Disruption This Week—–9/5/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年5月5日から2025年5月9日まで。

'Search is going off a cliff': CNN, BBC and Economist chiefs on future of news
ロンドンで開催されたイベントで、米CNNのMark Thompson CEOは、AIがGoogle検索よりもニュースと読者を結びつける優れた手段になる可能性を主張した一方、英BBCのDeborah Turness CEOと英Economist編集長のZanny Minton Beddoes氏は懐疑的な立場を表明したとする記事。
Voicing Change: How the next news interface sets a generational challenge – and opportunity – for newsrooms
Newsroom Robots Lab.の創設者Nikita Roy氏、AIがSEO(検索エンジン最適化)からAEO(アンサーエンジン最適化)へと、検索エンジンの検索結果で上位に表示されることに重点を置いた検索をどう変化させつつあるかを、シンプルな「ビフォー・アフター」のグラフで説明。
Searches on Safari dipped for the first time in 22 years, Apple’s Eddy Cue admits, and it’s because more people are using AI instead of Google
「Safariの検索数が22年ぶりに減少」。Appleのサービス担当SVPであるEddy Cue氏が認める。「何が起きているかと言えば、人々がChatGPTを使っているからだ。 彼らはPerplexityを使っている。 私も時々使っている」と述べる。
生成AI対応「5原則」発表 世界ニュース発行者協会:朝日新聞
「世界ニュース発行者協会は5日、『AI時代にニュースの信頼性を守る5原則』を発表した。生成AI(人工知能)の急速な発達によって誤情報が広がる危険性が高まっていることから、信頼できるニュースを市民が選べるような環境づくりをAI事業者と協力してめざすための原則だとしている」。

——5原則とは、「(1)生成AIがニュースコンテンツを使う際には元の発信者の許可を得る(2)ニュースコンテンツが第三者の利益に使われる場合は、その価値を公正に評価する(3)AIに使われた元のニュースを市民に明示しアクセス可能にする(4)多様なニュースメディアを活用し、AIツールから得られる利便性を高める(5)テクノロジー企業と報道機関は対話し、安全性、正確性、透明性の基準を設ける」ということ。

OpenAI content boss on Google 'ten blue links' and arrival of ChatGPT search
米OpenAIの知財・メディア担当幹部、「World News Media Congress」(WAN-IFRA主催)で講演。同社とメディアとの提携が成果をあげているとし、一方、消費者はGoogle検索に比べ、「会話的で文脈を意識した方法」であるAI検索をますます好むようになっていると述べた。

How publishers are using apps to deepen engagement and improve retention
欧米各メディア、“アプリ”で読者エンゲージメントとリテンションの強化を推進。英City A. M. はプッシュ通知で高い開封率を達成。同じくFT Editは低価格アプリとして新規顧客を開拓。デンマークZetlandはオーディオアプリで若年層を獲得。米Baltimore Bannerは購読価値を高めるツールとアプリを位置づけ必須ツールとしていると紹介する記事。
ネットフリックスやディズニーの株価下落、外国映画への関税計画で
「5日の米株式市場では、動画配信サービスのネットフリックスや映画関連銘柄が下落。トランプ大統領が前日、外国で製作された映画に100%の関税を課す方針を発表しことが嫌気されている」。

——ハリウッド系作品、Netflixを含むストリーミングまで含むとそのかなりの収入の比率が、米国外から得ているだろう。今回の措置が、諸外国から対抗策を引き出してしまえば、その米国外からの収入を毀損する可能性も大いにあるだろう。大手の株価下落はこれを反映している。

