、ニュースで偽情報続出 AIリスク露呈
【有料購読者向け記事】:
「(XのAI「Grok(グロック)」が生成した)ある見出しは、カマラ・ハリス副大統領が撃たれたと伝えた。この誤りは、バイデン大統領がトランプ大統領とハリス副大統領の名前を言い間違えたという、無関係の事件に対する皮肉が原因となったようだ」。

——X投稿から、人々が知るべきニュースをAIが生成して迅速かつ簡略に伝えるというイーロン・マスク氏の構想。今のところ、信頼性の面は実用的ではないということのようだ。

Google、ついに「Chromeのサードパーティ Cookie を廃止するつもりはない」と発表。プライバシーサンドボックスの今後についても言及 | DIGIDAY[日本版]
「Googleは米国時間7月22日のブログ投稿で、『サードパーティのCookieを廃止するつもりはない』ことを明らかにした。その代わりに、ユーザーがWeb閲覧中に十分な情報を得たうえで選択でき、いつでも調整できる『Chromeの新しい体験』を導入するという」。

——この数年の空騒ぎの末、Googleは市場シェア最大の同社Webブラウザ「Chrome」におけるサードバーティCookieのサポート継続を表明した。一般消費者の(感情を含めた)広告による追跡への忌避に配慮した代替広告技術を開発してきたが、最終的に自社および広告業界の収益毀損を免れないと判断したのだろう。
そもそもサードパーティCookie廃止への動きは、広告事業に軸足を持たないAppleが主導した動きで、最大の広告技術プロバイダであるGoogleはいやいや追随してきたのだが、その姿勢もかなぐり捨てた。広告業界は、消費者にとって、不快な、懸念される広告技術とともに心中する覚悟らしい。
いや、もうちょっとマシな代替技術の開発を諦めていないとGoogleは未練を残すのだが。

In 1924, a magazine ran a contest: “Who is to pay for broadcasting and how?” A century later, we’re still asking the same question
100年前の1924年春、米国の「Radio Broadcast」というラジオ放送業界紙は、「誰に、どのように放送料金を支払ってもらうのか?」との懸賞金付きでアイデア募集を行った。1,000件近い応募があったが、すべて不採用だったという。100年前の問いが解けていないという問題。
Behind the scenes of China's first independent fact-checking initiative
中国国内でも、政府主導ではなく、種々の偽誤情報の検証に当たるボランティアベースのファクトチェックグループが存在する。「China Fact Check」がそれだ。WeChat上のみで活動。ボランティアが見つけた大量の疑わしい情報にグループで対処する。同組織の創設者が解説する。
トーハン、ファミリーマート・ローソン1万店の雑誌配送終了へ - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「出版取次大手のトーハン(東京・新宿)がファミリーマートとローソンの計約1万店への雑誌配送を終了することが19日分かった。対象店舗は雑誌の売り上げが少ない店舗を中心にコンビニエンスストア側と協議して決める」。

——雑誌物流(書籍ももちろん同様だろうが)が大変なことになっている。トーハンは、日販が停止するコンビニへの雑誌配送を引き継ぐはずだったが、その内、売上の少ない店舗への配送について継続しないというわけだ。

“AIによるフェイクニュース”を検知・分析する技術、富士通が開発へ
「各投稿情報について、その根拠の整合性や矛盾を大規模言語モデル(LLM)により分析し、情報がAIで作られていないかなどの作為性の判定。偽情報の特徴を分析し、拡散規模や社会的な影響度を評価する技術も開発する」。

——上記のLLMが情報の真偽を判定する箇所が、サムネールにおける「特徴3」に該当するのだろうか? そのようなメソッドが作れるのかどうか、大変に興味があるところ。

「どうしたいか」を考え、定義することが最大のポイント(藤村厚夫)

AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議 – 宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム「AdverTimes.(アドタイ)」

「どうしたいか」を考え、定義することが最大のポイント(藤村厚夫)
【ご紹介】:
「AdverTimes.」創刊20周年の記念に、過去連載させて頂いた経緯からコメントを寄稿いたしました。自分自身の過去を振り返るメモみたいなものですが。

Disruption This Week—–19/7/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年7月16日から2024年7月19日まで。

