Disruption This Week—–26/4/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年4月22日から2024年4月26日まで。

Google takes lion's share of growing UK ad market as publishers lose out
英広告協会の市場調査によると、2023年の英国広告市場全体が6.1%増の366億ポンドに成長し、オンライン・フォーマットが全体の4分の3以上を占めることと予測。だが、すべての成長は大手プラットフォーマーにもたらされ、最大の勝者はGoogleに。報道メディアは損失を被ったとする記事。
経済情報特化の生成AI、日経が開発 40年分の記事学習 - 日本経済新聞
「日本経済新聞社は24日、経済情報に特化した生成AI(人工知能)の基盤技術を開発したと発表した。大規模言語モデルと呼ばれるもので、約40年分の日経グループの新聞や雑誌の記事を学習させた。記事の要約機能などで活用を見込む」。

——オープンソースLLMを活用(具体的にはLlama3)しているという。記事要約はもちろん、すぐに思いつくが、やはりストック型情報の高度な再利用法を考えたいところ。

トムソン・ロイター、法律専門家向けの生成AIプラットフォーム「CoCounsel」を公開

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トムソン・ロイター、法律専門家向けの生成AIプラットフォーム「CoCounsel」を公開
「CoCounsel は、法律 AI のスタートアップ Casetext を買収して開発されたもので、OpenAI の『GPT-4』のような高度な生成 AI モデルを使用して、Thomson Reuters 独自の膨大なコンテンツデータベースを理解し処理する」。

——次に日経新聞のAIへの取り組みを紹介するが、Reuters、そしてBloomberg(以前、Bloomberg LLMの試みを紹介した)など、専門分野でのストック情報を持つ企業が、AI活用で優位に立ちそうな予感がする。

TikTok、法廷闘争へ 米で「禁止」法成立
「バイデン米大統領は24日、中国系の短編動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」の米国での利用禁止につながる法案に署名し、同法が成立した。
TikTokの周受資・最高経営責任者(CEO)はこれを受け、『われわれはどこにも行かない』と言明。『事実および憲法はわれわれの味方であり、われわれが再び勝利すると期待している』とし、法廷闘争する構えを鮮明にした」。

——一方の、米国では既定の動きではあるが、大統領が署名まで進んだ。記事にあるように、これからは法廷闘争が長く続くことになりそうだ。

日本のTikToK利用率が大幅増、主要SNSでは過去1年で最大の伸び
「NTTドコモ・モバイル社会研究所が22日に公表した調査では、スマホなどの所有者のTikTok利用率は18%で、前年比8ポイント増となった。特に10代の伸びが目立った。その他主要SNSの伸び率は限定的で、最大のInstagramも2.2ポイントの伸びにとどまった」。

——これから原典に当たってみたいというところだが、そろそろSNS全盛期から、ある種の転換が起きている感触もある。

「ABEMA」含むメディア事業、初の四半期黒字に サイバーエージェント、24年9月期2Q決算は増収増益
「『ABEMA単体での黒字はまだ』(同社代表取締役社長の藤田晋氏)としているが、ABEMA関連では、広告と周辺事業が伸長。2022 FIFAワールドカップの生配信以降、『DAZN』『WOWSPO』などの外部パートナー連携も手伝い、スポーツ関連コンテンツが伸びているという」。

——「ABEMA単体での黒字化はまだ」という注釈はあるが、初期数年は、巨額投資を危ぶむ声が高かったことを思えば、“ついに!”との思いは外野でさえある。わが国の映像ビジネスの歴史に画期が訪れている。

The Washington Post is developing an AI-powered answer tool informed by its coverage
米Washington Post、米バージニア工科大のAI研究者と組み、ジェネレーティブAIとRAGを用いて、読者の質問に回答するシステムを開発中。テキストに限定せず、音声や動画も扱うという。興味深いのは、「読者はテキストの記事で理解はせず、質問により理解する」という関係者の見解だ。
そのヘビーユーザーは利益をもたらしているか? 一休が売上10倍、営業利益率5割超を達成できた理由
「この手のクーポンは様々な企業のプロモーションで見られますが、当社では『このお客様がこの宿を予約する確率が約◯%で、そのときの購入金額は◯円だと想定されるから、◯円オフクーポンを発行するべき』という計算を一人ひとりに対して行った上でクーポンを発行しています」。

