Disruption This Week—–23/8/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年8月19日から2024年8月23日まで。

Twitter alternative? News publishers see potential in Bluesky
報道機関にとって、BlueskyはX代替となるか? 英Press Gazetteが、Blueskyを利用するメディア、報道機関に、このプラットフォームの可能性について訊いた。NYTimesやCNNなど大手も使い始めたこのX代替は、大手プラットフォームよりはメディア事業者に協力的なのだという。
July Exhibits Rare Upswing in TV Viewing, Amplified by Streaming and First Days of Summer Olympics, according to Nielsen’s The Gauge™ | NielsenJuly Exhibits Rare Upswing in TV Viewing, Amplified by Streaming and First Days of Summer Olympics, according to Nielsen’s The Gauge™ | NielsenShareClose
米視聴調査Nilsen、7月のTVおよびストリーミング視聴者調査を発表。YouTubeがテレビ視聴の41.4%を占めた。ストリーミング・プラットフォームとして初めてTV視聴全体の10%を突破したことも明らかに。
「生成型AI」活用急ぐグローバル縦読み漫画…韓国で高まる「規制・政策」急ぐ声
「縦読み漫画『ウェブトゥーン』のグローバルなプラットフォームが生成型AI(人工知能)の活用を積極的に進める中、韓国国内でも関連する規制や政策の整備が急務だという声が高まっている。新技術に対応する政策の枠組みが整備されていないため、ウェブトゥーン業界は海外市場に目を向けている状況である」。

——お隣りの韓国発の話題だが、効率的な多言語対応が求められるクリエイティブ(まさにこのウェブトゥーンなど、コミックスはそうだろう)には、ジェネレーティブAIサービスとの融合、利用が急務だろう。その一方で、剽窃や改ざんも簡単に起きそうだ。権利保護と市場活性化策の両面が浮上するという図式がAIにはついて回る。

Pindrop、精度99%でディープフェイク音声を見抜く「Pulse Inspect」をローンチ

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

Pindrop、精度99%でディープフェイク音声を見抜く「Pulse Inspect」をローンチ
「Pindrop によると、350以上のディープフェイク生成ツール、2,000万以上のユニークな発話、40以上の言語で独自のディープフェイク検出モデルをトレーニングした結果、約20万サンプルのデータセットの社内分析に基づくディープフェイク音声の検出率は99%に達したという」。

——“Deep”なのか“Cheap”なのかはいざしらず、世界では手軽に画像合成、音声合成などができるツールが出回るようになっている。これらを解析し、合成の痕跡を検知するツールやソリューションも、動き始めている。

OpenAI signs deal to train on Condé Nast content, surface stories in ChatGPT | TechCrunch
OpenAI、雑誌メディア大手の米Condé Nastと提携。ChatGPTおよびSearchGPTで、New Yorker、Vogue、Vanity Fair、Bon Appétit、そしてWiredなど名前の立ったメディアのコンテンツを学習、表示できるようにする。契約内容の詳細は不明だが、複数年契約との情報だ。
デジタル広告で生成AIを使用する際の課題
「IABが、デジタル広告で生成AIを使用する際の法的問題とビジネス上の考慮事項を整理したホワイトペーパーを発行。著作権などの知的財産権、プライバシー、倫理など」。

——ほぼ全文の引用なので恐縮ですが。広告をめぐるジェネレーティブAIの利用も、実は昨今の重要な課題。記事中に資料原典への倫苦あり。

オリンピック、TVer再生が1億回超…民放初の配信一本化が奏功・放送では視聴率伸びず
【有料購読者向け記事】:
「民放が受け持った試合のライブ配信と、日本選手の活躍を短くまとめたハイライト動画、配信開始から1週間の見逃し配信などにより、計約3800時間分を提供。約2100万人が利用し、総再生数は1億1000万回を超えた。総再生時間は2300万時間に上った」。