A One-Man Telemundo on TikTok
【有料購読者向け記事】:
Carlos Espina氏は米Biden政権(ホワイトハウス)が、他の放送局(報道機関)と同様の扱いを与えるパーソナリティの一人。この8月に実施する民主党大会では同氏のようなクリエイターに“プレスパス”を与えることになる。記事はEspina氏の日常を伝える興味深いもの。
Spotify、2023年2月にサービス開始したAIベースDJ機能に加え、スペイン語版DJ機能の提供を開始する。いずれも実在の人物(著名DJ)の音声をサンプリングしたもの。Spotfiyは、DJ機能により楽曲にコンテキストを提供し、スキップしにくくする効果があると説明する。
How news avoiders got information about Trump’s shooting - Poynter
「私のアンケートに答えてくれた人の大半、37%が友人や家族から銃撃事件のことを聞いたという。 そのほとんどは、テキストメッセージやその他の直接の連絡を受けた。 グループチャットで知った人もいる」。

——ニュースを忌避する人々が増大する時代。今回の大統領候補への銃撃事件を、そのような人々はどのようにして情報として得たのか。著名なジャーナリズム研究者である筆者がとっさに私的なアンケートを行った。

AI検索で進む「ただ乗り」、報道機関の記事にも 社会への影響は:朝日新聞デジタル
「AIの時代は、ジャーナリズムが生み出した価値から恩恵を受ける者とコンテンツを生み出す者のつながりをさらに弱める。報道機関がつくるコンテンツのただ乗りは、ジャーナリズムと大規模言語モデルの質の両方を弱めることになる」。

——米コロンビア大の研究者アンヤ・シフリン氏のコメントだと記事は述べている。「ただ乗り」か否かは別のアプローチがありえるとしても、「ニュースが難しい」「ニュースのもっと深いところを知りたいのに」との読者のニーズ(苦痛)に応える余地は、まだまだあると思う。その価値増部分をだれが意欲的に創るのかという視点を考えたい。

毎日新聞 富山県内での配送を9月末で休止へ 全国初 | NHK
「富山県内では大阪の工場で印刷した新聞を輸送してきて、販売店を通じ、各家庭や店頭などに配送していますが、印刷費や輸送費の負担が増していることに加え、県内での発行部数が減少傾向にあることから休止を決めたとしています」。

——夕刊の休刊どころではない状況に。「これからも富山のニュースをデジタルや本紙全国版などで発信し、全国紙としての役割を果たしていきます」と毎日新聞は述べている。「全国紙」の役割を読者側も考えることになる(全国紙と地方紙を併読・併購読する人々もいるので)。

Xの青バッジはDSA違反──欧州委員会が予備的見解 「法廷で戦う」とマスク氏
「欧州委員会が問題にしているのは、以下の3点だ。

– ブルーの認証済みバッジは認証済みとなっているものの、金を支払えば誰でも取得できるため、ユーザーを欺いている。悪意ある人がこれを悪用してユーザーを欺いている証拠がある
– 広告に関する必要な透明性に準拠していないため、ユーザー保護に必要な監視と調査ができない
– DSAでは一定の条件下で外部の研究者に公開データへのアクセスを提供するよう定めているが、提供していない」

——欧州のDSA(デジタルサービス法)に違反と、ようやくXがその対象に取り沙汰されることに。本記事の主題である「ブルーバッジ」をめぐるガバナンス欠如は、だいぶ以前から指摘されてきた。また、X(旧Twitter)のAPI利用(研究目的に絞るにしても)についても改善が見られない。

Apple, Nvidia, Anthropic Used Thousands of Swiped YouTube Videos to Train AI
米Proof News、独自のツールを開発し、Anthropic、Nvidia、Apple、SalesforceなどのAI企業が、数千ものYouTube動画の字幕を無断で取得、学習していることを突き止めた。
ツールはどんなクリエイターのコンテンツが学習されているか特定できる。多くは教育コンテンツだが、悪いことに、学習されたコンテンツには極端に扇動的な悪名高いクリエイターらのものも含まれているとする。
AI検索エンジン「Perplexity」でネット検索はどう変わるのか
【全文閲覧には要登録】:
「Perplexityは『従来の検索エンジンの代替となるもので、直接質問をし、選りすぐられた情報源によって裏付けられた簡潔で正確な回答を受け取ることができます』ということだ。つまり、Perplexityは、Webサイトを検索した結果、ヒットしたWebページをまとめた結果を回答するものということのようだ」。