——「http://xn--4gqvz.com/」を運営する一休。同社の代表を務める榊淳氏が語る“データドリブン”経営。命名はともかくとしてダイナミックなオファリングには学ぶべきものがある。
https://markezine.jp/article/detail/44470

公取委衝撃「なめられている」 グーグルに「心臓部」握られたヤフー:朝日新聞デジタル
「公取委は、定期的にグーグルとヤフーに契約状況などを確認していたが、説明はなく、全く察知できなかった。
『完全になめられている』
契約変更を把握した公取委内部には衝撃が走ったという」。

——すでに各メディアで報道している件。この記事では、公正取引委員会が行政処分を行うに至った経緯が比較的詳細に述べられている。20210年ごろまでに立ち返ったもの。

ジャーナリズムとは何かを再考する(4の前編) 「『エモい』だけの記事」の原因とは?(奥村信幸) - エキスパート - Yahoo!ニュース
「『エモい』だけでなく、ニュースの中で感情を刺激することは、あながち悪いことではありません。その記事に関心を持ってもらい、途中で離脱しないで全部読み終えてもらう仕掛けは、記事で伝える内容が過度に誇張されたり、誤解を招いたりしなければ許されるはずです」。

——一部で話題になっている“新聞報道のなかに“エモい”記事が増えている”現象について、奥村信幸氏が建設的な批判。私も一概によくないこととは思わない。エモーショナルに訴える記事は、読者体験の度合い高いことは想像できる。ポイントはそれをどう生かして、次のステージへと読者を誘うかだ。奥村氏はその点、「普遍化」というプロセスをあげる。

Disruption This Week—–12/4/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年4月9日から2024年4月12日まで。

米The Weather Company(旧IBMの一部門)、さまざまな地域や企業、個人向けにカスタマイズできる気象予報システム「ReelSphere」を発表。カスタマイズされた気象予報動画とAI生成の音声を合成して表示する。同社は、システムは気象予報士の仕事を支援するものと説明する。
アドビ、1分3ドルで動画コンテンツ買い取り-AIモデル構築で
「ブルームバーグが確認した文書によると、アドビは、写真家やアーティストが参加する自社のネットワークに120(約1万8000円)ドルを提示し、歩行など日常的な動作の他、喜びや怒りといった感情を表現する人々の動画投稿を依頼している。AI学習のための素材収集が目的という」。

——記事が確認するように、動画を学習することでテキストなどのプロンプトから簡単に動画を生成できる、Google「SORA」などの台頭に対抗するための動きだ。Adobeの本業はプロ向けのクリエイティブ制作ツールやサービスの提供だったが、大きな業態変更を果敢に進める段階のようだ。

Axios Sees A.I. Coming, and Shifts Its Strategy
【有料購読者向け記事】:
米メディアAxiosの創業者Jim VandeHei氏は、ジェネレーティブAI時代にメディア企業が生き残る唯一の方法は、ジャーナリスティックな専門知識、信頼できるコンテンツ、人と人とのつながりを提供することに集中することだと語る。
Axiosにとって、それはライブイベントの増加、スター・ジャーナリストを中心としたメンバーシップ・プログラム、高級購読ニューズレターの拡大などだという。同氏はまた、このAI時代のメディアの転換は、印刷からデジタルへの転換以上に困難だとも述べる。
フィルターバブルも感覚的に回避し、情報の海を軽やかに泳ぐ。10代のメディア利用実態とインサイト
「―10代と他の世代で違う部分・変わらない部分はどのようなところだとお考えですか?
野田(絵美氏):SNSの利用状況には10代と20代の大きな違いはありませんが、利用スキルや情報リテラシーについては10代のほうが非常に高いです。これは学校教育の成果だと捉えています」。

——「たとえば、『情報が偏る』というSNSのリスクを理解している割合は20代だと3人に1人程度です。対して、10代では過半数と、他の世代を圧倒していました」と野田研究員は語る。アルゴリズムについても同様の知識があるという。

高校生では1割強が経験済み…子供達における配信実情(最新) : ガベージニュース
「興味深いことに、男女別ではすべての学校種類において女子の方が高い値を示している。特に高校生では男子が7.9%なのに対し、女子は7割ほど増しの13.4%もの値。男子よりも女子の方が、配信に対する意欲は高いのだろう」。