——時差が絶妙に日本の視聴時間とずれていたことで、この種のオンデマンド視聴を伸ばす格好に。またそもそもTVer自体の認知も高まっていた。記事は「昨年7月に3000万人弱だった月間利用者数が、今年7月は過去最高の4000万人超となる」と伝える。リアル視聴の衰退と好コントラストに。

米Bloomberg Media、6月には全世界での購読者数54万人を公表し、好調に成長を続けている。記事は同メディアCDO(Chief Digital Officer)のJulia Beizerにその好調の理由をインタビューする。同氏は、HuffPost、Washington Postでデジタル(プロダクト)を推進した。
OpenAIの「SearchGPT」はグーグルへの挑戦状…「検索には、今よりもはるかに優れたものになる余地がある」
「サム・アルトマン(Sam Altman)CEOも『検索には今よりもはるかに優れたものになる余地があると我々は考えている』とXに投稿し、『「昔ながらの検索」の方がいいと思うことに、我ながら驚いている』と付け加えた」。

——少し前にOpenAIが発表したAI検索「SearchGPT」の実像が少しずつ見えてきた(先日、日本でもAI Overviewsを公開したGoogleは、SearchGPTに先んじるのを重視したのだろう)。
チャットボットの利用用途は、なによりも「教えて」だろうから、検索との親和性が高いことは想像できる。まさに「検索はもっと進化できる」。

Local News Is Dying, but Not in San Francisco
【有料購読者向け記事】:
米国内のローカルメディアの危機的な状況について何度か紹介している。この記事はその逆の現象を報じる。場所はサンフランシスコ。この地域では10年前と同数で27ものメディアが存在する「超競争的環境」。
中でも際立つのが、富豪に支援されたThe San Francisco Standardで、2021年創刊だ。

Disruption This Week—–16/8/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年8月13日から2024年8月16日まで。

SAG-AFTRA Strikes Groundbreaking AI Digital Voice Replica Pact With Startup Firm Narrativ
米SAG-AFTRA(映画俳優組合・米テレビ・ラジオ芸術家連盟)、新興AI企業Narrativとの間で、会員である声優の音声を用いたスポット広告の制作と広告主とのマッチングを行う事業について契約を締結。声優への支払いが定めた額を下回らないようにするなど各種保障を盛り込むもの。

How does the BBC use AI?

Media Makers Meet | What’s new in media

How does the BBC use AI?
「例えば、『スプリングウォッチ』という番組があ。自然を題材にしたシリーズで、AIは、予想される野生動物の種類を学習した上で、鳥や動物を発見する。 プロデューサーは何時間もかけて撮影した映像の中からカモが映る場所を探す手間が省ける」。

——英BBC在籍の「テクノロジー予測ヘッド」のタイトルをもつLaura Ellis氏にインタビューした記事。(ジェネレーティブ)AI利用の意義と、一方で課題(リスク)などに言及。そのリスクについて、同社がどんなポリシーで対処しているのかなどにも言及。

UK local newspaper closures update: 293 now gone since 2005
米ローカル紙が次々と休刊…。“ニュース砂漠化”が話題になって久しいが、英国でも同様の現象。
英Press Gazette調べでは、過去2年間で22の英ローカル紙が休刊。2005年以降では少なくとも293紙が消滅。
だが、デジタル創刊も20との朗報もある。

「AI編集者」と講談社現代新書の表紙や帯を生成、開始1カ月で18万回利用

AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議 – 宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム「AdverTimes.(アドタイ)」

「AI編集者」と講談社現代新書の表紙や帯を生成、開始1カ月で18万回利用
「サービスは、担当編集者の『相川さん』に扮したAI との対話を通して進む。相川さんから『早速ですが出版までに本のタイトルを決めていきましょう、タイトル案を教えて下さい。』とチャットが届き、自ら考えたタイトルと著者名義を入力する」。

——一言で言えば、現代新書の企画シミュレーション(ゲーム)ということだろうか。実際の出版企画に結びつくものが出てくる可能性もあるのでは?

