Disruption This Week—–20/9/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年9月17日から2024年9月20日まで。

Netflixがユーザー満足度を最大化するために取り組む推薦アルゴリズムとその工夫とは
「ユーザーがNetflixにアクセスすると、その瞬間がシステムにとってのコンテキストとなり、コンテキストに基づいてシステムが推薦内容を選択する。ユーザーは推薦されたコンテンツにさまざまなフィードバック(報酬)を返す。
これには、すぐに得られるもの(スキップ、再生、いいね/嫌い、プレイリストへの追加)や後から得られるもの(視聴の完了、サブスクリプションの更新)もある。Netflixでは、推薦の良しあしを評価する報酬関数を定義し、より優れた推薦のためのポリシーを学習させ、ユーザーの満足度を最大化させることを目指しているという」。

——Netflixが、動画作品の推奨アルゴリズムを公式解説。概念的なものではあるが、なかなか参考になる。気になるのは、「報酬の総和がユーザーの満足度」になるのかどうかだ。原文に当たってみたい。

30年増収の京都・大垣書店、本の虫がつくる「刺さる店」とは LBSローカルビジネスサテライト - 日本経済新聞
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「全国で書店が減り続けているなか、京都市に本社を置く大垣書店は10年間で店舗数を約2倍に増やした」。

——動画で「ネットのアルゴリズムでは出てこない発見・出会い」と、その繁盛ぶりが述べられている。改めてコンテンツとの「出会い(発見)」の価値を確認できる。

AI revolution for news publishers is only getting started
「出版の未来は、エンジニアやプロダクトマネージャーをリーダーシップに持つ出版社にある。 残念なことに、多くの出版社にはこの種のリーダーシップが欠けており、長期的な成功を妨げている」。米メディアコンサルのMatthew Scott Goldstein氏が述べるAI革命時代のメディア。
YouTube、クリエイター向けの新機能を多数発表 AIやコミュニティ関連
「Google DeepMindのAI動画生成モデル『Veo』をショート動画に統合することで、高品質の背景や6秒間のクリップを生成できるようにする。背景は間もなく、6秒動画は来年初頭に利用可能になる見込み」。

——YouTubeが動画生成AIサービスをクリエイター向けに開発。ちょっと関心を引くのはコミュニティ機能の追加。こちらもクリエイター向けに考えられており、ファンとの交流を強化するサービスだ。当然の発想だが、それが下手だったYouTube。うまく行くか?

Webの広告がスゥ……と消える「iOS 18」の新機能に注目集まる その使い方とは
「『Safari』に搭載されたもので、Webサイト閲覧時に目障りな広告などを非表示にできる。広告が粉々になって消えていく独特のアニメーションも含め、画期的な機能と評価する声も見られた」。

——これまでもSafariには「リーダーモード」という広告など除去した簡易表示モードがあったのだが、今回の「気をそらす項目を非表示に」機能は、担当直入に邪魔な広告を粉砕する的な意図が如実に示されている。広告嫌いなAppleだから、ということでもあるのだろうが、ここまでプラットフォームが公然と広告を敵視する時代になったという象徴的なものだ。

Google will begin flagging AI-generated images in Search later this year | TechCrunch
Google、今年後半にも検索サービスで、AI生成による画像にそれを示すフラグを表示すると発表。C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)のメタデータを検出する。もっともC2PAが広く認められた標準とまでは言えない状況ではあるが。
「1週間のサブスク、4ドルでどう?」米Washington Postが公約どおり、フレキシブルな購読オプションの試行運用を開始。アクセスするユーザーによって4ドルから10ドルの間でオファをしていることが確かめられたという。
2万7000冊の書籍、AIが学習し回答 新興の情報工場 - 日本経済新聞
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「たとえばユーザーが質問欄に『異文化を持つ人々が相互理解するために必要な考え方は』と入力すると、AIが2万7千冊の書籍の中から引用し『オープンさや共感を受け入れるマインドセット』といった回答を、英語と日本語で生成する」。

——関心を引く新サービス。広義にとれば、AI検索サービスだが、情報源が「2万7000冊の書物」という点が信頼感を醸成するポイントになりそう。さらにいえば、書物を読む入り口にさえなるかもしれない。もちろん、“読んだ気になって”終わりでは困るという向きもあるだろうが、そんなリスクはすでに世の中にあふれている。

More Americans are getting news on TikTok, bucking the trend seen on most other social media sites
米Pew Researchの調査によると、2020年以降、他のどのSNSよりも、ニュース取得のために定期的にTikTokを利用する米国人の割合が急速に増加中。2020年の3%から2024年には17%と、約5倍に増加。若年層の利用で際立っている。
What the Financial Times learned from experimenting with AI
英Financial Times、今年はじめにジェネレーティブAIの応用を試すために「AccelerateAI」チームを組成。その試用結果をリーダーが説明。「脅威を恐れるあまり(あるいは実験するのが面倒だからといって)、新テクノロジーがもたらす機会を放棄してはならない」。

「人に優しいロボットのデザイン」高橋英之 - スマートニュース メディア研究所 SmartNews Media Research Institute
【ご紹介】:
スマートニュース メディア研究所が主催する研究会「AIと人間の「あいだ」を考える研究会」での議論から、メンバーである大阪大学 特任准教授の高橋英之さんにユニークな論考を寄稿いただきました。

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