Once again, for-profit metro papers are rare among the Pulitzer winners - Poynter
2025年ピューリッツァー賞における他の特徴は、例年の定番だった、突っ込んだ調査報道を行う小規模で気骨のある新聞社の受賞はまったくなかったこと。 代わりに、全国紙や通信社の大組織が賞を独占、全国紙や専門デジタルサイトがそのリストを埋めたことだという。
The Baltimore Banner wins its first Pulitzer - Poynter
2025年のピューリッツァー賞受賞で、特筆すべきは新進気鋭のメディアThe Baltimore Bannerが受賞したことがひとつあげられる。創刊3年目の非営利事業。ローカルニュースを追求。地元バルティモアでのフェンタニル過剰摂取問題を追った。
Google's NotebookLM Android and iOS apps are available for preorder | TechCrunch
ということで、Google発、話題のNotebookLMが5月20日からアプリとして利用できる。現在、Appストアでは「予約」ができる状態に。Google Playストアでは「事前登録」状態だ。Google内で傍流プロジェクトだったNotebookLMが、徐々にメインストリームへと向かうのか。

Disruption This Week—–2/5/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年4月28日から2025年5月2日まで。

自壊するネット広告 ブランド毀損、細分化で収益も減少 – 日経デジタルガバナンス

NIKKEI Digital Governance(日経デジタルガバナンス):デジタル・AI時代のガバナンスを伝える専門メディア

自壊するネット広告 ブランド毀損、細分化で収益も減少 - 日経デジタルガバナンス
【有料購読者向け記事】:
「構造的な限界と混乱を乗り越えるためには、ユーザーの視点から見た『快適で納得感のある広告』の再設計が求められている。単なる最適化ではなく、広告価値の再定義が求められるのだ」。

——広告が逢着している極限的にネガティブな状況を包括的に説明する解説記事。事象自体にはすでに慣れ親しんでいるが、どこから読み解くべきか……という点では、クリアで説得力ある論だ。

AIエージェント支援のショッピング、広告を進化させる-ビザCEO
「同社(=米ビザ)はアンソロピックやマイクロソフト、オープンAIなどのAI企業と連携し、このサービスの導入に向けて取り組んでいる。
マキナニー氏(=ビザCEO)はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、 『今は商品があふれ、購入できる場所も多過ぎ、自分でショッピング体験を最適化する時間がない』と指摘」。

——VisaもMastercardも、AIエージェントによるショッピング機能進化に重大な可能性と懸念を見ている。悪意あるエージェントによる消費者の決済情報窃取対策はもちろんだが、一方で、消費者自身が商品購入体験を徐々にAIに委ねる可能性があり、ここに関与することはクレジット業界の死活的に重要と考えるからだ。

Americans largely foresee AI having negative effects on news, journalists
米Pew Research、調査(2024年実施)で米成人のおよそ半数が、AIは今後20年間、人々が入手するニュースに非常に(24%)または多少(26%)マイナスの影響があると回答したと公開。「非常に」(2%)または「やや」(8%)プラスに影響と答えたのはわずか10%だったという。
知識ゼロでもプログラミングができた! ChatGPTと5時間格闘したリアル体験記
「それこそChatGPTに聞いてみました。
『毎朝7時に世界中のニュースを厳選して、送るようにしたいんだけど、プログラミングしてもらえますか?』
すると突如送られてきた膨大な『コード』と呼ばれるやつ」。

——そうそううまい話があるはずもない、と決めてかかっていたが、「ChatGPTさん、隙あらば私の知らない単語を出してきてマウント取ってきます。その度に話を遮ってでも徹底的に細かく尋ねることで、次第と霧が晴れていったのです」という経緯を挟んで、ともかくめざすプログラミングが実現していく。これは興味深い。実践意欲が刺激される。

Google's NotebookLM expands its AI podcast feature to more languages | TechCrunch
何度か紹介してきたGoogle発のPDFなど長文資料の整理要約に大変便利な無料のツール「NotebookLM」。整理要約だけでなく、内容を基にポッドキャストまで生成するが、対応する音声が日本語含む多言語に広がった。
“誰が作ったか”をデジタル作品に埋め込めるWebアプリ、Adobeがパブリックβとして公開
「同アプリは最大50枚のJPEG/PNGファイルをドラッグ&ドロップで一括処理し、作者名やSNSリンク(Adobe Behance、Instagram、LinkedIn、Xなど)など任意のメタデータを埋め込める。付与したクレデンシャルは耐久性を持ち、スクリーンショットでも保持される。今後は動画や音声など大容量ファイルにも対応予定という」。