The Little Streamer That Could
【有料購読者向け記事】:
「FAST」(Free Ad-Supported Streaming TV)が注目されているが、なかでも米Fox傘下の「Tubi」が話題。視聴調査のNielsenによれば、総視聴時間でPeacock、Max、Paramount+、Apple TV+を常時上回り、Disney+と互角の戦いを繰り広げる。視聴を伸ばしている背景には、視聴無料というのに止まらず、視聴者登録も不要という手軽さがあると指摘する記事。
ポーランド起業家、メタ提訴へ 権利侵害する偽広告を放置と主張
「ポーランドの起業家ラファウ・ブルゾスカ氏は、フェイスブックとインスタグラムに自身の顔を使った偽の広告が掲載され、妻に関する虚偽の情報が拡散されたとして、メタを提訴する考えを明らかにした。問題を報告した後も広告が表示され続けることについて、同社の責任を追及する」。

——各国で同様の事象が起きているわけだ。認識すべきなのは、同じ手法が、あるいは同じ犯罪者集団が世界で暗躍しているのではという仮説。もう一つのポイントは、規制当局が強く動かなければ、Metaは、この種の犯罪を抑え込もうとしないということ。つまり、世界で一斉に抑止する行動をとらないということのようだ。

視聴者が「切り抜き動画」作れる番組、フジテレビが放送 番組の放送前後に素材を提供
「動画共有サービス『TikTok』を運営するバイトダンスは8月13日、視聴者が切り抜き動画を作成できるテレビ番組『1分 de トレンドシェア キリヌキ可TV ~ウチのキリヌキはご自由に~』をフジテレビで放送すると発表した」。

——なんとなく既視感のある発想。“うまく話題を呼べれば…”ステップアップを考えようかというアプローチだろう。最初からもっとユーザーに自由度を提供しなければなと思う。

Separate, unequal, and ‘glorious’

Columbia Journalism Review

Separate, unequal, and ‘glorious’
分離、不平等、そして「栄光」——。
Clay Christensen氏の「イノベーションのジレンマ」学説をニュースメディアに当てはめると何が起きるか。社内外の新興勢力に対する旧編集部勢力の猛反発だ。これらを分離すべきか、統合すべきか。最近の米Washington Post、CNNなどを題材に論じる記事。
Elon Musk's misleading election claims have accrued 1.2 billion views on X, new analysis says
こちらは英国暴動関連ではないが、Elon Musk氏の問題投稿をめぐる分析。非営利団体Center for Countering Digital Hateの調査分析によると、同氏が今年Xに投稿した米大統領選関連の偽・誤情報は50件を超え、約12億ビューを生んでいる。いずれにもコミュニティ・ノートは付されていないというのだが。
イギリス暴動の発端「デマ」捏造の女逮捕 イーロン・マスク氏も偽情報を拡散 | TBS NEWS DIG
「現地メディアによりますと、女はイギリス中部に住むアパレル会社の役員で、X上で殺人犯の名前を捏造した上、『去年、ボートでイギリスに渡って来た難民だ』とする虚偽の投稿をした疑いが持たれています」。

——先にBBCの真偽検証(BBC Verify)チームからの記事を紹介した。どうやらその延長線上(つまり、影響工作というよりも経済犯か)で逮捕に至ったようだ。タイトルに加えられたマスク氏の件は、同氏がX上で散々、偽誤情報を振りまいていることを指す。別の投稿で紹介しよう。

Disruption This Week—–3/8/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年7月29日から2024年8月1日まで。

How AI is changing the shape of innovation in media 

Media Makers Meet | What’s new in media

How AI is changing the shape of innovation in media 
メディア業界人向け専門メディア「Media Makers Meet」、メディア業界がどのようにAIを活用しているかを、「コンテンツの作成とキュレーション」「ターゲットを絞ったコンテンツ推薦」「データに基づく洞察の向上」「自動化と業務の効率化」の5類型で事例を紹介する。
OpenAI、ChatGPTの「高度な音声モード」をロールアウト中 秋には全Plusユーザーに
「米OpenAIは7月30日(現地時間)、5月の発表イベントで予告したChatGPTアプリのGPT-4oベースの『高度な音声モード』のα版を、一部のChatGPT Plusユーザーに提供開始すると発表した」。——これは興味深い進展。個人的にもChatGPT有償サービスを利用しているが、日常的に使い始めると、音声による入出力が重要になってくる。無償版のGeminiでは同種サービスはないようなので、「GPT-4o」の「高度な音声モード」に期待。