——良くも悪くも話題のPerplexity。その使い勝手を詳細な試用記で理解できる。醍醐味は「Pro」版(有料)の利用なのかもしれない。ちょっと思案する。

YouTube Music is testing an AI-generated radio feature and adding a song recognition tool | TechCrunch
YouTube Music、“AI生成による会話型ラジオ機能”を試行中。米Premiumユーザーに展開される予定。 ユーザーは、鼻歌などで聴きたい曲をリクエストすれば、カスタムラジオ局を作ることができるようになるという。Shazamなどにも似た機能だといえる。
ゼレンスキー大統領の妻が「ブガッティを購入」という偽情報は、こうしてロシア発で一気に拡散された
「今回の『ブガッティ購入』に関する偽記事を数十のロシアメディア(多くはロシア政府が所有またはコントロールしている)が取り上げており、Vérité Cachéeを情報源として引用していた。ほとんどの記事は7月2日に掲載され、数十万から数百万のフォロワーをもつ複数の親ロシア政府派のTelegramチャンネルで拡散された。偽情報を調査している『@Antibot4Navalny』の研究者によると、それらのリンクはX上の偽のボットアカウントのネットワーク『Doppelganger』によっても拡散されたという」。

——記事は、「この『Vérité Cachée』は、AIを駆使して欧州や米国を対象にロシアのプロパガンダや偽情報を流しているウェブサイトのネットワークの一部だ」と紹介している。小さなサイトが発出した偽情報がいかに短時間の内に、世界に伝播、話題となったかを、プロセスとして紹介しており、勉強になる。

Disruption This Week—–12/7/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年7月8日から2024年7月12日まで。

Local News Now | Elevating local news.

Local News Now | Elevating local news.

Local News Now | Elevating local news.
米バージニア州北部とワシントンDCをカバーして成長するオンライン・ローカルメディア(ネットワーク)企業「Local News Now」。2010年設立で成長を加速しているという。Axiosのローカルニューズレターの品ぞろえ同様、注目株だ。
CNNが100人削減、年内に新たなオンラインチャンネル開設へ
「米CNNは、デジタルおよび有料テレビのニュース取材チームを統合する計画の一環として約100人を削減、業務を見直している。…CNNの従業員は約3500人。今回は3%未満の従業員が削減されることになる」。

——CNNの新たなデジタル戦略とそのアウトプットであるインターネット番組が年内にもサービスインする。その準備の過程でレイオフも発表。その新生CNNを率いるCEOは、ご存じMark Thompson氏。前New York TimesのCEOだ。同氏のデジタル戦略も徐々に明らかになりつつある。別途紹介しよう。

ChatGPT-Maker OpenAI Asks for Proof That NYTimes Is Original | Entrepreneur
米New York Timesは昨12月にOpenAIを著作権侵害で提訴。OpenAIがChatGPTの学習のために何百万もの記事を使用したと主張する。 一方、OpenAIは、NYTimesの記事が実際にオリジナルであるという証拠の提出を求める法廷闘争に。
NYTimesは、これを「無関係、不適切な嫌がらせ」と反論する。
アルファベットに埋もれた秘宝、ユーチューブには4550億ドルの価値
「『ユーチューブには価値が隠されており、投資家は単体として取引できない。これを閉じ込めているグーグルというコングロマリットには、ほかに多数のリスクがある』と(アナリストの)マーティン氏はインタビューで述べた」。

——記事を読めば理解できるはずだが、米Alphabetは従来の検索事業主体であるGoogleをはじめとする多種の技術系事業のコングロマリット。YouTubeもその一つで、投資家らはYouTube単独価値に投資できない。検索事業などはAI進化の方向ひとつで価値毀損する恐れがある一方、YouTubeやそのエコシステムにはそのリスクがほぼない。この価値が隠されている事は問題だとする指摘を取り上げた記事だ。

