Disruption This Week—–9/8/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年8月5日から2024年8月9日まで。

The real story of the website accused of fuelling Southport riots
「私が見つけたのは、犯罪ニュースを集約し、ソーシャルメディア上で金儲けをしようとする金銭目的の活動のようだ。 (暴動の引き金とされる偽情報の発信源)『Channel3Now』の誤報(ミスインフォ)がロシア国家と関係しているという主張を立証する証拠は見つからなかった」。

——BBCの偽情報分野の担当記者が、英国全土に広がった暴動の起点となった情報源を分析。その“ニュース”メディアを運営する人物らとの接触を行った。

一時、“ウェアラブルAI”デバイスとして期待された「AI Pin」。
新興企業Humane社が発表して喧伝されたが、製品の完成度は不十分だったようだ。
米メディアVergeが入手した社内販売データでは、5月から8月にかけて、購入されたAI Pinよりも返品されたAI Pinの方が多かった。 6月までに、返品されなかったのは約8,000個だけだったと販売関係者筋の情報。個人的にはAppleが熟成すれば、ぐっと違うものになっていたのではないか。もっとも、Watchで十分それはできるということになるかもしれないのだが。
CNN Launches FAST Streaming Channel Focused On Original Series (Exclusive)
米メディアThe Hollywood Reporter、米CNNがオリジナルを主要コンテンツにしたFASTチャンネルを解説と報道。「FAST」は購読無料で広告を表示する動画ストリーミングのこと。廉価版+広告表示のストリーミング勢に対抗するトレンドになっている。
逮捕者400人、偽誤情報「反移民」「反イスラム」英刺殺傷事件でSNS起点に暴動全土へ
「『ホープ・ノット・ヘイト』の7月31日のまとめによると、事件のあった7月29日午後5時57分から、メッセージサービス『テレグラム』で、翌30日の午後8時、イスラム教のモスクがあるサウスポートの通りに集合を呼びかけていたという。呼びかけはティックトックからも行われていたとしている」。

——英国で生じているヘイトにまつわる暴動の経緯を、平和博さんがまとめている。特に興味深く読んだのは、タイムライン形式で事件の発生からヘイト投稿、各地での暴動へと広がっていく経緯。偽情報から実際の街頭行動への動きが迅速すぎるという印象だ。事件そのものは別にしても、ある種の組織だった動きがなかったのか、分析が為されるべきだろう。

New York Times Reports 13.6% Jump in Profit
米New York Timesが4 – 6月期四半期業績を公表。約30万人の新規デジタル購読者を獲得、前年同期比13.6%の増益。総購読者数は現在1,080万人超で、うち1,020万人がデジタルのみの購読者に。このデジタル版購読者の半数近くが、同社製品の複数を購読という好循環に。
昨日紹介したように、米新興メディアとしては“成功株”と見られていたAxiosが初の人員削減。同社CEOのJim VandeHei氏は、SNS、党派対立、ポッドキャストなどへの関心の分散と、AIの要約能力が相乗し、「私たちの生涯でメディアにとり最も困難な瞬間」に見舞われていると述べる。
Existential thoughts about Apple’s reliance on Services revenue
米Apple、その四半期決算に驚かされる。同社があげるサービス収入は、iPhone以外の製品群(の総和)以上の規模に。AppleはiPhone+サービス企業となった。
試される紙への忍耐力、残る新聞輪転機メーカーはあと1社
「これら新聞社が紙の新聞を発行し続ける限り、代わりを見つける必要があるが選択肢はいまや大手では東京機械製作所しかない。産業用新聞印刷機の製造と設置には何年もかかり、生産量を倍増させるのは簡単ではない」。

——高速で印刷できるからこその輪転機。そして輪転機が支えた情報網。やはり「遅い情報」価値をどう最高値するかに関心が向かう。

Canadian news engagement down significantly one year after Meta's ban: study
2023年6月、カナダで「Online News Act」が施行されたのを機に、MetaがFacebookやInstagramへのニュース記事投稿を制限を始めて1年。カナダでは、オンラインニュースの閲覧が1日当たり1,100万件も減少と「Media Ecosystem Observatory」が報告。
佐賀新聞がAIで記事を書いた紙面掲載 「まだ人が書いた方が速い」:朝日新聞デジタル
「AI紙面は1日限定で、当面はAIを講演の音声データの文字起こしや見出しの作成、校閲支援などに使う。記事作成については『まだ先の話だが、できるところから活用していきたい』とし、まずは地域の行事予定の一覧作成などで活用していく考えという」。