News is TV genre seeing biggest dip in viewing - Ofcom
英放送行政を所管する組織Ofcomのリポートで、英視聴者がTV放送で「ニュース」視聴を昨年1年間で1人当たり16時間減らし、88時間となったことを明らかに。この結果、視聴分野のランキングが一つ下がり、スポーツ、ドラマに次ぐ3位となった。SNS利用の増加がその一因かと示唆。
インターネットの利用環境、「スマホのみ」が全体で55%/女性は65%と高い傾向【LINEヤフー調査】
「60代以上のシニア層においては、直近3年間の『スマホ』でのインターネット利用者の増加傾向が見られた。2021年10月と2024年4月を比較すると、60代は9ポイント上昇の87%、70代は17ポイント上昇の59%となった」。——最近、着目しているのが「シニア層」でのスマホ経由のネットアクセス比率(「メディアアクセス」でないことには注意が必要)。「若者=スマホ、シニア=TV」という図式は既に崩れているが、シニア層の“メディア接触”が、どうネットメディアへと動いてくかがに関心がある。想像だが、YouTubeが重要な役割を果たす。

Is A.I. Unstoppable? Some Hollywood Craftspeople Fear the Answer Is Yes.
【有料購読者向け記事】:
昨年、米Hollywoodで俳優および脚本家らの長期間のストライキがAI利用の厳しい制限を勝ち取った。だが、その他の働き手にとってはAIの脅威は増大している。記事は、映像制作者やアニメータがテクノロジーの進化で大きな影響を受けていることを伝える。
日本が拠点の海賊版対策団体は中国での取り締まりで大きな成果を出しつつある
「TorrentFreakは『中国は、著作権侵害に対する対応が甘いという認識が従来はありましたが、むしろ中国当局は海賊版サイトの運営者を逮捕する動きがかなりスピーディーで、著作権侵害の取り締まりに熱心に取り組んでいるようです。2023年から2024年にかけての訴追件数は、アメリカよりも中国の方が多い可能性があります』と指摘しています」。——いろいろと興味深い情報が漏られた記事。特に「CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)」の活動には注目。さらに、引用箇所のように、中国での取り締まりの活性化の動向も興味深い。

Fewer digital news outlets launched last year, according to a new global report
Google News Initiativeが資金援助する調査プロジェクト「Global Project Oasis」によると、デジタルニュースメディア企業の創業が、2022年以降急減。調査はデジタルネイティブなニューススタートアップの動向を調べる。「経済的課題、成長の鈍化、政治的紛争」を背景に見る。
The music industry is engineering artist popularity – listeners are right to be angry
Spotifyサービスでプレイリストを再生中に、何度も同じ楽曲と出会うことがある。「繰り返し再生を求めての賄賂」の可能性をさまざまな面からSpotifyに当たった記事。行き着いた事態は、「多くのアーティストやほとんどのレーベルはSpotifyからの報復を恐れている」だ。
Websites are Blocking the Wrong AI Scrapers (Because AI Companies Keep Making New Ones)
AIサービス提供企業による無断のコンテンツ学習を防ぐために、多くのWebメディアはAIサービスのクローラがサイト内をクロールするのを拒否するrobots.txt記述を乱発している。記事は次々と現れる新たな名前でのクローラ排除が困難になっている状況を詳細に紹介する。
TikTok Collected U.S. Users’ Views on Gun Control, Abortion and Religion, U.S. Says
【有料購読者向け記事】:
米司法省、TikTokが中国拠点の親会社ByteDanceの指示により、米国ユーザーの意見を収集していたと発表。収集されたデータには、銃規制、中絶、宗教などに関するものが含まれていた。同アプリが安全保障上の脅威とする最大の主張となるものだ。