——若年層によるネット配信の経験を尋ねた調査。多くは動画と想定するが、ショート動画やゲーム実況など、YouTubeに収れんしない多様性が生じ、それがまた配信体験の底上げをしていると理解。引用箇所は、その男女比で女子が高いとの指摘。にわかに仮説を用意できないが、覚えておきたい事象だ。

Google、Workplaceに含む動画制作アプリ「Google Vids」の計画を公表。「我々のモットーは、スライドを作ることができれば、Vidsでビデオを作ることができるということだ。動画制作のスキルは不要だ」と担当分野の幹部は述べた。
AI is already reshaping newsrooms, AP study finds - Poynter
「ジェネレーティブAIはすでに報道を変えている」。
AP通信が12月に行った調査で、主に欧米の報道メディアに関わるスタッフ(292名)の70%近くが、SNSへの投稿、ニューズレター、見出し作成、インタビューの翻訳や書き起こし、記事の下書きなどにジェネレーティブAIを使用と回答したという。記事内リンクから調査リポートが得られる。
Spotify、プロンプトで操作できる「AIプレイリスト」を英豪でβリリース
「モバイルアプリのライブラリタブでテキストプロンプトを入力することでAIがリクエストに沿ったプレイリストを生成する。例えば『アレルギーの季節に元気をくれるリラックスできる音楽』や『自分が主人公になったような気分にさせてくれるプレイリスト』などと指示すればいい」。

——すぐに飽きてしまいそうではあるが、それにしても、自分専用のプレイリストが生成されるというのには惹かれる。凝ったプロンプトを考えてみたくなる。

OpenAI、新API公開でファインチューニング機能強化——企業がAIモデルをカスタマイズしやすく

BRIDGE(ブリッジ)|「起業家と投資家を繋ぐ」テクノロジー&スタートアップ関連の話題をお届けするブログメディア

OpenAI、新API公開でファインチューニング機能強化——企業がAIモデルをカスタマイズしやすく
「よりパーソナライズされた AI に向けた重要な動きとして、OpenAI はカスタムモデルプログラムの拡張と同時に、ファインチューニング API の大幅な強化を発表した。これらのアップデートにより、開発者は AI モデルのファインチューニングをかつてないほどコントロールできるようになり…」。

——いわゆる“ハルシネーション”対策はもちろん、専門的領域をめぐる応答で、大外しな会話が飛び出したりするジェネレーティブAIの弱点をどう改善するか、どう精度を上げていくか。現時点で最大の壁を越そうとする動きに見える。もちろん、その成果は今後の評価待ちではあるが。

AIで量産のメディア偽装サイト「ピンクスライム」の数が、本物のニュースサイトと同規模に
「ニュースガードは、全国で運営されている1,162件のピンクスライムサイトを確認した。これは、実在する日刊ローカル紙が運営する本物のニュースサイト約1,200件とほぼ同数だ」。

——「ピンクスライム」とは、元来、本来の肉類の増量を図るために用いられる偽造肉(ピンク色をしている)に模して、過去は安価な労働力で、今ではジェネレーティブAIなどを用いて生成された信頼性のないニュース記事などのことを意味する。数年前に私自身が指摘したように、本物のニュースサイトと同規模どころか、より爆発的にこの種のでっち上げ記事が生成されることになるだろう。

ファクトチェックアワード2024

FIJ|ファクトチェック・イニシアティブ

ファクトチェックアワード2024
【ご紹介】:
今年(2024年)もファクトチェックアワード、やります! 僭越ながら今回も選考委員を務めます。
「ご応募は自薦・他薦を問いません。「ファクトチェック」と明示されたものに限らず、情報の真偽を検証することを主眼としたコンテンツであれば対象となります」

Disruption This Week—–22/3/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年3月18日から2024年3月22日まで。

I Used ChatGPT as a Reporting Assistant. It Didn’t Go Well – The Markup
調査報道(データ)ジャーナリストのJon Keegan氏、ChatGPTが調査報道のアシスタントとなり得るかを時間をかけてテスト。いくつかの点で良い成果をあげた(要約能力など)が、概ね落第だとした。だが、最も使える機能は、プログラミング・コードの生成とデバッグ機能だと発見。
習近平氏の偽動画どう見抜いた? 台湾総統選、市民もLINEで検証:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「市民団体『コファクツ』は、2400人以上のボランティアが市民から寄せられた情報の真偽を検証している。台湾でも普及するLINEを使い、利用者から投稿された真偽不明の情報を過去の検証結果を集めたデータベースと突き合わせて正しい内容かを瞬時に確認。データベースはボランティアが評価を重ね、回答の精度を高めている」。