——「apnea」(AI-Powered News Editing Assistant)を使ってみた、最初の事例だろうか。佐賀新聞側の「決して悪いことはしていません」的コメントが……。胸をはってトライしてほしいのだが。

Disruption This Week—–26/7/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年7月22日から2024年7月26日まで。

13 ideas for fresh news formats
「ニュースフォーマットとは何か? ニュース記事の書き方やスタイル」のことだ。旧来、新聞では「逆ピラミッド型」が定着していたが、Web上ではさまざまなスタイルが開発されている。箇条書き、リスト、FAQ、タイムライン…など。新しいニュースメディアを考える整理の参考になりそうだ。
With Google in its sights, OpenAI unveils SearchGPT | TechCrunch
OpenAI、PerplexityやGoogle AI Overviewsに対抗するAI検索サービス「SearchGPT」を発表。ライバルと同様に、質問を入力すると、関連する情報源へのリンクとともに、Web上の情報や写真を表示するというもの。質問者のコンテキストを知るために位置情報を利用するとしている。
スポティファイ株急伸、四半期利益は過去最高-有料会員が急増
「23日の米株式市場で、音楽ストリーミングを手掛けるスウェーデンのスポティファイ・テクノロジーの株価が急伸し、約3年ぶりの高値を付けた。同社の4 – 6月(第2四半期)決算は過去最高益となり、有料会員数も急増した」。

——別の投稿で情報提供をしたいが、同社は現在、楽曲以外の音声分野(最初はポッドキャスト、さらに現在はオーディオブックを推進)で、今後の成長戦略を描いている。一方で、足もとの業績(特に利益)は、人員削減、一部地域での値上げなどで稼いでいるように見える。

Why Guardian has expanded paid content offering with launch of recipe app Feast
英Guardian、レシピアプリ「Feast」を本年4月に投入。着実にファンを伸ばし、現在は10万ダウンロード超に。同社は、定期購読者に加えて寄付金支払者(従来は「メンバー」と呼び、現在は「サポーター」とする)をさらに拡大するための重要ファクターとしているという。同社のレシピコンテンツには従来から根強いファンが存在していた。
マスク氏のX、ニュースで偽情報続出 AIリスク露呈
【有料購読者向け記事】:
「(XのAI「Grok(グロック)」が生成した)ある見出しは、カマラ・ハリス副大統領が撃たれたと伝えた。この誤りは、バイデン大統領がトランプ大統領とハリス副大統領の名前を言い間違えたという、無関係の事件に対する皮肉が原因となったようだ」。

——X投稿から、人々が知るべきニュースをAIが生成して迅速かつ簡略に伝えるというイーロン・マスク氏の構想。今のところ、信頼性の面は実用的ではないということのようだ。

Google、ついに「Chromeのサードパーティ Cookie を廃止するつもりはない」と発表。プライバシーサンドボックスの今後についても言及 | DIGIDAY[日本版]
「Googleは米国時間7月22日のブログ投稿で、『サードパーティのCookieを廃止するつもりはない』ことを明らかにした。その代わりに、ユーザーがWeb閲覧中に十分な情報を得たうえで選択でき、いつでも調整できる『Chromeの新しい体験』を導入するという」。

——この数年の空騒ぎの末、Googleは市場シェア最大の同社Webブラウザ「Chrome」におけるサードバーティCookieのサポート継続を表明した。一般消費者の(感情を含めた)広告による追跡への忌避に配慮した代替広告技術を開発してきたが、最終的に自社および広告業界の収益毀損を免れないと判断したのだろう。
そもそもサードパーティCookie廃止への動きは、広告事業に軸足を持たないAppleが主導した動きで、最大の広告技術プロバイダであるGoogleはいやいや追随してきたのだが、その姿勢もかなぐり捨てた。広告業界は、消費者にとって、不快な、懸念される広告技術とともに心中する覚悟らしい。
いや、もうちょっとマシな代替技術の開発を諦めていないとGoogleは未練を残すのだが。