Disruption This Week—–26/7/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年7月22日から2024年7月26日まで。

13 ideas for fresh news formats
「ニュースフォーマットとは何か? ニュース記事の書き方やスタイル」のことだ。旧来、新聞では「逆ピラミッド型」が定着していたが、Web上ではさまざまなスタイルが開発されている。箇条書き、リスト、FAQ、タイムライン…など。新しいニュースメディアを考える整理の参考になりそうだ。
With Google in its sights, OpenAI unveils SearchGPT | TechCrunch
OpenAI、PerplexityやGoogle AI Overviewsに対抗するAI検索サービス「SearchGPT」を発表。ライバルと同様に、質問を入力すると、関連する情報源へのリンクとともに、Web上の情報や写真を表示するというもの。質問者のコンテキストを知るために位置情報を利用するとしている。
スポティファイ株急伸、四半期利益は過去最高-有料会員が急増
「23日の米株式市場で、音楽ストリーミングを手掛けるスウェーデンのスポティファイ・テクノロジーの株価が急伸し、約3年ぶりの高値を付けた。同社の4 – 6月(第2四半期)決算は過去最高益となり、有料会員数も急増した」。

——別の投稿で情報提供をしたいが、同社は現在、楽曲以外の音声分野(最初はポッドキャスト、さらに現在はオーディオブックを推進)で、今後の成長戦略を描いている。一方で、足もとの業績(特に利益)は、人員削減、一部地域での値上げなどで稼いでいるように見える。

Why Guardian has expanded paid content offering with launch of recipe app Feast
英Guardian、レシピアプリ「Feast」を本年4月に投入。着実にファンを伸ばし、現在は10万ダウンロード超に。同社は、定期購読者に加えて寄付金支払者(従来は「メンバー」と呼び、現在は「サポーター」とする)をさらに拡大するための重要ファクターとしているという。同社のレシピコンテンツには従来から根強いファンが存在していた。
マスク氏のX、ニュースで偽情報続出 AIリスク露呈
【有料購読者向け記事】:
「(XのAI「Grok(グロック)」が生成した)ある見出しは、カマラ・ハリス副大統領が撃たれたと伝えた。この誤りは、バイデン大統領がトランプ大統領とハリス副大統領の名前を言い間違えたという、無関係の事件に対する皮肉が原因となったようだ」。

——X投稿から、人々が知るべきニュースをAIが生成して迅速かつ簡略に伝えるというイーロン・マスク氏の構想。今のところ、信頼性の面は実用的ではないということのようだ。

Google、ついに「Chromeのサードパーティ Cookie を廃止するつもりはない」と発表。プライバシーサンドボックスの今後についても言及 | DIGIDAY[日本版]
「Googleは米国時間7月22日のブログ投稿で、『サードパーティのCookieを廃止するつもりはない』ことを明らかにした。その代わりに、ユーザーがWeb閲覧中に十分な情報を得たうえで選択でき、いつでも調整できる『Chromeの新しい体験』を導入するという」。

——この数年の空騒ぎの末、Googleは市場シェア最大の同社Webブラウザ「Chrome」におけるサードバーティCookieのサポート継続を表明した。一般消費者の(感情を含めた)広告による追跡への忌避に配慮した代替広告技術を開発してきたが、最終的に自社および広告業界の収益毀損を免れないと判断したのだろう。
そもそもサードパーティCookie廃止への動きは、広告事業に軸足を持たないAppleが主導した動きで、最大の広告技術プロバイダであるGoogleはいやいや追随してきたのだが、その姿勢もかなぐり捨てた。広告業界は、消費者にとって、不快な、懸念される広告技術とともに心中する覚悟らしい。
いや、もうちょっとマシな代替技術の開発を諦めていないとGoogleは未練を残すのだが。