——台湾総統選などを機に噴出した偽動画、偽画像。台湾では市民が参加するファクトチェックのスキームが歴史的に積み重ねられている。

ネット広告を良くしなければ社会が悪くなる、2024年度はその分岐点です。 | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議

AdverTimes(アドタイ)宣伝会議が運営する、広告界のニュース&情報プラットフォーム

ネット広告を良くしなければ社会が悪くなる、2024年度はその分岐点です。 | AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議
「最近は比較的硬派なメディアでもどんどん広告表示がひどくなっています。新聞は比較的まともだと思っていましたが、先日はついに大手新聞のサイトでニュース記事を読んでいたら『通せんぼ広告』が表示されました。新聞がこれやっちゃダメでしょう。その新聞の記事はもう2度と開かないと決めました」。

——境 治氏の論説。「広告」の劣化は、メディアそれ自体の劣化と見なされるだろう。その逆もまた。広告もコンテンツ(メディア)も、どう“引き算”のアプローチを現実化していくべきか。

TikTok Revamps Creator Rewards Program to Incentivize Longer Uploads
TikTokがクリエイター向けの報酬プログラム「クリエイター・リワード・プログラム」を発表。1分以上の動画のみ参加対象とするなど、同社が「高品質で長いコンテンツのアップロード」を動機づけようとしているのが、改めて明瞭となった。

——TikTokが流行らせた“ショート動画”を自ら脱却しようとするのは、GoogleやMeta勢のショート動画との差別化、そして、広告の挿入しやすさなどマネタイズ面での課題があるからだろう。

How to abandon a paywall and thrive – a case study

Media Makers Meet | What’s new in media

How to abandon a paywall and thrive - a case study
ペイウォールを捨て成功するメディア:
「1. より多くの読者にリーチする必要性
2. 非営利の立場を受け入れる
3. 毎日配信されるメールマガジンの重要性を理解
4. 透明性を高め、利益を再投資…
5. イベントやエンゲージメントを通じて熱心なコミュニティを築く…」

——ある商業デジタルメディアが、購読課金制(ペイウォール)を諦め、非営利・寄付金型メディアへのモデルチェンジを図り、成功した事例を要約解説した記事。

長文コンテンツのための5つの書式テクニック
「(ユーザーは)要約や箇条書き、視覚情報、太字のテキストに注目して、探しているものをすばやく見つけ出そうとしている。そこで、テキストの壁を崩す書式テクニックを用いれば、流し読みのしやすさが向上するだけでなく、重要な情報に注意を引きつけることで、読者がコンテンツを効率的かつ効果的に読み進める手助けをすることができる」。

——「要約、箇条書き、コールアウト、太字、役立つ視覚情報などのテクニックを用いることで、1,000語を超えるコンテンツの理解度やエンゲージメントは向上する」との視点で整理された論。しかも、体験的な主張ではなくユーザーによるテストを基にした論であり、傾聴に値すると思う。個人的には冒頭の「要約」が重要と感じている。

「真のスマホネイティブ世代」のメディア利用「原体験」とは | ウェブ電通報
「今の子どもたちは『真のスマホネイティブ世代』にあたると冒頭で紹介しました。そこでスマホの利用状況を詳しく見ていきましょう。スマホの利用率は、0歳の22.5%を起点に伸長し、6~8歳での落ち込みを経て、12歳では58.5%に達します」。

——興味深い調査結果が示された記事。“真にスマホネイティブ”な層=子どもたちのメディア(コンテンツ)接触について、さまざまな視点が示された。引用箇所は、幼児期は寝かしつけのために親がスマホを与え、長じては親がスマホ視聴を取り上げ、そして学校教育ではタブレットと振り回される様が指摘される。