In 1924, a magazine ran a contest: “Who is to pay for broadcasting and how?” A century later, we’re still asking the same question
100年前の1924年春、米国の「Radio Broadcast」というラジオ放送業界紙は、「誰に、どのように放送料金を支払ってもらうのか?」との懸賞金付きでアイデア募集を行った。1,000件近い応募があったが、すべて不採用だったという。100年前の問いが解けていないという問題。
Behind the scenes of China's first independent fact-checking initiative
中国国内でも、政府主導ではなく、種々の偽誤情報の検証に当たるボランティアベースのファクトチェックグループが存在する。「China Fact Check」がそれだ。WeChat上のみで活動。ボランティアが見つけた大量の疑わしい情報にグループで対処する。同組織の創設者が解説する。
トーハン、ファミリーマート・ローソン1万店の雑誌配送終了へ - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「出版取次大手のトーハン(東京・新宿)がファミリーマートとローソンの計約1万店への雑誌配送を終了することが19日分かった。対象店舗は雑誌の売り上げが少ない店舗を中心にコンビニエンスストア側と協議して決める」。

——雑誌物流(書籍ももちろん同様だろうが)が大変なことになっている。トーハンは、日販が停止するコンビニへの雑誌配送を引き継ぐはずだったが、その内、売上の少ない店舗への配送について継続しないというわけだ。

“AIによるフェイクニュース”を検知・分析する技術、富士通が開発へ
「各投稿情報について、その根拠の整合性や矛盾を大規模言語モデル(LLM)により分析し、情報がAIで作られていないかなどの作為性の判定。偽情報の特徴を分析し、拡散規模や社会的な影響度を評価する技術も開発する」。

——上記のLLMが情報の真偽を判定する箇所が、サムネールにおける「特徴3」に該当するのだろうか? そのようなメソッドが作れるのかどうか、大変に興味があるところ。

「どうしたいか」を考え、定義することが最大のポイント(藤村厚夫)

AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議 – 宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム「AdverTimes.(アドタイ)」

「どうしたいか」を考え、定義することが最大のポイント(藤村厚夫)
【ご紹介】:
「AdverTimes.」創刊20周年の記念に、過去連載させて頂いた経緯からコメントを寄稿いたしました。自分自身の過去を振り返るメモみたいなものですが。

Disruption This Week—–19/7/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年7月16日から2024年7月19日まで。

A One-Man Telemundo on TikTok
【有料購読者向け記事】:
Carlos Espina氏は米Biden政権(ホワイトハウス)が、他の放送局(報道機関)と同様の扱いを与えるパーソナリティの一人。この8月に実施する民主党大会では同氏のようなクリエイターに“プレスパス”を与えることになる。記事はEspina氏の日常を伝える興味深いもの。
Spotify、2023年2月にサービス開始したAIベースDJ機能に加え、スペイン語版DJ機能の提供を開始する。いずれも実在の人物(著名DJ)の音声をサンプリングしたもの。Spotfiyは、DJ機能により楽曲にコンテキストを提供し、スキップしにくくする効果があると説明する。
How news avoiders got information about Trump’s shooting - Poynter
「私のアンケートに答えてくれた人の大半、37%が友人や家族から銃撃事件のことを聞いたという。 そのほとんどは、テキストメッセージやその他の直接の連絡を受けた。 グループチャットで知った人もいる」。

——ニュースを忌避する人々が増大する時代。今回の大統領候補への銃撃事件を、そのような人々はどのようにして情報として得たのか。著名なジャーナリズム研究者である筆者がとっさに私的なアンケートを行った。

AI検索で進む「ただ乗り」、報道機関の記事にも 社会への影響は:朝日新聞デジタル
「AIの時代は、ジャーナリズムが生み出した価値から恩恵を受ける者とコンテンツを生み出す者のつながりをさらに弱める。報道機関がつくるコンテンツのただ乗りは、ジャーナリズムと大規模言語モデルの質の両方を弱めることになる」。