——Adobeらは以前より「C2PA」(電子透かしの技術標準)を推進してきた。その運用をより容易にしたツールと言えるだろうか。テキスト系では国産の標準化推進のOPがあるが、これからのものだ。

Publisher of PCMag and Mashable Sues OpenAI
【有料購読者向け記事】:
PCMag、Lifehackerといったテック系メディアを全世界で展開する出版社Ziff DavisがOpenAIに対して訴訟を提起。同社メディアのコンテンツを複製し、派生物を生成することで、同社の著作権と商標権を侵害とする。
日経電子版の生成AI新機能「Ask! NIKKEI」 こんな場面で便利 - 日本経済新聞
「『日本経済新聞 電子版』は有料会員向けに、ニュースの理解を助ける新機能『Ask! NIKKEI(β版)』の提供を始めました。読者がニュースに関する疑問を入力すると、生成AI(人工知能)が電子版の記事を使って情報を整理し項目立てて解説します。回答に引用した記事もすぐに参照できます」。

——さっそく記事フッタに示されるAsk! NIKKEIのスニペットで、自由文で記事の追加情報を求めてみた(コメントにスクショを貼る)。それなりに整理された情報が表示され、“使い物になる!”という印象だ。問題はこのようなUIで良いのかということだが。

YouTube Ad Revenue Bulks Up 10.3% to $8.9 Billion as Alphabet Q1 Net Profit Jumps 46%
2025年第1四半期のYouTubeの広告収入、前年同期比10.3%増の89.3億ドルに。 GoogleおよびYouTubeを擁するAlphabetは、同期業績でウォール街の予測を見事に上回った。
ただし、YouTubeの広告売上はアナリスト予想の89億7000万ドルにわずかに届かなかったが、サブスク売上などが好調だったという分析。
Alphabet、予想を上回る増収増益 「AIによる概要」のMAUは15億以上
「Alphabet全体の売上高は前年同期比12%増の902億3400万ドル(アナリスト予想は891億2000万ドル)、純利益は46%増の345億4000万ドル(1株当たり2.81ドル、アナリスト予想は2.01ドル)だった。売上高は7四半期連続の2桁台の増加で、アナリスト予測を大きく上回った」。

——具体的には? という問いには「部門別では、広告、Android、Chrome、デバイス、Googleマップ、Google Play、検索、YouTubeを担う『Googleサービス』セグメントの売上高は10%増の773億ドル。YouTube広告が好調だった」という回答だ。

Disruption This Week—–25/4/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年4月21日から2025年4月25日まで。

ダウ・ジョーンズ に聞く、メディア戦略と持続可能なジャーナリズムを支えるAI哲学 | DIGIDAY[日本版]
【有料購読者向け記事】:
「パブリッシャーがAIとどう向き合うか――その姿勢と指針を明確に打ち出し、業界を牽引していくことが、これまで以上に重要になっている。具体的に言えば、メディア企業が注力すべきは、ニュースコンテンツの『生産』『消費』『配信』『収益化』という一連のプロセスにおいてAIをどう活用するか、ということだ」。

——Wall Street Journalなど数々の経済紙やB向けメディアを運用するダウ・ジョーンズ。最近では読売新聞とも提携を発表した。その最高技術責任者(CTO)であるアルテム・フィッシュマン氏が語るAIとジャーナリズムの未来。