Hey YouTube creators, it’s time to start labeling AI-generated content in your videos | CNN Business
YouTube、クリエイターらにAI生成ラベルの付与を義務化。ビデオをアップロードすると、そのコンテンツが実在の人物の言動や、実在の場所や出来事の映像を改ざんしていないか、あるいは実際には起こっていないリアルなシーンを描写していないかを尋ねるチェックリストが表示される。
視聴者を混乱させる可能性のあるリアルなAI生成コンテンツにのみラベル付けが義務化されるという。
A company linked to a large “pink slime” network is being hired by big publishers like Gannett
「『ピンク・スライム』サイトの膨大なネットワークと数多くのつながりを持つAdvantage Informatics社が、Gannettのような米大手メディアチェーンと関係し、ローカルメディアを売買していることが、私の追跡取材で明らかになった」。

——“ピンク・スライム”とは、挽肉などに低品質な肉や人像肉などを混ぜ合わせる手法を言うが、メディアでも地方紙(もしくはそれを仮装するサイト)で広告記事や政治的主張記事を垂れ流すビジネスが指摘されている。消えゆく地方紙を買い取るなどして次々にこの種のビジネスに転換させる動きがあるのだ。全米レベルの大手新聞チェーンGannettが、結果としてこのような動きに関わってしまっているとの指摘。

アルゴリズム、消費者の敵 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「消費者はハンバーガーの価格や家賃の上昇には激怒するが、なぜか通勤時間帯で交通費が変動してもあまり気にしない。アプリで予約する場合はなおさらだ。だが、ネット上で当然視されてきたこれらの手法がリアルの店舗で展開されると問題は大きくなる」。

——英FT紙の論説記事。“ダイナミックプライシング”をのんきに新手法として評価する言説が多い。が、実際に自分に適用されれば、“消費者差別”と怒る向きも多いはず。さらに、それが実店舗で行われれば、なおさらだが、なぜかオンラインではその種の新商慣習がすでに横行しているとする論説。

Disruption This Week—–8/3/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年3月4日から2024年3月8日まで。

アップルは「マフィアの手口」 EUの新ルール、アプリ業者が猛反発:朝日新聞デジタル
【有料購読者向け記事】:
「ファウ氏(=ドイツの暗号化メールアプリ『トゥータ』のマティアス・ファウCEO)は『現状の規約にとどまるか、ビジネスを壊すリスクを取って新規約に移るか。アップルの手法は、身代金を要求するマフィアのようだ』という」。

——AppleがDMA施行に対処するため(と想定できる)、新アップストア利用規約が非常に評判が悪い。個人的に見ても、よくもこれだけワル知恵を働かせたものだと感心。特に外部決済に誘導されようとする一般ユーザーに対し、「(外部で決裁すると)アップルはプライバシーやセキュリティーに責任を負いません」と大書きで警告する手法は、圧倒的な影響力があるだろう。

プロンプト不要、生成AIで誰でも物語からマンガが作れる
「テキスト-画像生成AIは物語性のある複数の画像を生成するのが苦手だ。複数の画像で、設定に一貫性を持たせるのが難しいからだ。だが最近、物語を一度入力すると、それに合った一連の画像を生成するサービスが登場した」。

——画像生成については、DALL-EやStable Diffusionなどを利用するようだが、それ以前のストーリー、プロットなどを解釈してうまい画像を生成させるプロンプトを人間代わりにやってくれるジェネレーティブAI「ロア・マシーン(Lore Machine)」が試行運用中。記事に含まれる見本が面白く読める。

“Don’t expect help from the disruptors”: The FT’s chief executive on AI, “loyalist” readers, and its U.S. expansion
英Financial Times(FT)のCEO、John Ridding氏がインタビューに応じ、好調なデジタル購読者獲得とメディア業界の現状について語る。同社の購読者は140万人を超え、うちデジタル購読者は100万人超。約20%が米国在住だという。日経による買収以降、グループ収益は倍増だとも。
同社が力を入れてきたエンゲージメント戦略の詳細な現状も語られ、読み応えのある内容。
生成AIのグラウンディング(Grounding)とは?
「用語『グラウンディング』について説明。特定の知識や情報源(ナレッジベースなど)に基づいて言語モデルの生成内容を裏付けるプロセスのことで、チャットAIに独自の情報源を付与するRAG(検索拡張生成)という仕組みがその代表例。チャットAIがもっともらしいウソを答える問題(=ハルシネーション)を減らせるといったメリットがある」。