New York Times Experiments With a New Headline Writer: OpenAI
米MicrosoftおよびOpenAIを、自社コンテンツを勝手に学習したと数十億ドルの損害賠償を求めた米New York Times。だが、米Intercept.が入手した情報(コード)によると、そのNYTimesは社内で記事見出し生成ツールにChatGPTを利用していた。同社広報は実務への利用は否定したが。
Veteran columnists making more money on Substack after local newspaper exits
こちらも“解雇”された2人のベテランジャーナリストが、Substackで自身のメディアを立ち上げた話題。いずれも30年近くカリフォルニア州のローカル紙「The Davis Enterprise」に勤務したが、5月に解雇。自身のニューズレターですでに過去の年収を上回る購読料を得ているという。
Washington Post 'third newsroom' creation gets underway
印刷版、そしてオンライン版のWashington Post編集部に、「第3の編集部」が新設。スタッフからの経営チーム批判が止まらない同社だが、収益改善のために、「ソーシャルメディアとサービス・ジャーナリズムに焦点を当て、AIとマイクロペイメントで」で収益化をめざす試みだという。
Google検索も不要に? 検索AI「Perplexity」がスゴすぎてちょっと怖い
「例えば、7月4日時点で東京都知事選(7月7日投開票)の最新状況を聞くと、こんなふうに答えてくれる。…
最新情報をベースに、有力候補4人を抽出した上で、石丸伸二氏が猛追する展開を簡潔にまとめている」。

——「こんなふうに」の先は、記事内のスクリーンショットを確認のこと。確かに凄い。そして、重要なのはほぼリアルタイムですぐれた情勢認識(メディアをはじめとするさまざまな情報源をリアルタイムで分析ということか)を示している。記事は、Perplexityが他のAIチャットボットに比べて明らかな誤りが少ない(信頼のおける情報源を採用しているということか)とも指摘する。

「新聞を読む時間」として思い浮かぶものは・紙の新聞は32.5%どまり(最新) : ガベージニュース
「もっとも多くの人が思い浮かんだのは『紙の新聞』で32.5%。次いで『新聞社のサイトやアプリ』12.4%、さらに『新聞社以外のサイトやアプリ』8.5%、そして『SNS上の新聞記事』が6.2%。SNS上に掲載された新聞記事を読むことを、『新聞を読む』と認識している人が案外多いことに驚く人もいるかもしれない」。

——例年行われている博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所の2024年版の整理。引用箇所はけっこう切実な問題で、問いかける人、答える人で「新聞(を読む)」の定義が異なっている事態が拡大している。私自身は“新聞(の閲読)体験”を印刷版を超えたものとして再定義しないと、新聞社の存続が危ぶまれると考える。逆に、そのように新聞社(のなかの人々)が自ら再定義できれば、社会的ニーズはもちろん、産業としての未来は開けるものと考える。

生成AI悪用で最多は「世論操作」約3割、その実態とは
「調査期間中に、生成AI機能の悪用で最も多かった目的は、世論の形成や影響を及ぼすことだった(報道されたケース全体の27%)。これらのケースでは、アクター(実行者)は、人々の政治的現実への認識を歪める幅広い戦術を展開していた」。

——「グーグルのAI部門、ディープマインドと研究部門、ジグソーの研究グループ」による調査リポートから。平和博さんのブログ記事から。世論への影響工作に続く悪用目的が「収益化」だ。「51件、20.5%を占めた」という。

Disruption This Week—–5/7/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年7月1日から2024年7月5日まで。

2024 Zero-Click Search Study: For every 1,000 EU Google Searches, only 374 clicks go to the Open Web. In the US, it’s 360. - SparkToro
検索が自社サイトへ送客してくれるとのメディアの期待値があるが、米ユーザー間では、Googleでの検索1,000回ごとに、360クリックのみがGoogleが所有しない、Googleが広告料を支払わないコンテンツやサービスに到達。逆にいえば、全検索の2/3近くが、検索後もGoogleのエコシステム内に留まっていることになるとの分析記事。
「生成」ではなく「模倣」、
大手レコード会社提訴で
音楽AIの未来に暗雲
【有料購読者向け記事】:
「権利保有者がAI企業に対して起こした訴訟の中では、これまではニューヨーク・タイムズがよい例とされてきました。ですが、スーノとユーディオに対する訴訟は、AI企業にとって多くの点でさらに不利なものです」(米コーネル大学法科大学院のデジタル情報学教授ジェームス・グリメルマン氏の発言)。