——米コロンビア大の研究者アンヤ・シフリン氏のコメントだと記事は述べている。「ただ乗り」か否かは別のアプローチがありえるとしても、「ニュースが難しい」「ニュースのもっと深いところを知りたいのに」との読者のニーズ(苦痛)に応える余地は、まだまだあると思う。その価値増部分をだれが意欲的に創るのかという視点を考えたい。

毎日新聞 富山県内での配送を9月末で休止へ 全国初 | NHK
「富山県内では大阪の工場で印刷した新聞を輸送してきて、販売店を通じ、各家庭や店頭などに配送していますが、印刷費や輸送費の負担が増していることに加え、県内での発行部数が減少傾向にあることから休止を決めたとしています」。

——夕刊の休刊どころではない状況に。「これからも富山のニュースをデジタルや本紙全国版などで発信し、全国紙としての役割を果たしていきます」と毎日新聞は述べている。「全国紙」の役割を読者側も考えることになる(全国紙と地方紙を併読・併購読する人々もいるので)。

Xの青バッジはDSA違反──欧州委員会が予備的見解 「法廷で戦う」とマスク氏
「欧州委員会が問題にしているのは、以下の3点だ。

– ブルーの認証済みバッジは認証済みとなっているものの、金を支払えば誰でも取得できるため、ユーザーを欺いている。悪意ある人がこれを悪用してユーザーを欺いている証拠がある
– 広告に関する必要な透明性に準拠していないため、ユーザー保護に必要な監視と調査ができない
– DSAでは一定の条件下で外部の研究者に公開データへのアクセスを提供するよう定めているが、提供していない」

——欧州のDSA(デジタルサービス法)に違反と、ようやくXがその対象に取り沙汰されることに。本記事の主題である「ブルーバッジ」をめぐるガバナンス欠如は、だいぶ以前から指摘されてきた。また、X(旧Twitter)のAPI利用(研究目的に絞るにしても)についても改善が見られない。

Apple, Nvidia, Anthropic Used Thousands of Swiped YouTube Videos to Train AI
米Proof News、独自のツールを開発し、Anthropic、Nvidia、Apple、SalesforceなどのAI企業が、数千ものYouTube動画の字幕を無断で取得、学習していることを突き止めた。
ツールはどんなクリエイターのコンテンツが学習されているか特定できる。多くは教育コンテンツだが、悪いことに、学習されたコンテンツには極端に扇動的な悪名高いクリエイターらのものも含まれているとする。
AI検索エンジン「Perplexity」でネット検索はどう変わるのか
【全文閲覧には要登録】:
「Perplexityは『従来の検索エンジンの代替となるもので、直接質問をし、選りすぐられた情報源によって裏付けられた簡潔で正確な回答を受け取ることができます』ということだ。つまり、Perplexityは、Webサイトを検索した結果、ヒットしたWebページをまとめた結果を回答するものということのようだ」。

——良くも悪くも話題のPerplexity。その使い勝手を詳細な試用記で理解できる。醍醐味は「Pro」版(有料)の利用なのかもしれない。ちょっと思案する。

YouTube Music is testing an AI-generated radio feature and adding a song recognition tool | TechCrunch
YouTube Music、“AI生成による会話型ラジオ機能”を試行中。米Premiumユーザーに展開される予定。 ユーザーは、鼻歌などで聴きたい曲をリクエストすれば、カスタムラジオ局を作ることができるようになるという。Shazamなどにも似た機能だといえる。
ゼレンスキー大統領の妻が「ブガッティを購入」という偽情報は、こうしてロシア発で一気に拡散された
「今回の『ブガッティ購入』に関する偽記事を数十のロシアメディア(多くはロシア政府が所有またはコントロールしている)が取り上げており、Vérité Cachéeを情報源として引用していた。ほとんどの記事は7月2日に掲載され、数十万から数百万のフォロワーをもつ複数の親ロシア政府派のTelegramチャンネルで拡散された。偽情報を調査している『@Antibot4Navalny』の研究者によると、それらのリンクはX上の偽のボットアカウントのネットワーク『Doppelganger』によっても拡散されたという」。

——記事は、「この『Vérité Cachée』は、AIを駆使して欧州や米国を対象にロシアのプロパガンダや偽情報を流しているウェブサイトのネットワークの一部だ」と紹介している。小さなサイトが発出した偽情報がいかに短時間の内に、世界に伝播、話題となったかを、プロセスとして紹介しており、勉強になる。

Disruption This Week—–12/7/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年7月8日から2024年7月12日まで。

Local News Now | Elevating local news.