——LLMからいかにして信頼性の高い情報を意図して出力させられるか。また、その信頼性を証す典拠などを明示させられるかといったテーマは、現在、自ら培ってきた信頼性の高いコンテンツを資産として維持する出版社、メディアにとっての死活問題。課題だったこの問題への一つのアプローチが「グラウンディング」だ。

Newsguard debuts new automation tools for tracking election-related misinformation
情報の信ぴょう性などの検証からメディアをレーティングする調査企業の米NewsGuard、選挙イヤーの2024年用に、「Election Misinformation Tracking Center(選挙関連誤報追跡センター)」をサービスイン。従来の追跡システムに加え機械化をさらに促進したという。
10代にとって「メディア」とは? 気になる「界隈」って? イノベーターティーンのメディア生活 番外編 @メ環研の部屋 | メディア環境研究所|博報堂DYメディアパートナーズ
「10代はこの(=フィルターバブルのような)『情報が偏るリスク』をよく理解しているようです。調査では10代の6割が『多様な人や意見・情報にあたるようにしている』と回答。その対策として、X、新聞、ネットニュースなど複数のメディアを使い、確からしさを得ようとしているという声が聞かれています」。

——ティーンがバランス良く情報を摂取すべきことを知っているとの結果。これが全体に適用できるのかどうかもう少し深めてほしいが、自分の日ごろの感覚とも整合する。

BBC News marks content 'verified' to counter disinformation
英BBC、記事中に引用などされた第三者による映像情報に、「検証済み」マークを表示するようにした。検証された動画や画像には、作者、撮影日、撮影場所、カメラの詳細、その後の編集や変更などのメタデータが埋め込まれ、読者はそれを確認できる”How we verified this”ボタンを設置する。
How Max Tani Became the Go-To Guy for Horrible News About Media Layoffs
人気の新興メディア米Semaforでメディア関連情報を担当するMaxwell Tani氏へのインタビュー。同氏は、いくつものメディアを渡り歩き、Semaforにたどり着いたが、いつの間にか、“メディアの訃報(レイオフ、媒体閉鎖)”を報道する専門家のようになってしまったと嘆く。
These Companies Have a Plan to Kill Apps
スマホアプリが消滅へ? すでに軽く紹介したが、MWC2024にドイツテレコムがLLMを利用したヒューマンインターフェイスを搭載したスマートフォンのコンセプトモデルを展示。人間が“複数のアプリを操作してタスクを完了”モデルから、AIに指示し、AIがタスクを完了する新トレンドが動き出している。
インターネットの利用環境、70代のスマホでの利用が3年間で31pt増加【LINEヤフー調査】
「60代以上のシニア層を見ても2021年4月と比較して『スマホ』でのインターネット利用者の増加傾向は顕著で、60代は86%(+6pt)、70代は65%(+31pt)の利用率となった」。

——当然の帰趨と言えばそうだが、シニア層でスマホ利用が急速に進む。となると、ネットメディアやサービスの利用についても、この層で進むことになるだろう。メディア受容における世代対立も変化する可能性がある。