In 1924, a magazine ran a contest: “Who is to pay for broadcasting and how?” A century later, we’re still asking the same question
100年前の1924年春、米国の「Radio Broadcast」というラジオ放送業界紙は、「誰に、どのように放送料金を支払ってもらうのか?」との懸賞金付きでアイデア募集を行った。1,000件近い応募があったが、すべて不採用だったという。100年前の問いが解けていないという問題。
Behind the scenes of China's first independent fact-checking initiative
中国国内でも、政府主導ではなく、種々の偽誤情報の検証に当たるボランティアベースのファクトチェックグループが存在する。「China Fact Check」がそれだ。WeChat上のみで活動。ボランティアが見つけた大量の疑わしい情報にグループで対処する。同組織の創設者が解説する。
トーハン、ファミリーマート・ローソン1万店の雑誌配送終了へ - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「出版取次大手のトーハン(東京・新宿)がファミリーマートとローソンの計約1万店への雑誌配送を終了することが19日分かった。対象店舗は雑誌の売り上げが少ない店舗を中心にコンビニエンスストア側と協議して決める」。

——雑誌物流(書籍ももちろん同様だろうが)が大変なことになっている。トーハンは、日販が停止するコンビニへの雑誌配送を引き継ぐはずだったが、その内、売上の少ない店舗への配送について継続しないというわけだ。

“AIによるフェイクニュース”を検知・分析する技術、富士通が開発へ
「各投稿情報について、その根拠の整合性や矛盾を大規模言語モデル(LLM)により分析し、情報がAIで作られていないかなどの作為性の判定。偽情報の特徴を分析し、拡散規模や社会的な影響度を評価する技術も開発する」。

——上記のLLMが情報の真偽を判定する箇所が、サムネールにおける「特徴3」に該当するのだろうか? そのようなメソッドが作れるのかどうか、大変に興味があるところ。

「どうしたいか」を考え、定義することが最大のポイント(藤村厚夫)

AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議 – 宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム「AdverTimes.(アドタイ)」

「どうしたいか」を考え、定義することが最大のポイント(藤村厚夫)
【ご紹介】:
「AdverTimes.」創刊20周年の記念に、過去連載させて頂いた経緯からコメントを寄稿いたしました。自分自身の過去を振り返るメモみたいなものですが。

Disruption This Week—–5/7/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年7月1日から2024年7月5日まで。

2024 Zero-Click Search Study: For every 1,000 EU Google Searches, only 374 clicks go to the Open Web. In the US, it’s 360. - SparkToro
検索が自社サイトへ送客してくれるとのメディアの期待値があるが、米ユーザー間では、Googleでの検索1,000回ごとに、360クリックのみがGoogleが所有しない、Googleが広告料を支払わないコンテンツやサービスに到達。逆にいえば、全検索の2/3近くが、検索後もGoogleのエコシステム内に留まっていることになるとの分析記事。
「生成」ではなく「模倣」、
大手レコード会社提訴で
音楽AIの未来に暗雲
【有料購読者向け記事】:
「権利保有者がAI企業に対して起こした訴訟の中では、これまではニューヨーク・タイムズがよい例とされてきました。ですが、スーノとユーディオに対する訴訟は、AI企業にとって多くの点でさらに不利なものです」(米コーネル大学法科大学院のデジタル情報学教授ジェームス・グリメルマン氏の発言)。

——AI(企業)とコンテンツ権利者との争いが、いきなり本題に入ったというのがこの記事に中心。訴訟の行方を見守ろう。

Netflix, Amazon Lead With 53% of Original Streaming Title Orders in First Quarter of 2024, Study Finds
英市場調査会社Ampere Analysisによると、2024年1Qの世界の動画ストリーミングタイトル数で、NetflixおよびAmazonを併せると、全体の半数超となり他を圧倒(記事内のチャートで推移が見られる)。両サービスは、国外へと制作を外注し、量産を加速させているとする。
AI学習、権利者に適正報酬を ピクスタなどが新団体 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「画像ストックのピクスタは1日、米国とドイツの企業と共同で、生成AI(人工知能)の学習素材の権利保護をめざす団体『データセット・プロバイダーズ・アライアンス(DPA)』を立ち上げたと発表した。AI開発者による『無断学習』を防ぎ、画像や動画、音楽などのコンテンツ制作者や提供企業が適正な報酬を受け取れるよう働きかける」。

——記事を読む範囲では、「無断学習」行為を検出するなどのメカニズムについては言及がない。C2PAなどにゆだねるアプローチだろうか。単にデータ保有企業者連合(それも大規模とはいえない)で、実効性が担保できるだろうか?