They Criticized Musk on X. Then Their Reach Collapsed.
【有料購読者向け記事】:
米国の政治に多大なインパクをもたらしているElon Musk氏。同氏は同時に大規模SNSでありメディアのXのオーナーでもある。Musk氏と言論で衝突した3人のインフルエンサーは、衝突直後からX上でのリーチを壊滅的に失ったとデータで裏づけられたとするNew York Timesの分析。
YouTube marks 20th birthday, teases TV app redesign & custom Multiviews
米Google傘下、YouTubeが創業(サービスイン)から20年を迎えた。同サービスには累計20億超の動画(音楽・ショート動画含む)がアップロード。現在は、1日当たり2,000万本以上がアップロードされているという話題。
Teens, Social Media and Mental Health
米Pew Research Center、13〜17歳の米国の10代とその親を対象とした最新の調査結果を公開。10代の約半数(48%)が、SNSが同年代の人々に悪影響がある懸念。2022年の32%から増加。一方、自分自身への懸念は24%から14%へと減少させており、複雑な反応を示す。
Character.AI unveils AvatarFX, an AI video model to create lifelike chatbots | TechCrunch
米Character.AI、実在の人物や(アニメキャラなど)架空の存在を、AI生成して動画チャットボットを構築するAvatarFXをデモ。記事内でデモ動画など確認できる。OpenAIのSoraなど動画ジェネレータと違うのは、もちろん既存画像(自分の写真)を用いて生成できることだ。
応用情報技術者試験に「生成AIと著作権」出題 あなたは解ける? SNSでは「サービス問題」との声も
「情報処理推進機構(IPA)が4月20日に実施した『応用情報技術者試験』午前の部で、生成AIと著作権に関する選択式の問題が初めて出題された。SNSでは『サービス問題だった』という声も聞かれるが、あなたは解けるだろうか」。

——応用情報技術者試験の問題見本が例示されているが、正直に言って難しいと思った。これは勉強しなければ…。

The Washington Post partners with OpenAI to bring its content to ChatGPT
米新聞の一角であるWashington Post、OpenAIと提携。ChatGPTでの検索に、WaPoの記事が要約等で明示されるようになる。WaPo幹部は「視聴者が望む場所、方法、時間にアクセスを提供するという我々のコミットメントにつながる」と述べる。
もちろん提携のための取引額は非公表だ。
Netflix posts major earnings beat as revenue grows 13% in first quarter
市場が混乱の下、先週、四半期業績を開示したNetflix株が上昇している(発表直後は4%上昇)。第1四半期の売上は13%増。通期業績では435億ドルから445億ドルになるものと予想。主に値上げが寄与。一方で、会員獲得数を初めて公表しなかった。
Bots influencing election discussion on social media
オーストラリアで選挙期間中の偽情報対策をめぐる議論。偽情報検出を事業とするCyabra社によると、選挙をめぐりXに投稿された情報20%が偽アカウント(ボット)によるもの。AI生成の画像などで感情的な操作を目的としていたという。

Disruption This Week—–18/4/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年4月14日から2025年4月18日まで。

Top 50 news websites in the world: New York Times overtakes BBC
英メディアPress Gazetteによる、世界の英語サイトトップ50ランキング(2025年3月版)。Trump政権の繰り出す政策を追って、著名な伝統的報道メディアへのトラフィックが急増(昨年同期比)。AP通信、Politico、Reutersなど数十パーセントの上昇を示す。
Global ad spend against news down by a third since pre-Covid
報道コンテンツへの世界の広告費が6年間で3分の1に減少と予測。米広告コンサルティングのWARC、2025年報道への広告費が323億ドルと、19年と比較して33.1%減少するとする。大きな原因のひとつが「キーワードフィルタリング」だ。ハードな報道コンテンツへの回避傾向が強まっている。
一方、26年には、インフルエンサーやクリエイターへの広告支出に凌駕されるとも調査は指摘する。
OpenAI is building a social network
OpenAIが、X風のソーシャルメディア(SNS)を開発中との業界情報。プロジェクトは初期段階だが、ChatGPTの画像生成に焦点を当てた内部プロトタイプがあり、ソーシャルフィードを備えている。社内での評価が始まった段階だという。
公取委が米グーグルに排除措置命令、独禁法違反を認定
「発表によると、グーグルはスマホメーカーに対し、グーグルプレイの使用を許可する条件として、『グーグルクローム』を搭載し、初期画面に配置することなどを求めていた。また、検索広告の収益の支払いの条件に、競合他社の検索サービスの排除を要求していた」。

——欧州などの先行事例に遅れて、日本でもGAFAMなど超大手ITによるメーカー囲い込みが排除措置に。ただし、Google関連アプリは人気プロダクトなので、この存在を隠すようなスマホがあっても、魅力が乏しいだろう。