Disruption This Week—–17/2/2024

目に止まったメディアとテクノロジーに関する“トピックス”。2024年2月13日から2024年2月16日まで。

‘Less writing articles; more AI conversation’: We get reaction to ex-Googler’s WaPo op-ed tip for publishers
“書かれたものから会話へ”。
印刷物の時代には、出版社は「記事」を作り、それを印刷、その紙を読者に配布していた。Webは、配布と紙に関するすべてを変えたが、記事はほとんどそのままに。だが将来は、出版社とって記事が主題ではなくなり、読者との会話について考えることになるとの論説。どのように会話の関係として読者(というよりユーザー)をつなぎ止めるのか。AIチャット能力が主役となる時代がやってくる。
'Miraculous' Substack-based Ankler Media eyes $10m annual revenue next year
2022年1月創刊のSubstackベースのニューズレターメディアのAnkler Media。ハリウッド情報のメルマガが出発点だが、早くメルマガ5タイトル、ポッドキャスト2タイトルのメディア企業に成長。すでに年商100万ドル超に。25年には1,000万ドル超を目指すとCEOは述べる。
Slate reports best year | Semafor
30年近い歴史を誇る米メディアSlate。老舗のカルチャー、政治関連メディアにとって、2023年は、長い歴史のなかで最高収益となったという。ポッドキャストとWebサイトで50/50の広告収入を獲得。しかも広告収入は同社収入の半分以下。有料メンバー制が過去2年で倍増という。
Extending our Mastodon social media trial
英BBCのソーシャルメディアへのアプローチを研究するチーム、昨年、7月に開始した分散型ソーシャルメディアMastodonサーバーの試行運用が6万ユーザーに到達と公表。詳細なデータや見解を開示。良好な運用状況から試行運用をさらに6か月延長を決めたとする。
Paramount cuts 800 staff two days after Super Bowl was biggest ever TV show
米放送大手CBS、平均視聴者数で1億2340万人(TVとストリーミング合計)を突破し、史上最も視聴された「テレビ番組」となったSuper Bowl LVIIIを放映し、その記録破りの成果を公表した数時間後、CEOであるBob Bakish氏は同社800人のレイオフを発表した。
French Watchdog Uncovers Massive Russian Disinformation Operation 'Portal Kombat'
フランスの対外情報監視機関Viginum、「Portal Kombat」とのコードネームで呼ばれるロシアの大規模なオンライン影響工作活動を指摘。193ものWebサイトからなり、ウクライナでの戦争をめぐる欺瞞情報を流布し、欧州各国のウクライナ支持を挫くことを目的としたものだとする。
食べログ「評点」変更の是非は 高裁判決を弁護士が解説 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「グルメサイト『食べログ』の評価基準の変更が独占禁止法違反に当たるかが争われた裁判に関心が集まっている。東京高裁は1月、評価点を決める『アルゴリズム(計算手法)』の変更が『優越的地位の乱用』に当たるとして飲食チェーン店側への賠償を命じた一審判決を取り消し、サイトを運営するカカクコム側の逆転勝訴とした」。

——高裁で一審判決が取り消された。プラットフォーマーによるアルゴリズム変更をめぐる判例が揺れている。専門家3名による見解を紹介する記事。

Decoding new newsroom jobs in the age of AI

Media Makers Meet | What’s new in media

Decoding new newsroom jobs in the age of AI
“AI時代の新しい報道部門の仕事を読み解く”。AIを報道メディアの業務にどう生かすか。最近現れた報告書を読み解く論。後半ではAIを報道に生かすために生み出される新たな職務を解説している。
広告だらけの低品質サイトに100億円超流入 資生堂は監視強化 - 日本経済新聞
【有料購読者向け記事】:
「広告だらけで独自性のない低品質コンテンツを集めたサイトに、国内で年100億円超の企業広告費が流入している疑いがあることがわかった。生成AI(人工知能)が悪用されて低品質サイトは3割以上増えた。見せかけの閲覧数に基づいて広告費が請求され、広告主の予算が浪費されている。資生堂などは検知ツールで監視を強める」。

——「生成AIによる低品質コンテンツ」に力点が置かれた記事だが、これをある種のコンテンツファーム(検索上位を狙って人為的にコンテンツを生産し広告収入を集める手法)は、米国では2010年ぐらいには大きな動きになったし、2016年にはご存じキュレーションメディア騒動があった。根幹にはこの種のモラルハザードを生みやすい広告テクノロジーがある。

Artificial Intelligence in the News: How AI Retools, Rationalizes, and Reshapes Journalism and the Public Arena
英Guardian、独バイエルン放送、米Washington Post、英Financial Timesなど35のメディア(新聞、放送など)と報道に携わる多くの専門家から聴取したAIと報道をめぐるさまざまな現状と課題、そしてプラットフォームとの関係をリポートした必読資料が公開された(PDFも入手可)。
メディア接触の新潮流...「ニュース回避傾向」が強い層の特徴とは?
【ご紹介】:
昨年11月に公開された「スマートニュース・メディア価値観全国調査」。そこからいくつも新たなファクトが浮かび上がります。本記事は気鋭の研究者・大森翔子氏が調査から見出した、我が国での「ニュース回避」トレンド。従来、ロイター・ジャーナリズム研究所が例年取り扱い、注目を集めてきました。それが日本においても姿を現しています。「メディア接触の6類型」分析で読み解く斬新で貴重な論考です。
今のニュースメディアに欠けている機能とは何か
【ご紹介】:
私も末端で参加させてもらったメディアをめぐる座談会。元日経メディアラボ所長の坪田知己氏が中心となってメディアをめぐる話題が広がりました。よろしければご一読を。