——AI(企業)とコンテンツ権利者との争いが、いきなり本題に入ったというのがこの記事に中心。訴訟の行方を見守ろう。

Netflix, Amazon Lead With 53% of Original Streaming Title Orders in First Quarter of 2024, Study Finds
英市場調査会社Ampere Analysisによると、2024年1Qの世界の動画ストリーミングタイトル数で、NetflixおよびAmazonを併せると、全体の半数超となり他を圧倒(記事内のチャートで推移が見られる)。両サービスは、国外へと制作を外注し、量産を加速させているとする。
AI学習、権利者に適正報酬を ピクスタなどが新団体 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「画像ストックのピクスタは1日、米国とドイツの企業と共同で、生成AI(人工知能)の学習素材の権利保護をめざす団体『データセット・プロバイダーズ・アライアンス(DPA)』を立ち上げたと発表した。AI開発者による『無断学習』を防ぎ、画像や動画、音楽などのコンテンツ制作者や提供企業が適正な報酬を受け取れるよう働きかける」。

——記事を読む範囲では、「無断学習」行為を検出するなどのメカニズムについては言及がない。C2PAなどにゆだねるアプローチだろうか。単にデータ保有企業者連合(それも大規模とはいえない)で、実効性が担保できるだろうか?

生成AIで変わる10億人のGoogle検索 ネットの岐路に 編集委員 奥平和行 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「最も重要なことは、当社がコンテンツ提供者との関係を共生的と考えていることだ。ウェブ検索を主軸とする企業であり、コンテンツ提供者が独自性が高く新鮮なコンテンツをつくる強い動機を持たないと成功し得ない」。

——Google本社に、検索エンジンを統括する上級副社長を訪ねた際のコメント。同時に「AIオーバービュー」と呼ばれる、検索結果をAIによって概要紹介する機能が占める比率は10%程度として、すべてが覆われるわけではないという“(メディアへの)安心理論”を語る。実際に、現在の検索でも汎用性の高い検索に対してはそのような反応になっている。

TikTok applies for ‘Genie’ trademark in US for AI chatbot | Semafor
米Semaforによると、TikTokは、AIチャットボットソフトウェアの名称として「Genie」を商標登録申請。5月に米国特許商標庁に提出された書類によると、会話をシミュレートし、人間とAIの間の相互作用とコミュニケーションを促進し、人間のような音声とテキストを生成するという。
YouTube now lets you request removal of AI-generated content that simulates your face or voice | TechCrunch
YouTube、自分の顔や声を模倣したAI生成コンテンツやその他の合成コンテンツの削除を要請できるようサービス規約を変更。「責任あるAI」方針によるもので、プライバシー保護上の被害を受けた人物がコンテンツ削除を直接申し立てることができる方針を明確化する。ただし、この運用を適正に行うことには困難がありそうだ。
「不満を抱えた視聴者の1人は最近、SNSで次のようにいら立ちをぶちまけた。『プライムビデオにお金を払ってCMをたくさん見るってワケ分からん。うっとうしくなってきた』。
ネットフリックスとアマゾンの担当者はコメントを控えた」。

——以前紹介した米New York Timesの記事邦訳版。主旨は、広告抜きでプレミアムな映像体験ができるのを一つのウリにしてきた、Netflixをはじめとした有料ストリーミング勢力。だが、成長限界を迎えて、安価でCM入りの“TV番組もどき”版を提供するようにトレンドが変化。さらに、完全無料で広告入りの動画ストリーミングであるFASTのトレンドも高まってきている。これらを追った記事だ。

ChatGPT is hallucinating fake links to its news partners’ biggest investigations
ジェネレーティブAIが生成する論述には「ハルシネーション(幻覚)」が付きものと指摘される。代わって、AI企業はメディアとの提携に際し正確な出典(リンク)表示を約束するが、提携を発表した大手メディアへのバックリンクは誤りだらけだったとする米Nieman Labの調査結果。
What happened when British GQ stopped trying to 'feed the algorithm'
「記事の公開ペースを落とし、アルゴリズムに餌をやることを止めた」と英国版男性向けクオリティメディア「GQ」の視聴者開発・分析・SNS担当ディレクターがインタビューで語る。英GQが、より熱心なコア・オーディエンスを目指す戦略に転じた成果を詳細なチャートで解説。
「ChatGTPはなぜ、人間のような言葉を紡ぎ出せるのか?(前編)~日本の第一人者が、LLMの基本原理とブレークスルーを解説する」岡崎直観 - スマートニュース メディア研究所 SmartNews Media Research Institute
【ご紹介】:
私も関与しているスマートニュース メディア研究所の研究会報告から。東工大・岡崎直観教授が分かりやすい日本語LLM研究の原理と現状を解説します(後編も公開中)。ぜひご一読を。