NewsGuard’s Fight Against Censorship
気になる話題。米国で各種(メディア)サイトの情報の信頼性評価を事業とするNewsGuard。同社は、事業が左右両極端の勢力からの検閲の脅威にさらされているものの、断固として検閲に反対すると表明。右派サイトだけでなく左派サイトからも同社は攻撃されているという。
ネットフリックス、新しいAI検索エンジンを試験運用-番組探し支援
「同社(=Netflix社)によると、この検索エンジンはオープンAIの技術に基づいており、例えば気分を表す語など従来よりも具体的な言葉で検索でき、提供作品から候補が提示される。
オーストラリアとニュージーランドの一部会員は既にこの機能を使える」。

——先日は、「レグザ」ブランドのスマートTVにGeminiが搭載された話題を紹介したが、同様のアプローチがストリーミングOSにも。TVが究極の暇つぶし娯楽だとすると、怠惰なユーザーに、面倒な“検索行為”をいかにして行わせられるかが重要。やはり、訊ねなくても気分に合った提案が出てくるようにするのが、本質的な答えのような気がする。

The origins of Patch’s big AI newsletter experiment
全米各地向けの“ハイパー・ローカルニュース”メディア(細かく地域を分けて、専用ニューズレターを刊行)を運営するPatch。膨大な数にのぼる「ニュースキュレーター」(人間)に依存した事業だったが、地域発のさまざまな情報の収集・記事生成をAIによって行うと発表した。
「これらのニューズレターは、地域のニュースサイト、ソーシャルメディアグループ、町の公式ウェブサイトからスクレイピングし、大規模言語モデル(LLM)を使用して、最も関連性の高い見出しを選択し、記事の要約を作成する」という。
“Just the tip of the iceberg”: The New York Times’ Zach Seward on embracing AI
米New York Timesの初代AIイニシアティブ編集ディレクターに就任したZach Seward氏、インタビューに応え、NYTはAIに記事を書かせることはないとする一方、記者が膨大な資料、データから事実を見いだす支援をAIに任せることに取り組み、実績も生んでいると述べる。
The next big AI shift in media? Turning news into a two-way conversation
例えば、X上の多くのユーザーが、今では(xAIの)Grokをタグ付けして会話のフォローアップを行っている。ジェネレーティブAIを適切に用いることで、ニュースとの新しい接触(一方通行でない会話)の仕方が生み出されるかもしれないとする記事。
European Broadcasting Union launches fact-checking unit
EBU(欧州放送連合:European Broadcasting Union)は、欧州の公共放送のコンテンツ部門がネット上の誤報と闘うための支援を強化中。オープンソースの情報によるファクトチェックに取り組む新たな共同ネットワークを立ち上げた。
(パブリックエディターから 新聞と読者のあいだで)多メディア時代、情報の目利き役に 藤村厚夫:朝日新聞
【ご紹介】:
朝日新聞に、同社のパブリックエディターとしてコラムを寄稿しました。よろしければご一読を。

Disruption This Week—–11/4/2025

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2025年4月8日から2025年4月11日まで。

WordPress.com launches a free AI-powered website builder | TechCrunch
WordPress、AIを搭載した無料のWebサイト・ビルダーを発表。ユーザーはまず、自分のWebサイトのアイデアを説明するプロンプトを入力。 プロンプトでは、サイト名、簡単な説明、どのようなコンテンツをホストするかなどについての情報を提供し、できるだけ具体的に説明する。その後、生成されたサイトについて、AIとのチャットでユーザーの意向を反映した修正を重ねていくとする。
AP Debuts New Multiformat AI-Powered Content Delivery Platform
AP通信、ユーザーがAP通信が擁する膨大なビジュアル、オーディオ、テキストコンテンツをより簡単に検索し、利用できるよう設計された、新しいマルチフォーマットAI搭載のコンテンツ配信プラットフォームを発表。
「どこまで読んだっけ?」を解決。Kindleに新機能「Recaps」が登場
「Kindleが新機能『Recaps(リキャップ)』を発表。これは、本を読む前にサクッと内容を振り返れる“あらすじまとめ”のようなもの。まるでテレビ番組の『前回のあらすじ』のように、物語や登場人物の流れを簡単にチェックできるようになります」。