Local News Now | Elevating local news.

Local News Now | Elevating local news.
米バージニア州北部とワシントンDCをカバーして成長するオンライン・ローカルメディア(ネットワーク)企業「Local News Now」。2010年設立で成長を加速しているという。Axiosのローカルニューズレターの品ぞろえ同様、注目株だ。
CNNが100人削減、年内に新たなオンラインチャンネル開設へ
「米CNNは、デジタルおよび有料テレビのニュース取材チームを統合する計画の一環として約100人を削減、業務を見直している。…CNNの従業員は約3500人。今回は3%未満の従業員が削減されることになる」。

——CNNの新たなデジタル戦略とそのアウトプットであるインターネット番組が年内にもサービスインする。その準備の過程でレイオフも発表。その新生CNNを率いるCEOは、ご存じMark Thompson氏。前New York TimesのCEOだ。同氏のデジタル戦略も徐々に明らかになりつつある。別途紹介しよう。

ChatGPT-Maker OpenAI Asks for Proof That NYTimes Is Original | Entrepreneur
米New York Timesは昨12月にOpenAIを著作権侵害で提訴。OpenAIがChatGPTの学習のために何百万もの記事を使用したと主張する。 一方、OpenAIは、NYTimesの記事が実際にオリジナルであるという証拠の提出を求める法廷闘争に。
NYTimesは、これを「無関係、不適切な嫌がらせ」と反論する。
アルファベットに埋もれた秘宝、ユーチューブには4550億ドルの価値
「『ユーチューブには価値が隠されており、投資家は単体として取引できない。これを閉じ込めているグーグルというコングロマリットには、ほかに多数のリスクがある』と(アナリストの)マーティン氏はインタビューで述べた」。

——記事を読めば理解できるはずだが、米Alphabetは従来の検索事業主体であるGoogleをはじめとする多種の技術系事業のコングロマリット。YouTubeもその一つで、投資家らはYouTube単独価値に投資できない。検索事業などはAI進化の方向ひとつで価値毀損する恐れがある一方、YouTubeやそのエコシステムにはそのリスクがほぼない。この価値が隠されている事は問題だとする指摘を取り上げた記事だ。

New York Times Experiments With a New Headline Writer: OpenAI
米MicrosoftおよびOpenAIを、自社コンテンツを勝手に学習したと数十億ドルの損害賠償を求めた米New York Times。だが、米Intercept.が入手した情報(コード)によると、そのNYTimesは社内で記事見出し生成ツールにChatGPTを利用していた。同社広報は実務への利用は否定したが。
Veteran columnists making more money on Substack after local newspaper exits
こちらも“解雇”された2人のベテランジャーナリストが、Substackで自身のメディアを立ち上げた話題。いずれも30年近くカリフォルニア州のローカル紙「The Davis Enterprise」に勤務したが、5月に解雇。自身のニューズレターですでに過去の年収を上回る購読料を得ているという。
Washington Post 'third newsroom' creation gets underway
印刷版、そしてオンライン版のWashington Post編集部に、「第3の編集部」が新設。スタッフからの経営チーム批判が止まらない同社だが、収益改善のために、「ソーシャルメディアとサービス・ジャーナリズムに焦点を当て、AIとマイクロペイメントで」で収益化をめざす試みだという。
Google検索も不要に? 検索AI「Perplexity」がスゴすぎてちょっと怖い
「例えば、7月4日時点で東京都知事選(7月7日投開票)の最新状況を聞くと、こんなふうに答えてくれる。…
最新情報をベースに、有力候補4人を抽出した上で、石丸伸二氏が猛追する展開を簡潔にまとめている」。