生成AIで変わる10億人のGoogle検索 ネットの岐路に 編集委員 奥平和行 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「最も重要なことは、当社がコンテンツ提供者との関係を共生的と考えていることだ。ウェブ検索を主軸とする企業であり、コンテンツ提供者が独自性が高く新鮮なコンテンツをつくる強い動機を持たないと成功し得ない」。

——Google本社に、検索エンジンを統括する上級副社長を訪ねた際のコメント。同時に「AIオーバービュー」と呼ばれる、検索結果をAIによって概要紹介する機能が占める比率は10%程度として、すべてが覆われるわけではないという“(メディアへの)安心理論”を語る。実際に、現在の検索でも汎用性の高い検索に対してはそのような反応になっている。

TikTok applies for ‘Genie’ trademark in US for AI chatbot | Semafor
米Semaforによると、TikTokは、AIチャットボットソフトウェアの名称として「Genie」を商標登録申請。5月に米国特許商標庁に提出された書類によると、会話をシミュレートし、人間とAIの間の相互作用とコミュニケーションを促進し、人間のような音声とテキストを生成するという。
YouTube now lets you request removal of AI-generated content that simulates your face or voice | TechCrunch
YouTube、自分の顔や声を模倣したAI生成コンテンツやその他の合成コンテンツの削除を要請できるようサービス規約を変更。「責任あるAI」方針によるもので、プライバシー保護上の被害を受けた人物がコンテンツ削除を直接申し立てることができる方針を明確化する。ただし、この運用を適正に行うことには困難がありそうだ。
「不満を抱えた視聴者の1人は最近、SNSで次のようにいら立ちをぶちまけた。『プライムビデオにお金を払ってCMをたくさん見るってワケ分からん。うっとうしくなってきた』。
ネットフリックスとアマゾンの担当者はコメントを控えた」。

——以前紹介した米New York Timesの記事邦訳版。主旨は、広告抜きでプレミアムな映像体験ができるのを一つのウリにしてきた、Netflixをはじめとした有料ストリーミング勢力。だが、成長限界を迎えて、安価でCM入りの“TV番組もどき”版を提供するようにトレンドが変化。さらに、完全無料で広告入りの動画ストリーミングであるFASTのトレンドも高まってきている。これらを追った記事だ。

ChatGPT is hallucinating fake links to its news partners’ biggest investigations
ジェネレーティブAIが生成する論述には「ハルシネーション(幻覚)」が付きものと指摘される。代わって、AI企業はメディアとの提携に際し正確な出典(リンク)表示を約束するが、提携を発表した大手メディアへのバックリンクは誤りだらけだったとする米Nieman Labの調査結果。
What happened when British GQ stopped trying to 'feed the algorithm'
「記事の公開ペースを落とし、アルゴリズムに餌をやることを止めた」と英国版男性向けクオリティメディア「GQ」の視聴者開発・分析・SNS担当ディレクターがインタビューで語る。英GQが、より熱心なコア・オーディエンスを目指す戦略に転じた成果を詳細なチャートで解説。
「ChatGTPはなぜ、人間のような言葉を紡ぎ出せるのか?(前編)~日本の第一人者が、LLMの基本原理とブレークスルーを解説する」岡崎直観 - スマートニュース メディア研究所 SmartNews Media Research Institute
【ご紹介】:
私も関与しているスマートニュース メディア研究所の研究会報告から。東工大・岡崎直観教授が分かりやすい日本語LLM研究の原理と現状を解説します(後編も公開中)。ぜひご一読を。