——面白い。ある意味で書籍の要約サービスのようなものだが、いろいろ考えると、あれこれと派生的なサービスを夢想してしまう。日本語版で機能しているのか確認してみたい。

Which types of people aren’t big fans of “impartial” news? People who don’t have power
世界40か国の、ニュース嗜好をめぐる大規模調査結果が公開。調査対象者の多くが“公平なニュースを好む”と回答する一方、分析の結果では、自分の好む結果を報じるニュースを好む傾向が強い。特にその傾向の強いグループも明らかになってきた。

Will A.I. Save the News?

The New Yorker

Will A.I. Save the News?
ニュース報道の長期的研究によると、何十年もの間、着実にネガティブな報道が増えている(文献あり)。 過去80年間、世の中が確実に悪化してきたということはない。 悪化しているのは世の中ではなく、ニュース業界の中なのだ。AI要約はこれを改善できるかもしれないとする論。

What was Quartz?

Zach Seward

What was Quartz?
三度(?)売却されたQuartz。2012年創刊の近未来的(であった)米Webメディア。一度は日本のユーザベースがオーナーに。創業者が振り返る、その売却の歴史。
「メディアビジネスは、理想主義者と皮肉屋の戦いのように感じられることが多い。私が好きな現代の ニューススタートアップのほとんどは、非営利の道を選んでいる。非営利の道には大きな課題もあるが、少なくとも皮肉屋の課題は一つではない」。
「30分くらいで楽しめるものない?」 Geminiと対話して動画を探せるテレビ、TVS REGZAから
「リモコンの『ボイス』ボタンを押しながらGeminiに話し掛けると、Googleが提供する音声認識サービスによって画面に会話が表示され、見たいものを探せる。例えばちょっと時間が空いた時に『30分くらいで楽しめるものない?』などと言うと、Geminiは『今話題のドラマ』『途中まで見ていたアニメ』『新着のおすすめ』といった候補を挙げる」。

——究極の“暇つぶしメディア”と、頭のなかで呟いてみたが、メディアってだいたいはそんなものかもしれないと思い直した。多忙な瞬間にはニュースに向かってなどいない。この製品に疑念があるとすれば、人間はわざわざ“(自分はヒマなので)なにかいい作品ない?”と問いかけたりしないのではないかということ。

高齢者はYouTubeに夢中になっている。これはハリウッドにとって新たな警鐘だ | Business Insider Japan
【有料購読者向け記事】:
「YouTubeの65歳以上の成人による視聴は過去2年間で96%増えて、ほぼ倍増し、ユーザーの15.4%を占める。2歳から11歳の子どもは16.9%で、両者の割合はほぼ同じだ。また、50歳から64歳の人々は同期間でYouTubeの視聴時間を62%増加させた」。

——すでに紹介しているが、米国でのNielsenの調査に基づく記事。ケーブル、放送、ストリーミング横断の測定で、YouTubeが(Disney、Netflixなどを抑えて)最大のシェアを獲得。興味深いのは、記事中でメディア業界人や広告業界人がいまだにYouTubeを正統的なメディアと見ていないにもかかわらず、シニア層の視聴者が急増しているというギャップに言及していることだ。

Independent says readers ‘often prefer’ stories on new AI ‘Bulletin’ to human-written versions
英メディアIndependent編集者、同メディアが活用を始めたGeminiを利用した記事要約サービス「Bulletin」が好調と伝える。人間執筆の記事以上に好まれることがあり、トラフィックを稼ぐ。理由の一端として、Googleディスカバーに掲載されるとの微妙な“マジック”に触れた記事。
Gen Z outlet says it proves young people will pay for news done the right way
18歳〜35歳、つまりZ世代とミレニアル世代をターゲットとするRocaNews。Instagramをプラットフォームに2020年に創業したニュースメディアは、ニューズレターやYouTubeにニュースネタを用いたクイズなどで、有料購読者を200万人超に。昨10月には黒字化したとする話題。