——「こんなふうに」の先は、記事内のスクリーンショットを確認のこと。確かに凄い。そして、重要なのはほぼリアルタイムですぐれた情勢認識(メディアをはじめとするさまざまな情報源をリアルタイムで分析ということか)を示している。記事は、Perplexityが他のAIチャットボットに比べて明らかな誤りが少ない(信頼のおける情報源を採用しているということか)とも指摘する。

「新聞を読む時間」として思い浮かぶものは・紙の新聞は32.5%どまり(最新) : ガベージニュース
「もっとも多くの人が思い浮かんだのは『紙の新聞』で32.5%。次いで『新聞社のサイトやアプリ』12.4%、さらに『新聞社以外のサイトやアプリ』8.5%、そして『SNS上の新聞記事』が6.2%。SNS上に掲載された新聞記事を読むことを、『新聞を読む』と認識している人が案外多いことに驚く人もいるかもしれない」。

——例年行われている博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所の2024年版の整理。引用箇所はけっこう切実な問題で、問いかける人、答える人で「新聞(を読む)」の定義が異なっている事態が拡大している。私自身は“新聞(の閲読)体験”を印刷版を超えたものとして再定義しないと、新聞社の存続が危ぶまれると考える。逆に、そのように新聞社(のなかの人々)が自ら再定義できれば、社会的ニーズはもちろん、産業としての未来は開けるものと考える。

生成AI悪用で最多は「世論操作」約3割、その実態とは
「調査期間中に、生成AI機能の悪用で最も多かった目的は、世論の形成や影響を及ぼすことだった(報道されたケース全体の27%)。これらのケースでは、アクター(実行者)は、人々の政治的現実への認識を歪める幅広い戦術を展開していた」。

——「グーグルのAI部門、ディープマインドと研究部門、ジグソーの研究グループ」による調査リポートから。平和博さんのブログ記事から。世論への影響工作に続く悪用目的が「収益化」だ。「51件、20.5%を占めた」という。

Disruption This Week—–28/6/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年6月24日から2024年6月28日まで。

NYT's Hannah Yang on subscription ceilings, international markets and the news bundles
「New York Timesは、ユーザーを獲得して6〜12か月間維持するために、紹介キャンペーンを利用している。だが、価格などのオファーはユーザーの行動と機械学習アルゴリズムに依存する。
ここ英国では、1年間、週わずか0.50ポンドのオファーが届いたばかりだ。別のブラウザでは、7日間無料、その後月2ポンドというオファーだった」。

——記事は、米New York Timesの「最高グロースおよび顧客担当」のHannah Yang氏にインタビューしたポッドキャストの紹介。
引用のくだりは、記事を執筆したJacob Granger氏の地の部分。記事は、NYTimesがデジタル購読者をさらに増やせる余地(2027年には、現在の1,050万人を1,500万人とする計画)として、世界の購読者予備軍の存在と、ゲーム、料理、スポーツと多種のコンテンツをアップセル可能な購読予備軍の存在をあげる。

GeminiがYouTube動画を一瞬で要約してくれるようになった(しかも無料) | ライフハッカー・ジャパン
「Geminiは、キャプションや字幕など、YouTubeが自動的に生成するテキストを使ってYouTube動画を要約します。つまり、動画にキャプションや字幕がない場合は、動画からは何も抽出できません。また、要約機能はすべての言語に対応しているわけではありません。現在対応しているのは英語、日本語、韓国語のみ」。

——YouTubeコンテンツの要約機能は、便利そうだ。若干の注意点を紹介しておく。

AI検索「Perplexity」の記事盗用疑惑を独自調査──無断スクレイピングで回答を生成か
「『WIRED』の調査から、Perplexityに関連するマシン(具体的にはAmazonのサーバー上にあり、Perplexityが操作していることがほぼ確実なもの)が、WIRED.comや、『WIRED』と同じコンデナストに所属するほかのメディアのコンテンツをスクレイピングしていることが判明したのである」。

——Perplexity関連で紹介してきた記事の和訳が出たので改めて照会しておく。WIREDはこの事象について詳しく報道しているメディアだ。

国産LLM開発のELYZA、GPT-4の性能を凌ぐ新モデルを発表

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

国産LLM開発のELYZA、GPT-4の性能を凌ぐ新モデルを発表
【有料購読者向け記事】:
「特筆すべきは、このモデルが推論や知識応用の面で優れた結果を示している点だ。文章生成、ロールプレイ、情報抽出、推論、構造化、人文科学、科学技術、プログラミングなど、幅広いタスクで高い能力を発揮している。唯一、数学の分野でやや劣る結果となったものの、それ以外のカテゴリではほぼ完璧な性能を示した」。

——興味深い進展。気になるのは、このようにポジティブに報じられるような技術開発であれば、喜んでコンテンツプロバイダーは、自らのコンテンツ資産を学習用に差し出すのかどうかということ。

声優の利益保護へ音声データを認証 AIカバー対策、初の団体設立へ:朝日新聞デジタル
「AI(人工知能)に学ばせる音声データを認証する団体が来月にも設立される。25日に会見した関係者によると、国内初。AI開発者は、認証を受けた質の高い安全なデータを購入でき、声優らにも対価が支払われるようになる。データの追跡や透明性の確保につながるため、AI開発と知的財産の保護という点からも先駆的な例となりそうだ」 。

——一般社団法人・日本音声AI学習データ認証サービス機構(AILAS(アイラス))の設立にともなっての報道。世界に先駆ける取り組みではないだろうか。データ認証(お墨付き)を与えるプロセスが興味深い。

Smashing, from Goodreads' co-founder, curates the best of the web using AI and human recommendations | TechCrunch
すぐれた書籍の紹介に力を注ぐソーシャルサービス「Goodreads」。共同創業者Otis Chandler氏が新たに、すぐれた「ニュース記事、ブログ記事、SNS投稿、ポッドキャスト」などの発見を助けるサービス「Smashing」が発表。AIとコミュニティの力を駆使するモデルだという。
記事はChandler氏が、その発想を得るにいたった経緯を詳しく述べている。
音楽生成AIのSunoとUdioを全米レコード協会が著作権侵害で提訴
「訴状では、特定の音声録音の特徴(発売された年代、テーマ、ジャンル、アーティストの説明など)を含む的を絞ったプロンプトを使用すると、著作権で保護された音声録音に酷似した音楽ファイルが生成される例が複数提示されている」。

——記事には、RIAAが権利侵害と酷似を指摘する楽曲のデモプレーヤーがリンクされている。また、サムネールはその酷似ぶりを指摘する比較図版だ。また、この種の侵害の特徴は、「規模は想像を絶するものだ」ということかもしれない。自動的に無数の権利侵害と見られる楽曲が生成できるということだ。

Exclusive: Amazon mulls $5 to $10 monthly price tag for unprofitable Alexa service, AI revamp
米Amazon、製品投入以来10年間利益をあげたことがなかったスマートスピーカープロジェクトのAlexaにテコ入れを計画。新たなAI開発で「能力を高めたAlexa」を投入、同時に月額5〜10ドルの有料課金化をめざす。Reutersによるスクープ。
Algorithms should not control what people see, UN chief says, launching Global Principles for Information Integrity
「アルゴリズムが人々の見るものを制御すべきではない」——。
国連事務総長が「情報の完全性に関するグローバル原則」を発表。誤った情報、偽情報、ヘイトスピーチによる被害に対処するための早急な行動の必要性を強調した。
AI音声による詐欺防止へ メタ、オーディオ透かしで新技術
「メタ(Meta)は、人工知能(AI )が生成したオーディオ・クリップに、いわゆる『透かし(ウォーターマーク)』となる隠し信号を埋め込めるシステムを開発した。ネット上でのAI生成コンテンツの検出に活用できる可能性がある」。

——画像系ではC2PAのようなメタデータを透かしとして用いる業界標準が動き出している。音声データでも同様の仕組みが待たれてきたが、Metaが「オーディオシール(AudioSeal)」を発表。すでにGitHubなどで公開済みだという。これを標準に育てられるかどうか。